2 / 31
第1話
しおりを挟む
サルバル学園
「アリア!貴様この私に逆らう気か!!」
サルバル学園、高等部3Sクラス前の廊下でそう怒鳴り声をあげているのはこの国の第一王子であるサラン・ガーベラである。金髪碧眼の優しい顔つきをしているが、今は1人の少女を庇うようにして立ち、目の前の少女に対して怒りをあらわにしている。
「落ち着いて下さいませ。サラン様。第一王子ともあろう者がみっともない」
そんな彼の前に冷静に立っている少女は、キリッとした目つきの強気な印象を与える美人であり、燃えるような赤い髪に紅い瞳のアリア・キャルメリア。キャルメリア公爵家の長女でありサラン王子の婚約者である。
「何だと!?私にそのような口をきいてよいと思っているのか!」
「まぁまぁ~、サラン様ぁ~落ち着いてください~。アリア様もぉ~悪気があって言ったんじゃないんだと思いますぅ~」
王子やその取り巻き達に守られるようにして後ろに立っている少女は、薄い桃色の髪と目をしており、アリアとは正反対の庇護欲を抱くような可愛らしい少女であるアリス・ロード男爵令嬢だ。ーーそう、彼女こそが3ヶ月前にこの国を救った聖女である。
もともとは、平民として暮らしていたが光属性を持っていることがわかり、ロード男爵に養子に引き取られた後、桜が舞い落ちる季節にサルバル学園の高等部3年にやってきたのである。
アリスはその持ち前の愛嬌さを発揮し、有力者の少年達を次々と落としていった。その筆頭はもちろん第1王子であるサランである。
「アリスさん。婚約者がいる男性にそのように密着してはいけません」
「えぇ~私はそんなことしてませんよぉ~」
「それにそんなに語尾を伸ばすものでもありませわ」
「これはぁ~昔からの癖なので直せないですよぉ~。アリア様ひどいですぅ」
アリスはよよぉっと泣きまねをする。
「アリア!これ以上アリスを侮辱することは私が許さないぞ!」
「サラン様ぁ~私は大丈夫ですぅ」
「アリス…やはり君はこの女と違って優しい子だ。流石はこの国を守ってくれた聖女だ」
「そんなことないですよぉ~///」
アリスは言葉では否定しているが完全に顔は笑って照れており満更でもなさそうだ。
「はぁ~、この茶番いつまで続けるつもりですか?私もう帰りたいのですが帰ってもよろしくて?」
「ああ、私も貴様の顔などこれ以上見たくはない。さっさと去れ。アリス、この後美味しいカフェにでも行かないか?」
「では、私はこれで」
「アリア様ぁ~さよなら~。サラン様ぁ、カフェには行きたいのですがぁ~、明日の用意もあるので私も帰りますぅ」
「そうか…。そうだな。明日は私達にとって大切な日だものな。わかった!また今度2人で行こう、アリ……ス?」
「王子、もう聖女様は帰られました」
「……」
「アリア!貴様この私に逆らう気か!!」
サルバル学園、高等部3Sクラス前の廊下でそう怒鳴り声をあげているのはこの国の第一王子であるサラン・ガーベラである。金髪碧眼の優しい顔つきをしているが、今は1人の少女を庇うようにして立ち、目の前の少女に対して怒りをあらわにしている。
「落ち着いて下さいませ。サラン様。第一王子ともあろう者がみっともない」
そんな彼の前に冷静に立っている少女は、キリッとした目つきの強気な印象を与える美人であり、燃えるような赤い髪に紅い瞳のアリア・キャルメリア。キャルメリア公爵家の長女でありサラン王子の婚約者である。
「何だと!?私にそのような口をきいてよいと思っているのか!」
「まぁまぁ~、サラン様ぁ~落ち着いてください~。アリア様もぉ~悪気があって言ったんじゃないんだと思いますぅ~」
王子やその取り巻き達に守られるようにして後ろに立っている少女は、薄い桃色の髪と目をしており、アリアとは正反対の庇護欲を抱くような可愛らしい少女であるアリス・ロード男爵令嬢だ。ーーそう、彼女こそが3ヶ月前にこの国を救った聖女である。
もともとは、平民として暮らしていたが光属性を持っていることがわかり、ロード男爵に養子に引き取られた後、桜が舞い落ちる季節にサルバル学園の高等部3年にやってきたのである。
アリスはその持ち前の愛嬌さを発揮し、有力者の少年達を次々と落としていった。その筆頭はもちろん第1王子であるサランである。
「アリスさん。婚約者がいる男性にそのように密着してはいけません」
「えぇ~私はそんなことしてませんよぉ~」
「それにそんなに語尾を伸ばすものでもありませわ」
「これはぁ~昔からの癖なので直せないですよぉ~。アリア様ひどいですぅ」
アリスはよよぉっと泣きまねをする。
「アリア!これ以上アリスを侮辱することは私が許さないぞ!」
「サラン様ぁ~私は大丈夫ですぅ」
「アリス…やはり君はこの女と違って優しい子だ。流石はこの国を守ってくれた聖女だ」
「そんなことないですよぉ~///」
アリスは言葉では否定しているが完全に顔は笑って照れており満更でもなさそうだ。
「はぁ~、この茶番いつまで続けるつもりですか?私もう帰りたいのですが帰ってもよろしくて?」
「ああ、私も貴様の顔などこれ以上見たくはない。さっさと去れ。アリス、この後美味しいカフェにでも行かないか?」
「では、私はこれで」
「アリア様ぁ~さよなら~。サラン様ぁ、カフェには行きたいのですがぁ~、明日の用意もあるので私も帰りますぅ」
「そうか…。そうだな。明日は私達にとって大切な日だものな。わかった!また今度2人で行こう、アリ……ス?」
「王子、もう聖女様は帰られました」
「……」
10
お気に入りに追加
89
あなたにおすすめの小説
美人の偽聖女に真実の愛を見た王太子は、超デブス聖女と婚約破棄、今さら戻ってこいと言えずに国は滅ぶ
青の雀
恋愛
メープル国には二人の聖女候補がいるが、一人は超デブスな醜女、もう一人は見た目だけの超絶美人
世界旅行を続けていく中で、痩せて見違えるほどの美女に変身します。
デブスは本当の聖女で、美人は偽聖女
小国は栄え、大国は滅びる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
王太子が悪役令嬢ののろけ話ばかりするのでヒロインは困惑した
葉柚
恋愛
とある乙女ゲームの世界に転生してしまった乙女ゲームのヒロイン、アリーチェ。
メインヒーローの王太子を攻略しようとするんだけど………。
なんかこの王太子おかしい。
婚約者である悪役令嬢ののろけ話しかしないんだけど。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
完結)余りもの同士、仲よくしましょう
オリハルコン陸
恋愛
婚約者に振られた。
「運命の人」に出会ってしまったのだと。
正式な書状により婚約は解消された…。
婚約者に振られた女が、同じく婚約者に振られた男と婚約して幸せになるお話。
◇ ◇ ◇
(ほとんど本編に出てこない)登場人物名
ミシュリア(ミシュ): 主人公
ジェイソン・オーキッド(ジェイ): 主人公の新しい婚約者
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
婚約破棄された悪役令嬢が聖女になってもおかしくはないでしょう?~えーと?誰が聖女に間違いないんでしたっけ?にやにや~
荷居人(にいと)
恋愛
「お前みたいなのが聖女なはずがない!お前とは婚約破棄だ!聖女は神の声を聞いたリアンに違いない!」
自信満々に言ってのけたこの国の王子様はまだ聖女が決まる一週間前に私と婚約破棄されました。リアンとやらをいじめたからと。
私は正しいことをしただけですから罪を認めるものですか。そう言っていたら檻に入れられて聖女が決まる神様からの認定式の日が過ぎれば処刑だなんて随分陛下が外交で不在だからとやりたい放題。
でもね、残念。私聖女に選ばれちゃいました。復縁なんてバカなこと許しませんからね?
最近の聖女婚約破棄ブームにのっかりました。
婚約破棄シリーズ記念すべき第一段!只今第五弾まで完結!婚約破棄シリーズは荷居人タグでまとめておりますので荷居人ファン様、荷居人ファンなりかけ様、荷居人ファン……かもしれない?様は是非シリーズ全て読んでいただければと思います!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる