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小話1-2
しおりを挟む2人で席に着き、メイドに入れてもらった紅茶を飲んで一息がついた頃…
「それで話なんですが…」
「はい~」
「……遅くなってしまって申し訳ないのですが、改めて言わせて下さい。今までの学園での事、本当に申し訳ありませんでしたわ」
「?」
「あの日、貴方が言ったことを思い返して見れば見るほど、貴方が言っていたことが正しかったと思ったのです」
「……」
「先入観に囚われ、貴方と殿下が想い合っていると思い込んで貴方に酷いことを言ってしまいましたわ…。本当にごめんなさい」
「……」
そう、あの日アリスは自分から王子達に近づいたことや注意されてからは王子達と出掛けてはいないと言った。それはアリスの言う通りで、アリア自身もサランがアリスに近寄って行っているのは何度も見たことがあるが、アリスは用事がある時以外はサランに近づいたことなどなかった。
だが、サランとアリスが想い合っていると思い込んでいたため、アリスには酷なことだと思いながらも婚約者がいる男性に近づいてはいけないと注意をしていた。
それがアリスは追いかけられている立場で、何度もアリア達令嬢に相談しようとしていたとは露程にも思っていなかった。
アリアは元来正義感が強く、真面目な女性だ。自分の間違いをそのままにしておくことはできなかった。
「もっと貴方とはきちんと話をするべきでしたわ。他の令嬢方も貴方に申し訳なく思っています。なので、私達にできることなら何かさせて欲しいと思いましてこの席を用意したのです」
「………」
「?アリスさん?」
アリスはアリアの話を聞いている途中から下を向きこちらを見ようとしない。もしかして、それ程まで傷つけてしまっていたのか。アリアは申し訳ない気持ちでいっぱいになる。しかし…
「……ふ」
「?」
「ふふふ」
「ふふふ?」
「ふふふ、あははははははは!もう!アリア様笑わせないで下さいよぉ!」
「え!?」
アリス大爆笑である。
マナーなどない、一応口は手で隠しているが笑いが止まらないようでアリアは呆気にとられる。
「あ、あの何故笑うのですか?」
「ふ、ふふ、だ、だって何を言うのかと思っていたらぁ、アリア様すっごく真面目そうな顔をしてそんなことを言うんですもの~。そんなこと気にしなくていいのに~」
「で、ですが…」
「それを言ったらぁ、私だってぇ、もっとアリア様達に伝えるようにすればよかったしぃ~、婚約者のいる方とぉ仲良くお話をしていたのは本当のことですからぁ~」
「で、でもそれは男性の方から来ていたからで…」
「それでもですよぉ~。断る方法はいくらでもあったのにぃ、友達になっていたのわぁ私ですからぁ~アリア様達わぁ何も気にしなくてもいいですよぉ?」
「しかし…」
「じゃあぁ~、1つお願いしてもいいですかぁ?」
「!な、何ですか!?私に出来ることなら!」
「アリア様ぁ~………私とぉ、お友達になってくれませんかぁ?」
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