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47話
しおりを挟む考えても言葉の意味はわからなかった。どうしたらいいんだ。
とりあえず、頭でも撫でておくか。
「ばかッ。ぐすっ」
泣いて怒る。ずるいなぁ。そんな顔されたら俺はもう何も出来ないよ……。
でも、落ち着きは取り戻した。俺はちほが好きだ。大好きだ。
さっきまでの自分を考えると悍ましくなる。あの時お父さんに感じたそれと同じだ。……嫉妬。独占欲。はぁ。
「言いたい事があるなら言ってよ……。やだよ。そういうの」
ちほの目からぽろぽろと涙が溢れる。
言いたいこと……か。言えないよな。杉山と話すなとか仲良くするな。なんて言えるわけない。
返す言葉が思い浮かばず無言でいると、ちほは俺の袖を掴み引き寄せ、そのまま胸に顔を埋めてしまった。
可愛い。温かい。これは俺だけのものだ。
誰にも渡したくない。素直な気持ちを言葉に……。
「ちほの物は俺の物。お前の全部、俺の物だ。もう他の男とは仲良くするな」
首を横に振りゴシゴシしている。俺のワイシャツで涙をゴシゴシ拭いてるんだ。
にぱぁっと顔を上げ「うんっ!!」と笑顔で答えたかと思ったら、そのままちゅっとされた。
さっきまで泣いていたのが嘘だと思うほど、360度手のひら返しの笑顔。これは〝してやられた〟のかもしれない。
「ねぇ、やきもち焼いてくれたのぉ? 嫉妬ぉ?」
「べ、別にそんなんじゃねーし」
「りっくん可愛いッ!!」
ふむ。完全にしてやられた。こりゃ主演女優賞にノミネートされるな。
ーーーー◆
「ねぇねぇ、他には? りっくんはわたしの事、ひとりじめしていぃーんだよ♡」
完全にわかった。ちほは束縛されたいんだ!! 恋愛初心者、ドーテイの俺には難し過ぎるアンサーだった。そうと分かれば話は簡単だ。
「スカートの丈をもう少し長くして欲しい。かな」
「えっ?! それはだめっ!」
「っっ?! なんで?!」
「だってりっくんが守ってくれるんだもん!」
なるほど。なるほど。恋愛は奥が深いなぁ。
学内ではそれほど感じないが、
学外だと視線が痛々しい。特に段差。階段。絶対に誰にも見せたくない!……独占欲ってやつか。やばいな。
「でも、りっくんがチラチラ見てるのも知ってるよぉ♡」
まじかよ……。
「りっくんわぁ、見てもいいんだよぉ?♡」
スカートの先を摘んでチラッ、チラッと。──やめてくれ。ここは教室だ。
「ねぇねぇ他には?」
「えっと……その……たまにワイシャツ越しにブラが透けてる日があるから……それもやめてほしいかな」
「やだっ!! だってりっくんがチラチラ見てくれるんだもん!」
まじかよ……。てっきりインナーを着てくるのを忘れてるのかと思ったんだけど……これもわざとかよ!!
「えへへ~♡ 見放題だよぉ?」
勘弁してください。僕には……そういうのは……まだちょっと早いです。
──なんだろこれ、手のひらで転がされてるような気がする……。
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