上 下
27 / 62
一章

二十七話

しおりを挟む

 ごめんママ。チロルはもう止まれないのっ!!

 いくのっ。おじさんのところに‼︎

 だって放っておけないもん‼︎ あれはかつてのわたし。アヤノ・ゴクアーク。魂が、想いがわたしを掻き立てる。


 ーー無理無理。

 現実味を帯びないとか生意気な事言ってごめんなさい。これ現実だよぉ。ママ怖すぎっ。

 ◇

「ママっ、ごめん寝ボケてたぁ。あははぁ」
「あんたねぇ、そんな嘘が……」

 信じて……ママ。

「確かにそうね。ちひろはそういう子ね。早く寝なさい」
「はーい。おやすみなさぁい」

 頬をつきながら怪しげな視線を向けたかと思えば頷きながら納得しちゃった。

 わたしどんな子なの……。悲しいな。


 ーー今日はもう諦めよう。明日、学校行くフリして……うん。

 ◇


 いつも通りに起きていつも通りに支度をする。学校に行く為に。

 でも、今日はいつもとちょっと違う。いろんな意味で衝撃ッ。タイムパラドックスは起きないと思ってたのにッ!




「母さんには内緒だぞ?」

 何故かパパからスッと一万円が差し出されちゃった! なにごと?!

 ◇

「バカチロル! パパとママには内緒だよ?」

 ありゃりゃ? お姉ちゃんからも一万円が差し出されちゃった!!

 うーん。なにごと?

 ◇

「いくら欲しいの?」

 ママから突然の耳打ち。えっ?
 謎過ぎておどおどしていたら……

 あら不思議! 一万円が差し出されちゃった!

「ごめんね。ちひろ。気付いてあげられなくて。おじさんと……なんて言うかそういう夢を見ちゃうくらいお小遣い欲しかったのよね。でも、勉強頑張らないとダメよ?」

 んーー? んーー? なんだろ。まぁいっか!

「はぁい! ありがとうママ‼︎ 勉強頑張るっ‼︎」

 ◇

 さんまんえん!! 突然降って来たよ!!

 さんまんえん!! さんまんえん!!

 おじさんっ、なんだかよくわからないけどウィッグ買えるよ!! チート魔道具も買えちゃうよっ!!
 待っててね! もうすぐ行くからっ‼︎

 
 ◇

 ーー到着。現在時刻は9時。

 不法侵入って事は気にしない!!

 この時間はおじさんしか家に居ない事はアカシックレコードで確認済みっ!


 おじさんの部屋は二階のここっ! 二回目ともなれば手慣れたもんだね!!


 ガチャンッ。


 あわわ。大股広げて寝てる……。
 寝ててもわかるくらい目腫れちゃってるよ。あの後も泣きじゃくってたんだ。

 一週間もほったらかしにしちゃってごめんね……。


 ーー本来わたしにあるはずの責任を押し付けた。
 現実味を帯びないからと、逃げて来た。まるでゲームのように接してきた。
 目の前に居るあやのちゃんは本物……温かい。生きてる。人間だ。
 ほんと、バカチロルだよ……。ばかばか。


 うん。感じるよ。バタフライエフェクトが過敏に反応してる。

 いつでも扉が開けそう。開くのではなく、開ける。
 初めての感覚。もぅ、頭がパンクしそうだけど……。

 ◇◆



 まだまだ起きそうにない……。


 隣、失礼しますっ。色々疲れちゃった。
 これからどうなっちゃうんだろうね……。ううん。大丈夫。わたしがどうにかする。このさんまんえんで!


 ーー今は、ちょっとだけ休憩。スヤァ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生悪役令嬢の前途多難な没落計画

一花八華
恋愛
斬首、幽閉、没落endの悪役令嬢に転生しましたわ。 私、ヴィクトリア・アクヤック。金髪ドリルの碧眼美少女ですの。 攻略対象とヒロインには、関わりませんわ。恋愛でも逆ハーでもお好きになさって? 私は、執事攻略に勤しみますわ!! っといいつつもなんだかんだでガッツリ攻略対象とヒロインに囲まれ、持ち前の暴走と妄想と、斜め上を行き過ぎるネジ曲がった思考回路で突き進む猪突猛進型ドリル系主人公の(読者様からの)突っ込み待ち(ラブ)コメディです。 ※全話に挿絵が入る予定です。作者絵が苦手な方は、ご注意ください。ファンアートいただけると、泣いて喜びます。掲載させて下さい。お願いします。

悪役令嬢に転生したのですが、フラグが見えるのでとりま折らせていただきます

水無瀬流那
恋愛
 転生先は、未プレイの乙女ゲーの悪役令嬢だった。それもステータスによれば、死ぬ確率は100%というDEATHエンド確定令嬢らしい。  このままでは死んでしまう、と焦る私に与えられていたスキルは、『フラグ破壊レベル∞』…………?  使い方も詳細も何もわからないのですが、DEATHエンド回避を目指して、とりまフラグを折っていこうと思います! ※小説家になろうでも掲載しています

乙女ゲームの悪役令嬢は断罪回避したらイケメン半魔騎士に執着されました

白猫ケイ
恋愛
【本編完結】魔法学園を舞台に異世界から召喚された聖女がヒロイン王太子含む7人のイケメンルートを選べる人気のゲーム、ドキ☆ストの悪役令嬢の幼少期に転生したルイーズは、断罪回避のため5歳にして名前を変え家を出る決意をする。小さな孤児院で平和に暮らすある日、行き倒れの子供を拾い懐かれるが、断罪回避のためメインストーリー終了まで他国逃亡を決意。 「会いたかったーー……!」 一瞬何が起きたか理解が遅れる。新聞に載るような噂の騎士に抱きすくめられる様をみた、周囲の人がざわめく。 【イラストは自分で描いたイメージです。サクッと読める短めのお話です!ページ下部のいいね等お気軽にお願いします!執筆の励みになります!】

悪役令嬢なのに、完落ち攻略対象者から追いかけられる乙女ゲーム……っていうか、罰ゲーム!

待鳥園子
恋愛
とある乙女ゲームの悪役令嬢に生まれ変わったレイラは、前世で幼馴染だったヒロインクロエと協力して、攻略条件が難し過ぎる騎士団長エンドを迎えることに成功した。 最難易度な隠しヒーローの攻略条件には、主要ヒーロー三人の好感度MAX状態であることも含まれていた。 そして、クリアした後でサポートキャラを使って、三人のヒーローの好感度を自分から悪役令嬢レイラに移したことを明かしたヒロインクロエ。 え。待ってよ! 乙女ゲームが終わったら好感度MAXの攻略対象者三人に私が追いかけられるなんて、そんなの全然聞いてないんだけどー!? 前世からちゃっかりした幼馴染に貧乏くじ引かされ続けている悪役令嬢が、好感度関係なく恋に落ちた系王子様と幸せになるはずの、逆ハーレムだけど逆ハーレムじゃないラブコメ。 ※全十一話。一万五千字程度の短編です。

転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています

平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。 生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。 絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。 しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?

長女は悪役、三女はヒロイン、次女の私はただのモブ

藤白
恋愛
前世は吉原美琴。普通の女子大生で日本人。 そんな私が転生したのは三人姉妹の侯爵家次女…なんと『Cage~あなたの腕の中で~』って言うヤンデレ系乙女ゲームの世界でした! どうにかしてこの目で乙女ゲームを見届け…って、このゲーム確か悪役令嬢とヒロインは異母姉妹で…私のお姉様と妹では!? えっ、ちょっと待った!それって、私が死んだ確執から姉妹仲が悪くなるんだよね…? 死にたくない!けど乙女ゲームは見たい! どうしよう! ◯閑話はちょいちょい挟みます ◯書きながらストーリーを考えているのでおかしいところがあれば教えてください! ◯11/20 名前の表記を少し変更 ◯11/24 [13] 罵りの言葉を少し変更

魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!

蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」 「「……は?」」 どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。 しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。 前世での最期の記憶から、男性が苦手。 初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。 リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。 当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。 おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……? 攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。 ファンタジー要素も多めです。 ※なろう様にも掲載中 ※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。

【完結】もったいないですわ!乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢は、今日も生徒会活動に勤しむ~経済を回してる?それってただの無駄遣いですわ!~

鬼ヶ咲あちたん
恋愛
内容も知らない乙女ゲームの世界に転生してしまった悪役令嬢は、ヒロインや攻略対象者たちを放って今日も生徒会活動に勤しむ。もったいないおばけは日本人の心! まだ使える物を捨ててしまうなんて、もったいないですわ! 悪役令嬢が取り組む『もったいない革命』に、だんだん生徒会役員たちは巻き込まれていく。「このゲームのヒロインは私なのよ!?」荒れるヒロインから一方的に恨まれる悪役令嬢はどうなってしまうのか?

処理中です...