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48、鍛冶巫女
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俺たちがお社に戻るころにはすっかり日は沈み、夜になっていた。
社の入り口にはかがり火がたかれ、辺りを照らしている。
中に入ると、特にロウソクなどなくとも辺りは柔らかな明るさが保たれている。
カレンさんに尋ねると、お社に寝泊まりをする巫女たちの魔法で就寝までは明るさが保たれているそうだ。
俺が森の家で明かりをともすために使った僧侶の魔法、ホーリーライトと同じような魔法だな。
カレンさんは俺に言う。
「この社におる巫女たちは、わらわと共に聖域を守るつとめがあるのじゃ。その為、若い頃から白狼の巫女としての修行をしてきた者たちじゃゆえにな」
「へえ! だから、みんな楚々としてるんですね」
カレンさんもそうだけど、お社の巫女の人たちはみんな気品がある。
いかにも聖域を守っているって感じだ。
ナナは隣のレイラを眺めながら肩をすくめた。
「同じ獣人族なのに、レイラとは大違いね。せっかく巫女の衣装を着せてもらってるのに、お腹空いたって大騒ぎだったもの」
「なによ、ナナだってその口の悪さは気品とは程遠いじゃない!」
確かに、お社に来る前に川で身を清めた時に、二人ともククルと一緒に巫女の衣装に着替えてるからな。
俺も白い和服のような服を着ている。
今まで着ていた衣装は洗って明日にはまた渡してくれると言っていた。
俺は言い争いをする二人に呆れながら呟く。
「はぁ、喧嘩しなきゃ二人とも可愛いのにな。巫女姿だって似合ってるし」
二人とも綺麗だし、巫女の姿もとてもよく似合っている。
ただ、お互い気が強いのが問題だよな。
俺がそういうと、二人は顔を見合わせて何故か赤くなってこほんと咳払いすると少し大人しくなった。
そして、急に妙に澄ました顔で歩き始める。
ん?
どうしたんだ急に。
俺は澄ました顔ですり足になってそろそろと隣を歩く二人に声をかけた。
「何だよ急に、二人ともそんな変な歩き方して」
それを聞いて、二人は再び顔を身わせると真っ赤な顔で俺に抗議する。
「な、何よ! 変な歩き方って! ユウキがこうした方がいいって言ったんじゃない!」
「そうよ! もう、知らない!!」
は……はは。
今のもしかして巫女さんたちの真似だったのか。
そうは見えなかったぞ。
二人に睨まれてたじたじになる俺を見てカレンさんは笑った。
「ほほほ、普段から巫女として過ごしていなければ身につかぬものもある故な。そういえばユウキ、そなたが興味がある鍛冶の仕事にも社の巫女たちは大事な役割をしておるのじゃぞ」
俺たちは顔を見合わせて尋ねる。
「鍛冶の仕事に?」
「巫女と鍛冶仕事って何か関係あるのかしら」
「そうね、私は聞いたことがないけど」
カレンさんは、楽し気に笑いながら俺たちに言う。
「鍛冶巫女というてな、鍛冶職人たちと共に鍛冶場で働き刃物に霊気を与えるのじゃ。それがこの白狼の里の刃物の特徴でな」
「霊気を刃物に……」
だからあんなに切れ味がいいのか。
包丁だって、凄い切れ味だったもんな。
ククルが俺を見上げて言う。
「はう~、ククルがお兄ちゃんの鍛冶巫女するのです!」
そういって張り切って尻尾をふるククル。
「ほほほ、ククルはほんにユウキが好きじゃな」
「はいなのです!」
元気よく返事をするククルにカレンさんは言った。
「ククルにはまだ少し早いかもしれぬが、鍛冶巫女の修行をしてみるかえ?」
「ほんとですか? おばば様!」
「ほほ、剣に込める力はその思いに従って強くなる。わらわの時もそうじゃったゆえにな」
そういえば、あの白狼丸にはカレンさんの霊気が宿っているって聞いた。
「鍛冶巫女か、一体どんな風に作るのか見て見たいな」
俺は嬉しそうなククルの頭を撫でて、そんなことを考えながら社の中を歩いていた。
社の入り口にはかがり火がたかれ、辺りを照らしている。
中に入ると、特にロウソクなどなくとも辺りは柔らかな明るさが保たれている。
カレンさんに尋ねると、お社に寝泊まりをする巫女たちの魔法で就寝までは明るさが保たれているそうだ。
俺が森の家で明かりをともすために使った僧侶の魔法、ホーリーライトと同じような魔法だな。
カレンさんは俺に言う。
「この社におる巫女たちは、わらわと共に聖域を守るつとめがあるのじゃ。その為、若い頃から白狼の巫女としての修行をしてきた者たちじゃゆえにな」
「へえ! だから、みんな楚々としてるんですね」
カレンさんもそうだけど、お社の巫女の人たちはみんな気品がある。
いかにも聖域を守っているって感じだ。
ナナは隣のレイラを眺めながら肩をすくめた。
「同じ獣人族なのに、レイラとは大違いね。せっかく巫女の衣装を着せてもらってるのに、お腹空いたって大騒ぎだったもの」
「なによ、ナナだってその口の悪さは気品とは程遠いじゃない!」
確かに、お社に来る前に川で身を清めた時に、二人ともククルと一緒に巫女の衣装に着替えてるからな。
俺も白い和服のような服を着ている。
今まで着ていた衣装は洗って明日にはまた渡してくれると言っていた。
俺は言い争いをする二人に呆れながら呟く。
「はぁ、喧嘩しなきゃ二人とも可愛いのにな。巫女姿だって似合ってるし」
二人とも綺麗だし、巫女の姿もとてもよく似合っている。
ただ、お互い気が強いのが問題だよな。
俺がそういうと、二人は顔を見合わせて何故か赤くなってこほんと咳払いすると少し大人しくなった。
そして、急に妙に澄ました顔で歩き始める。
ん?
どうしたんだ急に。
俺は澄ました顔ですり足になってそろそろと隣を歩く二人に声をかけた。
「何だよ急に、二人ともそんな変な歩き方して」
それを聞いて、二人は再び顔を身わせると真っ赤な顔で俺に抗議する。
「な、何よ! 変な歩き方って! ユウキがこうした方がいいって言ったんじゃない!」
「そうよ! もう、知らない!!」
は……はは。
今のもしかして巫女さんたちの真似だったのか。
そうは見えなかったぞ。
二人に睨まれてたじたじになる俺を見てカレンさんは笑った。
「ほほほ、普段から巫女として過ごしていなければ身につかぬものもある故な。そういえばユウキ、そなたが興味がある鍛冶の仕事にも社の巫女たちは大事な役割をしておるのじゃぞ」
俺たちは顔を見合わせて尋ねる。
「鍛冶の仕事に?」
「巫女と鍛冶仕事って何か関係あるのかしら」
「そうね、私は聞いたことがないけど」
カレンさんは、楽し気に笑いながら俺たちに言う。
「鍛冶巫女というてな、鍛冶職人たちと共に鍛冶場で働き刃物に霊気を与えるのじゃ。それがこの白狼の里の刃物の特徴でな」
「霊気を刃物に……」
だからあんなに切れ味がいいのか。
包丁だって、凄い切れ味だったもんな。
ククルが俺を見上げて言う。
「はう~、ククルがお兄ちゃんの鍛冶巫女するのです!」
そういって張り切って尻尾をふるククル。
「ほほほ、ククルはほんにユウキが好きじゃな」
「はいなのです!」
元気よく返事をするククルにカレンさんは言った。
「ククルにはまだ少し早いかもしれぬが、鍛冶巫女の修行をしてみるかえ?」
「ほんとですか? おばば様!」
「ほほ、剣に込める力はその思いに従って強くなる。わらわの時もそうじゃったゆえにな」
そういえば、あの白狼丸にはカレンさんの霊気が宿っているって聞いた。
「鍛冶巫女か、一体どんな風に作るのか見て見たいな」
俺は嬉しそうなククルの頭を撫でて、そんなことを考えながら社の中を歩いていた。
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