好きになっちゃったね。

青宮あんず

文字の大きさ
上 下
4 / 5

四話

しおりを挟む
    私はひとつの提案をすることにした。
「これから一緒におむつ買いに行こうか?駅の近くにあったよね」
 
 話に夢中になっていたがここは電車内。人が少ないから気にしなくていいのだけど。あとちょっとで降りる駅。
 
「それは恥ずかし……でも、京華ちゃんが良いなら一緒に行きたい……」
「うん。任せて。伊達にドラッグストアでバイトしてないよ」
 
 ……個人的におむつが好きなのもあるけどね。だからお姉さん、水葉ちゃんに興味持ったとも言えるけどね。
    でも、水葉ちゃんと私はちょっと違う。私は『履かせる側』だってこと。おむつの子を甘やかしたい側だってこと。
 だから水葉ちゃんに興味が湧いてしかたない。いや、これは興味を通り越して好意でさえある。単純すぎて申し訳ないけど。
 
 電車は進んで、スピードを落として、ゆっくりと止まった。
 
「行こうか」
「うん」
 
 立ち上がって、駅の改札を通る。駅を出て少し歩けば目的の店。
 こっちの方がおむつコーナーが広かったはずだけど、なんで水葉ちゃんはうちの店まで来てたんだろう。まぁ、地元で買うのは恥ずかしいからだろうな。私はここでバイト募集してなくて仕方なく今の店にいるわけだけど。
 
「なんで水葉ちゃんっておトイレ我慢してたの?」
「カラオケ行ったの。カラオケのドリンクってすごくトイレに行きたくならない……?」
「あぁ、たしかに。あれなんなんだろうね」
 
 ……あれ?水葉ちゃんが俯きがちになってきた。歩幅も小さくなっている気がする。まぁ、カラオケ行くと頻尿になるしな。そういうことだ。
 
「ねぇ、京華ちゃん、トイレ行ってきていい?」
「うーん……おむつ買ってからにしよ?」
「……わかった……」
 
 ドラッグストアについてすぐのこと。意地悪してごめんね。言うこと聞いてくれてありがとう。
 
 ふたりでおむつコーナーまで歩く。
 そこにはたくさんのおむつがあった。当たり前だが。
 
「いつものはこれだよね」
「うん、それ」
 
 モジモジと動いてる。かわいい。
 
「私のおすすめはこれなんだけどね、吸水力があるからおねしょしても漏れないと思うよ。デザインはシンプルすぎるんだけどね」
「そうなんだ。デザインは別に……」
 
 私のイチオシおむつを紹介する。大人用だからあんまり可愛くないけど、ドラッグストアに置いてるのだとこれくらいしか勧められない。
 
「子ども用でもうひとつおすすめのがあって、これはデザインが可愛いんだ。子ども用だから吸水力はちょっと足りないんだけど、昼間用とか趣味用なら十分に使えると思う」
「可愛すぎない……?似合わないって……」
「そっかぁ……今のところ買いたいのは?」
「最初に京華ちゃんが勧めてくれたの……」
「ほんと?ありがと。なんか嬉しい。そうだ。この子ども用の方は私がプレゼントするよ。それでいいでしょ?」
「いや、申し訳ないから……!これだけでいいから、早くお会計しよっ?!」
 
 焦ってるなぁ。そりゃそうか。二回もおもらしなんてしたくないだろうから。と言ってもトイレまで行かせないけど。ごめんね。
 
「もう、プレゼントだから気にしなくていいの。じゃあ早くお会計行こうか」
「うぅ……」
 
 簡単に諦めた水葉ちゃんとお会計へ。水葉ちゃんは顔を真っ赤にして恥ずかしがっていたから私が筆頭になってお会計を済ませた。
 
「買ったよ。だから、早くトイレ……」
「うんそうだね。行こっか」
 
 ドラッグストアのトイレまで移動する。
 
「ここにしよう」
「え?ぁ、うん……」
 
 入るトイレを私が指定する。おむつを履くなら広いトイレの方がいいでしょ。
 
「なんで一緒に入ってんの……?トイレするから出てってほしいんだけど……」
「約束通りトイレにきただけだよ?」
「それは……って、なんでおむつの袋開けてるの?」
「私、トイレに行っていいとは言ったけど、おしっこしていいよとは言ってないよ。ここまで言ってもわかんない?」
 
 おむつの袋を開けると、焦ったような不思議そうな顔になった水葉ちゃん。私が開封したのは子ども用おむつの方。絶対似合うと思うんだよなぁ。かっこよくておしゃれな水葉ちゃんに可愛いおむつ。最高。
 子ども用だけど、水葉ちゃんは細いから余裕で履けるはず。
 
「はい、どうぞ」
「どうぞ……って……」
「あぁ、履かせてほしいのかな?」
「そうじゃなくて、なんで……」
「だって、試着は必要でしょ?」
「えぇ……でも……」
 
 足はソワソワと動かしつつも言葉は反抗している。
 
「ここのトイレは使えないってだけで、他のトイレは使っていいよ。どっちみちここのトイレは使わせる気ないけど、どうする?」
「っ、うぅ、わかった……履くから……」
 
 諦めたようで、大人しくおむつを受け取った。
 ズボンをするすると脱いで、ショーツも下ろした。
 
「手伝おうか?」
「いいっ、……一人で出来る」
 
 右足、左足……と順番に足を通してから、腰までおむつをあげる。
 
「うん、似合ってるよ。可愛いね」
「なんか、変な気分……京華ちゃんが変態だなんて思わなかった……」
「え~?寂しいときにおむつを履く人がそんなこと言えるの?おねしょだってしてるのに、今更じゃない」
「っ……うるさい……」
 
 嫌われちゃったかな。まぁ好かれてたかどうかも分からないけど。
 ズボンは履かないで、下はおむつだけの水葉ちゃん。アンバランスだがかわいい。
 
「そのまましちゃってもいいよ」
「やだぁ……トイレがいい……」
「だぁめ。どうする?他のトイレ行く?ここでおむつにおしっこする?」
「うっ……ひっく、出したいのに……おむつに、できないっ、間に合わない……」
 
 話すようになったのは今日なのに、もう言葉が荒れている。そういえばおむつは履くけど故意でおもらししたことはないって言ってたな。確かに初めてでおむつにおもらしするのはハードルが高いか。それこそ、限界でもない限り。他のトイレを目指すほど余裕もないらしい。
 
「じゃあ、他のところまで歩きながらおもらしするのと、ここで私に甘やかされながらおもらしするの、どっちがいい?」
 
 寂しいとき、不安なときにおむつを履くって言ってたから、どこかで甘えたいって思いはあるんじゃないかと思ってこの提案をしたのだ。他のところ歩くとしたら他の人に見られる危険もあるし。
 
「っ、変態……京華ちゃんとする方が、いい……」
「そっかぁ。じゃあ一緒に頑張ろうね」
 
 軽く罵られたけど、気にしないでおこう。嫌われるとしたらとっくに嫌われてるだろうし。
 気を取り直して、水葉ちゃんのお腹に優しく触れた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おねしょ合宿の秘密

カルラ アンジェリ
大衆娯楽
おねしょが治らない10人の中高生の少女10人の治療合宿を通じての友情を描く

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...