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30、神秘米
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カレンさんがそれを聞いて大きく頷く。
「ユウキの作る料理か。ほんに楽しみじゃの」
三本の尻尾が優雅に揺れると、ククルもぴょんと跳ねて真似をする。
「ほんに楽しみなのです!」
「ふふ、ククルったら。でも本当に楽しみね」
ナナもそう言って笑った。
俺は彼女たちに頷く。
「ほら、レイラも少し宴の場所で待っててくれよ」
「いやぁ! 私ご飯できるまでユウキと一緒にいるもん!」
俺の腕にしがみついて尻尾を振り振りしてそう駄々をこねるレイラ。
銀色の狼耳が俺の鼻をくすぐって大きな胸がギュッと俺の腕に押し当てられる。
レイラの髪のいい匂いと、柔らかい胸の感触が伝わっきて思わず動揺する。
「お、おい! れ、レイラやめろって」
「だってぇ」
それ横目で眺めながらナナが眉間にしわを寄せると、強引に俺たちを引き離す。
「ちょ! は、離れなさいよ! 裕樹がご飯作れないじゃない」
涙目でこちらを見つめるレイラは可愛いけど、ナナが言うようにこれじゃあ料理作れないもんな。
「う~、じゃあご飯できるまでここで見てるんだから!」
それを聞いてククルが目を輝かせると言った。
「おばば様、ククルもここにいたいのです!」
そう言って、食材の中にあったきのこを一つ小さな手で持つと張り切った様子で俺のところに持ってくる。
巫女姿で尻尾をふりふりやってくるククル。
「はいなのです! お兄ちゃんのお手伝いするのです」
「はは、ありがとなククル」
俺がそうお礼を言って頭を撫でると嬉しそうな顔をするククル。
可愛いもんだ。
「はう~」
朝みんなでご飯の準備をしたのが楽しかったんだろうな。
ククルが持ってきたのは朝ステーキを焼く時にも使ったマルルナタケだ。
今朝の三本程ではないけど中々立派なものが他にも数本あるのが見える。
カレンさんもそんなククルを眺めながら微笑む。
「確かにユウキがどんな料理を作るのか、わらわも気になるの。ククルもそなたと居たいようじゃし、ここで眺めていても構わぬかえ?」
「ええ、もちろん!」
俺は頷いた。
別にみられて困ることでもないもんな。
レイラもあんな調子だし。
ナナがお腹が空きすぎてへたり込むレイラの傍で肩をすくめた。
「なら私も! 手伝えることがあったら何でも言って」
「はは、ありがとなナナ。じゃあ、始めるか!」
俺の言葉にナナは右手を突き上げながらいつもの掛け声をかける。
「お~!」
「お~なのです!」
ククルも可愛くぴょんと跳ねながら真似をする。
「ぐ~」
……誰だ。
一人、腹の虫で合いの手を入れた奴がいるぞ。
厨房には白狼族の料理人もいた。
お社の厨房を担当しているのだろう。
カレンさんは言う。
「この社で料理を担当する者たちじゃ。ユウキ、そなたに協力するよう申し付けておいたぞえ」
「助かりますカレンさん!」
俺が礼を言うとカレンさんは優雅に頷く。
同時に厨房にいるお社の料理人たちが俺に申し出た。
「カレン様よりお客人のユウキ様のお手伝いをするよう申しつかっています。どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします!」
彼らは食材について色々と説明をしてくれた。
「丁度、昼食に使うつもりでしたからタケノコや山菜のあく抜きや下ごしらえはしてあります。野菜やキノコはご自由にお使いください。それからこれは米と言いまして、お客人にはなじみがないかもしれませんが炊くと白く艶々と輝きまして山菜料理などによく合うのです」
「ええ、知ってます! 俺の故郷でもよく食べてましたから」
それを聞いて料理人たちは顔を見合わせると声を上げる。
「おお、そうでしたか!」
「この辺りでは、小麦を育てパンを食する者が多いですからな」
「それならばぜひこの米を食べていただきたい! 聖域の滝の水を湛えた田で育った、白狼族の神秘米は最高の味ですよ!」
そう言って胸を張る彼ら。
カレンさんも大きく頷く。
「炊きたての白く輝くご飯はわらわたちになくてはならぬものじゃゆえの。社に祀られている神にも供える自慢の神秘米じゃ」
「白狼族の神秘米か、確かに美味しそうですね!」
さっき食材を眺めて驚いた理由の一つがこの米なんだよな。
彼らの話だとここら辺ではパン食が多いみたいだけどこうして米を主食にしている人もいるようだ。
彼らが言うように、神秘米というだけあって艶があって美味しそうだな。
「さてと、じゃあ始めるかな」
作る料理はもう決めている。
俺はまず旨そうな白狼族の神秘米を研いだ。
そしてその後、厨房に数本並べてある包丁の中の一本を手にする。
あの日本刀もそうだったけどこの包丁も見事なものだ。
いい鍛冶職人が作ったんだろうな。
「ククル、あそこにある野菜を持ってきてくれるか?」
「はいなのです!」
使いたい野菜をククルに言うと、ククルは張り切って俺のところに持ってきてくれる。
俺の手伝いが出来るのが嬉しくてしかないのだろう。
尻尾を振り振り持ってくると俺に人参を差し出すククル。
「ニンジンなのです!」
「はは、ありがとな」
俺は手早くその皮をむいて料理に合ったサイズに切りそろえていく。
他にも必要な野菜や山菜を同じように繰り返し丁度いい大きさにしていく。
我ながら鮮やかな手並だ
何しろ料理人としてカンストしてるし、狩人になってることで山の幸への扱いには熟練している。
必要ならナナが傍で鑑定眼で食材の詳細について教えてくれるからな。
迷うことなく包丁を振るえると言うものだ。
それにこの包丁がまた素晴らしい切れ味だ。
装備だけじゃなくてこういう道具も自分で作ってみたいよな。
ますます鍛冶職人になるのが楽しみになってきた。
「これは驚いたのぉ。あの剣捌きも見事じゃったが、それに負けぬ包丁捌きじゃな!」
カレンさんが感心したようにそう声を上げる。
厨房の料理人たちも驚いたように頷いた。
「ええ、これほど鮮やかに包丁を使う料理人は珍しい!」
「どこで修業を?」
思わず俺にそう尋ねる料理人たち。
「はは、色々ありまして」
厨房の料理人たちにお願いして、竈にはもう火を入れてもらっている。
薪を使った米を炊くための釜専用の竈とは別に、炭火を使ったものもある。
その上には金網が乗っており、魚や山の幸を焼くことが出来るようになっているそうだ。
「へえ、炭火焼きも出来るんですね」
俺の言葉に料理人たちは頷いた。
「魚料理には炭火が合いますからな。宴の席にも炭火で調理が出来る囲炉裏がありますぞ。宴会の席で、ちょっとした料理を作るのに便利ですから」
「そうなんですね!」
宴の広間にある囲炉裏か。
確かに便利そうだ。
宴会をしながら追加の料理とか作れそうだもんな。
この包丁や金網もそうだけど、白狼族の鍛冶職人が腕がいいんだろうな金属製の調理器具が結構あるし。
俺はそんなことを考えながら調理を続ける。
「さてと次はこいつだな」
俺は包丁を出刃に持ち替えて、レイラがつかまえた立派な背赤鱒の鱗やはらわたを取り除いて適度に塩を振って下ごしらえをした。
炭火と美味しそうな鱒を見比べてレイラが、期待に満ちた眼差しでこちらを眺めている。
「はわわ、背赤鱒の炭火焼きね! ねえ、ユウキ早く焼いて!」
「確かに炭火焼きしたら旨そうだよな。でも、もう少し待ってろってレイラ」
「う~」
お預けを食らったワンコのように、恨めしそうに尻尾を垂らすレイラの姿。
俺はさっき研いで水につけておいた神秘米の様子を確認する。
「そろそろいい塩梅かな」
十分に水を吸った釜に入った米を俺は竈にかけると、そこに先ほど刻んだ野菜やきのこをいれる。
下ごしらえが終わっている山菜もそこに加えた。
タケノコやワラビのような山菜、そしてニンジンや舞茸のようなきのこ、色とりどりだ。
ククルが手渡してくれたマルルナタケも加えてある。
白狼族の料理人たちはそれを見て言う。
「おお! 山の幸と一緒に炊くのですな」
「これは珍しい! 米と言えばそれだけで炊くものだと思っていたが。お客人の国では違うようですな」
俺は笑いながら答える。
「俺の国でも普通は白いご飯が殆どなんですけど。山菜やきのこを見てたらこれが一番だと思って。山菜ときのこ、山の幸を使った釜めしです!」
カレンさんが首を傾げる。
「釜めしとな? おかずと一緒に米を炊くのかえ。しかし味付けはどうするのじゃ、これでは塩気も味も物足りぬ気がするが」
「ですね。もちろん仕上げのひと匙がありますから」
俺はそう言って、料理人のマスタースキルを使った。
「金の匙!!」
俺の右手にドリルホーンのステーキの時よりも大きな金色のスプーンが現れる。
ご飯を炊く釜が大きいだけに仕上げのひと匙も大きくなるってものだ。
金の匙というよりは、金のおたまって感じだなこりゃ。
「いくぞ~」
醤油やみりん、そしてお酒。
他にもいくつかの調味料をミックスして作ったこの釜めしにぴったりの和風だしを俺は釜の中に加えた。
カレンさんが驚いたように俺に言う。
「ユウキ、今のは?」
「はは、最後の仕上げの味付けですよ。俺は、ちょっとした味付け用にスキルが使えまして」
そう言って頭を掻く俺を楽し気に眺めながらカレンさんが言う。
「ほほ、なんと変わったおのこじゃの」
そして釜の蓋を閉じると、釜めしを炊く。
そのまま暫くすると、山菜やキノコ、そして加えたダシの香りが厨房一杯に漂っていく。
「はわ、はわわ……この匂い、もう駄目」
レイラが竈の近くでくんくんと匂いを嗅いでいる。
「はうう、美味しそうなのです!」
ククルも小さな鼻をヒクヒクとさせている。
「ほんにいい匂いじゃの!」
カレンさんも三本の尻尾を揺らしていた。
俺は釜めしの様子を眺めながら、炊きあがりの時間を計算しつつ先程下ごしらえした美味しそうな背赤鱒に料理人の特殊魔法である熟成をかける。
「熟成!」
そして、炭火の上の金網に一気に乗せた。
ジュウウウ
美味しそうな音がして、次第に鱒に火が通っていく。
熟成の効果もあってか、その身から出る脂がとても食欲を増す匂いを周囲に漂わせていく。
レイラがまたじゅるりと唾を飲み込みながらこちらを見る。
「カマメシ……マス」
……いや、本格的にカタコトになってるぞレイラ。
ナナもくぅとお腹を鳴らして真っ赤になった。
「もう! 裕樹の意地悪、どうしてそんな美味しそうな匂いさせるの!?」
「は……はは」
何故か責められながら、俺はじっくりと炭火で背赤鱒を焼いていく。
確かにこれは美味そうだ。
皮はパリッと身はしっかりとそしてふんわりジューシーに。
最高の状態に焼きあがった瞬間、俺はもう一度料理人のマスタースキルを使う。
「いくぞ、金の匙!!」
熱々に焼きあがった背赤鱒に俺は、ゆず醤油が入った金の匙で最後の味付けをした。
ジュウウ!!
再びいい香りがして切れ目を入れておいた皮の裂け目から、それが鱒にしみこんでいくのが分かる。
同時にゆず醤油が背赤鱒の脂に混ざって加熱されると得も言われぬ匂いが辺りに漂っていく。
気が付くとレイラが俺のすぐ背後でじっとそれを見ていた。
目がすわってて怖いぞレイラ。
「はは、出来たぞレイラ!」
俺はそう言って、焼きあがった背赤鱒を皿の上に乗せる。
そして、ほぼ同時に炊きあがった釜めしの蓋を開けて茶碗に似た食器に少し盛り付けた。
このままだとレイラにせっかくの料理を丸かじりされかねないからな。
俺は彼女に提案した。
「少し味見してみるか?」
コクコクと頷くレイラ。
俺は笑いながら、炭火焼きした鱒の身を取り箸でほぐすとそれを釜めしの上に乗せる。
そして、レイラに手渡した。
「鱒の身を乗せた釜めしだ、食べてみてくれよ!」
レイラはそれを受け取るとまずは上に乗った鱒の身と一緒に釜めしをぱくりと一口食べる。
「はわ! はわああああ!!」
余程美味しかったのか、狼耳がぺったりと頭についてとろけそうな顔をするレイラ。
「何なのこれ! 美味しい、美味しすぎる!!」
夢中になって茶碗の中に入った釜めしと鱒を食べる。
「釜めしうまぁ! マスうまぁあああ! 一緒に食べるとほっぺた蕩けるぅううう!」
先ほどまですっかり元気がなくなっていたレイラが、元気いっぱいといった感じでほっぺたを赤くしてご飯を頬張っている。
どうやら大満足のようだ。
俺はそれを眺めながら言った。
「たっぷりの山の幸を使った釜めしと、脂がしっかり乗った背赤鱒のゆず醤油焼き。少し行儀が悪いも知れないけどこうして食べるのが旨いと思ってさ」
そんな中、ナナとククルがすっかり鱒乗せの釜めしに夢中のレイラを見て俺にせがんだ。
「ちょっと裕樹、ずるいわレイラだけ!」
「はう~ククルも食べたいのです!」
カレンさんも声を上げる。
「わらわもじゃ! この香りもう我慢できぬ。ユウキ、わらわにも食べさせておくれ!」
そう言った後、はしたないと思ったのか少し恥ずかしそうな様子で三本の尻尾を揺らすカレンさんは可愛らしい。
「はは、分かりました!」
俺はそういうと、三人分の茶碗を用意して熱々の釜めしをよそった。
「ユウキの作る料理か。ほんに楽しみじゃの」
三本の尻尾が優雅に揺れると、ククルもぴょんと跳ねて真似をする。
「ほんに楽しみなのです!」
「ふふ、ククルったら。でも本当に楽しみね」
ナナもそう言って笑った。
俺は彼女たちに頷く。
「ほら、レイラも少し宴の場所で待っててくれよ」
「いやぁ! 私ご飯できるまでユウキと一緒にいるもん!」
俺の腕にしがみついて尻尾を振り振りしてそう駄々をこねるレイラ。
銀色の狼耳が俺の鼻をくすぐって大きな胸がギュッと俺の腕に押し当てられる。
レイラの髪のいい匂いと、柔らかい胸の感触が伝わっきて思わず動揺する。
「お、おい! れ、レイラやめろって」
「だってぇ」
それ横目で眺めながらナナが眉間にしわを寄せると、強引に俺たちを引き離す。
「ちょ! は、離れなさいよ! 裕樹がご飯作れないじゃない」
涙目でこちらを見つめるレイラは可愛いけど、ナナが言うようにこれじゃあ料理作れないもんな。
「う~、じゃあご飯できるまでここで見てるんだから!」
それを聞いてククルが目を輝かせると言った。
「おばば様、ククルもここにいたいのです!」
そう言って、食材の中にあったきのこを一つ小さな手で持つと張り切った様子で俺のところに持ってくる。
巫女姿で尻尾をふりふりやってくるククル。
「はいなのです! お兄ちゃんのお手伝いするのです」
「はは、ありがとなククル」
俺がそうお礼を言って頭を撫でると嬉しそうな顔をするククル。
可愛いもんだ。
「はう~」
朝みんなでご飯の準備をしたのが楽しかったんだろうな。
ククルが持ってきたのは朝ステーキを焼く時にも使ったマルルナタケだ。
今朝の三本程ではないけど中々立派なものが他にも数本あるのが見える。
カレンさんもそんなククルを眺めながら微笑む。
「確かにユウキがどんな料理を作るのか、わらわも気になるの。ククルもそなたと居たいようじゃし、ここで眺めていても構わぬかえ?」
「ええ、もちろん!」
俺は頷いた。
別にみられて困ることでもないもんな。
レイラもあんな調子だし。
ナナがお腹が空きすぎてへたり込むレイラの傍で肩をすくめた。
「なら私も! 手伝えることがあったら何でも言って」
「はは、ありがとなナナ。じゃあ、始めるか!」
俺の言葉にナナは右手を突き上げながらいつもの掛け声をかける。
「お~!」
「お~なのです!」
ククルも可愛くぴょんと跳ねながら真似をする。
「ぐ~」
……誰だ。
一人、腹の虫で合いの手を入れた奴がいるぞ。
厨房には白狼族の料理人もいた。
お社の厨房を担当しているのだろう。
カレンさんは言う。
「この社で料理を担当する者たちじゃ。ユウキ、そなたに協力するよう申し付けておいたぞえ」
「助かりますカレンさん!」
俺が礼を言うとカレンさんは優雅に頷く。
同時に厨房にいるお社の料理人たちが俺に申し出た。
「カレン様よりお客人のユウキ様のお手伝いをするよう申しつかっています。どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします!」
彼らは食材について色々と説明をしてくれた。
「丁度、昼食に使うつもりでしたからタケノコや山菜のあく抜きや下ごしらえはしてあります。野菜やキノコはご自由にお使いください。それからこれは米と言いまして、お客人にはなじみがないかもしれませんが炊くと白く艶々と輝きまして山菜料理などによく合うのです」
「ええ、知ってます! 俺の故郷でもよく食べてましたから」
それを聞いて料理人たちは顔を見合わせると声を上げる。
「おお、そうでしたか!」
「この辺りでは、小麦を育てパンを食する者が多いですからな」
「それならばぜひこの米を食べていただきたい! 聖域の滝の水を湛えた田で育った、白狼族の神秘米は最高の味ですよ!」
そう言って胸を張る彼ら。
カレンさんも大きく頷く。
「炊きたての白く輝くご飯はわらわたちになくてはならぬものじゃゆえの。社に祀られている神にも供える自慢の神秘米じゃ」
「白狼族の神秘米か、確かに美味しそうですね!」
さっき食材を眺めて驚いた理由の一つがこの米なんだよな。
彼らの話だとここら辺ではパン食が多いみたいだけどこうして米を主食にしている人もいるようだ。
彼らが言うように、神秘米というだけあって艶があって美味しそうだな。
「さてと、じゃあ始めるかな」
作る料理はもう決めている。
俺はまず旨そうな白狼族の神秘米を研いだ。
そしてその後、厨房に数本並べてある包丁の中の一本を手にする。
あの日本刀もそうだったけどこの包丁も見事なものだ。
いい鍛冶職人が作ったんだろうな。
「ククル、あそこにある野菜を持ってきてくれるか?」
「はいなのです!」
使いたい野菜をククルに言うと、ククルは張り切って俺のところに持ってきてくれる。
俺の手伝いが出来るのが嬉しくてしかないのだろう。
尻尾を振り振り持ってくると俺に人参を差し出すククル。
「ニンジンなのです!」
「はは、ありがとな」
俺は手早くその皮をむいて料理に合ったサイズに切りそろえていく。
他にも必要な野菜や山菜を同じように繰り返し丁度いい大きさにしていく。
我ながら鮮やかな手並だ
何しろ料理人としてカンストしてるし、狩人になってることで山の幸への扱いには熟練している。
必要ならナナが傍で鑑定眼で食材の詳細について教えてくれるからな。
迷うことなく包丁を振るえると言うものだ。
それにこの包丁がまた素晴らしい切れ味だ。
装備だけじゃなくてこういう道具も自分で作ってみたいよな。
ますます鍛冶職人になるのが楽しみになってきた。
「これは驚いたのぉ。あの剣捌きも見事じゃったが、それに負けぬ包丁捌きじゃな!」
カレンさんが感心したようにそう声を上げる。
厨房の料理人たちも驚いたように頷いた。
「ええ、これほど鮮やかに包丁を使う料理人は珍しい!」
「どこで修業を?」
思わず俺にそう尋ねる料理人たち。
「はは、色々ありまして」
厨房の料理人たちにお願いして、竈にはもう火を入れてもらっている。
薪を使った米を炊くための釜専用の竈とは別に、炭火を使ったものもある。
その上には金網が乗っており、魚や山の幸を焼くことが出来るようになっているそうだ。
「へえ、炭火焼きも出来るんですね」
俺の言葉に料理人たちは頷いた。
「魚料理には炭火が合いますからな。宴の席にも炭火で調理が出来る囲炉裏がありますぞ。宴会の席で、ちょっとした料理を作るのに便利ですから」
「そうなんですね!」
宴の広間にある囲炉裏か。
確かに便利そうだ。
宴会をしながら追加の料理とか作れそうだもんな。
この包丁や金網もそうだけど、白狼族の鍛冶職人が腕がいいんだろうな金属製の調理器具が結構あるし。
俺はそんなことを考えながら調理を続ける。
「さてと次はこいつだな」
俺は包丁を出刃に持ち替えて、レイラがつかまえた立派な背赤鱒の鱗やはらわたを取り除いて適度に塩を振って下ごしらえをした。
炭火と美味しそうな鱒を見比べてレイラが、期待に満ちた眼差しでこちらを眺めている。
「はわわ、背赤鱒の炭火焼きね! ねえ、ユウキ早く焼いて!」
「確かに炭火焼きしたら旨そうだよな。でも、もう少し待ってろってレイラ」
「う~」
お預けを食らったワンコのように、恨めしそうに尻尾を垂らすレイラの姿。
俺はさっき研いで水につけておいた神秘米の様子を確認する。
「そろそろいい塩梅かな」
十分に水を吸った釜に入った米を俺は竈にかけると、そこに先ほど刻んだ野菜やきのこをいれる。
下ごしらえが終わっている山菜もそこに加えた。
タケノコやワラビのような山菜、そしてニンジンや舞茸のようなきのこ、色とりどりだ。
ククルが手渡してくれたマルルナタケも加えてある。
白狼族の料理人たちはそれを見て言う。
「おお! 山の幸と一緒に炊くのですな」
「これは珍しい! 米と言えばそれだけで炊くものだと思っていたが。お客人の国では違うようですな」
俺は笑いながら答える。
「俺の国でも普通は白いご飯が殆どなんですけど。山菜やきのこを見てたらこれが一番だと思って。山菜ときのこ、山の幸を使った釜めしです!」
カレンさんが首を傾げる。
「釜めしとな? おかずと一緒に米を炊くのかえ。しかし味付けはどうするのじゃ、これでは塩気も味も物足りぬ気がするが」
「ですね。もちろん仕上げのひと匙がありますから」
俺はそう言って、料理人のマスタースキルを使った。
「金の匙!!」
俺の右手にドリルホーンのステーキの時よりも大きな金色のスプーンが現れる。
ご飯を炊く釜が大きいだけに仕上げのひと匙も大きくなるってものだ。
金の匙というよりは、金のおたまって感じだなこりゃ。
「いくぞ~」
醤油やみりん、そしてお酒。
他にもいくつかの調味料をミックスして作ったこの釜めしにぴったりの和風だしを俺は釜の中に加えた。
カレンさんが驚いたように俺に言う。
「ユウキ、今のは?」
「はは、最後の仕上げの味付けですよ。俺は、ちょっとした味付け用にスキルが使えまして」
そう言って頭を掻く俺を楽し気に眺めながらカレンさんが言う。
「ほほ、なんと変わったおのこじゃの」
そして釜の蓋を閉じると、釜めしを炊く。
そのまま暫くすると、山菜やキノコ、そして加えたダシの香りが厨房一杯に漂っていく。
「はわ、はわわ……この匂い、もう駄目」
レイラが竈の近くでくんくんと匂いを嗅いでいる。
「はうう、美味しそうなのです!」
ククルも小さな鼻をヒクヒクとさせている。
「ほんにいい匂いじゃの!」
カレンさんも三本の尻尾を揺らしていた。
俺は釜めしの様子を眺めながら、炊きあがりの時間を計算しつつ先程下ごしらえした美味しそうな背赤鱒に料理人の特殊魔法である熟成をかける。
「熟成!」
そして、炭火の上の金網に一気に乗せた。
ジュウウウ
美味しそうな音がして、次第に鱒に火が通っていく。
熟成の効果もあってか、その身から出る脂がとても食欲を増す匂いを周囲に漂わせていく。
レイラがまたじゅるりと唾を飲み込みながらこちらを見る。
「カマメシ……マス」
……いや、本格的にカタコトになってるぞレイラ。
ナナもくぅとお腹を鳴らして真っ赤になった。
「もう! 裕樹の意地悪、どうしてそんな美味しそうな匂いさせるの!?」
「は……はは」
何故か責められながら、俺はじっくりと炭火で背赤鱒を焼いていく。
確かにこれは美味そうだ。
皮はパリッと身はしっかりとそしてふんわりジューシーに。
最高の状態に焼きあがった瞬間、俺はもう一度料理人のマスタースキルを使う。
「いくぞ、金の匙!!」
熱々に焼きあがった背赤鱒に俺は、ゆず醤油が入った金の匙で最後の味付けをした。
ジュウウ!!
再びいい香りがして切れ目を入れておいた皮の裂け目から、それが鱒にしみこんでいくのが分かる。
同時にゆず醤油が背赤鱒の脂に混ざって加熱されると得も言われぬ匂いが辺りに漂っていく。
気が付くとレイラが俺のすぐ背後でじっとそれを見ていた。
目がすわってて怖いぞレイラ。
「はは、出来たぞレイラ!」
俺はそう言って、焼きあがった背赤鱒を皿の上に乗せる。
そして、ほぼ同時に炊きあがった釜めしの蓋を開けて茶碗に似た食器に少し盛り付けた。
このままだとレイラにせっかくの料理を丸かじりされかねないからな。
俺は彼女に提案した。
「少し味見してみるか?」
コクコクと頷くレイラ。
俺は笑いながら、炭火焼きした鱒の身を取り箸でほぐすとそれを釜めしの上に乗せる。
そして、レイラに手渡した。
「鱒の身を乗せた釜めしだ、食べてみてくれよ!」
レイラはそれを受け取るとまずは上に乗った鱒の身と一緒に釜めしをぱくりと一口食べる。
「はわ! はわああああ!!」
余程美味しかったのか、狼耳がぺったりと頭についてとろけそうな顔をするレイラ。
「何なのこれ! 美味しい、美味しすぎる!!」
夢中になって茶碗の中に入った釜めしと鱒を食べる。
「釜めしうまぁ! マスうまぁあああ! 一緒に食べるとほっぺた蕩けるぅううう!」
先ほどまですっかり元気がなくなっていたレイラが、元気いっぱいといった感じでほっぺたを赤くしてご飯を頬張っている。
どうやら大満足のようだ。
俺はそれを眺めながら言った。
「たっぷりの山の幸を使った釜めしと、脂がしっかり乗った背赤鱒のゆず醤油焼き。少し行儀が悪いも知れないけどこうして食べるのが旨いと思ってさ」
そんな中、ナナとククルがすっかり鱒乗せの釜めしに夢中のレイラを見て俺にせがんだ。
「ちょっと裕樹、ずるいわレイラだけ!」
「はう~ククルも食べたいのです!」
カレンさんも声を上げる。
「わらわもじゃ! この香りもう我慢できぬ。ユウキ、わらわにも食べさせておくれ!」
そう言った後、はしたないと思ったのか少し恥ずかしそうな様子で三本の尻尾を揺らすカレンさんは可愛らしい。
「はは、分かりました!」
俺はそういうと、三人分の茶碗を用意して熱々の釜めしをよそった。
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レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
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「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
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・・・・
・・・
・・
・
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