【本編完結、番外編は不定期更新】蔑まれ虐げられ裏切られた無能と言われた聖女は魔王の膝の上で微睡む

asamurasaki

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二十五話

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 初日は厨房と洗濯場それから廊下等で掃除をしている方たちを紹介してもらったり、講堂などを案内してもらって終わった。

 王城は5階建てで最上階の5階はシリウス様と私の居室とあの側近さんたちと会った謁見の間と晩餐会の行なった食堂や応接室などがあるとのこと。

 4階は側近さんたちの居室や食堂、応接室などがあるらしい。

 そして3階と2階が王城で働く使用人たちの居室らしい。

 1階は厨房の他に使用人用の食堂、5階とは別の謁見の間、みんなが集まる講堂が何か所かとあと執務を行うそれぞれの部屋などがあるとのことだった。

 魔族にも文官がちゃんといるそうだ。

 あと地下もあって武器や魔道具を作る工房、訓練所があったりするらしい。

 今日初めて洗濯場から王城の外観を間近で見たけど、外観はそんなに大きく見えなかったけど中は見た目の外観より凄く広く大きかった。

 王城を1日で回ることは無理だからと他は明日以降になった。

 アンディナさんとは仕事があるからと別れて、私は部屋に戻り昼食を食べた。

 昼食を食べてからソファに座りお茶を飲んでいたら、シリウス様がやってきた。

「リゼットよ、昼は食べたか?」

「シリウス様!はい頂きました。

 今日もとても美味しかったです!」

 私が笑顔を見せると、シリウス様も柔らかい微笑みを見せてくれた。

「それは良かった。

 今から訓練所に参るが、用意は良いか?」

「はい!」

「訓練所は王城の隣の建物にある。

 我が転移するから近くに寄るがよい、ナリナたちもな」

 シリウス様に言われて私たちがシリウス様の近くに寄ると、シリウス様が右手を左右に振る。

 それだけで王城の隣にある2階建ての見た目貴族の邸のような建物の門の前まで転移していた。

 凄いなあ~と思いながらキョロキョロしていると。

「王城の訓練所は城を挟んだ反対側とあと地下にあるのだ。

 今日はここで訓練することにする。

 さあ、リゼット」

 王城の訓練所は3箇所あるのね。

 シリウス様が私を見下ろして腕を差し出してきた。

 エスコートしてくれるシリウス様の腕に自分の腕をからめると、シリウス様が門の前に立つと扉が自然に開いて中へと進んで行く。

 扉の中は黒く光った廊下になっていて20メートル先にはまた扉が見えた。

 その扉に向かって歩いて行き、シリウス様が扉の前に立つとまた自然と扉が開いた。

 どうなっているのだろう?と左右を見る私。

「ククッこの邸は登録している者が扉の前に立つと開くようになっておる。

 もちろんリゼットも登録されておるから我といなくともそなた一人でも開くようになっておる」

「そうなんですね」

 魔道具を使用して登録しているのだろうか?それにしても凄いな、人間の世界まだないものだ。

 シリウス様と中へ入ると、集団で輪になっていた方たちがシリウス様に気付き、膝を折って右手を前にして礼を取る。

「みなの面を上げよ」

「「「はっ!」」」

 シリウス様の声で立ち上がる魔族。

 シリウス様から聞いていた通りオーガ族とゴブリン族がそれぞれ10人くらいいた。

「みなに紹介する、横にいるのがリゼットだ。

 今日からリゼットも訓練に参加する。

 みなも承知の通りリゼットは我の大切なお客だ。

 だが、訓練は本当の戦闘の為にやるものだ。

 相手が我のお客であっても手加減無用。

 リゼットも手加減はしないように言ってある。

 しかしリゼットは聖女であるが、神聖魔法は使わないと言っておる。

 他の魔法でそなたたちとの対戦を望んでおる。

 我に遠慮せずにやるがよい」

 この訓練所は防御と治癒の結界が張り巡らされている。

 魔法を撃っても建物に影響はないし、魔法や剣などが身体に当たると痛みを感じて、血が流れるが数十秒後から回復するものらしい。

 すぐに回復させることも出来るらしいけど、訓練時に勝敗を付けることなどある為に治癒するのに時間差を設けているとのことだった。

 私は先にシリウス様に教えてもらっていた。

 シリウス様が言うと、魔族の方たちが「承知しました」と返事した。

「リゼットよ、準備はよいか?」

「はい!」

 緊張してきて手が震えそうになるのを堪えて、シリウス様の顔を見上げて笑顔で返事した。








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