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第10話
しおりを挟むガーベラ王国執務室、そこには政務に勤しんでいるこの国の王であるサリオルと先日無事に王太子となった第二王子であるガラン、そして今話題の的である宰相イアンがいた。
あれから第一王子であるサランは、婚約破棄やそれまでの行いから廃嫡となり、平民として王宮から出された。取り巻き達も、親から厳しい叱責を受け、婚約破棄になった者や勘当された者、有無を言わさず結婚させられた者などそれぞれが責任を取らされていた。
「ーーで、明日が聖女との第1回目のお見合いの日だがお前はどう思っておるのだ?」
「それ俺も聞きたい。」
「……。今その話ですかな?あれから何日経ったとお思いで?」
「まぁそう固いこと気にするな。で、どうなんだ?」
そうサリオルがニヤニヤ笑いながら尋ねる。それに便乗してガランまでもがニヤニヤ笑いながらこちらを見てくるので頭が痛くなってくる。
「はぁ~、どうもこうもないですな。聖女のあの言葉が本当かも疑問が残る。私の公爵や宰相という地位が目当ての可能性だってあるのだ。」
「え~そうは見えなかったけどなぁ」
「そうだぞイアン。聖女は正真正銘お前に惚れていると思うが?」
「ーーだとしてもだ。いくつ歳が離れていると思っているのだ。聖女には悪いが断ることになるであろう。」
「!?本気か宰相!これを逃したら次いつ結婚できるかわからねぇぞ!」
「そうだぞイアン!腹を括れ!」
「はぁ~、とにかく聖女とは明日しっかりと話をする。悪いが私が彼女に落ちるようなことはない。あのような間延びした喋り方、私は好きませんからな」
「よい組み合わせだと思うのだがな」
「ちぇっ!つまんねぇーの」
「ーー喧嘩を売っているのかね?」
「いや~でも、俺の人を見極める目もまだまだだなぁ~。まさかあの聖女ちゃんがあそこまで面白い子だとはなぁ~」
「公開告白とは恐れ入った。あの娘は、話し方からは想像できない肝の座った少女だな。見直した。」
サリオルの言葉にガランは仕切りに頷いた。イアンへの愛の告白とあの場の面白さで聖女への評価は爆上がり中である。
「……。さぁ、下らない話は終わりです。さっさと仕事の続きをせねばなりませぬ。」
「「……はぁ~」」
そう言って仕事を始めたイアンにサリオルとガランは思う。これで聖女がイアンを落としてくれたらもっと面白いんだけどな。そうして2人で溜息を吐き出す。
その2ヶ月後、3ヶ月も経たないうちにイアンはアリスに惚れ込んでしまい結婚することとなる。そして、サリオルやガランが揶揄おうとするが、イアンは誰彼かまわず惚気を聞かせる愛妻家となり、その惚気に逆に降参してしまう2人なのであった。
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