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215、ジーナの提案
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「ジーナさん、エリクさん、ありがとうございました。リカルドさんに会えなかったのは残念ですけど、俺たちそろそろ迷宮の奥にレベル上げに向かおうと思います!」
俺の言葉にジーナさんは頷く。
そして、スラリとしたウエストに手を当てると俺たちを眺めた。
「そうだね。でもその前に一つ、あんたたちに提案があるんだ」
ジーナさんの言葉に俺たちは首を傾げる。
アンジェは早速迷宮に出かけるつもりだったのだろう、『紅』に手を添えながらジーナさんに尋ねる。
「何よ? ジーナ。せっかく、これからレベル上げに行けるって思ったのに」
不満そうなアンジェの顔を見て、ジーナさんは肩をすくめる。
「まあそう言うんじゃないよ、アンジェ。あんたたちにとっても損にはならない話さ。エリク説明しな、元はと言えばあんたの提案なんだからね」
ジーナさんはそう言うと、エリクさんの方をチラリと眺める。
エリクさんは、ジーナさんの視線を感じたのだろう一歩前に進み出た。
「ええ、説明は僕からしたほうが良さそうですね」
俺はエリクさんに問いかけた。
「エリクさん、俺たちに話って何ですか?」
「ああ、エイジ君。単刀直入に言うと、君たちをこのまま迷宮の奥には行かせられないってことさ」
その言葉を聞いて、俺たちは呆然とエリクさんを見た。
「それは、どういうことですか!?」
俺の問いにアンジェも同意して抗議する。
「どういう事よ? 大体、迷宮の奥に行くのに一々警備隊の許可なんていらないわ!」
少し喧嘩腰にそう言ったアンジェを、エリスが止める。
そして、ジッとエリクさんを見つめた。
「……私のせいね」
その横顔は美しく高貴さを漂わせている。
王女としてのエリス。
そんな気配をそこからは感じた。
エリクさんは、人目がないことを確認した上でエリスの前に膝をつき、忠誠を誓う騎士がするように恭しく礼をした。
「先程からの非礼、どうかお許し下さいませ王女殿下。ジーナ隊長からこれが忍びであると伺いました故、只の冒険者にするがごとく殿下に接しておりました」
その姿を見て、アンジェがジーナさんに詰め寄った。
「ジーナ! 話したのね? 約束が違うじゃない! エリスがこの町で過ごす時間の邪魔はしないって」
「ああ、昨日はそう約束してくれたじゃないか、ジーナさん!」
エリクさんは信頼が出来る人だ、エリスのことを話したのは分かる。
でも、迷宮の奥に進めなければレベル上げが出来ない。
(俺たちには時間がないんだ……)
焦りからだろう、ジーナさんに思わず詰め寄った俺をリアナが止めた。
ブロンドの少女は俺の手を握ると。
「エイジ、ジーナさんは私たちにも損がない話だって言ったわ。まずは話を聞いてみましょう?」
俺をジッと見つめる、リアナ。
(……ああ、そうだな。焦っても何も解決はしない)
俺が焦ったら、エリスが不安になるだけだろう。
それを悟ってリアナの手を握り返す。
俺はゆっくりと息を吐く。
「すみませんでした、ジーナさん、エリクさん。話を聞かせて貰えますか?」
エリクさんは、伯爵令嬢であるリアナにも深々と礼をすると頷いた。
「エイジ君、君たちのことはジーナさんと僕だけの秘密にしておくつもりだよ。殿下がここで過ごす時間を邪魔するつもりなんて、毛頭ないさ」
ジーナさんはその言葉に同意すると。
「エリクとも相談したのさ。こちらとしては、あんたたちの居場所を正確に把握できるなら自由に冒険をして貰って構わないんだ。それでね、一つ依頼を引き受けてもらいたいんだよ。警備隊からの依頼をね」
ジーナさんの言葉に俺は問い返す。
「警備隊からの依頼?」
「ああ、そうさ。エイジ、ある魔物の討伐隊にあんたたちも加わって貰いたいんだ」
俺の言葉にジーナさんは頷く。
そして、スラリとしたウエストに手を当てると俺たちを眺めた。
「そうだね。でもその前に一つ、あんたたちに提案があるんだ」
ジーナさんの言葉に俺たちは首を傾げる。
アンジェは早速迷宮に出かけるつもりだったのだろう、『紅』に手を添えながらジーナさんに尋ねる。
「何よ? ジーナ。せっかく、これからレベル上げに行けるって思ったのに」
不満そうなアンジェの顔を見て、ジーナさんは肩をすくめる。
「まあそう言うんじゃないよ、アンジェ。あんたたちにとっても損にはならない話さ。エリク説明しな、元はと言えばあんたの提案なんだからね」
ジーナさんはそう言うと、エリクさんの方をチラリと眺める。
エリクさんは、ジーナさんの視線を感じたのだろう一歩前に進み出た。
「ええ、説明は僕からしたほうが良さそうですね」
俺はエリクさんに問いかけた。
「エリクさん、俺たちに話って何ですか?」
「ああ、エイジ君。単刀直入に言うと、君たちをこのまま迷宮の奥には行かせられないってことさ」
その言葉を聞いて、俺たちは呆然とエリクさんを見た。
「それは、どういうことですか!?」
俺の問いにアンジェも同意して抗議する。
「どういう事よ? 大体、迷宮の奥に行くのに一々警備隊の許可なんていらないわ!」
少し喧嘩腰にそう言ったアンジェを、エリスが止める。
そして、ジッとエリクさんを見つめた。
「……私のせいね」
その横顔は美しく高貴さを漂わせている。
王女としてのエリス。
そんな気配をそこからは感じた。
エリクさんは、人目がないことを確認した上でエリスの前に膝をつき、忠誠を誓う騎士がするように恭しく礼をした。
「先程からの非礼、どうかお許し下さいませ王女殿下。ジーナ隊長からこれが忍びであると伺いました故、只の冒険者にするがごとく殿下に接しておりました」
その姿を見て、アンジェがジーナさんに詰め寄った。
「ジーナ! 話したのね? 約束が違うじゃない! エリスがこの町で過ごす時間の邪魔はしないって」
「ああ、昨日はそう約束してくれたじゃないか、ジーナさん!」
エリクさんは信頼が出来る人だ、エリスのことを話したのは分かる。
でも、迷宮の奥に進めなければレベル上げが出来ない。
(俺たちには時間がないんだ……)
焦りからだろう、ジーナさんに思わず詰め寄った俺をリアナが止めた。
ブロンドの少女は俺の手を握ると。
「エイジ、ジーナさんは私たちにも損がない話だって言ったわ。まずは話を聞いてみましょう?」
俺をジッと見つめる、リアナ。
(……ああ、そうだな。焦っても何も解決はしない)
俺が焦ったら、エリスが不安になるだけだろう。
それを悟ってリアナの手を握り返す。
俺はゆっくりと息を吐く。
「すみませんでした、ジーナさん、エリクさん。話を聞かせて貰えますか?」
エリクさんは、伯爵令嬢であるリアナにも深々と礼をすると頷いた。
「エイジ君、君たちのことはジーナさんと僕だけの秘密にしておくつもりだよ。殿下がここで過ごす時間を邪魔するつもりなんて、毛頭ないさ」
ジーナさんはその言葉に同意すると。
「エリクとも相談したのさ。こちらとしては、あんたたちの居場所を正確に把握できるなら自由に冒険をして貰って構わないんだ。それでね、一つ依頼を引き受けてもらいたいんだよ。警備隊からの依頼をね」
ジーナさんの言葉に俺は問い返す。
「警備隊からの依頼?」
「ああ、そうさ。エイジ、ある魔物の討伐隊にあんたたちも加わって貰いたいんだ」
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