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第三章 アルプス・スキー(オーストリア)
第28話 ツェルマットスキー場3 (江崎君の災難)
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2月になってから快晴の日が続く。サンアントンでは好天よりも降雪・深雪を期待したが、ツェルマットでは快晴が良い。勿論、快晴の中、深雪を滑るのが理想的だがそううまくはいかない。
この日はTシャツでも良いぐらい暖かく、まるで春スキーのようだ。陽気に釣られ、ゴンドラを乗り継ぎストックホルンまで登ってみた。そこからブラウヘルトまで下るコースを終日滑ったが、どこからでもマッターホルンがよく見える。雪質は固く少々滑り難いが、マッターホルンの全身を観ながらの滑降に何ら不満はない。
先日、池田さんに推薦されたレストラン、アルペンハイムに行ってみた。なるほど話の通り、山小屋風でアルペンムード満点である。味もまあまあであった。
暖かかった所為か緊張する斜面の所為か、凄く疲れたので15時には切り上げた。
今日から夕食はパン食である。そうしなければローマでの生活が惨めになる。ここにきて、オーバーグルグルでの盗難の影響が少し出始めた。
数日後、朝は曇っていたが登山電車に乗っている間に晴れてきた。電車の中で先日シュバルツゼーで会ったスポーツマンタイプの日本人に再会した。彼はスキーはこのマッターホルンが初めてとの事。こんな海外の難コースで友達のサポートもなくチャレンジできるのはよほど運動神経に自信があるのであろう。何とも羨ましい。
今日は昨日来たばかりの日本人3人と一緒で、他の車両にも2人の日本人がいた。気が合ったのでみんなで一緒に滑ってみた。それにしてもスポーツマンタイプの彼はまた一段と上手くなっている。
彼らのうち1人は12月から3か月の予定でヨーロッパ入り、南欧、東欧を経てツェルマット入りしたそうで、この後北上するそうである。
別の1人は前年3月にアメリカに入り、それからヨーロッパに流れてきたそうである。長期休暇が取れず退職してきたそうである。ここが私との大きな違いである。
翌々日快晴の中、いくつかの展望台からマッターホルンを始めとするいろんな峰々を眺めてみた。ウィンターホルンからのアルプスの展望が特に気に入ったので写真も何枚か撮ってるうちフィルムが終わってしまった。
お昼前ブラウヘルトからゴルナーグラートへのツァーコースを滑ってきたが大変な難コースである。途中でいい歳をして泣いている中年の婦人がいた。ちょっとみっともない。
少し以前から興味を抱いていたマッターホルンの映画が上映されていたので観に行ってきたが、期待していたほどではなかった。
翌日午前にスポーツマンタイプの彼に会ったら、何故かスキー板を担いで滑っている。話を聞くと、新たにユースホステルにきた日本人女性を案内してきたが全く滑れないので易しい斜面まで移動しているそうだ。なかなか親切である。彼女の方はツェルマットの旅の記念に、マッターホルンを背景にスキーの真似事をしておこうという事かな⁉
彼の話によると、私がサンアントンで親しくなった江崎君もユースに来ているそうである。その江崎君とはTバーリフト乗り場で再会したので一緒に滑った。今月20日までの予定との事だった。あと6日、私の2日後だ。
先日一緒に滑ったメンバーのうち2人は今日去ったそうで、代りに江崎君と2人の女性が加わった事になる。その全員が昼食時に揃ったが、午後からは1人で滑った。
夕食の買物をして帰る途中、スポーツマンタイプの彼に会ったが、ショッキングな話を聞かされる事になる。オーバーグルグルのみならず、ツェルマットにも泥棒がいるようだ。これほど自然の美しい町ではあるが人間は別なのか⁉ いや、この町の人間が犯人とは限らない。超有名な観光地である。多くの国の人間が訪れている。
彼の話によれば、スキーの後みんなで山岳博物館に行ったそうだ。博物館を出たら江崎君ともう1人のスキーが盗まれていたとの事だった。すぐに警察には届けたそうだが、まず返ってくる事はないだろう。
ショックを受けてるからユ-スを訪ねて欲しいと言われ、勿論夕食後すぐ訪ねてみた。江崎君は気丈に振舞っていた。
新規に購入するかレンタルにするかスキーはこれ迄にするか決めかねているようだ。私ならレンタルかな?
江崎君には悪いが、それとは別に日本人グループで会話は楽しかった。私もユースにすれば良かったかな…と思う。
翌朝シュバルツゼーでユースの日本人グループに再会したので一緒に滑った。江崎君はやはりレンタルを選択したようだ。
何と言っても世界のマッターホルンを眼前に滑るスキー場である。
災難は重なるものらしい。江崎君に又もや災難が…。本人のミスでもあるのだが、昼食時自販機で買い物をしたが釣銭があるのに気付いて取りに戻ったら既に持っていかれていたようだ。僅かの油断もスキもあったものじゃない。
昨日の盗難のショックの後遺症が油断の原因であろう。
この日はTシャツでも良いぐらい暖かく、まるで春スキーのようだ。陽気に釣られ、ゴンドラを乗り継ぎストックホルンまで登ってみた。そこからブラウヘルトまで下るコースを終日滑ったが、どこからでもマッターホルンがよく見える。雪質は固く少々滑り難いが、マッターホルンの全身を観ながらの滑降に何ら不満はない。
先日、池田さんに推薦されたレストラン、アルペンハイムに行ってみた。なるほど話の通り、山小屋風でアルペンムード満点である。味もまあまあであった。
暖かかった所為か緊張する斜面の所為か、凄く疲れたので15時には切り上げた。
今日から夕食はパン食である。そうしなければローマでの生活が惨めになる。ここにきて、オーバーグルグルでの盗難の影響が少し出始めた。
数日後、朝は曇っていたが登山電車に乗っている間に晴れてきた。電車の中で先日シュバルツゼーで会ったスポーツマンタイプの日本人に再会した。彼はスキーはこのマッターホルンが初めてとの事。こんな海外の難コースで友達のサポートもなくチャレンジできるのはよほど運動神経に自信があるのであろう。何とも羨ましい。
今日は昨日来たばかりの日本人3人と一緒で、他の車両にも2人の日本人がいた。気が合ったのでみんなで一緒に滑ってみた。それにしてもスポーツマンタイプの彼はまた一段と上手くなっている。
彼らのうち1人は12月から3か月の予定でヨーロッパ入り、南欧、東欧を経てツェルマット入りしたそうで、この後北上するそうである。
別の1人は前年3月にアメリカに入り、それからヨーロッパに流れてきたそうである。長期休暇が取れず退職してきたそうである。ここが私との大きな違いである。
翌々日快晴の中、いくつかの展望台からマッターホルンを始めとするいろんな峰々を眺めてみた。ウィンターホルンからのアルプスの展望が特に気に入ったので写真も何枚か撮ってるうちフィルムが終わってしまった。
お昼前ブラウヘルトからゴルナーグラートへのツァーコースを滑ってきたが大変な難コースである。途中でいい歳をして泣いている中年の婦人がいた。ちょっとみっともない。
少し以前から興味を抱いていたマッターホルンの映画が上映されていたので観に行ってきたが、期待していたほどではなかった。
翌日午前にスポーツマンタイプの彼に会ったら、何故かスキー板を担いで滑っている。話を聞くと、新たにユースホステルにきた日本人女性を案内してきたが全く滑れないので易しい斜面まで移動しているそうだ。なかなか親切である。彼女の方はツェルマットの旅の記念に、マッターホルンを背景にスキーの真似事をしておこうという事かな⁉
彼の話によると、私がサンアントンで親しくなった江崎君もユースに来ているそうである。その江崎君とはTバーリフト乗り場で再会したので一緒に滑った。今月20日までの予定との事だった。あと6日、私の2日後だ。
先日一緒に滑ったメンバーのうち2人は今日去ったそうで、代りに江崎君と2人の女性が加わった事になる。その全員が昼食時に揃ったが、午後からは1人で滑った。
夕食の買物をして帰る途中、スポーツマンタイプの彼に会ったが、ショッキングな話を聞かされる事になる。オーバーグルグルのみならず、ツェルマットにも泥棒がいるようだ。これほど自然の美しい町ではあるが人間は別なのか⁉ いや、この町の人間が犯人とは限らない。超有名な観光地である。多くの国の人間が訪れている。
彼の話によれば、スキーの後みんなで山岳博物館に行ったそうだ。博物館を出たら江崎君ともう1人のスキーが盗まれていたとの事だった。すぐに警察には届けたそうだが、まず返ってくる事はないだろう。
ショックを受けてるからユ-スを訪ねて欲しいと言われ、勿論夕食後すぐ訪ねてみた。江崎君は気丈に振舞っていた。
新規に購入するかレンタルにするかスキーはこれ迄にするか決めかねているようだ。私ならレンタルかな?
江崎君には悪いが、それとは別に日本人グループで会話は楽しかった。私もユースにすれば良かったかな…と思う。
翌朝シュバルツゼーでユースの日本人グループに再会したので一緒に滑った。江崎君はやはりレンタルを選択したようだ。
何と言っても世界のマッターホルンを眼前に滑るスキー場である。
災難は重なるものらしい。江崎君に又もや災難が…。本人のミスでもあるのだが、昼食時自販機で買い物をしたが釣銭があるのに気付いて取りに戻ったら既に持っていかれていたようだ。僅かの油断もスキもあったものじゃない。
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