14 / 18
世界はとても残酷で(特にご飯が)
胃袋には逆らえまい
しおりを挟む
「実が料理をするのは認めよう。それに合わせて、食費も増額させる」
いえーい、最良の結果~!
「ただ…条件がある」
「条件とは?」
「…週に一回食事をしたい」
「…ご飯、美味しいもんね」
言いづらそうに目を伏せながら言うお父さんなんか可愛いな。…ママンもしかしてお父さんのこーゆーところにキュンときた?
まあ、しゃーない。ご飯美味いもんな…。
スポンサーの要望には応えなきゃならない。
透子さんと顔を見合わせて頷き合う。
「前もって連絡してね」
「アレルギーはありませんか?」
「受け入れるが早すぎる」
お父さん用の新しい食器買わなきゃね。
ということで、スポンサーを得た私たちが最初にやったことは…。
「牛肉~~~~!!!」
この世界でも牛肉はお高い。
牛乳は流通してるので、その副産物ように牛肉自体は売られている。
霜降りなどは無く赤み肉ばかりだが、それもまた美味しい。と言うか、贅沢は言って言っていられない。牛肉食べられるだけでもありがたい。感謝、こんな世界でも畜産頑張ってる農家さんに圧倒的感謝…!
「立派な肉だね」
牛肉の塊を前に葛木のおばあちゃまがしみじみ呟く。
「ごちそうメニューお願いします!」
「ふむ…牛肉そのものを味わうならローストビーフ、みんな大好きステーキに和の心すき焼き…冬の定番ビーフシチュー、ワイン煮なんかも大人の味わい」
「なんだか想像つきませんがごちそうって感じなのはわかります!」
ひゃー!どれも美味しそう~!テンション上がる~!
名前だけで料理を知らない透子さんのテンションも上がってる。
と言うわけでシャリアピンステーキを作ります。
ローストビーフと迷ったけど、牛肉ならやっぱりステーキかなって。
あと、肉を食べ慣れない貧弱な胃腸を持つ私達なので玉ねぎの力で肉を柔らかくしてから食べた方が良いとおばあちゃまが言っていたので。
透子さんと一緒に玉ねぎを擦りおろします。
イヤホント、葛木さん料理上手…。
シャリアピンステーキなんて、前世でも食べたことないよ…。牛肉の塊があったらとりあえずローストビーフ一択。それか薄く切って焼肉。
「て、手順が複雑…!」
まあ、切って混ぜて焼くか煮るの調理工程ばっかりだったものね。
肉を叩いて伸ばしたり、玉ねぎの酵素を使って柔らかくするって発想が出ない。
ソースも醤油入れて終わりじゃ無いし。
肉が漬け終わるまで、副菜を作る。
芋を茹でて滑らかに潰してマッシュポテト。
人参はグラッセにして、インゲンはバター炒め。
トマトは冷製スープですよ。飾りでパラリとかけられたパセリが食欲をそそる。
人間は三色あると無条件に美味そうと思うらしいね。
そしてメインのお肉様ですよ。
ジューと音を立てて焼かれるお肉様に涎が止まらん。
牛肉が焼かれると、何故人はこんなにもテンションが上がるのか…!
「美味しい」
「まだ食べてないよ、透子さん」
前世ぶりの牛肉は大変美味しゅうございました。
よし、お父さんにも食べさせてより食事沼に沈めよう。
スポンサーの確保大事。
「牛肉は早いよ…」
おばあちゃまに相談したら却下を食らいました。
おばあちゃまに出してもらった粉末を溶かすのではなく、きちんと茶葉を急須でいれた緑茶を啜る。
はー、美味い。
粉末茶も味はそこそこなんだけど、お茶を淹れるのが上手い人がちゃんといれたお茶には敵わない。
「牛肉が早いとは?」
「実ちゃんも透子さんも若いだろ。それだけ消化器官が若いってことだよ。今までシリアルバーとサプリで生きてきたんだろう?そんな食生活だった人間に、いきなり牛肉なんか食べさせたら消化不良起こすよ」
「お父さん、三十代」
「人によるけど、脂がキツくなってくる年頃だね」
「脂が…キツくなる…」
消化機能の衰えを知り、ショックを受ける透子さん。
「というか、最初にコロッケのレシピ渡したけどね、それ以降料理教室は基本の米炊きを教えた後は負担の少ないスープから始めて徐々に煮物、焼き物、それから野菜の揚げ物って段階踏んでいただろう」
めっちゃ考えてくれてる…!
「牛肉食べさせるなら、食事に慣れさせてからにしな」
「はーい」
とりあえず、卵雑炊あたりから食べさせよう。
出汁が好きなら喜んでもらえるよ、たぶん。
ご飯を食べに来たお父さんに卵雑炊を出したら、無言で黙々と食べてた。
おそらくこの人、出汁と卵好き。
いえーい、最良の結果~!
「ただ…条件がある」
「条件とは?」
「…週に一回食事をしたい」
「…ご飯、美味しいもんね」
言いづらそうに目を伏せながら言うお父さんなんか可愛いな。…ママンもしかしてお父さんのこーゆーところにキュンときた?
まあ、しゃーない。ご飯美味いもんな…。
スポンサーの要望には応えなきゃならない。
透子さんと顔を見合わせて頷き合う。
「前もって連絡してね」
「アレルギーはありませんか?」
「受け入れるが早すぎる」
お父さん用の新しい食器買わなきゃね。
ということで、スポンサーを得た私たちが最初にやったことは…。
「牛肉~~~~!!!」
この世界でも牛肉はお高い。
牛乳は流通してるので、その副産物ように牛肉自体は売られている。
霜降りなどは無く赤み肉ばかりだが、それもまた美味しい。と言うか、贅沢は言って言っていられない。牛肉食べられるだけでもありがたい。感謝、こんな世界でも畜産頑張ってる農家さんに圧倒的感謝…!
「立派な肉だね」
牛肉の塊を前に葛木のおばあちゃまがしみじみ呟く。
「ごちそうメニューお願いします!」
「ふむ…牛肉そのものを味わうならローストビーフ、みんな大好きステーキに和の心すき焼き…冬の定番ビーフシチュー、ワイン煮なんかも大人の味わい」
「なんだか想像つきませんがごちそうって感じなのはわかります!」
ひゃー!どれも美味しそう~!テンション上がる~!
名前だけで料理を知らない透子さんのテンションも上がってる。
と言うわけでシャリアピンステーキを作ります。
ローストビーフと迷ったけど、牛肉ならやっぱりステーキかなって。
あと、肉を食べ慣れない貧弱な胃腸を持つ私達なので玉ねぎの力で肉を柔らかくしてから食べた方が良いとおばあちゃまが言っていたので。
透子さんと一緒に玉ねぎを擦りおろします。
イヤホント、葛木さん料理上手…。
シャリアピンステーキなんて、前世でも食べたことないよ…。牛肉の塊があったらとりあえずローストビーフ一択。それか薄く切って焼肉。
「て、手順が複雑…!」
まあ、切って混ぜて焼くか煮るの調理工程ばっかりだったものね。
肉を叩いて伸ばしたり、玉ねぎの酵素を使って柔らかくするって発想が出ない。
ソースも醤油入れて終わりじゃ無いし。
肉が漬け終わるまで、副菜を作る。
芋を茹でて滑らかに潰してマッシュポテト。
人参はグラッセにして、インゲンはバター炒め。
トマトは冷製スープですよ。飾りでパラリとかけられたパセリが食欲をそそる。
人間は三色あると無条件に美味そうと思うらしいね。
そしてメインのお肉様ですよ。
ジューと音を立てて焼かれるお肉様に涎が止まらん。
牛肉が焼かれると、何故人はこんなにもテンションが上がるのか…!
「美味しい」
「まだ食べてないよ、透子さん」
前世ぶりの牛肉は大変美味しゅうございました。
よし、お父さんにも食べさせてより食事沼に沈めよう。
スポンサーの確保大事。
「牛肉は早いよ…」
おばあちゃまに相談したら却下を食らいました。
おばあちゃまに出してもらった粉末を溶かすのではなく、きちんと茶葉を急須でいれた緑茶を啜る。
はー、美味い。
粉末茶も味はそこそこなんだけど、お茶を淹れるのが上手い人がちゃんといれたお茶には敵わない。
「牛肉が早いとは?」
「実ちゃんも透子さんも若いだろ。それだけ消化器官が若いってことだよ。今までシリアルバーとサプリで生きてきたんだろう?そんな食生活だった人間に、いきなり牛肉なんか食べさせたら消化不良起こすよ」
「お父さん、三十代」
「人によるけど、脂がキツくなってくる年頃だね」
「脂が…キツくなる…」
消化機能の衰えを知り、ショックを受ける透子さん。
「というか、最初にコロッケのレシピ渡したけどね、それ以降料理教室は基本の米炊きを教えた後は負担の少ないスープから始めて徐々に煮物、焼き物、それから野菜の揚げ物って段階踏んでいただろう」
めっちゃ考えてくれてる…!
「牛肉食べさせるなら、食事に慣れさせてからにしな」
「はーい」
とりあえず、卵雑炊あたりから食べさせよう。
出汁が好きなら喜んでもらえるよ、たぶん。
ご飯を食べに来たお父さんに卵雑炊を出したら、無言で黙々と食べてた。
おそらくこの人、出汁と卵好き。
20
お気に入りに追加
95
あなたにおすすめの小説

目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み

転生した世界のイケメンが怖い
祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。
第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。
わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。
でもわたしは彼らが怖い。
わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。
彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。
2024/10/06 IF追加
小説を読もう!にも掲載しています。


義母ですが、若返って15歳から人生やり直したらなぜか溺愛されてます
富士とまと
恋愛
25歳で行き遅れとして実家の伯爵家を追い出されるように、父親より3つ年上の辺境伯に後妻として嫁がされました。
5歳の義息子と3歳の義娘の面倒を見て12年が過ぎ、二人の子供も成人して義母としての役割も終わったときに、亡き夫の形見として「若返りの薬」を渡されました。
15歳からの人生やり直し?義娘と同級生として王立学園へ通うことに。
初めての学校、はじめての社交界、はじめての……。
よし、学園で義娘と義息子のよきパートナー探しのお手伝いをしますよ!お義母様に任せてください!

王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」

乙女ゲームに転生した世界でメイドやってます!毎日大変ですが、瓶底メガネ片手に邁進します!
美月一乃
恋愛
前世で大好きなゲームの世界?に転生した自分の立ち位置はモブ!
でも、自分の人生満喫をと仕事を初めたら
偶然にも大好きなライバルキャラに仕えていますが、毎日がちょっと、いえすっごい大変です!
瓶底メガネと縄を片手に、メイド服で邁進してます。
「ちがいますよ、これは邁進してちゃダメな奴なのにー」
と思いながら

私も異世界に転生してみたい ~令嬢やめて冒険者になります~
こひな
恋愛
巷で溢れる、異世界から召喚された強大な力を持つ聖女の話や、異世界での記憶を持つ令嬢のハッピーエンドが描かれた数々の書物。
…私にもそんな物語のような力があったら…
そんな書物の主人公に憧れる、平々凡々な読書好きな令嬢の奇想天外なお話です。

【完結】義母が来てからの虐げられた生活から抜け出したいけれど…
まりぃべる
恋愛
私はエミーリエ。
お母様が四歳の頃に亡くなって、それまでは幸せでしたのに、人生が酷くつまらなくなりました。
なぜって?
お母様が亡くなってすぐに、お父様は再婚したのです。それは仕方のないことと分かります。けれど、義理の母や妹が、私に事ある毎に嫌味を言いにくるのですもの。
どんな方法でもいいから、こんな生活から抜け出したいと思うのですが、どうすればいいのか分かりません。
でも…。
☆★
全16話です。
書き終わっておりますので、随時更新していきます。
読んで下さると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる