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183、アンジェリカの悲劇
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「ふぅ、とってもいい香りですわ勇者様」
そう言って俺を振り返るセレスリーナの銀色の髪は、風にさらりと靡く。
元々、一際美しい髪が更に輝きを増している。
そのスタイルの良さも相まって、まるで女神のようである。
エルもその横で煌めくブロンドを靡かせると翼をはためかせた。
「最高ね! ふふ、カズヤと居ると飽きないわ」
「うむ! 勇者殿といると驚くことばかりだ」
頷くパトリシア。
リンダも姿見の前でクルリと回って見せると言った。
「うちの女ぶりもまた上がったで、おっちゃんに惚れられてしまうわ」
「たく、子供のくせによく言うぜ」
エイリスもニコニコと俺を見つめてメイと顔を見合わせる。
「メイもパパと一緒にいると、とっても楽しいです!」
「ふふ、本当ねメイ。パパといると楽しいわね」
そう言った後、コホンと咳ばらいをしてこちらを見つめる。
「あ、あの……パパって言うのはそういう意味じゃなくて。ついメイに合わせてしまって、ごめんなさい勇者様」
「はは、いいさ。シャンプーぐらいでこんなに喜んでもらえるなら安いものだ」
ナビ子は肩をすくめると俺に言う。
「安いものだって、シャンプーの代金を沙織さんに払ったのはアンジェリカさんですけどね」
「そうよ、私のシャンプーなんだから」
アンジェリカはそう言って頬を膨らませる。
まさか全員にシャンプーをすることになるとは思わなかったのだろう。
確かに俺のシャンプーを見て、自分用のを欲しがったアンジェリカは沙織さんに代金を金貨で払っていた。
沙織さんはそれを見ながら『多過ぎよ』って苦笑してたけどな。
「けちけちするなって」
「まあいいわ。さて、私は自分でシャンプーするわ。もう慣れてるもの」
自分で出来るのを見せたいのだろう、得意げにシャンプーのボトルをプッシュする。
フシュ~
だがシャンプーの出口からは気が抜けたような音がするだけだ。
アンジェリカはもう一度ボトルをプッシュする。
そして、動揺したように俺を振り返った。
「カズヤ! シャンプーが出ないわ!? い、一体どうしてなの?」
「ん? どれ」
しかし、俺がやっても状況は同じである。
「こりゃ、全部使い切ったな」
「そ、そんな!? じゃあ、私のシャンプーはどうなるのよ!」
涙目になるアンジェリカ。
大温泉でのシャンプーはこいつのお気に入りだからな。
「待て待て、そんなことで泣くな! 俺が新しいシャンプーを買ってやるからさ」
「本当に? 約束よ、カズヤ。同じのじゃないと嫌よ、私この香りが気に入ってるんだから」
「分かった分かった」
風呂から上がったら沙織さんにメールを打っておこう。
沙織さんのことだから、今日の夜にでも取りに行けば用意しておいてくれるだろう。
セレスリーナが俺に身を寄せるとそっと囁いた。
「私も欲しいですわ勇者様」
「お、おい……セレスリーナ近いって」
水着から溢れそうな大きな胸が、俺の腕に寄せられている。
パトリシアが頬を膨らます。
「母上だけずるい! 勇者殿、私も欲しい!」
「うちもや!」
エルは胸を張る。
「当然、私の分も用意してくれるわよね」
メイとエイリスはジッとこちらを見ている。
「分かったから! 全員分用意したらいいんだろう?」
その後、俺はシャンプーやリンスについて色々質問された挙句、それぞれどんなに香りが好きなのかを聞かされることになった。
結構好みはバラバラで、花の香りが好きだとか果物の香りがいいとかで女性陣が盛り上がっている。
「やれやれ、これじゃあ総司令じゃなくて物資補給係だな」
「いいじゃない、どうせいつも総司令の仕事はサボっているんだもの」
アンジェリカの言葉にナビ子が大きく頷いた。
「それは言えてます、たまには役に立つところを見せておくべきですね」
「たく、悪かったな!」
温泉ですっかり上気したアンジェリカが俺を見つめると言った。
「ねえ、カズヤ。沙織のところに行くなら私も一緒に行くわ」
「ああ、別に構わないぞ。向こうの営業時間が終わってからになるだろうけどな」
今日はマスターの店も営業中だ、向こうでは死人扱いの俺がいきなりこんにちわってわけにもいかないだろうからな。
「構わないわ。沙織が私やパトリシアに着て欲しい服があるっていってたもの」
「うむ! そういえば沙織殿がそんなことを言っていたな」
確かに、数日前にまた一緒に飯を食いに行ったんだがその時沙織さんがそんなこと言っていたな。
それを二人に伝えたのを覚えている。
着て欲しい服か……嫌な予感がするんだが。
メイがジッと俺を見つめている。
「はは、メイも一緒に行くか?」
「はいです! パパ」
「メイにも、ちゃんと専用のシャンプーを買ってやるからな」
「本当ですか!?」
嬉しそうに俺に抱きつくメイ。
メイたちと一緒にあそこに行くのは初めてだからな。
「さあ、そろそろ上がるか。沙織さんに早速連絡しておきたいからな」
─────
いつもご覧頂きましてありがとうございます。
新しい年になりましたので、皆様へのお礼も兼ねて今日からアルファポリス様に新しい作品を一つ掲載を始めました。
タイトルは『追放王子の英雄紋! ~追放された第六王子は、実は史上最強の英雄でした~』です。
小説家になろう様にも投稿している作品で、本作と違いR15作品になります。
画面の下に、新作へのリンクを貼っておきましたのでそこから作品ページに飛べるようになっています。
ぜひ一度ご覧になってみてくださいね!
そう言って俺を振り返るセレスリーナの銀色の髪は、風にさらりと靡く。
元々、一際美しい髪が更に輝きを増している。
そのスタイルの良さも相まって、まるで女神のようである。
エルもその横で煌めくブロンドを靡かせると翼をはためかせた。
「最高ね! ふふ、カズヤと居ると飽きないわ」
「うむ! 勇者殿といると驚くことばかりだ」
頷くパトリシア。
リンダも姿見の前でクルリと回って見せると言った。
「うちの女ぶりもまた上がったで、おっちゃんに惚れられてしまうわ」
「たく、子供のくせによく言うぜ」
エイリスもニコニコと俺を見つめてメイと顔を見合わせる。
「メイもパパと一緒にいると、とっても楽しいです!」
「ふふ、本当ねメイ。パパといると楽しいわね」
そう言った後、コホンと咳ばらいをしてこちらを見つめる。
「あ、あの……パパって言うのはそういう意味じゃなくて。ついメイに合わせてしまって、ごめんなさい勇者様」
「はは、いいさ。シャンプーぐらいでこんなに喜んでもらえるなら安いものだ」
ナビ子は肩をすくめると俺に言う。
「安いものだって、シャンプーの代金を沙織さんに払ったのはアンジェリカさんですけどね」
「そうよ、私のシャンプーなんだから」
アンジェリカはそう言って頬を膨らませる。
まさか全員にシャンプーをすることになるとは思わなかったのだろう。
確かに俺のシャンプーを見て、自分用のを欲しがったアンジェリカは沙織さんに代金を金貨で払っていた。
沙織さんはそれを見ながら『多過ぎよ』って苦笑してたけどな。
「けちけちするなって」
「まあいいわ。さて、私は自分でシャンプーするわ。もう慣れてるもの」
自分で出来るのを見せたいのだろう、得意げにシャンプーのボトルをプッシュする。
フシュ~
だがシャンプーの出口からは気が抜けたような音がするだけだ。
アンジェリカはもう一度ボトルをプッシュする。
そして、動揺したように俺を振り返った。
「カズヤ! シャンプーが出ないわ!? い、一体どうしてなの?」
「ん? どれ」
しかし、俺がやっても状況は同じである。
「こりゃ、全部使い切ったな」
「そ、そんな!? じゃあ、私のシャンプーはどうなるのよ!」
涙目になるアンジェリカ。
大温泉でのシャンプーはこいつのお気に入りだからな。
「待て待て、そんなことで泣くな! 俺が新しいシャンプーを買ってやるからさ」
「本当に? 約束よ、カズヤ。同じのじゃないと嫌よ、私この香りが気に入ってるんだから」
「分かった分かった」
風呂から上がったら沙織さんにメールを打っておこう。
沙織さんのことだから、今日の夜にでも取りに行けば用意しておいてくれるだろう。
セレスリーナが俺に身を寄せるとそっと囁いた。
「私も欲しいですわ勇者様」
「お、おい……セレスリーナ近いって」
水着から溢れそうな大きな胸が、俺の腕に寄せられている。
パトリシアが頬を膨らます。
「母上だけずるい! 勇者殿、私も欲しい!」
「うちもや!」
エルは胸を張る。
「当然、私の分も用意してくれるわよね」
メイとエイリスはジッとこちらを見ている。
「分かったから! 全員分用意したらいいんだろう?」
その後、俺はシャンプーやリンスについて色々質問された挙句、それぞれどんなに香りが好きなのかを聞かされることになった。
結構好みはバラバラで、花の香りが好きだとか果物の香りがいいとかで女性陣が盛り上がっている。
「やれやれ、これじゃあ総司令じゃなくて物資補給係だな」
「いいじゃない、どうせいつも総司令の仕事はサボっているんだもの」
アンジェリカの言葉にナビ子が大きく頷いた。
「それは言えてます、たまには役に立つところを見せておくべきですね」
「たく、悪かったな!」
温泉ですっかり上気したアンジェリカが俺を見つめると言った。
「ねえ、カズヤ。沙織のところに行くなら私も一緒に行くわ」
「ああ、別に構わないぞ。向こうの営業時間が終わってからになるだろうけどな」
今日はマスターの店も営業中だ、向こうでは死人扱いの俺がいきなりこんにちわってわけにもいかないだろうからな。
「構わないわ。沙織が私やパトリシアに着て欲しい服があるっていってたもの」
「うむ! そういえば沙織殿がそんなことを言っていたな」
確かに、数日前にまた一緒に飯を食いに行ったんだがその時沙織さんがそんなこと言っていたな。
それを二人に伝えたのを覚えている。
着て欲しい服か……嫌な予感がするんだが。
メイがジッと俺を見つめている。
「はは、メイも一緒に行くか?」
「はいです! パパ」
「メイにも、ちゃんと専用のシャンプーを買ってやるからな」
「本当ですか!?」
嬉しそうに俺に抱きつくメイ。
メイたちと一緒にあそこに行くのは初めてだからな。
「さあ、そろそろ上がるか。沙織さんに早速連絡しておきたいからな」
─────
いつもご覧頂きましてありがとうございます。
新しい年になりましたので、皆様へのお礼も兼ねて今日からアルファポリス様に新しい作品を一つ掲載を始めました。
タイトルは『追放王子の英雄紋! ~追放された第六王子は、実は史上最強の英雄でした~』です。
小説家になろう様にも投稿している作品で、本作と違いR15作品になります。
画面の下に、新作へのリンクを貼っておきましたのでそこから作品ページに飛べるようになっています。
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