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383、レジスタンスの制服

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「それはレジスタンスが使っていた制服で、肩にあるのはその紋章よ。戦闘時に身を守るための耐衝撃ボディースーツ、弾力性に富んでいて衝撃に強いわ。装備品の下に着るにはもってこいのはずよ」

 ララリシアの言葉に、エイジたちは自分が今着ているスーツをまじまじと眺める。
 制服のデザインとしてラインやマークが入っているのが、鮮やかなコントラストを生んで格好いい。
 エイジは腕を曲げ伸ばしして言った。

「確かに、まるで何も着てないみたい軽やかだな。どんな素材で出来てるんだ?」

 オリビアも軽やかに身体を動かしながら答える。

「本当ね! 驚いたわ」

 アンジェも頷きながらも少し不満げに言った。

「ええ、でも……白かぁ、ちょっと私のイメージじゃないわね。どうせなら色は黒が良かったわ」

 白を基調としたボディースーツタイプの制服を眺めて、そう言葉を漏らす。
 普段は、くノ一のように黒を基調にした革の鎧を着ているアンジェ。
 彼女なりのこだわりがあるのだろう。

「そうか? アンジェ。明るい色もアンジェによく似合ってると思うぞ」

 実際にアンジェの褐色の肌に、白はよく映える。
 健康的なスポーツ少女と言った雰囲気だ。

「そ、そうかな。本当に? エイジ」

「ああ、似合ってるぜ!」

 そう言って笑うエイジの言葉に、アンジェは思わず頬を緩めた。

「ま、まあたまには白も悪くないわ。ね、オリビア」

「何が『ね、オリビア』よ。よく言うわ、さっきはあんなに不満げな顔してたのに」

 少しあきれ顔のオリビアだが、そのボディースーツ姿は美しい。
 もともとレジスタンスの制服だっただけに、騎士としてそして軍人として育てられてきたオリビアには良く映える。
 軍人特有の姿勢とオリビアのすらりとしたスタイル、そして肩に刻まれた紋章。
 その手に剣を持たせれば、近未来ファンタジーの主人公のようにさえ見えるだろう。
 エイジはオリビアに言う。

「オリビアはやっぱり、白がよく似合うよな」

 天使のごとく翼を広げて戦う聖騎士。
 オリビアのイメージはやはり白だ。
 ごく自然にそう言って自分に微笑みかけるエイジを見て、オリビアは赤面した。

「そ、そうかしら……ありがとうエイジ」

 そんな中、エイジの肩をトントンと指でつつく二人がいる。
 エリスとリアナだ。
 二人は、頬を膨らませてジト目でエイジを見つめていた。

「何が『オリビアはやっぱり、白がよく似合うな』よ」

「ほんとよ。ね、エリス」

 エイジが振り返ると、レジスタンスの制服に身を包んだエリスとリアナが立っている。
 この二人は、やはり何を着ても美しい。
 リアナは、清楚なその佇まいが白のボディースーツに良く映えている。
 この上に白のローブを着ても何の違和感もないだろう。
 エリスもとてもよく似合っているのだが、ララリシアはエリスに歩み寄るとその胸の部分にそっと触れた。

「きゃ! ララリシア!?」

 思わず声を上げるエリス。

「大丈夫よ、エリス。ちょっと動かないで」

 スーツの胸の部分の表面にあるマークのような物の上を、ララリシアの指先が走る。
 ララリシアの手が触れている部分から、スーツの色が変わり始めた。
 エリスの髪の色と同じ美しい赤。
 制服の色が、赤を基調にしたカラーに変わっていく。

「これは……」

 その色は、凛々しくも美しいトラスフィナの王女に相応しい。
 赤を基調とした近未来風のボーディースーツ。
 制服のデザインとして施されているラインやマークも、それにあった色に変化している。
 呆然とする一行を前にララリシアは微笑むと。

「胸の操作パネルで色を変えることは出来るわ。エリスには赤がよく似合うもの。他の皆にも後で使い方を教えてあげる」

「へえ! 凄いわね、こんなことが出来るなんて」

 思わず目を輝かせるリアナに、ララリシアは答える。

「戦闘用のスーツだから、戦う場所によってはカラーリングを変えられた方が便利だったのよ」

(なるほどな、レジスタンス用の制服だからな。場合によっては身を隠す必要もあるだろうし)

 エイジはそう思いながらエリスの姿を眺める。
 エリスはその視線に気が付いたのか、少し上目づかいに尋ねた。

「どう? エイジ。私の格好おかしくない?」

「え? 何ていうか、綺麗だと思うよ」

 体にフィットして、エリスのしなやかで美しいスタイルが際立つような制服だ。
 そして燃え上がるような鮮やかな髪が、制服の赤ともよく似合っている。

「え、エイジも素敵よ」

 制服姿のエイジを見て、エリスも少し頬を染めてそう言った。
 リアナが二人をジッと見つめている。

「やっぱり、何か変だわ。前はあんなに喧嘩ばかりしてたのに、エリスとエイジって時々凄く仲がいいんだもの。ねえ、もしかして昨日の夜何かあったの?」

 リアナの言葉に、月明かりのフェロルクでの口づけを思い出す二人。
 思わず赤面する。

「な、何もないわよ! ね、エイジ!」

「あ、ああ!」

 リアナはジト目のままで二人に歩み寄ると。

「本当に? 何か怪しいのよね、二人とも」

 そんな中、エイジたちがいる通路のような浴室にキーラが入ってくる。
 そして、皆の姿を見て驚いたように目を丸くした。

「ちょっと、貴方たちお風呂に入りに行ったんじゃなかったの? 何でそんな恰好を……きゃ!!」

 キーラが、少女のような悲鳴を上げた。
 その全身を例の光が覆っているのが見える。

「ちょ! 何これ、やだくすぐったい!!」

 身をよじらすキーラの姿は、どこかエロティックである。
 妖艶でいかにも大人の女性といった雰囲気のキーラのその姿に、エイジは思わず赤面する。
 エリスは、そんなエイジの制服の尻の部分を思い切り抓った。

「エイジ! 何見てるの!!」

「い、いやだってさ、キーラさんが急に入ってくるから!」

 エイジの言い訳にも、エリスはツンとした顔でそっぽを向くと。

「もう、ほんとエイジってすぐだらしない顔するんだから! 知らない!!」

 そんな二人を見て、やっぱりいつも通りの二人だったとクスクスと笑うリアナ。
 三人は顔を見合わせると、動揺したような声を上げるキーラに事情を説明するのだった。
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