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しおりを挟む使用人一同、アリスのことはもう認めている。だがそれとこれとは話が別だ。いくら認めているからといってもこのままでは気持ちが収まらない。
「このままあの娘に負けたままでいい筈などないじゃろう!のう!皆の衆!!」
「「「「そうだ!そうだ!!」」」」
「次こそはあの娘に目にものをみせてやろうぞ!!」
「「「「おぉー!!」」」」
「……はぁぁぁぁあっ」
…ダメだこいつら。
またアリスをどうやって負かすかを相談し出した使用人一同に執事見習いは思った。完全に目的を見失っている。何をやっても笑顔でかわされ遊ばれているだけなのによくめげないな。まぁ、アリスも楽しんでいるようだしもうどうでもいいか。
もう何を言っても聞かない上司達に執事見習いは諦めを覚えた。
「ふふ♪お疲れですねぇ~お茶入りますぅ?」
「ああ、ありがとうございます。お願いします」
「はいどうぞぉ~。それにしても皆さん楽しそうですねぇ~」
「…そうですね。ここまで楽しそうな皆を見るのは久しぶりですよ」
良くも悪くも変わらない日常を送っていたスターチス邸の者達にとってこんなにも刺激がある日々は久しぶりであり、ここまで生き生きとしている皆を見たのも久しぶりであった。だからこそ面倒くささは感じつつも執事見習いもこの状況を楽しんではいた。そんな見習い執事は思う。あれ?今誰と喋ってる?…と
「…………」
「楽しんでもらえたようでよかったですぅ~。でもそれほど皆さん私を負かしたいんですかぁ?」
「当たり前じゃ!我らは尊敬すべき主のためこの身を粉にして日夜励んでおるのじゃ!」
「そうです!それなのにこれはなんという体たらくでしょうか!!」
「たった1人の女にここまで遊ばれるとは情けない限りだぜ!もっと精進し、イアン様の役に立たなければ!!」
「「「打倒聖女!!」」」
「わぁ~すご~い」パチパチパチ
「「「「「ドヤ」」」」」
「…………」
執事見習いは思う。褒められてドヤ顔をする前に現実を見てさっさと気づけと。敵?はもうすぐ目の前にいるということを叫びたい。だが、自分の横にニコニコ笑いながら立っているアリスへの衝撃が大きすぎて言葉が出ない。
「でもぉ~執事長さん達には申し訳ないんですけどぉ私も負けるつもりはないんでぇ~諦めて欲しいですぅ~」
「「「「「「………私?………っ!?な、な、聖女!?」」」」」」
執事見習いは思う。気付くの遅ぇ!!…と
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