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50話
しおりを挟む持って帰ってきてしまった。まさか、スマホ交換dayが24時間だったとは。
電気もつけず真っ暗な玄関で一人立ち尽くす。
外に居た時には感じなかったが、家の中に入った途端、そいつはうねりをあげて押し寄せた。
〝〝背徳感〟〟
いけないものを持って帰って来てしまった。ドクンドクンドクンドクン。まるで車のエンジンのように鼓動する。
とっとと電源を落として封印したいところだが、そんな事をすれば未読スルー。修羅場到来だ。
しかもなんだ。お知らせからちょい見えするメッセージの数々。このスマホを俺が持ってる事を知らない人から普通に連絡が来る。
極め付けは白石からのメッセージ。これは明らかに俺宛だ。お知らせから〝死ねっ〟という文字がちょい見えする。ーーこの野郎。
スマホ教室はLesson5まであったが、一緒に写真を撮ったり、2000枚程ある写真フォルダを一緒にみたり。Lessonとは名ばかりの単なる幸せな時間だった。
結局、メッセージアプリを開く事はなかった。
もしかして、パンドラの箱なのか?
…………。
なぁに。大丈夫! 此処は既に我が家!!
『よーせーさーーん!!』
俺は元気良く自分の部屋のドアを開けた。
いつも通り、ベッドの上にノートパソコンを広げ怠惰に動画を観ていた。
『きもっ。しっしっ』
手で払われってしまった。最近はもっぱらこれ。加えて蔑んだ目。
なぁに。安心する日常の一コマ。お決まりなのさ。
でも、お決まりはもう1つある。
学校帰りにテイクアウトしてきたイチゴショートバーガーのLLセットを妖精さんの前にポンっと置く。
餌付けではない。これは上納だ!
蔑んだ目をしていた妖精さんに笑みがこぼれる。ニヤリと。
『くるしゅうない! くるしゅうないぞリク!!』
はい。ここまでが茶番。ちほにデレデレし過ぎる俺と妖精さんの落とし所。
──結局、俺のわがままなんだ。
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