238 / 254
連載
393、バトルフィールド
しおりを挟む
「さて、エイジ。私はあんたに剣を教えると約束したんだ。まずは、どの程度の腕になったのか確かめさせてもらうよ」
ジーナのその言葉を聞いて、エイジは身構える。
エリスとリアナがふぅと溜め息をついた。
「せっかく、ライアンが食料を持ってきてくれたのに」
「晩御飯を食べてからって訳にはいかないのかしら?」
オリビアはくぅとお腹が鳴って顔を赤くした。
「あ、アンジェはしたないわよ」
「ちょ! オリビア今の貴方でしょ!?」
ラエサルを見送ったばかりで元気が無かったアンジェも、オリビアの言葉に流石に言い返した。
乙女の沽券に関わる問題だ。
「オリビアの奴、意外と酷いな」
「ふにゃ、エイジに聞かれたくない乙女心にゃ」
ララリシアが慌ててジーナたちを止める。
「ちょっと待って! こんなところで戦うつもり? この施設を復旧するのに私がどれだけ苦労したのか分かってるの!?」
「そう言われてもね、外で戦う訳にもいかないだろ?」
確かに、それでは何のために隠れ家にいるのか分からない。
ララリシアはため息をついて言った。
「いいわ、レジスタンスの戦士用のバトルフィードを使って頂戴。その中なら思いっきり戦っても施設にはダメージは無いわ」
「バトルフィールド?」
エイジが思わず問い返す。
ララリシアは頷くと。
「二人ともついて来て、苦労して動かした施設を壊されるのは御免だわ!」
「ふふ、バトルフィールドね面白そうじゃないか。エイジ行くよ!」
ジーナのさばさばした態度に、ララリシアも毒気を抜かれたように肩をすくめた。
エリスとリアナは、それを見てクスクスと笑う。
「ジーナさんて、美人だけど男の人みたいよね」
「ラエサルさんがいなくなるのは不安だったけど、ジーナさんも頼れるタイプよね」
ジーナはジト目で二人を睨む。
「聞こえてるよエリス、リアナ」
「ふふ、ごめんなさい」
「褒めてるのよ」
ライアンも溜め息をつきながら同意した。
「分かるぜエリス、リアナ。まったくジーナ隊長ときたら人使いは荒いし、並みの男よりも豪快だからな」
「ふにゃ! ライアンはここまで来るまでにすっかり身に染みたからにゃ」
ライアンの傍に置かれた大きなリュックを見て、一同は顔を見合わせて笑った。
アンジェとオリビアは、ララリシアが言うバトルフィールドに興味があるようで彼女に尋ねる。
「ねえ、ララリシア。どこにあるの?」
「ええ、気になるわね。どんな場所なのかしら」
結局、ジーナとエイジだけではなく全員で移動することになった。
先程の寝室に移動して、そこから浴室に繋がるドアとは違う扉をくぐる。
するとそこは透明な窓のついた細長い部屋になっていた。
その窓から下方に目をやると、大きな白い空間がある。
ララリシアは皆に言った。
「試合を見たいならここで見られるわ。ジーナとエイジはそこの階段から下に降りればバトルフィールドよ」
「へえ、中々広いじゃないか」
そう言いながら早速階段を下り始めるジーナ。
エイジは慌ててその後を追った。
バトルフィールドの降りると、ジーナは『風神』を構える。
(これは……)
エイジは思わず身構えた。
ジーナの体が魔力と闘気に覆われていくのを見たからである。
いや正確に言うと強烈な霊気だ。
黄金の光が美しいブロンドを煌めかせる。
その姿は、まるで人であって精霊のようでもある。
「ラエサル以外の相手に本気を出すのは久しぶりだね。いつでもいいよ、エイジ。かかっておいで」
その言葉にエイジも大剣を抜き放つと、額の精霊銀が輝く。
魂の瞳が開眼していくのが分かる。
ファルティーシアと高い融合率でエレメンタルフュージョンしている証だ。
白い霊気を帯びていくエイジの体。
ライアンはそれを見て目を丸くした。
「凄え……ここにいても感じるぜ。エイジの奴ここまで強くなってやがったのか」
オリビアは、その様子を固唾をのんで見つめている。
「見て、二人とも動くわよ!」
そうオリビアが言った瞬間──
バトルフィールドの中では、二人の剣士が凄まじい速さで剣を交えていた。
ジーナのその言葉を聞いて、エイジは身構える。
エリスとリアナがふぅと溜め息をついた。
「せっかく、ライアンが食料を持ってきてくれたのに」
「晩御飯を食べてからって訳にはいかないのかしら?」
オリビアはくぅとお腹が鳴って顔を赤くした。
「あ、アンジェはしたないわよ」
「ちょ! オリビア今の貴方でしょ!?」
ラエサルを見送ったばかりで元気が無かったアンジェも、オリビアの言葉に流石に言い返した。
乙女の沽券に関わる問題だ。
「オリビアの奴、意外と酷いな」
「ふにゃ、エイジに聞かれたくない乙女心にゃ」
ララリシアが慌ててジーナたちを止める。
「ちょっと待って! こんなところで戦うつもり? この施設を復旧するのに私がどれだけ苦労したのか分かってるの!?」
「そう言われてもね、外で戦う訳にもいかないだろ?」
確かに、それでは何のために隠れ家にいるのか分からない。
ララリシアはため息をついて言った。
「いいわ、レジスタンスの戦士用のバトルフィードを使って頂戴。その中なら思いっきり戦っても施設にはダメージは無いわ」
「バトルフィールド?」
エイジが思わず問い返す。
ララリシアは頷くと。
「二人ともついて来て、苦労して動かした施設を壊されるのは御免だわ!」
「ふふ、バトルフィールドね面白そうじゃないか。エイジ行くよ!」
ジーナのさばさばした態度に、ララリシアも毒気を抜かれたように肩をすくめた。
エリスとリアナは、それを見てクスクスと笑う。
「ジーナさんて、美人だけど男の人みたいよね」
「ラエサルさんがいなくなるのは不安だったけど、ジーナさんも頼れるタイプよね」
ジーナはジト目で二人を睨む。
「聞こえてるよエリス、リアナ」
「ふふ、ごめんなさい」
「褒めてるのよ」
ライアンも溜め息をつきながら同意した。
「分かるぜエリス、リアナ。まったくジーナ隊長ときたら人使いは荒いし、並みの男よりも豪快だからな」
「ふにゃ! ライアンはここまで来るまでにすっかり身に染みたからにゃ」
ライアンの傍に置かれた大きなリュックを見て、一同は顔を見合わせて笑った。
アンジェとオリビアは、ララリシアが言うバトルフィールドに興味があるようで彼女に尋ねる。
「ねえ、ララリシア。どこにあるの?」
「ええ、気になるわね。どんな場所なのかしら」
結局、ジーナとエイジだけではなく全員で移動することになった。
先程の寝室に移動して、そこから浴室に繋がるドアとは違う扉をくぐる。
するとそこは透明な窓のついた細長い部屋になっていた。
その窓から下方に目をやると、大きな白い空間がある。
ララリシアは皆に言った。
「試合を見たいならここで見られるわ。ジーナとエイジはそこの階段から下に降りればバトルフィールドよ」
「へえ、中々広いじゃないか」
そう言いながら早速階段を下り始めるジーナ。
エイジは慌ててその後を追った。
バトルフィールドの降りると、ジーナは『風神』を構える。
(これは……)
エイジは思わず身構えた。
ジーナの体が魔力と闘気に覆われていくのを見たからである。
いや正確に言うと強烈な霊気だ。
黄金の光が美しいブロンドを煌めかせる。
その姿は、まるで人であって精霊のようでもある。
「ラエサル以外の相手に本気を出すのは久しぶりだね。いつでもいいよ、エイジ。かかっておいで」
その言葉にエイジも大剣を抜き放つと、額の精霊銀が輝く。
魂の瞳が開眼していくのが分かる。
ファルティーシアと高い融合率でエレメンタルフュージョンしている証だ。
白い霊気を帯びていくエイジの体。
ライアンはそれを見て目を丸くした。
「凄え……ここにいても感じるぜ。エイジの奴ここまで強くなってやがったのか」
オリビアは、その様子を固唾をのんで見つめている。
「見て、二人とも動くわよ!」
そうオリビアが言った瞬間──
バトルフィールドの中では、二人の剣士が凄まじい速さで剣を交えていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5,799
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。