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ニスヒ

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第五章『灰と無』

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    下校中、嬉しそうに帰る裕子。すると見たことがある人が声をかけてきた。
史「楽しそうね」
裕子「史先輩?」
    なんと偶然に史に出会ったのだ、おそらく買い物帰りだろう。
史「こんなに遅くまで珍しい方だね」
裕子「はい……色々ありまして……」
史「その色々とは?」
   史はどうしても裕子が帰る時間が遅いのか気になって仕方ないようだ。
裕子「今日は新しい部活を作る事にしたんです、パレット部という部活なんですけど、ボランティア活動を中心に、暇な時は絵を描いたり、色について勉強するんです!   それが部活を申請するために映美先生と一緒に学園長に許可を得にきたの、そしたら無事にパレット部を立ち上げることが出来たの!」
史「……それで帰りが遅くなったんだ……ってか良かったね、部活出来て」
    裕子が望んだ部活が出来たことに祝福する史。
史「って?   これから部員を集める訳?」
裕子「そうです!   明日からですけど」
史「まっ、こんなに遅いから今集め始めても意味無いしね、顧問の先生っているの?」
裕子「はい、顧問の先生は映美先生ですけど……」
    その言葉に史は驚いたが……そして……
史「じゃ、私、帰らないと、そして裕子、帰り、気をつけて、明日、そのパレット部、詳しく聞かせてくれる?」
裕子「はい、分かりました」
史「それと裕子は何組なの?」
裕子「一年三組です」
史「昼休みに来るから一年三組に残ってね」
   と言い残し史はこのまま帰って行った……史を帰ってくるのを見守ってから裕子は帰っていった……
   裕子の家で考え事をしながら何かを作る裕子、どうやら看板を作って部員を集める作戦のようだ、上手くいくか知らないが、やってみないととさっさと作り終え、そのまま眠ったのだった……
   翌日、裕子は早速朝に学校に行き、学園の玄関付近でパレット部員募集を呼びかける。
裕子「今日からパレット部を創立します!   ただ今募集してます!   内容はボランティア活動がメインです!   高等部限定ですが、楽しいので是非入部してみませんか!」
    裕子は昨夜から描いた下手な看板を持って部活の募集を呼びかける。しかし、中々集まらない。ホームルームが始まる前まで呼びかけたのであった。
    昼休み、裕子は教室で史がくるのを待っていた。しばらくすると史がこの教室に入って来た。
史「……お昼食べた?」
裕子「はい、食べました」
史「早速だけど、パレット部について聞かせてくれる?」
    史の質問で悩む裕子、それでも答えた。
裕子「パレット部はボランティア活動を中心に行って、暇な時は絵を描いたり色の事について調べます」
史「……ふーん、昨日も聞いた」
裕子「ですよね……」
史「質問するね、絵を描くのは美術部をやる事は同じじゃないの?」
裕子「はい、それは散々言われました、絵の具や色鉛筆は自分達で準備して、白黒じゃなくて色んな色に染まるように描くの」
史「なるほど、美術部のやり方とはちょっと違うのね、納得、それと色の事について調べるってどうやって調べるの?」
    難しい質問を攻める史に対してなんとか答えようとする裕子。
裕子「それは……学校の周りの散策や、学校の散策をして、みんなでこの物はどんな色だったか調べます、幼稚っぽいかもしれませんが、それなりに楽しいですよ?それとパソコンで色の事について奥深く調べます」
史「なるほど、確かに言われれば幼稚っぽいけど、発見したものを写真を撮って、何色か話し合うのは面白いかもね、最後の質問、ボランティア活動というのは?」
裕子「ボランティア活動の依頼は主に中等部の学生や高等部の学生、先生達が依頼を出します、依頼がある人はボックスの隣にある鉛筆と紙があります、その紙に書いてこのボックスに入れて、依頼があってもその内容になっているかは先生と話し合って判断します、平日は夕方限定ですけど土日祝日はどこでも大丈夫です、ただし一日一つの依頼しかこなせませんが、それでも人助けやコミュニケーションに繋がればいいなと思ってボランティア活動に入れました」
   裕子の長い説明に黙々と聞いた史は
史「……分かった、とてもいい部活だね、入部していい?」
    まさかの言葉に驚きが隠せない裕子。
裕子「え!    入ってくれるんですか?」
史「パレット部を気になったのはそのため、だから入らせて」
裕子「はい!   喜んで!」
    史が入部することになった、裕子は喜びが隠しきれません。
裕子「よろしくお願いします!   史先輩!」
史「うん、よろしくね」
     お互いに握手を交わし、パレット部の第一歩を踏み出せたのだった……
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