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79話
しおりを挟む『で・も‼︎ まだわからん。わからんから食えっ!!』
『待てよ、食えって……まさか?』
『おうとも! 最側ちゃん食べかけのモンブランを食うのじゃ!』
なにが『食うのじゃ!』だ。バカヤロウ!
妖精さんもこれが何を意味するのかわかっていないのか。
『間接……キスだろ』
『そうじゃ。だから食うのじゃ!!』
はぁ? 間接キスだぞ? 間接キスなんだぞ?
『いいか、一口分だけ残すんじゃ。そして最後の一口はおまえにと言い最側ちゃんに〝あーん〟してやれ。そして戻って来たところでフォークをペロッと舐めろ! これが肝じゃ。いいな?』
『なにが肝だ! そんなことできるわけないだろ。これになんの意味があるんだ。おかしいだろ』
こんなこと、はいそれと聞けるわけがない。いくら妖精さんが提示したプランだとしても、こればかりは。
『ほーん。じゃあ、このまま意味のわからないフワッとした状態でいいんじゃな? いまなら確かめられる。本当に女友達なのか否か。絶好のチャンスなんじゃぞ?』
フワッと。
何かを見透かしたような顔。
確かに気になる。知りたいけど……あーんはダメだろ。しかもペロッとするんだろ。どう考えてもアウトだ。
『他にやりようはないのかよ』
『ない。食べかけのモンブランを当たり前のように差し出したんじゃぞ。だったら、それ以上のことをするしかないじゃろ』
その通りだ。ぐーのねも出ない。
やっぱり妖精さんはすごいや。
『そうだな。やろうか……』
『シャキッとせい! 失敗したら食べる前に戻ればいい。リクが最側ちゃんのことを好きな気持ち、このまま放置するわけにはいかんからのう』
えっ、俺が最側のことを……好き? だと?
『別に最側のことなんて好きじゃない。ただ知りたいだけなんだ。本当に女友達的な関係なのかどうか。それに、俺にはちほが居るんだぞ』
『……そうか。そうやって気持ちを押し殺して来たんじゃな』
──どうしてこんなにも、妖精さんとすれ違ってしまったんだろう。最側のことなんか、好きじゃ……ないのに。
好き……じゃない。
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