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第一演目 自由な殺し屋<フリーダムキラー>アリス
━第三幕━ 黒歴史〔下〕 New Destiny 〔You And I〕
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自らの故郷であり、自分の死地でもあるこの街にアリスはいた。エコーも一緒だ。
目的であるチェンジャー2人の内1人は倒し、残りは1人。
だが、いつもはコンピューターですぐにチェンジャーを見つけられるエコーも今回はまったく成果をあげられていなかった。
「街の外に逃げたかな?」
考え込んだ表情でエコーが言う。
「それか、今のところチェンジャーの力に目覚めていないか、じゃなきゃ『原因』を押さえ込めているか。」
「それもあるねー。ともかく、こうなれば歩いて自力で探すしかないね。」
「そうだなぁ・・・。とりあえず、高校の近くでも歩いてみようか。」
「高校?何で?今日は日曜日だよ?それにさ、知ってる人に気付かれたらどうすんの?」
「ここまで来て行かないのも勿体ないし、それに学校周辺にチェンジャーがいるかも知れないしさ。第一、あそこなら大通りに面してるしね。」
そう自信ありげに答えたアリスに、エコーは
「う~ん・・・。ま、気付かれたらアリスの責任で。」
と返した。
「良いよ、それで。さぁ、早いとこ行こう。」
数分後。
アリスとエコーは大通りにいた。が、
「ここにはいないね。」
楽しむような声でエコーは言った。
「う~ん、そうだね・・・。しょうがない、商店街でも探してみよう。」
アリスはそう答えた。
数分後。
2人は商店街にいた。が、
「この人の量だとさ、気付かれるんじゃない?」
エコーが言う。
商店街は、日曜日だからか人が多かった。
「あの頃は僕コートなんて着なかったから・・・。あの二人じゃなきゃ気付かないよ。」
そうアリスが言う。
2人は商店街を進み始めた。
それからしばらくして。
急にピタリとエコーが立ち止まった。
「?どうしたんだい、エコー?」
アリスが聞くと、エコーは答えた。
「近くにチェンジャーがいる。しかも、結構強いかも・・・。」
「ま、まじですかっ。」
アリスは周囲を確認しようとした。その時、アリスは急に後ろから抱きしめられた。
「ぷぎゃっ!?」
アリスがパニックになってそう言う。
「トキスケっ!」
後ろから声が聞こえて、アリスはそれが誰かようやく分かった。
「セイナ・・・。」
苦笑してアリスが言う。
「とりあえず路地裏で話さないか、セイナ。」
アリスはそう言うと、泣きじゃくるセイナの腕をとって歩き始めた。
「落ち着いた?」
「う、まあ。トキスケが目の前にいるのが理解できないけれど。」
「まあね、僕はもう死んでるし。」
他人事のようにアリスが言う。
「トキスケ、自分のこと僕って言ってなかったけど。」
「それは当たっている。僕はもうトキスケじゃ無くなってるから。」
「どういうこと?生き返ったの?」
「生き返るというより蘇生させられたってカンジ。その時に僕はアリスじゃなくなって、元の正確も封印されたのさ。今の僕は殺し屋及び魂の浄化人<ソウルクリーナー>ガイア級百番。コードネームはアリス。でこっちが、」
暇そうにしていたエコーは自分に話題が回って来て嬉しかったのか、底抜けに明るく言った。
「アリスのアシスタントのエコーです!」
「詳しいことは今から説明するよ。」
そう言うとアリスは自分の身の上を語り始めた。
「そう・・・。状況がまだ上手く飲み込めないわね。」
言い終わるとセイナが言った。
「まあ良いんだ。どっかで今も生きてると思ってくれれば。あと、この事はできれば誰にも言わないでくれよ。」
「分かった。」
「ところで、リムは?」
アリスが聞いた。セイナが1人なのが気がかりだったのだ。
「それが、引っ越しちゃって。あの時言おうと思ってたのはその事だったんだって。」
「えっ、本当に!?引っ越したのか、リムは。」
「そう。それでさ、私元々いじめられてたじゃない?トキスケとリムが守ってくれてたから良かったけど、2人共いなくなってからまたいじめられてるの。だからさ、トキスケ。戻って来てくれない?」
そうセイナが言った。アリスは人1人守れない罪悪感に心を傷付けられながら言った。
「ごめん、無理だ。僕はもうそういう世界には戻れないんだ。」
「そうよね。ごめんね。無理な事言って。」
「いや、こちらこそ、ごめん。セイナの力にはなれないんだ。」
「良いの。じゃあね。」
そう言うと、セイナは走っていった。
その後ろ姿を悲しげに見ていたアリスに、エコーは言った。
「ねえ、気付いた?アリス。」
「うん、セイナ、」
そう言ってアリスは一呼吸おくと続けた。
「彼女はチェンジャーだ。」
「やっぱ分かってたかー。」
「まぁ、でも力はまだ使ってないようだし。」
「だねー。」
「もう少しここに留まる必要がありそうだ。」
翌日。
昼過ぎ。
アリスとエコーは、高校の屋上が良く見える、高校の向かい側のマンションの屋上にいた。
「いやー、暑いねぇ・・・。」
とエコーが言う。この場所は直射日光が直に当たる場所なのだ。その直射日光も7月の梅雨過ぎに大地を照らすあのとびきり暑いやつだ。
「そうだね。かといって、学校に行くわけにはいかないし・・・。」
と、そう言ってアリスが策を考えようとした時、学校の屋上に3人の女子生徒が現れた。
何をしているかアリスには分かった。
トキスケだった頃、セイナが良く受けていた「招集」というやつだ。
だが招集とは名ばかりで実際はいじめっ子が1人を集中的に攻撃するというものである。
アリスがトキスケだった頃はかばっていたのであまり行われていなかったが、アリスが死ぬとすぐリムも転校してしまい、孤立したセイナに対する招集は激しくなる一方だったようだ。
彼女から出ていたチェンジャーのプレッシャーはかなり強いものだったので、今は「原因」を抑え込めているが招集の最中で力が解き放たれてもおかしくない。
セイナが突き飛ばされ、激しく蹴られる。
今すぐにでも助けに行こうとする心をアリスは必死に抑える必要があった。殺し屋は表立って現世に干渉し過ぎてはいけないのだ。
「悲しいねエコー。僕はこんな力をもっているのに目の前で傷つけられる人一人救うことはできないのさ。」
アリスは自分を皮肉るように怒りのこもった声音で言った。エコーが心配そうにアリスを見上げたがアリスは彼を見てもいなかった。
アリスの心は怒りで染まっていた。その怒りの矛先はアリス自身だ。力があるにも拘らず人を助ける事もできない自分自身への怒り。
と、セイナを蹴っていた女子2人が急に吹き飛ばされた。
セイナが立ち上がる。その周囲には竜巻が起こっている。
「遂に解き放ったか。まずいな。行くぞ、エコー。」
アリスは冷酷な声で言った。悪ではなかった人を悪として倒さねばならない事に葛藤を覚えているのだ。
そのいつもとの変わりようにエコーは驚いていた。アリスがここまで憤慨しているのは見たことがない。
アリスは人間離れした脚力でマンションの屋上から跳んだ。エコーも同じように人間離れした脚力で跳ぶ。
大通り分の幅を跳躍し終える直前、アリスは剣を抜きコートを脱ぎ捨てた。機械の手が露になる。
エコーは、いつもならアリスは言ってからコートを脱ぐのにな、と思い心配そうな顔をしながらコートを空中でキャッチした。よほどアリスは怒っているのだろう。と、コートから日記帳が落ちてしまった。下は車道だ。
「しまったっ・・・!あれがないと殺し屋世界<キラーワールド>に帰れないのに!」
エコーは風の抵抗を受けるため、その場で両手両足を目一杯広げ、全身でじたばたしてみた。
すると、高校へと弧を描くように跳んでいたエコーは
「ぷぎゃっ!?」
桜並木の葉桜に激突して、葉を盛大に撒き散らしながら歩道に落ちた。
そしてごろごろ連続で前転を5回した後、唖然とする通行人の前で止まった。それでもすぐにエコーは立ち上がり、1人の通行人の男に、
「コレ持っといて!」
とコートを渡すと、信号が赤で止まっている車の間を素早く縫うようにして通り抜け、落ちていた日記帳を拾った。
「ふう、間に合った。」
そうエコーが言うと同時に、信号が青になった。
アリスは、屋上に着地すると同時に転がって衝撃を殺した。女子2人が急いで校舎内に入って行くが今の彼にそれを気にする余裕はない。
アリスは立ち上がり、セイナ、いやいまやセイナを覆い尽くさんとする竜巻と対峙した。
と、竜巻の先端がどんどん空へ上がっていく。
「セイナ、落ち着けっ!」
そうアリスが叫ぶが答えは無い。
と、一瞬だけできた竜巻の切れ目から、セイナの顔が見えた。哀しそうに、しかし微笑んでいた。
「・・・・・・。ごめんね・・・。」
「待てよっ、セイナぁぁっっっ!」
またセイナを竜巻が覆い尽くした。
空はだんだん暗くなってきた。少し前まで晴れていたのに、今では文字通り暗雲が垂れ込めている。
竜巻の先端が雲の上まで到達した。
それと同時に、竜巻の中から光が幾筋も現れた。その光はどんどん数を増やしていき、竜巻を内側から吹き飛ばして、空の雲までも全て消し去っていった。
全て消えた空にいたのは1人の天使。空で羽ばたき滞空している。言葉通り背から翼が生えている。チェンジャー能力を駆使し同密度の校舎の一部を翼に変え、己の体に接合したのだ。その手には同じようにして作られた槍が握られている。最早セイナは「原因」に完全に呑み込まれてしまっている。殺して「原因」を除去し元に戻すしかない。
「お前は何者だ。最早セイナでは無い・・・。ならば。何者だ。」
アリスは静かに、しかし迫力ある声で言った。
「そうだな、我が名は・・・。」
そう言ってセイナだった天使は自らの纏う純白の光を見た。
「この純白の光・・・。我は正しく人々を浄化する天使の到来を世界に告げる真の鐘・・・。そう、我が名は純白なるトゥルーリィベル。」
「純白なるトゥルーリィベル、か。人々を浄化する天使だの、到来を告げる真の鐘だの言ってるが、危ない宗教信じてんだろ、『原因』のくせして。」
誇らしく言った純白なるトゥルーリィベルに、アリスはそう言い返すと、更にこう続けた。
「お前からセイナを取り戻す、ベル!」
エコーはしまった、と思った。
信号が青になった、ということはつまり自分はこの車の群れの内どれか1台に轢かれてもおかしくない、ということだ。死んだ身と言えど、実体があるので話は別だ。
というわけで元々充分人目を引いてしまっているのでできればもう使いたくなかったが、車道から歩道へ、
「えいっ。」
通常の人間からすれば大々ジャンプとしか言えない普通のジャンプをした。身体能力はあげてもらっておくに限る。
エコーは顎が外れんばかりに開いている男から
「ありがとねっ!」
と言って持ってもらっていたコートを強引に奪い取りながら(エコー本人としては渡されて受け取ったつもり)走り歩道から高校の外壁を跳び越え、高校の敷地に入った。
空には雲がかかっている。
「急がないとね。」
エコーはそうひとりごちると、日記帳をコートの内ポケットにしまってからそれを脇に抱えて、助走をつけて校舎へと跳躍した。
2階の窓枠上部に手がかかった。窓ガラスの内側で高校生達が全員こちらをポカンと見ていた。
エコーはその全員に愛想笑いをすると、窓ガラスを蹴破り、瞬時にガラス片をゼリーに変えると中に入った。
そして教室内をスライディングしドアに近付くと、ドアを開けて
「失礼しました!」
と言ってから教室から出てドアを閉め、屋上に向かう階段を探し始めた。
「ぐあっ!!」
アリスは純白なるトゥルーリィベル⎯⎯通称ベル(アリス命名)に向かっていった直後、槍による遠隔斬撃(武器を振った時にその威力をパラレルワールドに存在する同威力の遠隔斬撃に変える攻撃のことをこの作品ではこう表現する)によって弾き飛ばされた。
「何だ?噂ほどでも無いな、アリス。さっさと自由殺戮状態<フリーダムキラー>になるが良い。」
嘲笑うようにベルが言った。
「ちっ!言われなくともなってやる!」
髪が赤くなり、目も赤くなって残光を帯びる。無重力状態になって攻防速共に2倍になった力を上空からビーム斬撃やバリアで示すその姿は、戦場に吹く一陣の風を連想させるチート能力、自由殺戮状態<フリーダムキラー>。
「セイナを寄生主に選んだこと、後悔させてやるぜ、ベル!」
「さあ来い、返り討ちにしてくれる!」
まるで鳥のように純白なるトゥルーリィベルは空の高みへ己の翼で舞い上がる。
それに続くようにアリスは自らにかかる重力を0にした。無重力。
「喰らえぇっっ!」
アリスが剣を横薙ぎに振るう。が、ガキンッ!という金属と金属がぶつかり合う音がそこら中に響き渡った。
純白なるトゥルーリィベルが槍でアリスの剣を受け止めたのだ。
アリスは弾き飛ばされてしまう。
「ッ!?強いっ!」
アリスは途中で自らに重力をかけると、すぐ0に戻し反動で跳ぶ。
純白なるトゥルーリィベルの頭上で自分に再び重力をかけるとアリスは突きの姿勢をとった。が、途中で剣先の軌道を変え、純白なるトゥルーリィベルを袈裟切りに切る。
だがそれも槍で防がれ、逆に至近距離で光波(自らの持つ力を実体に変えて手のひらから放つもの。本来は妖怪退治に用いられるが、「原因」はチェンジャーの力を実体に変えさせしばしばこれを使う)を受け、吹き飛ばされた。
そこへ更に1発の光波と2発の遠隔斬撃をアリスは喰らってしまった。
「ぐぁぁぁっっっ!!!」
重力の制御が効かなくなったアリスに純白なるトゥルーリィベルは飛びかかった。
そして彼の首を掴むと、今一度高みに飛び、そこでアリスを槍の穂先で突き殺そうとした。
「させ・・・るかよ・・・。馬鹿が。」
そう言ってアリスはにやりと笑うと、後少しで彼の心臓を貫いていた槍を機械の左手で防いだ。
左手がミシミシ悲鳴を上げる。しばらくして、左手はバラバラに壊れた。
「へっ、ざまーみやがれ、そう簡単に、死なねえな、俺は。」
あえぎながら左手を失ったアリスは、それでも挑むような目付きで目の前の敵を見やる。
「フンッ、くだらん。もういい、どうせその体では何もできまい。無様に死ぬが良い。」
苛立ったように言う純白なるトゥルーリィベルにアリスは返す。
「ああ、ありがたくそうさせてもらう。」
純白なるトゥルーリィベルに放り投げられたアリスは、一瞬だけ宙に留まると、本人の感覚ではゆっくり、それでも本当は猛スピードで落下していった。赤かった髪と目は元の色に戻る。
と、上空から純白なるトゥルーリィベルが光波を放った。
但し今度は校舎に向けて、だ。
「させるか。セイナに、それだけは、やらせは、しない・・・。」
一瞬だけアリスの眼光が鋭くなった。その目は正確に光波の動きを把握し、確実にその予測軌道を割り出した。
「そこっ!」
次の瞬間、アリスは剣を投擲した。アリスの手から離れた剣は弧を描き、見事光波を防いだ。が、光波を防ぐと同時に、光波の力で剣は粉々に砕け散った。
「僕と一緒に死ねて満足か?」
アリスはまるで剣に語りかけるように言う。
もう一度上空から光波が撃たれた。
但し、今回はアリスへ。その光波をアリスは機械の右手で防いだ。右手も衝撃で砕け散る。
金属片を空へ撒き散らしながら、アリスは微笑んでいた。満ち足りていたのだ。
エコー。まだ君は来るなよ。先に待っているさ。リムも、セイナも。先に待っていよう。あの空の向こう側で。
その思考を最後に両腕を失い高速で校舎へと墜ちていく殺し屋は、意識を失った。
エコーが屋上にようやく着いて見たものは、両腕を失って落ちてくる相棒だ。
「ア、アリスッ!」
エコーは全力でアリスが落ちるであろう場所へ走る。
「間に合えぇっ!!!」
無論、間に合うはずがない。エコーが着いたときにはもうアリスはかなり屋上に近付いていた。スピードから見てもあと数秒後にエコーからは少し離れた屋上中央に落ちる。それでも、
「がぁぁぁっっっ!」
言葉になっていない声を出してエコーは走り続ける。アリスはもう屋上まで数メートルの高さに迫っていた。
アリスはもう助からない。あのスピードで落ちればいくら殺し屋でも命は無い。
と、アリスの落ちるスピードがいきなり目に見えて遅くなった。
「アリスッ!」
エコーが屋上に着いて寝かされた状態のアリスに駆け寄る。
「起きてよ、しっかりしなって、ねぇ、アリス!」
ぴくりともアリスは動かない。
「無念だ・・・。」
エコーの横からいきなり声がした。エコーがその方向を見ると、
「ジンネマンさん・・・?」
ジンネマンがいた。
「恐らくアリスは死んでいない。そこは安心しろ。」
「・・・。良かったぁ・・・。」
「しかし、遅かったか。敵には逃げられてしまったな。ま、俺がいてどうこうなった訳でも無いが。」
「へ?ジンネマンさんて、アリスの上司だからアリスより強いんじゃ・・・?」
「そうでもない。俺は、アリスの監視役ってとこだな。」
「はい?」
頭に疑問符が浮かびまくるエコー。
「話は後だ。ひとまず殺し屋世界<キラーワールド>に戻らなければ。」
「あ、は、はいっ!」
目的であるチェンジャー2人の内1人は倒し、残りは1人。
だが、いつもはコンピューターですぐにチェンジャーを見つけられるエコーも今回はまったく成果をあげられていなかった。
「街の外に逃げたかな?」
考え込んだ表情でエコーが言う。
「それか、今のところチェンジャーの力に目覚めていないか、じゃなきゃ『原因』を押さえ込めているか。」
「それもあるねー。ともかく、こうなれば歩いて自力で探すしかないね。」
「そうだなぁ・・・。とりあえず、高校の近くでも歩いてみようか。」
「高校?何で?今日は日曜日だよ?それにさ、知ってる人に気付かれたらどうすんの?」
「ここまで来て行かないのも勿体ないし、それに学校周辺にチェンジャーがいるかも知れないしさ。第一、あそこなら大通りに面してるしね。」
そう自信ありげに答えたアリスに、エコーは
「う~ん・・・。ま、気付かれたらアリスの責任で。」
と返した。
「良いよ、それで。さぁ、早いとこ行こう。」
数分後。
アリスとエコーは大通りにいた。が、
「ここにはいないね。」
楽しむような声でエコーは言った。
「う~ん、そうだね・・・。しょうがない、商店街でも探してみよう。」
アリスはそう答えた。
数分後。
2人は商店街にいた。が、
「この人の量だとさ、気付かれるんじゃない?」
エコーが言う。
商店街は、日曜日だからか人が多かった。
「あの頃は僕コートなんて着なかったから・・・。あの二人じゃなきゃ気付かないよ。」
そうアリスが言う。
2人は商店街を進み始めた。
それからしばらくして。
急にピタリとエコーが立ち止まった。
「?どうしたんだい、エコー?」
アリスが聞くと、エコーは答えた。
「近くにチェンジャーがいる。しかも、結構強いかも・・・。」
「ま、まじですかっ。」
アリスは周囲を確認しようとした。その時、アリスは急に後ろから抱きしめられた。
「ぷぎゃっ!?」
アリスがパニックになってそう言う。
「トキスケっ!」
後ろから声が聞こえて、アリスはそれが誰かようやく分かった。
「セイナ・・・。」
苦笑してアリスが言う。
「とりあえず路地裏で話さないか、セイナ。」
アリスはそう言うと、泣きじゃくるセイナの腕をとって歩き始めた。
「落ち着いた?」
「う、まあ。トキスケが目の前にいるのが理解できないけれど。」
「まあね、僕はもう死んでるし。」
他人事のようにアリスが言う。
「トキスケ、自分のこと僕って言ってなかったけど。」
「それは当たっている。僕はもうトキスケじゃ無くなってるから。」
「どういうこと?生き返ったの?」
「生き返るというより蘇生させられたってカンジ。その時に僕はアリスじゃなくなって、元の正確も封印されたのさ。今の僕は殺し屋及び魂の浄化人<ソウルクリーナー>ガイア級百番。コードネームはアリス。でこっちが、」
暇そうにしていたエコーは自分に話題が回って来て嬉しかったのか、底抜けに明るく言った。
「アリスのアシスタントのエコーです!」
「詳しいことは今から説明するよ。」
そう言うとアリスは自分の身の上を語り始めた。
「そう・・・。状況がまだ上手く飲み込めないわね。」
言い終わるとセイナが言った。
「まあ良いんだ。どっかで今も生きてると思ってくれれば。あと、この事はできれば誰にも言わないでくれよ。」
「分かった。」
「ところで、リムは?」
アリスが聞いた。セイナが1人なのが気がかりだったのだ。
「それが、引っ越しちゃって。あの時言おうと思ってたのはその事だったんだって。」
「えっ、本当に!?引っ越したのか、リムは。」
「そう。それでさ、私元々いじめられてたじゃない?トキスケとリムが守ってくれてたから良かったけど、2人共いなくなってからまたいじめられてるの。だからさ、トキスケ。戻って来てくれない?」
そうセイナが言った。アリスは人1人守れない罪悪感に心を傷付けられながら言った。
「ごめん、無理だ。僕はもうそういう世界には戻れないんだ。」
「そうよね。ごめんね。無理な事言って。」
「いや、こちらこそ、ごめん。セイナの力にはなれないんだ。」
「良いの。じゃあね。」
そう言うと、セイナは走っていった。
その後ろ姿を悲しげに見ていたアリスに、エコーは言った。
「ねえ、気付いた?アリス。」
「うん、セイナ、」
そう言ってアリスは一呼吸おくと続けた。
「彼女はチェンジャーだ。」
「やっぱ分かってたかー。」
「まぁ、でも力はまだ使ってないようだし。」
「だねー。」
「もう少しここに留まる必要がありそうだ。」
翌日。
昼過ぎ。
アリスとエコーは、高校の屋上が良く見える、高校の向かい側のマンションの屋上にいた。
「いやー、暑いねぇ・・・。」
とエコーが言う。この場所は直射日光が直に当たる場所なのだ。その直射日光も7月の梅雨過ぎに大地を照らすあのとびきり暑いやつだ。
「そうだね。かといって、学校に行くわけにはいかないし・・・。」
と、そう言ってアリスが策を考えようとした時、学校の屋上に3人の女子生徒が現れた。
何をしているかアリスには分かった。
トキスケだった頃、セイナが良く受けていた「招集」というやつだ。
だが招集とは名ばかりで実際はいじめっ子が1人を集中的に攻撃するというものである。
アリスがトキスケだった頃はかばっていたのであまり行われていなかったが、アリスが死ぬとすぐリムも転校してしまい、孤立したセイナに対する招集は激しくなる一方だったようだ。
彼女から出ていたチェンジャーのプレッシャーはかなり強いものだったので、今は「原因」を抑え込めているが招集の最中で力が解き放たれてもおかしくない。
セイナが突き飛ばされ、激しく蹴られる。
今すぐにでも助けに行こうとする心をアリスは必死に抑える必要があった。殺し屋は表立って現世に干渉し過ぎてはいけないのだ。
「悲しいねエコー。僕はこんな力をもっているのに目の前で傷つけられる人一人救うことはできないのさ。」
アリスは自分を皮肉るように怒りのこもった声音で言った。エコーが心配そうにアリスを見上げたがアリスは彼を見てもいなかった。
アリスの心は怒りで染まっていた。その怒りの矛先はアリス自身だ。力があるにも拘らず人を助ける事もできない自分自身への怒り。
と、セイナを蹴っていた女子2人が急に吹き飛ばされた。
セイナが立ち上がる。その周囲には竜巻が起こっている。
「遂に解き放ったか。まずいな。行くぞ、エコー。」
アリスは冷酷な声で言った。悪ではなかった人を悪として倒さねばならない事に葛藤を覚えているのだ。
そのいつもとの変わりようにエコーは驚いていた。アリスがここまで憤慨しているのは見たことがない。
アリスは人間離れした脚力でマンションの屋上から跳んだ。エコーも同じように人間離れした脚力で跳ぶ。
大通り分の幅を跳躍し終える直前、アリスは剣を抜きコートを脱ぎ捨てた。機械の手が露になる。
エコーは、いつもならアリスは言ってからコートを脱ぐのにな、と思い心配そうな顔をしながらコートを空中でキャッチした。よほどアリスは怒っているのだろう。と、コートから日記帳が落ちてしまった。下は車道だ。
「しまったっ・・・!あれがないと殺し屋世界<キラーワールド>に帰れないのに!」
エコーは風の抵抗を受けるため、その場で両手両足を目一杯広げ、全身でじたばたしてみた。
すると、高校へと弧を描くように跳んでいたエコーは
「ぷぎゃっ!?」
桜並木の葉桜に激突して、葉を盛大に撒き散らしながら歩道に落ちた。
そしてごろごろ連続で前転を5回した後、唖然とする通行人の前で止まった。それでもすぐにエコーは立ち上がり、1人の通行人の男に、
「コレ持っといて!」
とコートを渡すと、信号が赤で止まっている車の間を素早く縫うようにして通り抜け、落ちていた日記帳を拾った。
「ふう、間に合った。」
そうエコーが言うと同時に、信号が青になった。
アリスは、屋上に着地すると同時に転がって衝撃を殺した。女子2人が急いで校舎内に入って行くが今の彼にそれを気にする余裕はない。
アリスは立ち上がり、セイナ、いやいまやセイナを覆い尽くさんとする竜巻と対峙した。
と、竜巻の先端がどんどん空へ上がっていく。
「セイナ、落ち着けっ!」
そうアリスが叫ぶが答えは無い。
と、一瞬だけできた竜巻の切れ目から、セイナの顔が見えた。哀しそうに、しかし微笑んでいた。
「・・・・・・。ごめんね・・・。」
「待てよっ、セイナぁぁっっっ!」
またセイナを竜巻が覆い尽くした。
空はだんだん暗くなってきた。少し前まで晴れていたのに、今では文字通り暗雲が垂れ込めている。
竜巻の先端が雲の上まで到達した。
それと同時に、竜巻の中から光が幾筋も現れた。その光はどんどん数を増やしていき、竜巻を内側から吹き飛ばして、空の雲までも全て消し去っていった。
全て消えた空にいたのは1人の天使。空で羽ばたき滞空している。言葉通り背から翼が生えている。チェンジャー能力を駆使し同密度の校舎の一部を翼に変え、己の体に接合したのだ。その手には同じようにして作られた槍が握られている。最早セイナは「原因」に完全に呑み込まれてしまっている。殺して「原因」を除去し元に戻すしかない。
「お前は何者だ。最早セイナでは無い・・・。ならば。何者だ。」
アリスは静かに、しかし迫力ある声で言った。
「そうだな、我が名は・・・。」
そう言ってセイナだった天使は自らの纏う純白の光を見た。
「この純白の光・・・。我は正しく人々を浄化する天使の到来を世界に告げる真の鐘・・・。そう、我が名は純白なるトゥルーリィベル。」
「純白なるトゥルーリィベル、か。人々を浄化する天使だの、到来を告げる真の鐘だの言ってるが、危ない宗教信じてんだろ、『原因』のくせして。」
誇らしく言った純白なるトゥルーリィベルに、アリスはそう言い返すと、更にこう続けた。
「お前からセイナを取り戻す、ベル!」
エコーはしまった、と思った。
信号が青になった、ということはつまり自分はこの車の群れの内どれか1台に轢かれてもおかしくない、ということだ。死んだ身と言えど、実体があるので話は別だ。
というわけで元々充分人目を引いてしまっているのでできればもう使いたくなかったが、車道から歩道へ、
「えいっ。」
通常の人間からすれば大々ジャンプとしか言えない普通のジャンプをした。身体能力はあげてもらっておくに限る。
エコーは顎が外れんばかりに開いている男から
「ありがとねっ!」
と言って持ってもらっていたコートを強引に奪い取りながら(エコー本人としては渡されて受け取ったつもり)走り歩道から高校の外壁を跳び越え、高校の敷地に入った。
空には雲がかかっている。
「急がないとね。」
エコーはそうひとりごちると、日記帳をコートの内ポケットにしまってからそれを脇に抱えて、助走をつけて校舎へと跳躍した。
2階の窓枠上部に手がかかった。窓ガラスの内側で高校生達が全員こちらをポカンと見ていた。
エコーはその全員に愛想笑いをすると、窓ガラスを蹴破り、瞬時にガラス片をゼリーに変えると中に入った。
そして教室内をスライディングしドアに近付くと、ドアを開けて
「失礼しました!」
と言ってから教室から出てドアを閉め、屋上に向かう階段を探し始めた。
「ぐあっ!!」
アリスは純白なるトゥルーリィベル⎯⎯通称ベル(アリス命名)に向かっていった直後、槍による遠隔斬撃(武器を振った時にその威力をパラレルワールドに存在する同威力の遠隔斬撃に変える攻撃のことをこの作品ではこう表現する)によって弾き飛ばされた。
「何だ?噂ほどでも無いな、アリス。さっさと自由殺戮状態<フリーダムキラー>になるが良い。」
嘲笑うようにベルが言った。
「ちっ!言われなくともなってやる!」
髪が赤くなり、目も赤くなって残光を帯びる。無重力状態になって攻防速共に2倍になった力を上空からビーム斬撃やバリアで示すその姿は、戦場に吹く一陣の風を連想させるチート能力、自由殺戮状態<フリーダムキラー>。
「セイナを寄生主に選んだこと、後悔させてやるぜ、ベル!」
「さあ来い、返り討ちにしてくれる!」
まるで鳥のように純白なるトゥルーリィベルは空の高みへ己の翼で舞い上がる。
それに続くようにアリスは自らにかかる重力を0にした。無重力。
「喰らえぇっっ!」
アリスが剣を横薙ぎに振るう。が、ガキンッ!という金属と金属がぶつかり合う音がそこら中に響き渡った。
純白なるトゥルーリィベルが槍でアリスの剣を受け止めたのだ。
アリスは弾き飛ばされてしまう。
「ッ!?強いっ!」
アリスは途中で自らに重力をかけると、すぐ0に戻し反動で跳ぶ。
純白なるトゥルーリィベルの頭上で自分に再び重力をかけるとアリスは突きの姿勢をとった。が、途中で剣先の軌道を変え、純白なるトゥルーリィベルを袈裟切りに切る。
だがそれも槍で防がれ、逆に至近距離で光波(自らの持つ力を実体に変えて手のひらから放つもの。本来は妖怪退治に用いられるが、「原因」はチェンジャーの力を実体に変えさせしばしばこれを使う)を受け、吹き飛ばされた。
そこへ更に1発の光波と2発の遠隔斬撃をアリスは喰らってしまった。
「ぐぁぁぁっっっ!!!」
重力の制御が効かなくなったアリスに純白なるトゥルーリィベルは飛びかかった。
そして彼の首を掴むと、今一度高みに飛び、そこでアリスを槍の穂先で突き殺そうとした。
「させ・・・るかよ・・・。馬鹿が。」
そう言ってアリスはにやりと笑うと、後少しで彼の心臓を貫いていた槍を機械の左手で防いだ。
左手がミシミシ悲鳴を上げる。しばらくして、左手はバラバラに壊れた。
「へっ、ざまーみやがれ、そう簡単に、死なねえな、俺は。」
あえぎながら左手を失ったアリスは、それでも挑むような目付きで目の前の敵を見やる。
「フンッ、くだらん。もういい、どうせその体では何もできまい。無様に死ぬが良い。」
苛立ったように言う純白なるトゥルーリィベルにアリスは返す。
「ああ、ありがたくそうさせてもらう。」
純白なるトゥルーリィベルに放り投げられたアリスは、一瞬だけ宙に留まると、本人の感覚ではゆっくり、それでも本当は猛スピードで落下していった。赤かった髪と目は元の色に戻る。
と、上空から純白なるトゥルーリィベルが光波を放った。
但し今度は校舎に向けて、だ。
「させるか。セイナに、それだけは、やらせは、しない・・・。」
一瞬だけアリスの眼光が鋭くなった。その目は正確に光波の動きを把握し、確実にその予測軌道を割り出した。
「そこっ!」
次の瞬間、アリスは剣を投擲した。アリスの手から離れた剣は弧を描き、見事光波を防いだ。が、光波を防ぐと同時に、光波の力で剣は粉々に砕け散った。
「僕と一緒に死ねて満足か?」
アリスはまるで剣に語りかけるように言う。
もう一度上空から光波が撃たれた。
但し、今回はアリスへ。その光波をアリスは機械の右手で防いだ。右手も衝撃で砕け散る。
金属片を空へ撒き散らしながら、アリスは微笑んでいた。満ち足りていたのだ。
エコー。まだ君は来るなよ。先に待っているさ。リムも、セイナも。先に待っていよう。あの空の向こう側で。
その思考を最後に両腕を失い高速で校舎へと墜ちていく殺し屋は、意識を失った。
エコーが屋上にようやく着いて見たものは、両腕を失って落ちてくる相棒だ。
「ア、アリスッ!」
エコーは全力でアリスが落ちるであろう場所へ走る。
「間に合えぇっ!!!」
無論、間に合うはずがない。エコーが着いたときにはもうアリスはかなり屋上に近付いていた。スピードから見てもあと数秒後にエコーからは少し離れた屋上中央に落ちる。それでも、
「がぁぁぁっっっ!」
言葉になっていない声を出してエコーは走り続ける。アリスはもう屋上まで数メートルの高さに迫っていた。
アリスはもう助からない。あのスピードで落ちればいくら殺し屋でも命は無い。
と、アリスの落ちるスピードがいきなり目に見えて遅くなった。
「アリスッ!」
エコーが屋上に着いて寝かされた状態のアリスに駆け寄る。
「起きてよ、しっかりしなって、ねぇ、アリス!」
ぴくりともアリスは動かない。
「無念だ・・・。」
エコーの横からいきなり声がした。エコーがその方向を見ると、
「ジンネマンさん・・・?」
ジンネマンがいた。
「恐らくアリスは死んでいない。そこは安心しろ。」
「・・・。良かったぁ・・・。」
「しかし、遅かったか。敵には逃げられてしまったな。ま、俺がいてどうこうなった訳でも無いが。」
「へ?ジンネマンさんて、アリスの上司だからアリスより強いんじゃ・・・?」
「そうでもない。俺は、アリスの監視役ってとこだな。」
「はい?」
頭に疑問符が浮かびまくるエコー。
「話は後だ。ひとまず殺し屋世界<キラーワールド>に戻らなければ。」
「あ、は、はいっ!」
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