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第3話
しおりを挟む「そういえば親父、あの女褒賞に何を望んだんだ?」
3ヶ月前のスタンピードの際、参加した者達には功績によって報酬が与えられたが特に活躍した者には別途、国王自らがその者の願いを聞き、褒美を与えていた。アリスもそのうちの1人であった。
「……まだ望みを言うこは出来んと言われた」
「は?」
「学園を卒業した後にある卒業パーティで自分の望みを言うと言っておったわ。」
「ーーそれを許したのか?」
「あの時は、後始末に追われておったからなぁ。緊急性がなく後に回すこができるものは回しておきたかったしな。」
「ですがその話を後で聞いたサラン様は何か知っているようなことを言っておりましたぞ。『流石はアリスだ』と何か意味深なことを言っていましてな。私が心当たりを聞くと直にわかるとしたり顔をしておりましたな」
「…兄貴も聖女も面倒くせぇ」
「ああ。…面倒ことを望まなければよいのだがな」
「その通りですな」
「はぁ~。サランのことといい厄介なことだらけだ。子育てというものは難しいものだな。ガランがまだまともに育ってくれていることが救いだ…。」
「まともですかな?」
「おいおい、宰相どう言う意味だよ~。俺ほどしっかりしたやつはいないだろ!」
「では、まずその言葉遣いを直しなされ。」
「?ちゃんと喋っていんだろ?」
「はぁぁ~。陛下これでいいんですかな?」
「……お前も早く子を作れ。誰かよい人はいないのか?」
「ほんとそれだよ!」
「話を逸らしましたな。……御二方は私のこの容姿をよく理解していてそのようなことを言われておるのでしょうな?」
「「……」」
この国の宰相は現国王の腹心であり、国王や第2王子からの信頼も厚く、愛国心、忠誠心共に自他共に認めるほどである。たが、それだけ国から重要とされ、公爵という身分にも関わらず、36歳という結婚適齢期をとうに過ぎていてもまだ結婚できないでいる理由がーーーその顔と体型である。
イアン公爵は100人に聞けば100人が悪人だと答えるような見た目をしており、顔はガマガエルのようであり、身体はぶくぶくと肥え太っていて、手足も短く醜い。だが、その外見に反して性格が良く努力家でもあり実力で陛下に認められ、宰相の地位を得た猛者である。だが、その見た目のせいで権力を笠にきて好き勝手しているや裏に手を染めてその地位を得たなどの様々な悪い噂がある。
まぁ、その噂はイアンのことをよく知らない人間が勝手に言っているだけであり、イアンをよく知っている人間は彼がそのような人物ではないことをよく理解している。
「…まぁ、早くよい良縁に結ばれればよいな。」
「…見合い、どんどんしていけよ宰相…」
「…余計なお世話ですな。ーーそれに昨日失敗ばかりだ」
「「………悪い」」
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