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28話

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 じゅるるるるるるるる。

 『り、リク。。まさか、まさか?!』
 妖精さんは驚きを隠せない様子。当然だ。この音には俺も驚いている。まさか、こんなにも早いとはな。



 オレンジュースLサイズ。飲み干しってしまった。



『じゅるるるるるるるる』
 もはや言葉は要らないだろう。俺はストローでじゅるじゅると音を立てながら妖精さんを見つめた。

『嘘じゃ嘘じゃ嘘じゃ嘘じゃぁぁぁぁ……』
『じゅるるるるるるるる』
『あほーー! ドあほーー!!』
 妖精さんは勢いよくポテトの箱の中から出て来て地団駄を踏んだ。そして、指パッチンのモーションに入る……。


『ちょっ!!』


 パチンッ!


 ──俺たちは食べ始める直前に戻った。


 まじかよ……。お腹も空いている。喉も乾いている。しかし、また同じものを食べて飲むのか……。

『どけっ! 一口よこせ!!』
 勢いよくストローに口を運ぶ妖精さん。


 今日は色々あり過ぎたからか、タイムリープが身近にある生活を忘れていた。飲み干したのならすぐに新しいジュースを買ってくれば良かったんだ……。はぁ。失敗した。


『ぷはぁ!!』
 お腹をポンポンとして、まるでお腹いっぱいと言わんばかりだ。
 待て、ハンバーガーは袋に入ったまま。食べる前にタイムリープした事を忘れてる……?

『いや、一口も食べてないだろ?』
『さっき食べてたじゃろ? パイナップルといちご美味しかったのう!』
 それはタイムリープする前でしょ~。それだって、果物しか食べてない。

 しかし、妖精さんは大満足の様子だ。何を言っても無駄だろう。

 俺は二度目の食事をした。──もぐもぐ。はぁ。

 タイムリープが身近にある生活。なんだか懐かしい。
 最後にタイムリープしてから一日しか経っていないのに。不思議な感覚だ。



 店を出る際、最側 彩乃さいかわ あやのが笑顔で手を振ってきたが、なんとなく小馬鹿にしてるような雰囲気だったのでシカトした。
 俺を下に見ている。そして上から目線。
 二見先輩の彼氏があれ? うけるんですけど~っと今にも言い出しそうだった。



 ◆◇◆◇◆◇

 駅前のロータリーに到着した。ちほとの待ち合わせ場所。帰宅時間と重なってるせいか、人通りが多い。


『パッパには気を付けるのじゃぞ。御砂糖ヶ丘学園の生徒のことを良くは思ってないだろうから。失礼の無いようにな……』
『え?』

 また唐突に。なんだよ!

『娘にあんな事があったんじゃ。パッパの心中は察してやれ。表向きはお守りのようなご利益があるからという事になっておるが、あれは裏ファンクラブ、そして教師も一枚噛んでるって噂だからのう』

 ご利益? 裏ファンクラブ? よぉーし!!

『妖精さん!! その話もっと詳し──』

 俺が例のごとく、話の続きを聞こうとした時、詳しくの最後の〝く〟を言おうとしたまさにその時、


 ──ピコン。ちぃちゃん♡からメッセージ。

《もぉつくよぉぉ!! 交番近くのバス停の後ろの後ろの後ろの方に居て!!》
 ……クマが手を振ってる。




 ──もう、スマホ解約しようかな……。
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