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46、ちょっとした工夫
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「さてと、まずは手ごろな木を一本使わせてもらおうかな。みんな、危ないから少し離れてくれ」
俺の言葉にナナ達は頷く。
「分かったわ裕樹!」
みんなが安全な場所まで下がったのを確認して、俺は職業を変更する。
「木こりとシーカーでいいか」
森で伐採した時は、木こりと剣士だったけどシーカーなら剣技は同じSランクだし、ステータスはこっちの方が高いもんな。
元々、狩人と剣士で戦った時に目覚めた覚醒スキル、一刀獣断が条件で解放された職だし言ってみれば狩人と剣士の上級職のようなものだ。
それに、模型を作るだけだから森で使ったような大きな木は必要がない。
俺は、程よい木の前に立って意識を集中すると気を高めた。
剣が俺の気を纏ってオーラのような光を帯びていく。
そして、一気に横に一閃した。
「一刀両断!!」
シーカーになってステータスが上がったからだろう。
前よりもより剣を振るう速さが増しているのが分かった。
ゆっくりと木は倒れ、ずしんと地面を揺らす音がする。
カレンさんは感心したように言う。
「見事じゃこと! ほんに良い腕前じゃ」
レイラは胸を張って言う。
「ユウキが本気になればこんなものじゃないわ。あの悪党たちを閉じ込める倉庫を作った時は、もっと大きな木を切り倒してたもの」
「はは、あの時は模型じゃなかったからな」
俺は職業を再び大工とシーカーに変えて、木材加工で倒れた木から必要な木材や板を切り出していく。
大工の特殊スキルで設計図を書いているので、必要な木材のサイズは頭の中に入っている。
細かい部品は、ナイフを使って作り上げていった。
「それにしてもシーカーは凄いな。ナイフの技術が格段にアップしてる」
「まあ祐樹みたいに、大工とシーカーを組み合わせて使おうなんて人はそうはいないだろうけどね」
「はは、きっとそうだろうな。ナナ」
そもそもカンストしている職業ではないとマスタージョブには設定できないもんな、俺みたいな使い方をしている人がいるのかさえ分からない。
手早く模型の部品を作り上げていくと、俺はそれを組み上げていった。
プラモデルみたいで面白い。
興味津々の様子で覗き込む皆の傍で作業を進め、ようやく完成して俺は声を上げた。
「出来たぞ! これが俺たちの家だ!!」
ナナが目を輝かせて言った。
「うわぁ! とっても素敵じゃない」
レイラも大きく頷く。
「これが私たちのお家なのね! 私、気に入ったわ! 早く住みたい!」
「はは、まだ模型だってレイラ」
相変わらず気が早いな。
カレンさんは目を丸くして言う。
「もう出来てしまうとは、あっと間じゃの! ユウキ、ほんにそなたは器用じゃこと」
「お兄ちゃんは凄いのです!」
ククルはとても嬉しそうだ。
出来上がった家の外見は、少しあのお社にも雰囲気が似ている。
せっかく白狼族の隠れ里に家を作らせてもらうんだ、やっぱり見た目は里にあった家にしたいからな。
お社が和風の作りに似ているので、俺にもしっくりとくる。
立派なお屋敷にみんな目を輝かせている。
でも、レイラは少し残念そうに言った。
「中は見られないのね。せっかく作ったのに」
「大丈夫さ、レイラ。その為に模型を作ったんだからな。ちょっとした工夫をしておいたんだ」
「どういうこと? ユウキ」
「こういうことさ!」
俺は頷くと、お屋敷の屋根と正面の壁を取り外す。
そうすることで中がとても見やすくなった。
そして、更には一階と二階も取り外して皆の前に並べる。
こうすればどの部屋も上から一目瞭然だ。
組み立てるのも楽なので、外観が見たければ直ぐに元に戻せるように作ってある。
レイラは驚いたように言う。
「へえ! 凄いわ、これは便利ね」
「だろ?」
リビングには大きな机やソファーも木彫りで作ってある。
大体の家具も作ってみたんだよな。
その方がイメージしやすいし。
お風呂も木で作られた立派なものだ。
それを見てククルが目を輝かせた。
「凄いのです! お家の中も見れるのです!!」
「ほら、ククル。好きなところに人形を置いても大丈夫だぞ」
俺の言葉にククルは大きく頷くと、みんなで使うリビングに自分の人形を置いた。
そして嬉しそうに俺に報告する。
「ククルがお家の中にいるのです!」
「はは、だな!」
俺もそう言ってククルの人形の傍に、先程追加で作った自分の人形を置く。
「うわぁ! お兄ちゃんも一緒なのです」
ナナとレイラが顔を見合わせて笑うと、俺とククルの人形の傍に自分の人形も置いた。
「ふふ、私たちも一緒よ」
「なんだか楽しいわね! こうしてると、一緒に生活する時のことが頭に浮かんでくるもの」
「だな!」
カレンさんも、自分の人形を傍に置くと楽し気に笑う。
「ほんに、乙女の頃に戻ったようじゃ」
ククルは夢中になって人形を手に取ると、色んな場所に置いてははしゃいでいる。
俺はそんなククルの為に、座っているククルの姿や遊んでるククルの姿も人形で作る。
「凄いのです! いろんなククルなのです」
ククルは、それをリビングのソファーに座らせたり、自分の部屋に置いたりして夢中になって遊んでいる。
「ほほほ、ほんにククルにとっては良い遊び道具じゃな」
「ですね。せっかく作ったんだし家を作り終わったらそれ、ククルにプレゼントするか!」
それを聞いてククルは大はしゃぎした。
「ほんとですか! ククル大事にするです! ククルの大事な宝物にするです!!」
「ああ!」
意外な使い道だが、ククルがこんなに喜ぶなら模型を作ってよかったな。
俺たちはその後、話し合いながらもっとこうした方がいいんじゃないかっていう意見を出し合う。
その都度、俺は模型に小さな修正をかけていった。
図面でやるよりも、もっと具体的な話が出来たし、なんといっても俺たちの家が形になっていくようで楽しい。
ナナとレイラは大きな湯船があるお風呂を見て、二人で話している。
「大きなお風呂ね。入ったら気持ちよさそうだわ」
「そうね。どんな感じなのかしら?」
「だったらさ、風呂に入ってるナナ達の人形を作ってみるか! そしたらどんな感じか想像しやすいだろ?」
その言葉に二人は、一斉に俺の方を見る。
「ば、馬鹿じゃないの! 何考えてるのよ!!?」
「そ、そうよ! お風呂に入ってる私たちって裸じゃない!!」
「え? あ、そっか! そ、そうだよな……」
ククルにあんなに喜んで貰ったから調子に乗って何も考えずに提案しちまった。
そしてつい、風呂に入ってる二人のことを想像してしまう。
「何赤くなってるのよ! ユウキ! 今想像したでしょ!」
「もう! 馬鹿裕樹!!」
「ち、違うって。わざとじゃなくてつい……」
カレンさんは俺に体を寄せて言う。
「ほほ、わらわの人形なら彫ってもよいぞえ。それに家が出来上がったら、ユウキと一緒にお風呂に入るのも一興じゃの」
大きな胸が俺の体に寄せられて、その柔らかい感触に俺は益々顔が赤くなるのを感じた。
カレンさんと一緒に風呂なんか入ったらすぐにのぼせてぶっ倒れそうだ。
そんな俺の頬をナナとレイラが左右から抓る。
「絶対にダメ!」
「そうよ! 人形でも実際でも駄目なんだから!」
ククルが両手に人形を持って楽しそうに言った。
「お兄ちゃん怒られたのです! えへへ、でもみんな一緒で楽しいのです」
その言葉にナナとレイラは顔を見合わせる。
そして少し俺を睨むとため息を吐いた。
「もう、仕方ないわね」
「ククルが楽しそうだから許してあげる!」
「は……はは、ククルありがとな」
ククルのお蔭でなんとか二人の怒りは収まって、俺たちはこれから作る皆の家に期待を膨らませながら模型作りを終えたのだった。
俺の言葉にナナ達は頷く。
「分かったわ裕樹!」
みんなが安全な場所まで下がったのを確認して、俺は職業を変更する。
「木こりとシーカーでいいか」
森で伐採した時は、木こりと剣士だったけどシーカーなら剣技は同じSランクだし、ステータスはこっちの方が高いもんな。
元々、狩人と剣士で戦った時に目覚めた覚醒スキル、一刀獣断が条件で解放された職だし言ってみれば狩人と剣士の上級職のようなものだ。
それに、模型を作るだけだから森で使ったような大きな木は必要がない。
俺は、程よい木の前に立って意識を集中すると気を高めた。
剣が俺の気を纏ってオーラのような光を帯びていく。
そして、一気に横に一閃した。
「一刀両断!!」
シーカーになってステータスが上がったからだろう。
前よりもより剣を振るう速さが増しているのが分かった。
ゆっくりと木は倒れ、ずしんと地面を揺らす音がする。
カレンさんは感心したように言う。
「見事じゃこと! ほんに良い腕前じゃ」
レイラは胸を張って言う。
「ユウキが本気になればこんなものじゃないわ。あの悪党たちを閉じ込める倉庫を作った時は、もっと大きな木を切り倒してたもの」
「はは、あの時は模型じゃなかったからな」
俺は職業を再び大工とシーカーに変えて、木材加工で倒れた木から必要な木材や板を切り出していく。
大工の特殊スキルで設計図を書いているので、必要な木材のサイズは頭の中に入っている。
細かい部品は、ナイフを使って作り上げていった。
「それにしてもシーカーは凄いな。ナイフの技術が格段にアップしてる」
「まあ祐樹みたいに、大工とシーカーを組み合わせて使おうなんて人はそうはいないだろうけどね」
「はは、きっとそうだろうな。ナナ」
そもそもカンストしている職業ではないとマスタージョブには設定できないもんな、俺みたいな使い方をしている人がいるのかさえ分からない。
手早く模型の部品を作り上げていくと、俺はそれを組み上げていった。
プラモデルみたいで面白い。
興味津々の様子で覗き込む皆の傍で作業を進め、ようやく完成して俺は声を上げた。
「出来たぞ! これが俺たちの家だ!!」
ナナが目を輝かせて言った。
「うわぁ! とっても素敵じゃない」
レイラも大きく頷く。
「これが私たちのお家なのね! 私、気に入ったわ! 早く住みたい!」
「はは、まだ模型だってレイラ」
相変わらず気が早いな。
カレンさんは目を丸くして言う。
「もう出来てしまうとは、あっと間じゃの! ユウキ、ほんにそなたは器用じゃこと」
「お兄ちゃんは凄いのです!」
ククルはとても嬉しそうだ。
出来上がった家の外見は、少しあのお社にも雰囲気が似ている。
せっかく白狼族の隠れ里に家を作らせてもらうんだ、やっぱり見た目は里にあった家にしたいからな。
お社が和風の作りに似ているので、俺にもしっくりとくる。
立派なお屋敷にみんな目を輝かせている。
でも、レイラは少し残念そうに言った。
「中は見られないのね。せっかく作ったのに」
「大丈夫さ、レイラ。その為に模型を作ったんだからな。ちょっとした工夫をしておいたんだ」
「どういうこと? ユウキ」
「こういうことさ!」
俺は頷くと、お屋敷の屋根と正面の壁を取り外す。
そうすることで中がとても見やすくなった。
そして、更には一階と二階も取り外して皆の前に並べる。
こうすればどの部屋も上から一目瞭然だ。
組み立てるのも楽なので、外観が見たければ直ぐに元に戻せるように作ってある。
レイラは驚いたように言う。
「へえ! 凄いわ、これは便利ね」
「だろ?」
リビングには大きな机やソファーも木彫りで作ってある。
大体の家具も作ってみたんだよな。
その方がイメージしやすいし。
お風呂も木で作られた立派なものだ。
それを見てククルが目を輝かせた。
「凄いのです! お家の中も見れるのです!!」
「ほら、ククル。好きなところに人形を置いても大丈夫だぞ」
俺の言葉にククルは大きく頷くと、みんなで使うリビングに自分の人形を置いた。
そして嬉しそうに俺に報告する。
「ククルがお家の中にいるのです!」
「はは、だな!」
俺もそう言ってククルの人形の傍に、先程追加で作った自分の人形を置く。
「うわぁ! お兄ちゃんも一緒なのです」
ナナとレイラが顔を見合わせて笑うと、俺とククルの人形の傍に自分の人形も置いた。
「ふふ、私たちも一緒よ」
「なんだか楽しいわね! こうしてると、一緒に生活する時のことが頭に浮かんでくるもの」
「だな!」
カレンさんも、自分の人形を傍に置くと楽し気に笑う。
「ほんに、乙女の頃に戻ったようじゃ」
ククルは夢中になって人形を手に取ると、色んな場所に置いてははしゃいでいる。
俺はそんなククルの為に、座っているククルの姿や遊んでるククルの姿も人形で作る。
「凄いのです! いろんなククルなのです」
ククルは、それをリビングのソファーに座らせたり、自分の部屋に置いたりして夢中になって遊んでいる。
「ほほほ、ほんにククルにとっては良い遊び道具じゃな」
「ですね。せっかく作ったんだし家を作り終わったらそれ、ククルにプレゼントするか!」
それを聞いてククルは大はしゃぎした。
「ほんとですか! ククル大事にするです! ククルの大事な宝物にするです!!」
「ああ!」
意外な使い道だが、ククルがこんなに喜ぶなら模型を作ってよかったな。
俺たちはその後、話し合いながらもっとこうした方がいいんじゃないかっていう意見を出し合う。
その都度、俺は模型に小さな修正をかけていった。
図面でやるよりも、もっと具体的な話が出来たし、なんといっても俺たちの家が形になっていくようで楽しい。
ナナとレイラは大きな湯船があるお風呂を見て、二人で話している。
「大きなお風呂ね。入ったら気持ちよさそうだわ」
「そうね。どんな感じなのかしら?」
「だったらさ、風呂に入ってるナナ達の人形を作ってみるか! そしたらどんな感じか想像しやすいだろ?」
その言葉に二人は、一斉に俺の方を見る。
「ば、馬鹿じゃないの! 何考えてるのよ!!?」
「そ、そうよ! お風呂に入ってる私たちって裸じゃない!!」
「え? あ、そっか! そ、そうだよな……」
ククルにあんなに喜んで貰ったから調子に乗って何も考えずに提案しちまった。
そしてつい、風呂に入ってる二人のことを想像してしまう。
「何赤くなってるのよ! ユウキ! 今想像したでしょ!」
「もう! 馬鹿裕樹!!」
「ち、違うって。わざとじゃなくてつい……」
カレンさんは俺に体を寄せて言う。
「ほほ、わらわの人形なら彫ってもよいぞえ。それに家が出来上がったら、ユウキと一緒にお風呂に入るのも一興じゃの」
大きな胸が俺の体に寄せられて、その柔らかい感触に俺は益々顔が赤くなるのを感じた。
カレンさんと一緒に風呂なんか入ったらすぐにのぼせてぶっ倒れそうだ。
そんな俺の頬をナナとレイラが左右から抓る。
「絶対にダメ!」
「そうよ! 人形でも実際でも駄目なんだから!」
ククルが両手に人形を持って楽しそうに言った。
「お兄ちゃん怒られたのです! えへへ、でもみんな一緒で楽しいのです」
その言葉にナナとレイラは顔を見合わせる。
そして少し俺を睨むとため息を吐いた。
「もう、仕方ないわね」
「ククルが楽しそうだから許してあげる!」
「は……はは、ククルありがとな」
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