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第七十五章『EEEその十三』

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   ユニーバの衣装室で礼朗、咲羅は『image colour』の衣装を考えていた。
礼朗「どうしようか?」
咲羅「そうね、まずは過去の衣装を見ましょう」
   そう言うと咲羅はEEEのライブ衣装やシングルやアルバムに使った衣装を取り出した、どれもきらびやかな衣装だ。
礼朗「目立つものばっかりだね」
咲羅「仕方ないでしょ?   目立つにはこれしかないって社長が言うから」
礼朗「目立ちすぎるのもあれだね……」
咲羅「とにかく過去の衣装を見て参考にしましょう」
   咲羅と礼朗はライブ衣装やシングルやアルバムに使った衣装を一着ずつ見てみた、しかし何も浮かばず一日が終わってしまった。
咲羅「しょうがないわ、明日があるから考えましょう」
礼朗「それもそうだね」
   咲羅と礼朗はそのまま衣装室を後にしたのだった。
   帰り道、咲羅と礼朗は喋りながら帰っていった。
咲羅「結局どうするのよ……」
礼朗「だったら俺ん家に来る?」
咲羅「そうね」
   咲羅は礼朗の家を泊まりに行ったのだった。
   咲羅は礼朗の家の中に入った、中を見ると花が飾ってあるのだ。
咲羅「花はやっぱり落ち着くわね」
礼朗「オイオイ……調べるものがあるだろう」
咲羅「そうだったわね」
   礼朗はパソコンを取り出し、最近のアーティストのファッションブームを調べてみた。
礼朗「うんうん」
咲羅「どう?」
礼朗「なんだろう、シンプルに着飾ってる人が多いね」
   今のアーティストのファッションブームはシンプルが流行っているようだ。
礼朗「そうだ、ファンの人が真似しやすいようにシンプルに着飾るのはどう?」
咲羅「なるほど、そうすればファンも増える可能性だってある、しかも曲のイメージにもぴったりね」
礼朗「どう言うことだ?」
   礼朗は気づかないらしい。
咲羅「『image colour』は歌詞を見て、応援ソングに感じた、だから煌びやかに着飾るんじゃなくてシンプルに着飾ればファンが私達に応援されてる感じになるわ」
礼朗「なるほど、乗った!」
   こうして『image colour』の衣装はシンプルに決めた。
   翌日、ユニーバの衣装室で咲羅と礼朗はメンバーの衣装を考え始めた。
礼朗「まずは彰だな」
咲羅「彰は見た目が幼すぎるからどれ来ても似合わなそうだけど」
礼朗「ふむ……難しい」
   二人は彰の衣装を考え込む、そして。
礼朗「決まった」
咲羅「どんな感じに?」
礼朗「白いTシャツにジーパン、白いスニーカーならいけるんじゃない?」
咲羅「それじゃシンプルすぎるわよ」
   咲羅の言う通り、それじゃシンプルすぎるのだ。
礼朗「むっそうか、いいと思ったが」
咲羅「ファンのみんなはファッションを真似できると思うけど、何かもう一つ着飾らないと」
礼朗「ん……今までは男性メンバー全員衣装が同じだったから違うのにしたいんだが」
咲羅「なるほど、その方がかえって覚えやすいわ」
礼朗「だからそうしたいけど」
咲羅「白いTシャツにジーパン、白いスニーカーだと同じパターンになるわ」
礼朗「う……」
   またここで行き詰まってしまう。
礼朗「じゃあ、どうすれば」
咲羅「まず、白を基調するのは間違いないわ、後、何かが足りないのよ」
礼朗「俺たちのイメージカラー通りに着ると強すぎてしまう」
咲羅「確かに、もう分かって貰ってるものね」
   EEEのイメージカラー通りの衣装だと分かりやすすぎて飽きてしまうことも少なくない。
礼朗「そうだ、EEEの好きな色を聞いてみようぜ」
咲羅「はぁ!?」
礼朗「そうすればファンは俺たちの好きな色は分かってくれるはずだ」
咲羅「……私は既に知ってるけど」
礼朗「なぁ!?」
   咲羅の発言に礼朗は驚きが隠せないようだ。
咲羅「社長である私のお父さんが私にだけEEEの好きな色を見せてくれたの」
礼朗「う……流石咲羅のお父さん」
咲羅「彰は赤で奏太は黒、康平は緑で大補は黄色」
礼朗「俺は紫が好きだけど」
咲羅「私は青が好きだわ」
   EEEのイメージカラーと好きな色は違うものだ。
咲羅「そうだわ……」
礼朗「なんだ?」
咲羅「これよ!」
   咲羅は紙とシャーペンを取り出し、書きながら説明した。
咲羅「白いTシャツについてよ!   ただの白いTシャツじゃ物足りなかったのよ!   白いTシャツにEEEのメンバーカラーと好きな色の太い線を入れればいいじゃない!」
礼朗「お!   その手があったか!」
   メンバー全員の上着の衣装は決まった。
礼朗「下はどうするんだ?」
咲羅「そうね、まずは彰からね」
礼朗「彰は白い短パンでいいじゃね?」
咲羅「似合いそうね」
礼朗「奏太は?」
咲羅「いつも通り白いズボンね」
礼朗「ふむふむ……」
咲羅「康平だと真っ白に染まりがちだわ」
礼朗「ここは敢えてダメージジーンズを履けば?」
咲羅「その方が分かりやすいわ」
礼朗「大補は?」
咲羅「白いムササビパンツを履いてれば似合うじゃない?」
礼朗「なるほどね」
   彰、奏太、康平、大補の衣装が大体決まった、残りが咲羅と礼朗だ。
礼朗「咲羅だったら青いショートパンツでいいんじゃね?」
咲羅「なんでよ?」
礼朗「スカート履くと勿体無くて、Tシャツの丈が長いやつを着て、青いショートパンツを履けば真似しやすいと思う」
咲羅「かえって足を露出するのね、なるほど、礼朗は難しすぎるわ……」
   咲羅は考え込む、そして。
咲羅「ジーパンを履けばいいじゃない?」
礼朗「俺がジーパンを?」
咲羅「ギャップよ、何着飾っても似合いそうだから」
礼朗「今まで王子みたいな格好が多かったからカジュアルな格好で受けを狙えと、面白い!」
咲羅「そしてメンバー全員には白いシューズを履いてもらうわ」
礼朗「いいね、ついでにアクセをつけよう」
咲羅「アクセ?」
礼朗「そうだよ、白いバンダナをつければいい」
咲羅「さらにカジュアルになるわね、いいわ」
   『image colour』の衣装は彰は右手首につける白いバンダナに黄色と赤の線が入った白いTシャツに白い短パンに白いシューズになり、奏太は左手首につける白いバンダナに青と黒の線が入った白いTシャツに白いズボンに白いシューズになり、康平は右手首につける白いバンダナにオレンジと緑の線が入った白いTシャツにダメージジーンズに白いシューズになり、大補は左手首につける白いバンダナに黒と黄色の線が入った白いTシャツに白いムササビパンツに白いシューズになり、礼朗は右手首につける白いバンダナに緑と紫の線が入った白いTシャツにジーパンに白いシューズになり、咲羅は左手首につける白いバンダナに赤と青の線が入った白いTシャツに青いショートパンツに白いシューズになり、カジュアルな衣装になった。
礼朗「これで彩れた!」
咲羅「そうね、後はみんながどう受け入れるかだわ」
礼朗「まだ始まったばかり」
咲羅「みんなを応援するのよ!」
   咲羅と礼朗はやる気満々だ、衣装を決め終わった二人は衣装室を後にしたのだった……。
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