5 / 15
第一章 カナダ・バンフ
第5話 さよなら、バンフの町
しおりを挟む
午前中、7年ぶりにヒロとテニスをした。あの日生まれて初めて彼からテニスを教わった草原の中のテニスコートで。懐かしい。1時間ほどラリーを楽しんだ。
その夜、ユキ、マリちゃんからギョーザ・パーティにヒロ、ローリーと共に招待された。10年前にはバンフに住んでいたという日本人と中国人の奥様が泊まっていた。その日本人には見覚えがなかった。偶々顔を合さなかっただけなのか7年前には居なかったのか? ユキ夫妻とはかなり親しいのかな?
ユキは仕事で帰りが遅く、主抜きで大人6人、ユキ、マリちゃんの男の子2人の8人での晩餐会である。中国料理のオンパレードでとりわけギョーザは美味しかった。中国人の奥様の味付けであろう、流石だ。
ディナーの後、私が神戸で撮影したビデオを再生する。これがビデオ撮影未熟な所為で12分ぶんがオン・オフをミスっているのをヒロには打ち明けていた。オフのはずの12分の中にローリーの顔のアップが斜めや真横にドアップでしかも何故かボケて画面が激しく揺れている。まるでホラー映画の化け物みたいだ。ローリーは”オオー!”と声を上げて怒りと恥ずかしさで顔をひきつらせていた。私は申し訳なさでいっぱいであったが、内心少し面白くもあった。あとの6人は特に声を出さなかったがどんな表情をしていたのだろう? ローリーが気になって見損なってしまった。恐らく、私と同じじゃないかな?
主、ユキは23時前に帰宅した。我々がおいとましたのは午前0時半だった。
翌朝は雨。遅い朝食後、テニスができないのでヒロ、ローリーの新婚旅行の写真を見せて貰ったりしていたが、諦めてヒロとバンフスプリングスホテルに行ってみる事にした。お昼は日本レストラン『サムライ』で寿司を食べた。シャブシャブもやっており日本人客も随分入っていた。よく流行っているようだ。『杉の家』とはえらい違いだ。場所が良いから仕方ないか。
『サムライ』に入る前に、その近くでトキオさんに遇った。7年前と違ってヒゲを蓄えている。それにしても、似合わない。
年に一度、帰国しているようである。その時の会話。
「やあ、トキオさん暫く」
「おおー!」
「ここで、商売してるん?」
「まあな…」
「たまに、日本に帰ってるん?」
「ガールハントにな」
相変わらずだ。
「もう少しバンフに居るんで、ちょっと顔を出すかもよ」
「忙しいけどな」
(ナニッ⁉ 誰が行くか!)
先に『サムライ』に入ってたヒロに話したところ、今は彼とは絶縁状態のようである。理由は訊かなかった。ヒロは家庭を持った。トキオさんは相変わらず女遊びを続けている。まあ、想像はつく。
翌日。いよいよ明日はバンフを去る。午前中にヒロとテニスを楽しんだ後、一人でバンフ周辺をカメラ持参で自転車で走り回った。
ケイヴ&ベイスン、バンフスプリングスホテル、レイク・ミネワンカ、バイソン・パドック、マウント・ノーケイ、ヴァーミリオン・レイク。それに、ユースホステルにも行ってみた。7年前と同じロケーションだと思うが、新築で素敵なホステルになっている。
バンフのギャラリーで観たバンク・ヘッドにも行き当たった。100年前、線路敷設の際石炭を発見した場所で、その頃からしばらくは、バンフの中心地はこの地だったそうである。
バンフ最後の日は雨だった。
午前中はヒロの運転で7年前の思い出十分のボウ・レイク畔のロッジまで行って貰った。
あの日、サイクリングでバンフからジャスパーに向かう途中、レイク・ルイーズを出発してすぐ吹雪に遭い3連泊を強いられたあのロッジである。"Simpson's Num-Ti-Jah- Lodge" と言うようだ。真っ赤な屋根が印象的だ。ロッジが近づくにつれ、雨は雪に変わった。あの時と似てる。
ボウ・レイクの水は大部分がまだ凍ったままだ。フロントやレストランのフロアが懐かしい。
バンフ~ジャスパー周辺の湖では、やはりモレーン・レイクが一番美しいようだ。一部水面が凍っているのがまた風情がある。一般的にはレイク・ルイーズ、マリン・レイクがビッグ2ではあるが。
シャトー・レイクルイーズに入ってみた。日本の店は一軒のみだそうだが何をしている店だろう? 繁盛してれば良いが。
さて、バンフに戻ってきた。
日本で購入していたアメリパス・2か月分がバンフから使用できると分かり、早速使ってみる。日本のガイドブックではアメリカでしか使えないと書かれていた。バンクーバーから国境を越えてから使うつもりだったので大いに助かる。
バンフには約25日の滞在で、前回同様ずっとヒロ、ローリー夫妻にお世話頂いた。いつかもう一度、訪れる日は来るだろうか?
ヒロ、ローリーに見送られて、グレイハウンドバスは静かに動きだした。
バンフの町よ、さようなら。そしてありがとう、ヒロ、ローリー。
その夜、ユキ、マリちゃんからギョーザ・パーティにヒロ、ローリーと共に招待された。10年前にはバンフに住んでいたという日本人と中国人の奥様が泊まっていた。その日本人には見覚えがなかった。偶々顔を合さなかっただけなのか7年前には居なかったのか? ユキ夫妻とはかなり親しいのかな?
ユキは仕事で帰りが遅く、主抜きで大人6人、ユキ、マリちゃんの男の子2人の8人での晩餐会である。中国料理のオンパレードでとりわけギョーザは美味しかった。中国人の奥様の味付けであろう、流石だ。
ディナーの後、私が神戸で撮影したビデオを再生する。これがビデオ撮影未熟な所為で12分ぶんがオン・オフをミスっているのをヒロには打ち明けていた。オフのはずの12分の中にローリーの顔のアップが斜めや真横にドアップでしかも何故かボケて画面が激しく揺れている。まるでホラー映画の化け物みたいだ。ローリーは”オオー!”と声を上げて怒りと恥ずかしさで顔をひきつらせていた。私は申し訳なさでいっぱいであったが、内心少し面白くもあった。あとの6人は特に声を出さなかったがどんな表情をしていたのだろう? ローリーが気になって見損なってしまった。恐らく、私と同じじゃないかな?
主、ユキは23時前に帰宅した。我々がおいとましたのは午前0時半だった。
翌朝は雨。遅い朝食後、テニスができないのでヒロ、ローリーの新婚旅行の写真を見せて貰ったりしていたが、諦めてヒロとバンフスプリングスホテルに行ってみる事にした。お昼は日本レストラン『サムライ』で寿司を食べた。シャブシャブもやっており日本人客も随分入っていた。よく流行っているようだ。『杉の家』とはえらい違いだ。場所が良いから仕方ないか。
『サムライ』に入る前に、その近くでトキオさんに遇った。7年前と違ってヒゲを蓄えている。それにしても、似合わない。
年に一度、帰国しているようである。その時の会話。
「やあ、トキオさん暫く」
「おおー!」
「ここで、商売してるん?」
「まあな…」
「たまに、日本に帰ってるん?」
「ガールハントにな」
相変わらずだ。
「もう少しバンフに居るんで、ちょっと顔を出すかもよ」
「忙しいけどな」
(ナニッ⁉ 誰が行くか!)
先に『サムライ』に入ってたヒロに話したところ、今は彼とは絶縁状態のようである。理由は訊かなかった。ヒロは家庭を持った。トキオさんは相変わらず女遊びを続けている。まあ、想像はつく。
翌日。いよいよ明日はバンフを去る。午前中にヒロとテニスを楽しんだ後、一人でバンフ周辺をカメラ持参で自転車で走り回った。
ケイヴ&ベイスン、バンフスプリングスホテル、レイク・ミネワンカ、バイソン・パドック、マウント・ノーケイ、ヴァーミリオン・レイク。それに、ユースホステルにも行ってみた。7年前と同じロケーションだと思うが、新築で素敵なホステルになっている。
バンフのギャラリーで観たバンク・ヘッドにも行き当たった。100年前、線路敷設の際石炭を発見した場所で、その頃からしばらくは、バンフの中心地はこの地だったそうである。
バンフ最後の日は雨だった。
午前中はヒロの運転で7年前の思い出十分のボウ・レイク畔のロッジまで行って貰った。
あの日、サイクリングでバンフからジャスパーに向かう途中、レイク・ルイーズを出発してすぐ吹雪に遭い3連泊を強いられたあのロッジである。"Simpson's Num-Ti-Jah- Lodge" と言うようだ。真っ赤な屋根が印象的だ。ロッジが近づくにつれ、雨は雪に変わった。あの時と似てる。
ボウ・レイクの水は大部分がまだ凍ったままだ。フロントやレストランのフロアが懐かしい。
バンフ~ジャスパー周辺の湖では、やはりモレーン・レイクが一番美しいようだ。一部水面が凍っているのがまた風情がある。一般的にはレイク・ルイーズ、マリン・レイクがビッグ2ではあるが。
シャトー・レイクルイーズに入ってみた。日本の店は一軒のみだそうだが何をしている店だろう? 繁盛してれば良いが。
さて、バンフに戻ってきた。
日本で購入していたアメリパス・2か月分がバンフから使用できると分かり、早速使ってみる。日本のガイドブックではアメリカでしか使えないと書かれていた。バンクーバーから国境を越えてから使うつもりだったので大いに助かる。
バンフには約25日の滞在で、前回同様ずっとヒロ、ローリー夫妻にお世話頂いた。いつかもう一度、訪れる日は来るだろうか?
ヒロ、ローリーに見送られて、グレイハウンドバスは静かに動きだした。
バンフの町よ、さようなら。そしてありがとう、ヒロ、ローリー。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
カクヨム、noteではじめる小説家、クリエーター生活
坂崎文明
エッセイ・ノンフィクション
カクヨム、noteを中心に小説新人賞やクリエーター関連のエッセイを書いていきます。
小説家になろう、アルファポリス、E☆エブリスタ、ノベラボなどのWeb小説サイト全般の攻略法も書いていきます。
自動バックアップ機能がある『小説家になろう』→カクヨム→noteの順に投稿しています。note版がリンク機能があるので読みやすいかも。
小説家になろう版
http://ncode.syosetu.com/n0557de/
カクヨム版(567関連で公開停止)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880246141
【続編】カクヨム、noteではじめる小説家、クリエーター生活2 作者 坂崎文明
https://kakuyomu.jp/works/16816700427247367228
note版
https://note.mu/sakazaki_dc/m/mec15c2a2698d
E☆エブリスタ版
http://estar.jp/_howto_view?w=24043593
小説家になるための戦略ノート 作者:坂崎文明《感想 130件 レビュー 2件 ブックマーク登録 1063 件 総合評価 2,709pt文字数 958441文字》も人気です。
http://ncode.syosetu.com/n4163bx/
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
海外一人旅1・万年青年どこへ行く カナダ編(門脇賴29歳の時)
門脇 賴
エッセイ・ノンフィクション
人生初の海外旅行。海外一人旅シリーズ1。
カナダ・アルバータ州のバンフの街を皮切りにカナダ7か月半、アメリカ1か月のバックパック一人旅にお付き合いください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる