優しさだけでは付き合う事が叶わなかったので、別の方法で口説く事にしました♪

おひるね

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11話

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『よぉし! 大成功じゃ!!』
 妖精さんは大喜びしている。達成感だろうか。
 しかし、まだ終わりではない。次なる一手が必要だ。

『次はどうする?』
『うーむ』

 退屈な授業を受けながら考える。二見攻略の最終段階を。


 ──しかし、俺が廊下で告白した事は、噂になってしまった。人目を気にせずしたのだから、当然の事だ。

 ひそひそと噂話が耳に入る。


「あいつが二見さんに? やっばぁぁ」
「まじきもくね?」
「見に来て損したわぁ~なんだよあいつ」



『リク、耐えろよ。なぁに、付き合える事は確定したも同然。好きに言わせておけ』
 他クラ、果ては上級生の見た事もない奴まで俺の顔を拝みにやってくる。男女問わず。

 俺はパンダか? ピエロか? 見せ物じゃねーよ。

 に、しても噂が広まるのが早過ぎる。廊下にはそこまで人は居なかったはずだ。
 白石か? あいつが一枚噛んでいる気がした。

 …………。


「やのぉ~! 気にするなよ!! まぁ、俺に相談しなかった事は根に持ってるけどな!」
 冗談交じりに杉山が話掛けてくる。視線を浴びる俺の隣に居ても得する事などないのに……
 タイムリープのし過ぎで、杉山との距離感がわからない。でもきっと仲は良いのだろう。良い奴だ。



 学校が終わると俺は逃げるようにして帰った。


 ◆

『はぁ、疲れたっ』
『リク、お疲れじゃ!』
 ポンポンと小さな手で叩かれる。

 イチコロだったはずの二見攻略がまさかこんなに大変だとは。実際は壁ドンをしただけだから、イチコロなのだが、過ごした時は長過ぎる。

 俺は泥のように眠った。


 ◆ ◇ ◆

 いつも通りの朝。ではない。憂鬱だ。
 顔を洗っても歯を磨いても心はブルー。

 案外、堪えるもんだ。モブやらミジンコにどう思われようと知れたことじゃないと……思ってたのにな。

『よぉーしリク! プランは練った! 昼休みに勝負じゃ!!』
『了解』
『シャキッとせい! 学校に行くのじゃ!!』


 学校が近くになるにつれ、視線を浴び、ひそひそ話が耳に入る。人とはどうしてこうも噂話が好きなのだろうか。


『今日の昼で決着はつく。それ以降、噂話が仮にあったとしても、それは賛賞、憧れ、羨む声じゃ!!』
『大丈夫だよ。別に気にしてないさ』
『バカたれが!』
 妖精さんは相変わらず見透かしてるようだった。
 
 校門を潜ると、ヤジが飛んできた。
 昨日とは様子が違う。エスカレートしてるのか。

「おーい! どのツラ下げて登校してんだよ? 勘違いデビュー君がよぉー?」
「やめとけって。本当の事言ったら可哀想だろ?」
「はははっ、ちげーねぇ!!」

 あぁ、雑音だ。こんなのは雑音。

 告白しただけでこんな扱いを受けるなんて常軌を逸している。やっぱ白石が一枚噛んでるのだろうか。


 ◆ ◇

 ──何やら俺のクラスが騒がしい。ざわついている。

 クラスに入ると衝撃を受けた。俺の席に見覚えのある顔の子が座っているんだ。こいつは……二見?!

 椅子に座り頬杖をつき、窓を眺めていた。


『よ、妖精さん、これは?!』
『はぁ? なんじゃ?? なんなんじゃ?』
 妖精さんと俺は唖然としてしまう。

 一体何が? 何故、二見が俺の席に座っている?!

『わ、わからん! わからん!』
 妖精さん、パニックッ!


 ──予想の斜め上をいく女の子、二見ちほ。
 俺たちは彼女の事を全くわかっていなかったのかもしれない。
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