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魔素修行 (前
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「むむむ」
クロアは手に持つ石ころを握りしめ力を流し込むイメージをする。
「むむむむむ」
目を瞑り、体の内側に意識を向ける。
ぼんやりとだが、もやのような力を感じる。それを流れるように意識して、意識して。
ちらっと薄目を開けて石を見る。
「光ってない…」
石ころはあいからわず硬い灰色のままだ。
ここに来てから毎日、ただ石ころを握ることだけを繰り返して早くも1週間が経とうとしている。
「こんなことで強くなんてなれるのかな。」
脱力してイスの背もたれに身を任せる。
何故こんなことをしているのかというと話は1週間前に戻る。
※
「クロアちゃんはまず魔素の扱い方を覚えなさい。」
と言ったソフィアはクロアに石ころを手渡す。
「えっと、ソフィアさん、これは?」
「それは魔晶石というものだ。見た目はただの石ころだが。」
ポケットからもう1つ石ころを取り出すと手のひらの上に転がす。
するとポウッと薄紫色の光が灯る。
「こんな感じに魔素を流すと光るんだ。」
「綺麗ですね。でもこれが出来ると強くなれるんですか?」
「これが出来ただけでは強くはなれないさ。だがこれができないとクロアちゃんは強くなれないんだ。」
つまりね。と人差し指を立てて説明を始める。
「そもそもクロアちゃんの身体の異常というのは体内にある魔素が身体の機能を阻害しているのが理由だ。」
「そがい…」
「ならばその邪魔している魔素を自分の意思で操ることができるようになれば…」
「クロアの身体を自由に動かせる?」
「そういう事だ。どころか、クロアちゃん程の魔素量を自由に操れるならそれだけで並の冒険者以上の力を扱える…かもしれない。」
難しいけどね。と付け加えてクロアの持つ魔晶石を指さす。
「そのためにまずは魔素の扱い方を覚えるところから始めるというわけ。本来は魔術の修行の初歩だけど。」
「なるほど。」
クロアは手のひらの魔晶石を見つめる。だが、光は灯らない。
「コツとしては身体の中の…こう…もや?みたいなものを流し込むイメージなんだけど、個人差があるか
らね、自分なりのやり方を見つけてみて。」
言われて自分の内側に意識を向けてみる。しかしもやといわれてもよく分からない。
「じゃあ、私はちょっと町までおりて買い物をしてくるので、クロアちゃんはそれを続けててね。」
ソフィアの言葉は集中しているクロアには聞こえていなかった。そんな様子に微笑んだソフィアは邪魔しないように静かに家を出た。
※
そして1週間。もやの感覚は何となくわかってきた気がするが、一向に魔晶石は光らない。
「ほんとに光るのかな。」
ため息をついて窓の外を見る。
外の高原には気持ちよさそうな風が吹いて草を揺らしていた。ここはクロアが元いたアイテール王国から遠く離れており、危険な魔物もいない静かなところという話だ。
「ちょっと外に出てみようかな。」
気分転換に風に当たろう。そう思い靴を探して自分の部屋へと向かった。
※
サァッと風邪が吹き抜けてクロアの白髪を揺らす。
「ふぅ。」
小さく息を吐いて軽く伸びをする。ふと、地面に転がっている小石が目に入った。
手に持っていた魔晶石を見る。地面の小石ととくに違いが見つからない。
「本当に光るのかな、これ…」
もしかしたら本当にただの小石を渡されているのかもしれない。
クロアはまだソフィアを信じれていなかった。
「だめだなぁぼく…」
命を救ってもらった相手でも信じることができない自分についため息が漏れる。
ぷにゅん
「ん?なにかお尻に」
座ろうとして腰を下ろしたクロアの下になにか柔らかい感触を感じる。下を見ると半透明の球体がクロアのお尻の下で潰れている。
「これってスライム?初めて見た。」
スライムは世界中どこでも見れる魔物で、危険性がほとんどなくその独特の見た目と触感から愛好家もそこそこいるらしい。
ぷにぷに
たしかに、つついているとなかなか
ぷにぷに
癖になるというかなんだか楽しくなってくるような
ぷにぷにぽちゃん
「え、ぽちゃんって」
みるとスライムの中にクロアの魔晶石が沈んでいた。
持ったままなのを忘れてつついていたら落としてしまったみたいだ。
「あれ?これってどうやってとりだすんだろ。」
試しにぐーっと指を押し込んでみる。だが、変形するばかりで指かはいることは無い。そして
パチンと元の形に戻ろうしたスライムはその衝撃で転がり出してしまった。
「え、ちょっとまって。」
あわててクロアも追いかける。スライムが転がる速度は早くはないが、クロアの足ではなかなか追いつけない。
暫くスライムを追いかけているとふっと急に暗くなった。そして
グチャっとスライムが大きな足に踏み潰される。
飛び散ったスライムは黒いもやとなって空気中に溶けていく。あれが魔素だろうか?
いやそれよりも。
恐る恐るクロアは顔を上げる。足の主はゴツゴツした大きな体に大きな頭。ぼろを纏って片手に棍棒を持った魔物、オークだ。
オークはギョロりとクロアを睨むと
「ガァァァ!」
と叫んで棍棒を振り上げる。
「ひぅっ!」
思わず体を強ばらせ目を瞑ったクロアの真横を棍棒は通り抜け、地面に小さな亀裂を作る。
「ひっ!あ…ぁ…ぁ…」
ガクガクと足が震えて腰が抜ける。エルノールに襲われた時とは違った恐怖が頭を埋めつくそうとする。
怖い。怖い。怖い。怖い。死にたくない。
何かないか。なにか。死にたくない。なにか。なにか。
再度オークが棍棒を振り上げる。今度は当たる。当たればクロアはさっきのスライムみたいに潰れて死んでしまう。
スライム。潰れて。黒いもやが。あれが魔素なら。
ぶおっと空気を裂きながら棍棒がクロアに迫る。咄嗟に左手を前に出す。
クロアちゃんの中にある。魔素。強くなる。
断片的にソフィアの言葉が蘇ってくる。
魔素を操る。どうやって?流し込む。そう、流し込む。
クロアは目をぎゅっと閉じて必死にイメージする。さっきみた黒いもやを左手に流し込むイメージを。
バキッ
音を立てて飛んでいくのは、オークの持っていた棍棒。
震えながら伸ばされたクロアの左手には傷一つない。
「えぁ…でき…た…?」
「ガァァァ!」
棍棒をおられたオークは激昂し、今度は踏み潰そうと足を上げる。
「ひぃっ…!」
逃げようと足に力を込める。するとふわっと浮遊感がクロアを包む。
「へ?」
気がつくとクロアは飛んでいた。真下には尻もちをつくオークと小さなクレーターが見える。
「え、いや、やぁぁぁ!」
そしてクロアはどんどん下に落ちていた。びゅおぉっと風を切る音が耳に響く。地面が近づいてくる。そして
ドズンと鈍い音を響かせてクロアは地面に着地した。下にいたオークの腹を踏み潰しながら。
潰されたオークはピクピクと痙攣している。
「え…あ…たお…した?」
途端に全身から力が抜けてその場に座り込む。そして
「ひぎっっ!!!」
全身を引き裂くような痛みが襲う。左手から足の先まで激痛が体を駆け巡る。
「かっ…はっ…!!!」
声にならず掠れるような悲鳴をあげながらその場でのた打ち回る。
ぐらりと倒れていた地面が揺れてバシンと鈍い衝撃と共にクロアは吹き飛ばされる。
目を覚ましたオークが上にいたクロアを弾き飛ばし、起き上がろうとしていた。
「う…あ…あ…」
数回バウンドして倒れ込んだクロアは掠れる視界で這いずってくるオークを見る。体には未だ痛みが残り、右手の感覚がなかった。
ズシとクロアのすぐ横にオークの手が置かれる。噛み砕こうとして大きく開けた口からトゲトゲした牙がのぞく。
諦めて目を瞑り…
「クロア!」
ふわりと一瞬の浮遊感の後クロアの頬に自分のものではない血がつく。
「痛っ!この!」
目を開けるとそこには右腕にクロアを抱き抱えて庇い、左肩をオークに噛み付かれたソフィアがいる。
ヒュンとソフィアが剣を振り上げると噛み付いていたオークごと地面まで真っ二つにしてしまう。二つに分かれたオークは先程のスライムのように黒いもやとなって消えていった。
「クロア!無事…ではないけど生きてるよね!?擦り傷だらけだし右腕は折れちゃってるじゃない!回復薬まだ残ってたかな…」
「な…んで…」
「町でオークが出たと聞いて戻ってきたんだけど、家にクロアがいなくて慌てて…」
「ちが…なんで…たすけて…」
「え?なんでって、だってあの時言ったでしょ?」
ソフィアはさも当然というように言い切る。
「君を強くするって。師匠が弟子を助けるのに特別なことなんてないよ。」
ニカッと笑うソフィアの顔を見ながらクロアは意識を失った。
※
「さて、今日からはちょっと実戦的な練習をしていこうと思う。」
朝食を食べ終えて直ぐにソフィアはそう言って小さな木の剣を手渡す。
「昨日魔素の感覚はなんとなく掴めたみたいだけど操るにはまだまだだし、フィードバックもキツかったみたいだしね。実戦形式で少しずつ慣らしていくよ。」
昨日の引き裂くような痛みは制御しきれなかった魔素が体の中で暴れ回った結果らしい。
一晩寝て魔素は落ち着いているが代わりに全身筋肉痛と右手の骨折でなかなか酷い状況なのだが。
「はい。よろしくお願いします、師匠。」
痛みを感じないかのように嬉しそうに微笑んで答えた。
それは姉以外の他人に初めて見せたクロアの笑顔だった。
※
クロアは手に持つ石ころを握りしめ力を流し込むイメージをする。
「むむむむむ」
目を瞑り、体の内側に意識を向ける。
ぼんやりとだが、もやのような力を感じる。それを流れるように意識して、意識して。
ちらっと薄目を開けて石を見る。
「光ってない…」
石ころはあいからわず硬い灰色のままだ。
ここに来てから毎日、ただ石ころを握ることだけを繰り返して早くも1週間が経とうとしている。
「こんなことで強くなんてなれるのかな。」
脱力してイスの背もたれに身を任せる。
何故こんなことをしているのかというと話は1週間前に戻る。
※
「クロアちゃんはまず魔素の扱い方を覚えなさい。」
と言ったソフィアはクロアに石ころを手渡す。
「えっと、ソフィアさん、これは?」
「それは魔晶石というものだ。見た目はただの石ころだが。」
ポケットからもう1つ石ころを取り出すと手のひらの上に転がす。
するとポウッと薄紫色の光が灯る。
「こんな感じに魔素を流すと光るんだ。」
「綺麗ですね。でもこれが出来ると強くなれるんですか?」
「これが出来ただけでは強くはなれないさ。だがこれができないとクロアちゃんは強くなれないんだ。」
つまりね。と人差し指を立てて説明を始める。
「そもそもクロアちゃんの身体の異常というのは体内にある魔素が身体の機能を阻害しているのが理由だ。」
「そがい…」
「ならばその邪魔している魔素を自分の意思で操ることができるようになれば…」
「クロアの身体を自由に動かせる?」
「そういう事だ。どころか、クロアちゃん程の魔素量を自由に操れるならそれだけで並の冒険者以上の力を扱える…かもしれない。」
難しいけどね。と付け加えてクロアの持つ魔晶石を指さす。
「そのためにまずは魔素の扱い方を覚えるところから始めるというわけ。本来は魔術の修行の初歩だけど。」
「なるほど。」
クロアは手のひらの魔晶石を見つめる。だが、光は灯らない。
「コツとしては身体の中の…こう…もや?みたいなものを流し込むイメージなんだけど、個人差があるか
らね、自分なりのやり方を見つけてみて。」
言われて自分の内側に意識を向けてみる。しかしもやといわれてもよく分からない。
「じゃあ、私はちょっと町までおりて買い物をしてくるので、クロアちゃんはそれを続けててね。」
ソフィアの言葉は集中しているクロアには聞こえていなかった。そんな様子に微笑んだソフィアは邪魔しないように静かに家を出た。
※
そして1週間。もやの感覚は何となくわかってきた気がするが、一向に魔晶石は光らない。
「ほんとに光るのかな。」
ため息をついて窓の外を見る。
外の高原には気持ちよさそうな風が吹いて草を揺らしていた。ここはクロアが元いたアイテール王国から遠く離れており、危険な魔物もいない静かなところという話だ。
「ちょっと外に出てみようかな。」
気分転換に風に当たろう。そう思い靴を探して自分の部屋へと向かった。
※
サァッと風邪が吹き抜けてクロアの白髪を揺らす。
「ふぅ。」
小さく息を吐いて軽く伸びをする。ふと、地面に転がっている小石が目に入った。
手に持っていた魔晶石を見る。地面の小石ととくに違いが見つからない。
「本当に光るのかな、これ…」
もしかしたら本当にただの小石を渡されているのかもしれない。
クロアはまだソフィアを信じれていなかった。
「だめだなぁぼく…」
命を救ってもらった相手でも信じることができない自分についため息が漏れる。
ぷにゅん
「ん?なにかお尻に」
座ろうとして腰を下ろしたクロアの下になにか柔らかい感触を感じる。下を見ると半透明の球体がクロアのお尻の下で潰れている。
「これってスライム?初めて見た。」
スライムは世界中どこでも見れる魔物で、危険性がほとんどなくその独特の見た目と触感から愛好家もそこそこいるらしい。
ぷにぷに
たしかに、つついているとなかなか
ぷにぷに
癖になるというかなんだか楽しくなってくるような
ぷにぷにぽちゃん
「え、ぽちゃんって」
みるとスライムの中にクロアの魔晶石が沈んでいた。
持ったままなのを忘れてつついていたら落としてしまったみたいだ。
「あれ?これってどうやってとりだすんだろ。」
試しにぐーっと指を押し込んでみる。だが、変形するばかりで指かはいることは無い。そして
パチンと元の形に戻ろうしたスライムはその衝撃で転がり出してしまった。
「え、ちょっとまって。」
あわててクロアも追いかける。スライムが転がる速度は早くはないが、クロアの足ではなかなか追いつけない。
暫くスライムを追いかけているとふっと急に暗くなった。そして
グチャっとスライムが大きな足に踏み潰される。
飛び散ったスライムは黒いもやとなって空気中に溶けていく。あれが魔素だろうか?
いやそれよりも。
恐る恐るクロアは顔を上げる。足の主はゴツゴツした大きな体に大きな頭。ぼろを纏って片手に棍棒を持った魔物、オークだ。
オークはギョロりとクロアを睨むと
「ガァァァ!」
と叫んで棍棒を振り上げる。
「ひぅっ!」
思わず体を強ばらせ目を瞑ったクロアの真横を棍棒は通り抜け、地面に小さな亀裂を作る。
「ひっ!あ…ぁ…ぁ…」
ガクガクと足が震えて腰が抜ける。エルノールに襲われた時とは違った恐怖が頭を埋めつくそうとする。
怖い。怖い。怖い。怖い。死にたくない。
何かないか。なにか。死にたくない。なにか。なにか。
再度オークが棍棒を振り上げる。今度は当たる。当たればクロアはさっきのスライムみたいに潰れて死んでしまう。
スライム。潰れて。黒いもやが。あれが魔素なら。
ぶおっと空気を裂きながら棍棒がクロアに迫る。咄嗟に左手を前に出す。
クロアちゃんの中にある。魔素。強くなる。
断片的にソフィアの言葉が蘇ってくる。
魔素を操る。どうやって?流し込む。そう、流し込む。
クロアは目をぎゅっと閉じて必死にイメージする。さっきみた黒いもやを左手に流し込むイメージを。
バキッ
音を立てて飛んでいくのは、オークの持っていた棍棒。
震えながら伸ばされたクロアの左手には傷一つない。
「えぁ…でき…た…?」
「ガァァァ!」
棍棒をおられたオークは激昂し、今度は踏み潰そうと足を上げる。
「ひぃっ…!」
逃げようと足に力を込める。するとふわっと浮遊感がクロアを包む。
「へ?」
気がつくとクロアは飛んでいた。真下には尻もちをつくオークと小さなクレーターが見える。
「え、いや、やぁぁぁ!」
そしてクロアはどんどん下に落ちていた。びゅおぉっと風を切る音が耳に響く。地面が近づいてくる。そして
ドズンと鈍い音を響かせてクロアは地面に着地した。下にいたオークの腹を踏み潰しながら。
潰されたオークはピクピクと痙攣している。
「え…あ…たお…した?」
途端に全身から力が抜けてその場に座り込む。そして
「ひぎっっ!!!」
全身を引き裂くような痛みが襲う。左手から足の先まで激痛が体を駆け巡る。
「かっ…はっ…!!!」
声にならず掠れるような悲鳴をあげながらその場でのた打ち回る。
ぐらりと倒れていた地面が揺れてバシンと鈍い衝撃と共にクロアは吹き飛ばされる。
目を覚ましたオークが上にいたクロアを弾き飛ばし、起き上がろうとしていた。
「う…あ…あ…」
数回バウンドして倒れ込んだクロアは掠れる視界で這いずってくるオークを見る。体には未だ痛みが残り、右手の感覚がなかった。
ズシとクロアのすぐ横にオークの手が置かれる。噛み砕こうとして大きく開けた口からトゲトゲした牙がのぞく。
諦めて目を瞑り…
「クロア!」
ふわりと一瞬の浮遊感の後クロアの頬に自分のものではない血がつく。
「痛っ!この!」
目を開けるとそこには右腕にクロアを抱き抱えて庇い、左肩をオークに噛み付かれたソフィアがいる。
ヒュンとソフィアが剣を振り上げると噛み付いていたオークごと地面まで真っ二つにしてしまう。二つに分かれたオークは先程のスライムのように黒いもやとなって消えていった。
「クロア!無事…ではないけど生きてるよね!?擦り傷だらけだし右腕は折れちゃってるじゃない!回復薬まだ残ってたかな…」
「な…んで…」
「町でオークが出たと聞いて戻ってきたんだけど、家にクロアがいなくて慌てて…」
「ちが…なんで…たすけて…」
「え?なんでって、だってあの時言ったでしょ?」
ソフィアはさも当然というように言い切る。
「君を強くするって。師匠が弟子を助けるのに特別なことなんてないよ。」
ニカッと笑うソフィアの顔を見ながらクロアは意識を失った。
※
「さて、今日からはちょっと実戦的な練習をしていこうと思う。」
朝食を食べ終えて直ぐにソフィアはそう言って小さな木の剣を手渡す。
「昨日魔素の感覚はなんとなく掴めたみたいだけど操るにはまだまだだし、フィードバックもキツかったみたいだしね。実戦形式で少しずつ慣らしていくよ。」
昨日の引き裂くような痛みは制御しきれなかった魔素が体の中で暴れ回った結果らしい。
一晩寝て魔素は落ち着いているが代わりに全身筋肉痛と右手の骨折でなかなか酷い状況なのだが。
「はい。よろしくお願いします、師匠。」
痛みを感じないかのように嬉しそうに微笑んで答えた。
それは姉以外の他人に初めて見せたクロアの笑顔だった。
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