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一章
二十七話
しおりを挟むごめんママ。チロルはもう止まれないのっ!!
いくのっ。おじさんのところに‼︎
だって放っておけないもん‼︎ あれはかつてのわたし。アヤノ・ゴクアーク。魂が、想いがわたしを掻き立てる。
ーー無理無理。
現実味を帯びないとか生意気な事言ってごめんなさい。これ現実だよぉ。ママ怖すぎっ。
◇
「ママっ、ごめん寝ボケてたぁ。あははぁ」
「あんたねぇ、そんな嘘が……」
信じて……ママ。
「確かにそうね。ちひろはそういう子ね。早く寝なさい」
「はーい。おやすみなさぁい」
頬をつきながら怪しげな視線を向けたかと思えば頷きながら納得しちゃった。
わたしどんな子なの……。悲しいな。
ーー今日はもう諦めよう。明日、学校行くフリして……うん。
◇
いつも通りに起きていつも通りに支度をする。学校に行く為に。
でも、今日はいつもとちょっと違う。いろんな意味で衝撃ッ。タイムパラドックスは起きないと思ってたのにッ!
「母さんには内緒だぞ?」
何故かパパからスッと一万円が差し出されちゃった! なにごと?!
◇
「バカチロル! パパとママには内緒だよ?」
ありゃりゃ? お姉ちゃんからも一万円が差し出されちゃった!!
うーん。なにごと?
◇
「いくら欲しいの?」
ママから突然の耳打ち。えっ?
謎過ぎておどおどしていたら……
あら不思議! 一万円が差し出されちゃった!
「ごめんね。ちひろ。気付いてあげられなくて。おじさんと……なんて言うかそういう夢を見ちゃうくらいお小遣い欲しかったのよね。でも、勉強頑張らないとダメよ?」
んーー? んーー? なんだろ。まぁいっか!
「はぁい! ありがとうママ‼︎ 勉強頑張るっ‼︎」
◇
さんまんえん!! 突然降って来たよ!!
さんまんえん!! さんまんえん!!
おじさんっ、なんだかよくわからないけどウィッグ買えるよ!! チート魔道具も買えちゃうよっ!!
待っててね! もうすぐ行くからっ‼︎
◇
ーー到着。現在時刻は9時。
不法侵入って事は気にしない!!
この時間はおじさんしか家に居ない事はアカシックレコードで確認済みっ!
おじさんの部屋は二階のここっ! 二回目ともなれば手慣れたもんだね!!
ガチャンッ。
あわわ。大股広げて寝てる……。
寝ててもわかるくらい目腫れちゃってるよ。あの後も泣きじゃくってたんだ。
一週間もほったらかしにしちゃってごめんね……。
ーー本来わたしにあるはずの責任を押し付けた。
現実味を帯びないからと、逃げて来た。まるでゲームのように接してきた。
目の前に居るあやのちゃんは本物……温かい。生きてる。人間だ。
ほんと、バカチロルだよ……。ばかばか。
うん。感じるよ。バタフライエフェクトが過敏に反応してる。
いつでも扉が開けそう。開くのではなく、開ける。
初めての感覚。もぅ、頭がパンクしそうだけど……。
◇◆
まだまだ起きそうにない……。
隣、失礼しますっ。色々疲れちゃった。
これからどうなっちゃうんだろうね……。ううん。大丈夫。わたしがどうにかする。このさんまんえんで!
ーー今は、ちょっとだけ休憩。スヤァ。
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