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41、聖堂の中で
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荘厳な大聖堂の中を歩き、奥に作られた祭壇への階段を上がっていく光一たち。
近づくにつれて、その祭壇に突き立てれている剣に秘められた力を感じて笑みを浮かべる。
玲児はそれを見て言った。
「凄え力だ! こりゃ只の剣じゃねえぜ、光一。面白れえ! こいつはまるでゲーム出てくるような伝説級のアイテムだぜ」
「確かにな、玲児。この俺の相応しい剣だ」
玲児は軽く舌打ちをすると肩をすくめて言う。
「ちっ! 仕方ねえな、俺はどっちかっていうと拳で戦うのが好みだ。こいつはお前に譲るぜ。結衣もそれでいいな?」
「ええ、私は剣なんて使って戦うのは御免だもの。でも、光一が使うなら格好いいと思うわ! なんていってもこの私の選んだ男だもの」
そう言った後、結衣は美しくも残忍な笑みを浮かべて言った。
「でも、光一。あいつをこの剣で切り殺す時は私の目の前でやってね? ……この目で見たいのよ! 美しい私のことを傷つけたあのゴミが惨めに死ぬ姿をね!!」
結衣の言葉に光一は頷く。
「ああ、そのつもりだ。お前たちの前であいつを始末してやる」
国王は三人の会話を聞きながら促す。
「この剣を使われる方は、決まったようですな。それではコウイチ殿、どうぞこの剣を。これは勇者ではなくては、決して抜けない剣ですからな」
「いいだろう、国王。この剣は俺が貰うぞ」
光一はそう言うと、祭壇に突き立てられた剣の束に手をかけた。
国王は目を細めると、光一を急き立てるように言う。
「さあ、勇者殿!」
「ああ、分かっている」
光一は頷くと、一気にその剣を引き抜いた。
玲児と結衣が興奮したように叫ぶ。
「やったぜ光一! こりゃ、いきなりチートアイテムを手にいれたようなもんだ。これで俺たちに勝てる奴はいねえ! もちろん佐倉木の野郎もな!!」
「当然よ! 私たちがあんな奴に負けるはずがないんだから!」
そんな中、光一が抜いた剣を中心にして祭壇の下から何かが湧きだすと、それは彼らの足元に広がっていく。
まるで、その剣によって封じられていたかのようだ。
思いがけない状況に、光一たちは声を上げた。
「くっ! な、なんだこれは!?」
「お、おい! こいつ、生きてるのか!? 体を上って来るぞ!!」
赤黒いその液体は、まるで何者かの血のようだ。
それが、生き物のように光一たちの足元から膝へと昇ってくる。
結衣は悲鳴を上げた。
「きゃぁあああ! 何なのよこれ! こないでよ!!」
だが、その液体は悲鳴を上げた結衣の口や鼻の穴にまで入り込み、直ぐに体全体を覆った。
「うぐぅ! がは!! こうい……ち……」
自分に向かって手を伸ばす結衣を見て、光一も叫ぶ。
「結衣!!」
玲児も自分を覆いつくそうとする赤黒い液体を引きはがそうとするが、直ぐに体を覆いつくされた。
「がはっ!! く、くそ……なんだこれ……げほぉおお!!」
「玲児!!」
そう叫んだ光一自身も、直ぐにその液体に包み込まれていく。
「国王! 貴様、俺たちを騙したな!!?」
光一の言葉に、国王は笑みを浮かべると首を横に振る。
「騙したなどと人聞きが悪い。貴方方は力を求めておられた。それを与えて差し上げると言っているのです」
「なんだと!? がはぁああ!!」
光一も赤黒い液体に包まれて、三人ともその場に倒れた。
体を包む液体は、次第に三人の体の中へと沁み込んでいった。
「はぁあ! はううう!!」
結衣の体が痙攣して、うめき声を上げる。
スタイルのよい体が妖しくくねった。
その姿は艶めかしくさえある。
体には先ほどの液体が完全に沁み込み、もうその赤黒い液体は肌には付着してはいない。
結衣は頭を振りながら、ゆっくりと立ち上がる。
「い……一体、何だったの今のは?」
国王はそんな結衣に声をかけた。
「ふふ、ユイ殿。貴方は力を得たのですよ、まるで生まれ変わったようにね」
「力ですって?」
結衣は自分の中に強大な力を感じた。
(何なのこの力……ふふ、凄いわ。まるで自分ではないみたい!)
祭壇に飾られた大きな鏡には、今の結衣の姿が映っている。
その額には黒い紋章のようなものが記され、背中には白く輝く翼が生えていた。
まるで美しい天使のような姿になった自分に、結衣は仲間たちのことを忘れて見惚れた。
「これが私……ふふ、なんて美しいの! 私に相応しい姿だわ!!」
そんな中、玲児もゆっくりと立ち上がった。
結衣同様、先程の赤黒い液体は体に沁み込み表面からは消えている。
そして、鏡に映った自分の姿を見て声を上げた。
「なんだこりゃ……これが本当に俺の姿か? いいぜ! 凄え力を感じる!!」
その姿はまるで獣人のようだ。
だが、普通の獣人の姿ではない。
雷を纏いバチバチを音を立てて黄金に輝く毛並みを持ったその姿。
手には鋭い爪、そして口には鋭い牙が生えていた。
その目はまるで虎のような迫力を帯びている。
そして、最後に立ち上がった光一の額の紋章は黒く、まるで人の目のような形をしていた。
全てを見通すようなその目が、辺りを睥睨している。
そこには光一とは別の何者かの意志が宿っているようにも見える。
「ふふ、ふふふ。これが俺の、勇者の力か? もう誰にも負ける気がしない。あの佐倉木にもな!」
国王はそんな三人の姿を見て笑みを浮かべる。
「言った通りでございましょう? 勇者殿」
「ああ、国王。疑って悪かった」
「いいえ、しかしその姿は膨大な力を使います。それに目立ちすぎる。いざという時にお使いになりますように」
国王の言葉に光一たちは頷くと元の姿に戻る。
それと同時に額の黒い紋章は消えていった。
それを眺めながら国王は言う。
「どうですかな? この世界にはあと二つ神具と呼ばれる武器がございます。それもレイジ殿とユイ殿に相応しい物が。残念ながらそれはわが国にはございません。二つともいささか厄介な場所にありましてな。ですが、手に入れたいとは思われませんかな?」
それを聞いて玲児と結衣は顔を見合わせる。
そして不敵な笑みを浮かべた。
「面白そうじゃねえか。佐倉木と魔王退治の前に伝説のアイテムの残りも手に入れるってわけだ」
「ええ、面白そうね! それがあれば怖いものなしだわ。光一に任せるまでもないわ、あのゴミは私が燃やしてあげる」
光一も大きく頷いた。
「いいだろう。まずはその二つの神具とやらを手に入れる。国王、それがどこにあるのか俺たちに聞かせてもらおうか」
近づくにつれて、その祭壇に突き立てれている剣に秘められた力を感じて笑みを浮かべる。
玲児はそれを見て言った。
「凄え力だ! こりゃ只の剣じゃねえぜ、光一。面白れえ! こいつはまるでゲーム出てくるような伝説級のアイテムだぜ」
「確かにな、玲児。この俺の相応しい剣だ」
玲児は軽く舌打ちをすると肩をすくめて言う。
「ちっ! 仕方ねえな、俺はどっちかっていうと拳で戦うのが好みだ。こいつはお前に譲るぜ。結衣もそれでいいな?」
「ええ、私は剣なんて使って戦うのは御免だもの。でも、光一が使うなら格好いいと思うわ! なんていってもこの私の選んだ男だもの」
そう言った後、結衣は美しくも残忍な笑みを浮かべて言った。
「でも、光一。あいつをこの剣で切り殺す時は私の目の前でやってね? ……この目で見たいのよ! 美しい私のことを傷つけたあのゴミが惨めに死ぬ姿をね!!」
結衣の言葉に光一は頷く。
「ああ、そのつもりだ。お前たちの前であいつを始末してやる」
国王は三人の会話を聞きながら促す。
「この剣を使われる方は、決まったようですな。それではコウイチ殿、どうぞこの剣を。これは勇者ではなくては、決して抜けない剣ですからな」
「いいだろう、国王。この剣は俺が貰うぞ」
光一はそう言うと、祭壇に突き立てられた剣の束に手をかけた。
国王は目を細めると、光一を急き立てるように言う。
「さあ、勇者殿!」
「ああ、分かっている」
光一は頷くと、一気にその剣を引き抜いた。
玲児と結衣が興奮したように叫ぶ。
「やったぜ光一! こりゃ、いきなりチートアイテムを手にいれたようなもんだ。これで俺たちに勝てる奴はいねえ! もちろん佐倉木の野郎もな!!」
「当然よ! 私たちがあんな奴に負けるはずがないんだから!」
そんな中、光一が抜いた剣を中心にして祭壇の下から何かが湧きだすと、それは彼らの足元に広がっていく。
まるで、その剣によって封じられていたかのようだ。
思いがけない状況に、光一たちは声を上げた。
「くっ! な、なんだこれは!?」
「お、おい! こいつ、生きてるのか!? 体を上って来るぞ!!」
赤黒いその液体は、まるで何者かの血のようだ。
それが、生き物のように光一たちの足元から膝へと昇ってくる。
結衣は悲鳴を上げた。
「きゃぁあああ! 何なのよこれ! こないでよ!!」
だが、その液体は悲鳴を上げた結衣の口や鼻の穴にまで入り込み、直ぐに体全体を覆った。
「うぐぅ! がは!! こうい……ち……」
自分に向かって手を伸ばす結衣を見て、光一も叫ぶ。
「結衣!!」
玲児も自分を覆いつくそうとする赤黒い液体を引きはがそうとするが、直ぐに体を覆いつくされた。
「がはっ!! く、くそ……なんだこれ……げほぉおお!!」
「玲児!!」
そう叫んだ光一自身も、直ぐにその液体に包み込まれていく。
「国王! 貴様、俺たちを騙したな!!?」
光一の言葉に、国王は笑みを浮かべると首を横に振る。
「騙したなどと人聞きが悪い。貴方方は力を求めておられた。それを与えて差し上げると言っているのです」
「なんだと!? がはぁああ!!」
光一も赤黒い液体に包まれて、三人ともその場に倒れた。
体を包む液体は、次第に三人の体の中へと沁み込んでいった。
「はぁあ! はううう!!」
結衣の体が痙攣して、うめき声を上げる。
スタイルのよい体が妖しくくねった。
その姿は艶めかしくさえある。
体には先ほどの液体が完全に沁み込み、もうその赤黒い液体は肌には付着してはいない。
結衣は頭を振りながら、ゆっくりと立ち上がる。
「い……一体、何だったの今のは?」
国王はそんな結衣に声をかけた。
「ふふ、ユイ殿。貴方は力を得たのですよ、まるで生まれ変わったようにね」
「力ですって?」
結衣は自分の中に強大な力を感じた。
(何なのこの力……ふふ、凄いわ。まるで自分ではないみたい!)
祭壇に飾られた大きな鏡には、今の結衣の姿が映っている。
その額には黒い紋章のようなものが記され、背中には白く輝く翼が生えていた。
まるで美しい天使のような姿になった自分に、結衣は仲間たちのことを忘れて見惚れた。
「これが私……ふふ、なんて美しいの! 私に相応しい姿だわ!!」
そんな中、玲児もゆっくりと立ち上がった。
結衣同様、先程の赤黒い液体は体に沁み込み表面からは消えている。
そして、鏡に映った自分の姿を見て声を上げた。
「なんだこりゃ……これが本当に俺の姿か? いいぜ! 凄え力を感じる!!」
その姿はまるで獣人のようだ。
だが、普通の獣人の姿ではない。
雷を纏いバチバチを音を立てて黄金に輝く毛並みを持ったその姿。
手には鋭い爪、そして口には鋭い牙が生えていた。
その目はまるで虎のような迫力を帯びている。
そして、最後に立ち上がった光一の額の紋章は黒く、まるで人の目のような形をしていた。
全てを見通すようなその目が、辺りを睥睨している。
そこには光一とは別の何者かの意志が宿っているようにも見える。
「ふふ、ふふふ。これが俺の、勇者の力か? もう誰にも負ける気がしない。あの佐倉木にもな!」
国王はそんな三人の姿を見て笑みを浮かべる。
「言った通りでございましょう? 勇者殿」
「ああ、国王。疑って悪かった」
「いいえ、しかしその姿は膨大な力を使います。それに目立ちすぎる。いざという時にお使いになりますように」
国王の言葉に光一たちは頷くと元の姿に戻る。
それと同時に額の黒い紋章は消えていった。
それを眺めながら国王は言う。
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それを聞いて玲児と結衣は顔を見合わせる。
そして不敵な笑みを浮かべた。
「面白そうじゃねえか。佐倉木と魔王退治の前に伝説のアイテムの残りも手に入れるってわけだ」
「ええ、面白そうね! それがあれば怖いものなしだわ。光一に任せるまでもないわ、あのゴミは私が燃やしてあげる」
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