不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

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104.どうしよ!?   sideフレイ 

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 今も「あの罠やばかったなぁ」とかどんな罠にかかったのかを自慢げに下で話してる連中。だけど意識して見てみれば全員気は抜いていない。いつでも剣を抜けるようにしているのがわかった。……そんなことすらも今まで気付かなかった。気付けないほど完璧に隠されていたんだ。僕、欺かれてたんだ。


「…………ねぇラック」


「……なんだ」


 僕が素でラックと呼んだからだろう。ラックの声がまた一段と不機嫌なものになった。タメ口はいいけど名前はやっぱり嫌なんだ。


「どうして僕がここにいるってわかったの?」


 これ、答えてもらってない。隠れること、僕は結構自信があったんだ。森でバレかけたこともあって、ここではより一層慎重に気配を消して隠れてたんだ。


 そりゃちょっとラックへの文句が漏れ出ちゃってたよ? だけど、それとラックの声が聞こえたのはほぼ同時だった。その前に僕の居場所はバレてたってことでしょう? ……なんで? たかが人間に見破れるはずなんてない。それほど自信があったのに。なのにどうして……。


 この時、僕はどんな返答をラックに期待していたのかはわからない。だけど、僕が納得できるような、それなりの返答を期待していたんだと思う。なのに――


「勘」


 とだけラックは言った。


「~~~~っっ!!」


 勘で見破られてたまるか!!!!

 
 怒りか悔しさからか、プルプル身体が震え、自分の手を握り締めた。魔法とか今まで身につけ培ってきた技術とか経験で僕の居場所がわかったんじゃない。ただの勘で? ふざけるな! 僕、気配も姿を消すのも誰にも見つからない自信があったのに! 姉様からも何度もこの方法で逃げ切ってやったのにこの台詞!! ふざけてる!! それになんだ!! なんかラックも下の連中もみんな腹立つ!! 馬鹿にしてた奴らにいっぱい食わされた!! 全然気付かなかった!! あーー!! くーやーしーいー!!!


 内心ジタバタ暴れ、嵐が吹き荒れる。だけど僕は偉いんだ。こんな程度で寝そべり暴れ、物に当たり散らかして癇癪を起こすようなお子様ではないんだ。


「んで? なんでお前がここにいんだ? ツキはどうした?」


「……」


 そう僕はお子様ではないんだ。お子様では――


「おい聞いて――」


「ツキさんは今変態に押し倒されてますよ?」


「……は?」


 にっこり笑って告げれば、ラックは間の抜けた顔を見せた。その顔に僕の気分はだいぶよくなった。


 ううん、だいぶどころじゃない、すっごくよくなった。いっぱい食わし返してやったって感じ。


 だからノリノリでツキさんの状況を教えてあげた。


「もう本当にピンチですよ? 変態が下半身丸出しにツキさんを押し倒してるんですよ、今! ツキさんもズボンを脱がされかけてて貞操の危機!! 腰抜けて、ぷるぷる震えながらラックに助けを求めて泣いててすっごく可哀想な状況ですよ?」


 ま、今はもう大丈夫だけど。その言葉だけは敢えて告げずに教えた。だってそれを教えたら面白くないから。


 ニヤニヤとしながらラックの反応を待つ。今のラックはびっくりした顔で目をまん丸にしながら固まっちゃってる。たぶん今僕が言った言葉を一生懸命理解しよとしているんじゃないのかな? すぐに理解できないほどの内容って! 


「……ふふっ!」


 思わず笑い声が漏れてしまう。


 ま、それだけずっとツキさんのこと大切にしてたもんね。ショック過ぎてか全然動かないんだけど! ふっ、ざまあみろ!! 僕を仲間はず……じゃない鼻で笑った罰だよ!


 ……そうやって一人しめしめと笑っていると――


「――ひッ!?」


 下からすごい数の殺気が僕を襲ってきた。


「っ?」


 バッと下を見てみれば、普段へらへら笑ってばかりの連中が全員笑みを止め、見たことがない表情で鋭く僕を睨みつけてきていた。あまりの殺気に慄く。けど、


「――どう言う意味だフレイ?」


「ッ――!?」


 それよりももっと大きな、とてつもない殺気が目の前から放たれ息の仕方を忘れた。


 全身が一気に粟立ち、怖くてそのまま下を見続ける。


 下も怖い。でも前の方がもっと怖い。


「……っ」


 頭を上げられない。目の前の人物から発せられる殺気に全身に重い鉛がのしかかっているような錯覚を覚える。寒くもないのにガタガタ体が震えてくる。――そうして僕は悟った。


 ……僕、調子に乗りすぎちゃった? ……どうしよ!?





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