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四話

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 う~ん?私死んだんだよね?

 何だか下がフカフカしてて気持ちいい~。

 今までこんなフカフカのベッドで寝たことなんて生まれてから一度もないわ。

 掛けられてる毛布?もフワフワで肌触りが良くて何?ここ天国?


 身体がないはずなのに、ベッドで寝ている感覚だし胸のところから何か温かいものが流れ込んできて、頭の先から足の先まで行き渡ってポカポカとあったかくなってるの。

 何故か目が開かないというか前がまったく見えない暗闇だし、身体はなくなったはずなのに全身温かさを感じるけど、頭がダルくて重さも感じている。

 どういうことなのかな?

 死んだらこうなるってこと?

 死んだらどうなるかなんて経験したことがないからわからないけど。

 でも何だか人の気配がするの。

 私の近くにいるような気がする。

 誰なんだろう?

 死んだらみな魂のみとなり神がおわす天界へ戻ると教わったけど。

 でも神には会いたくないな。

 だって毎日教会で神に祈ってきたのに私がどんな目に遭っても、何もしてくれなかったもの。

 神が私に神聖魔法を与えてくれたと教会で教えられたり、私自身もそうだと思っていたから少しでも人の為にと私なりに頑張ってきつもりなのに。

 死ぬ直前神にも見捨てられたと思ったのよ。

 だから人間もだけど、神も大嫌いよ。

 目覚めてもし目の前に神がいたら文句のひとつでも言ってやりたいくらい、いや言ってやるわ!


 全身温かさに包まれてる中、何だか目の前が明るくなってきた。

 えっ?目が覚める?


 目に光が差してくるように閉じた目の中が明るくなって、私はゆっくりと目を開けた。

 思ったより眩しくて、ギュッと一度目を閉じてからまた目をゆっくりと開けてパチパチとさせる。

「目が覚めたか」

 低くてよく響く心地良い声が聞こえてきた。

 ボヤケた視界の前に人らしきものが映る。

 だんだんとハッキリとしてきて、それは長い黒い髪に金と赤の瞳のオッドアイというんだっけ、左右で違う瞳の色をした鋭い切れ長の目の肌が凄く白い美しい人がいた。

 えっ?何?この美しい人?こんな美しい人見たことがない。

 人形みたいというか何だか人間離れしている。

 あっそうか!私死んだから目の前にいる人は人間じゃないよね。

「…、の…ケホッケホッ…」

 声を出そうとしたら喉がカラカラでちゃんと声が出ず咳き込んでしまった。

「…ああ、10日眠ったままだったからな、水を」

 美しい人が後ろを振り向く。

 この人の他に誰かいるの?

 でも首を動かしてみたけど、美しい人の身体が目の前にあって他には何も見えない。

 美しい人が私の背に腕を回して寝ている私を起こしてくれた。

「さあ、水を飲むんだ」

 そしてグラスに入った水を差し出してくれた。

 とりあえず喉がカラカラだったので、グラスを受け取って両手で持ち最初一口だけを飲むと、身体が水分を要求していてゴクゴクと一気に水を飲んだ。

 身体が重くてあまり自由に動かせないけど、何とかグラスは持てたし、水を飲むことも出来た。

 水が乾いた私の全身に染み渡って潤していくような感覚に生き返ったように感じる。

 もう死んでるのにね。

「もう少し飲むか?」

 美しい人が私の目の前まで顔を寄せてきて聞いてきた。

 私は無言で頷く。

 またすぐにグラスに並々に注がれた水を手渡してくれたので、またそれを一気にゴクゴクと飲んだ。

 少し落ち着いたからか、私と美しい人から少し離れた所に誰かいるのが気配でわかった。

 でもキョロキョロも出来ないので誰だか確認は出来ないけど。


 グラスから美しい人に視線を戻すと、何だか美しい人が優し気な柔和な瞳をして私を見ている。

 生きている時、こんな優しい瞳で私を見てくれる人はいなかった。

 やっぱりこの人は人間じゃないよね。

 身体があるように思うけど、違っているのかもしれない。

「…あの、貴方様は…神ですか?」

 水を飲んでようやくまともに喋れるようになった私は美しい人に聞いてみた。

 親切に水をくれたけど、神だったら文句を言ってやろうと思っている。

「クックッ、神か…。
 ヒト族からすれば正反対の立場であろうな」

 美しい人がその美しい口を少し歪めて笑いながらそんなことを言った。

 今ヒト族って言った?
 人間のことをヒト族と言うのは魔族だ。

「えっ?…もしかして魔族?…」

 私は目を見開く。






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