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世界はとても残酷で(特にご飯が)
人体の不思議
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人が食事をやめて食べることが補給になってウン十年。
効率の良いパワーバーなんかを食べることが食事として一般的になった頃、インターネットも生活に欠かせないものになっておりました。
動画サイトなんかも増えた事で、動画配信者も増える。その配信者の一人が「昔やってた料理ってのやりまーす」したらしい。
こだわり食材、贅沢に使われる香辛料、時間をかけて行う食材の下処理、煮込んだり焼いたり。パッケージ一つ破けば食べられる食事に対してかかる調理の時間。
つまり料理は時間やお金に余裕があるひとの嗜好品であると動画内では結論づけられた。
動画を見ているだけの一般人なら料理wで終わったのだが、問題だと言われたのは作った後の配信者の行動だ。
『料理ってヤバくね?こんだけ頑張ってこの出来とかw レシピ通りやったのにくそ不味い。塩っぽい。匂いもしないしコレ、胡椒すりゃ美味くなんの?』
そう言った配信者は胡椒をドバッと料理にかけたのだ。
「つまり…?」
「昔は食事で鍛えられた味覚だけじゃなく、嗅覚も衰えている。衰える事で味に対して鈍くなってから、結果少しでも嗅覚を働かせようとした企業努力の末がハーブレトルト」
「何それ怖い話?」
配信者一人の問題ではなく食事に関する関心を置き去りしたことで現れた料理をしている世代以外全ての人の問題に繋がっていた。
使わない筋肉は衰える。
それと同じように使わない嗅覚味覚も衰える。
食事で鍛えられる味覚嗅覚の力の低下を舐めてはいけない。
食べやすい=柔らかく適正塩分、匂いもクセがない食べ物。
今でも食べられているが、パワーバーは基本的にクッキー程度の硬さ。他には野菜のペーストや白粥なんかを常食している。
しかしコレだとどうしても早食いに繋がり、噛まずに食べて顎が弱る。
すると体に不調がさまざま出ていることがわかった。顎を使わなすぎることによる、噛み合わせの悪さやそこから来る体の歪み、筋肉が衰えること顔のたるみなど健康にも美容にも悪い影響が出てしまう。
結果、それを改善しようとできたのが、噛むことを強要する固いパワーバーと嗅覚を働かせるためのハーブ&スパイス臭強いレトルト食品の爆誕。
ハーブとスパイスの匂いが強い方が美味しいものとして認識される地獄みたいな構図ができあがったのだ。
スパイスが高級なこともあって香り高いものは贅沢な高級品とされるのも地獄に拍車をかけてる。
ついでに、お菓子は管理された食事の中でも嗜好品のため食べる人は少ない。
オートミールクッキーっぽい補食はあくまで補食だから薄味ね。前世で例えるなら赤ちゃんせんべいの固いバージョン。
お菓子は嗜好品なので羽目を外して良い食べ物と考える人が多く、結果お菓子に入れられる砂糖の量が前世よりも増えている。
元になるレシピはあるけど、味覚嗅覚が衰えてる人向けにハッキリした味にするために砂糖が増える→バター ・卵・牛乳などの材料に溶け切らない→そのまま焼くので砂糖が焦げて焦げ臭いクッキーやケーキが完成!
お菓子の味を知らない人たちは、それをお菓子の味と認識。
正解を知っている年代の人は、自作するケースが多くて作ったものは自己消費。
どんどん幻の味になっていく正解のお菓子の味…。
使わない技術や味は廃れていくのをまざまざと見せつけられている…。
ついでに人体の不思議も味合わされている…。
瓶に入った醤油を小皿にちょっとだけ取り分けられる。
「餃子につけてみな」
言われた通りに餃子にちょんとつけて食べてみた。
餃子本体だけじゃない、醤油にも何か入っている。
脳内の前世お姉さんの記憶の中にある、今世でも知っている香りだ。
「何が入ってる?」
葛木のおばあちゃまの質問に自信満々に透子さんが「ニンニク!」と答える。
うん、確かにニンニクは入っていると思う。
新しい餃子にちょんとつけて、醤油を意識して舌で転がすように確かめるとニンニク以外の香りがした。
この…独特な香りは…覚えがあるぞ。
今世でも食べた。
「大葉?」
「正解」
「入ってたんですか…?」
「子どもだからか、味覚嗅覚鋭いね。美味いものを作る才能がある」
「餃子につけて食べるとうまー!」
テンション上がるね!
パンチがありながらも食材と調和しているって食べ物は悲しいことだけど少ない。
そんな世の中でも美味しいものと出会える幸せよ…。
「餃子と一緒だとちょっと難しいかもしれないけど、大葉はわかりやすい食材だ」
「たしかに匂い強めですものね」
「分からないってことは、それだけ味覚が退化してるか、経験が無いんだろう」
あー、味覚は経験って話はどっかで聞いたな…。
経験を積むことで、子どもは食べられる食材を増やすとかなんとか。
わかりやすいハーブを使ったレトルト食品も、何度も食べているうちに慣れてくる…アレも経験の蓄積…。
ヤダよぅ。
アレを美味しい物と認識したくないよぅ!
でも食べ続けるとアレを美味しい物と認識する…人体恐ろしい。
美味いものを忘れるとか恐ろしい。
人間食べなきゃ生きていけないなら、楽しみたいじゃない!
ご飯のお供は何にしようかとか考えるの楽しみたい!
「この醤油を使って何作りたい?」
「シンプルにお肉に漬けて焼くか、チャーハン」
白米も好きだけど、味つけたご飯も大好きよ!
効率の良いパワーバーなんかを食べることが食事として一般的になった頃、インターネットも生活に欠かせないものになっておりました。
動画サイトなんかも増えた事で、動画配信者も増える。その配信者の一人が「昔やってた料理ってのやりまーす」したらしい。
こだわり食材、贅沢に使われる香辛料、時間をかけて行う食材の下処理、煮込んだり焼いたり。パッケージ一つ破けば食べられる食事に対してかかる調理の時間。
つまり料理は時間やお金に余裕があるひとの嗜好品であると動画内では結論づけられた。
動画を見ているだけの一般人なら料理wで終わったのだが、問題だと言われたのは作った後の配信者の行動だ。
『料理ってヤバくね?こんだけ頑張ってこの出来とかw レシピ通りやったのにくそ不味い。塩っぽい。匂いもしないしコレ、胡椒すりゃ美味くなんの?』
そう言った配信者は胡椒をドバッと料理にかけたのだ。
「つまり…?」
「昔は食事で鍛えられた味覚だけじゃなく、嗅覚も衰えている。衰える事で味に対して鈍くなってから、結果少しでも嗅覚を働かせようとした企業努力の末がハーブレトルト」
「何それ怖い話?」
配信者一人の問題ではなく食事に関する関心を置き去りしたことで現れた料理をしている世代以外全ての人の問題に繋がっていた。
使わない筋肉は衰える。
それと同じように使わない嗅覚味覚も衰える。
食事で鍛えられる味覚嗅覚の力の低下を舐めてはいけない。
食べやすい=柔らかく適正塩分、匂いもクセがない食べ物。
今でも食べられているが、パワーバーは基本的にクッキー程度の硬さ。他には野菜のペーストや白粥なんかを常食している。
しかしコレだとどうしても早食いに繋がり、噛まずに食べて顎が弱る。
すると体に不調がさまざま出ていることがわかった。顎を使わなすぎることによる、噛み合わせの悪さやそこから来る体の歪み、筋肉が衰えること顔のたるみなど健康にも美容にも悪い影響が出てしまう。
結果、それを改善しようとできたのが、噛むことを強要する固いパワーバーと嗅覚を働かせるためのハーブ&スパイス臭強いレトルト食品の爆誕。
ハーブとスパイスの匂いが強い方が美味しいものとして認識される地獄みたいな構図ができあがったのだ。
スパイスが高級なこともあって香り高いものは贅沢な高級品とされるのも地獄に拍車をかけてる。
ついでに、お菓子は管理された食事の中でも嗜好品のため食べる人は少ない。
オートミールクッキーっぽい補食はあくまで補食だから薄味ね。前世で例えるなら赤ちゃんせんべいの固いバージョン。
お菓子は嗜好品なので羽目を外して良い食べ物と考える人が多く、結果お菓子に入れられる砂糖の量が前世よりも増えている。
元になるレシピはあるけど、味覚嗅覚が衰えてる人向けにハッキリした味にするために砂糖が増える→バター ・卵・牛乳などの材料に溶け切らない→そのまま焼くので砂糖が焦げて焦げ臭いクッキーやケーキが完成!
お菓子の味を知らない人たちは、それをお菓子の味と認識。
正解を知っている年代の人は、自作するケースが多くて作ったものは自己消費。
どんどん幻の味になっていく正解のお菓子の味…。
使わない技術や味は廃れていくのをまざまざと見せつけられている…。
ついでに人体の不思議も味合わされている…。
瓶に入った醤油を小皿にちょっとだけ取り分けられる。
「餃子につけてみな」
言われた通りに餃子にちょんとつけて食べてみた。
餃子本体だけじゃない、醤油にも何か入っている。
脳内の前世お姉さんの記憶の中にある、今世でも知っている香りだ。
「何が入ってる?」
葛木のおばあちゃまの質問に自信満々に透子さんが「ニンニク!」と答える。
うん、確かにニンニクは入っていると思う。
新しい餃子にちょんとつけて、醤油を意識して舌で転がすように確かめるとニンニク以外の香りがした。
この…独特な香りは…覚えがあるぞ。
今世でも食べた。
「大葉?」
「正解」
「入ってたんですか…?」
「子どもだからか、味覚嗅覚鋭いね。美味いものを作る才能がある」
「餃子につけて食べるとうまー!」
テンション上がるね!
パンチがありながらも食材と調和しているって食べ物は悲しいことだけど少ない。
そんな世の中でも美味しいものと出会える幸せよ…。
「餃子と一緒だとちょっと難しいかもしれないけど、大葉はわかりやすい食材だ」
「たしかに匂い強めですものね」
「分からないってことは、それだけ味覚が退化してるか、経験が無いんだろう」
あー、味覚は経験って話はどっかで聞いたな…。
経験を積むことで、子どもは食べられる食材を増やすとかなんとか。
わかりやすいハーブを使ったレトルト食品も、何度も食べているうちに慣れてくる…アレも経験の蓄積…。
ヤダよぅ。
アレを美味しい物と認識したくないよぅ!
でも食べ続けるとアレを美味しい物と認識する…人体恐ろしい。
美味いものを忘れるとか恐ろしい。
人間食べなきゃ生きていけないなら、楽しみたいじゃない!
ご飯のお供は何にしようかとか考えるの楽しみたい!
「この醤油を使って何作りたい?」
「シンプルにお肉に漬けて焼くか、チャーハン」
白米も好きだけど、味つけたご飯も大好きよ!
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