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361、王家の血脈
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いつの間にか共に手を取り合って歌い続ける少女たちの姿を、エイジはただ呆然と見つめていた。
エリスとララリシアは歌う。
《我が始祖たる、精霊王の名において命じる! 開け、真実の大門!!》
それを聞いて、エイジはラエサルから聞いた話を思い出す。
(真実の大門? 伝承にある迷宮の深層に隠された扉ってやつのことか?)
だが、そんなものが一体何処に?
とエイジは思う。
白く輝く研究施設の床、そして無数の文字の羅列が激しく流れていく巨大なモニター。
しかし、扉らしきものは何処にも見当たらない。
一方でキーラとオリビアは床の魔法陣が強烈な輝きを放ち始めるのを見て、制御室へ戻った。
「一体何が起きているの!?」
オリビアの問いにキーラは首を横に振った。
「分からないわね……こんなこと初めてだわ」
二人が制御室に駆け込んだ時、正面の巨大なモニターも床の魔法陣に共鳴するかのように白く輝くとその光は全てを飲み込んでいった。
(……一体ここは何処なの?)
エリスは呆然と立ち尽くしていた。
先程まで目の前にあった光景が一瞬にして消滅し、辺りには白く広大な空間が広がっている。
まるで無限に広がる白い空間の中に立っているような感覚。
そして──
(なんなのあれ……)
エリスの前に建っているのは巨大な門だ。
一体何処から現れたのか。
いや、そもそもここはどこなのか?
「エイジ! エイジ何処なの!?」
エリスはエイジの姿を探した、そして仲間たちの姿を。
「リアナ……アンジェ、オリビア」
ここまで一緒に戦ってきた仲間の姿は、どこにも見当たらない。
ラエサルやキーラの姿もそこにはなかった。
だが、たった一人だけ──
「ララリシア?」
青い髪の少女はエリスの前方を歩いている。
まるで巨大なその門に、惹きつけられるかのように歩くその姿。
エリスはその後ろ姿を追いかけた。
「待って! ララリシア!!」
(一体ここは何処なの? エイジたちは何処に行ってしまったの?)
その疑問に答えてくれるのは、彼女だけのような気がしたのだ。
アストラルトランスで流れ込んできた時のララリシアの感情。
それは、あの曲を作ってくれた人間を懐かしむ気持ちに満ちていた。
「あの曲は、ララリシアの為に作られた曲。ずっと遥か昔に……」
あの時、エリスは確かにそう感じた。
エリスはララリシアの後ろ姿を追うが、いつまでたってもその距離は縮まらない。
彼女歩みはそれほど早くは見えないにもかからわずだ。
どれぐらい時が経っただろうか。
気が付くとエリスは、あの巨大な門の目の前に立っていた。
どれほどの大きさがあるのだろう、まるで天を見上げるような高さ。
とてもあの研究施設の中にあるとは思えない程の大きさだ。
そこに描かれた無数の古代文字。
その扉にララリシアはそっと手を置いた。
「ララリシア……」
エリスは扉を開ける少女の名前を呼んだ。
凄まじい質量があるはずのその巨大な扉は、音もなく開いていく。
まるでその中にあるものが、彼女を呼んでいるかのように。
その時──
ララリシアは振り返るとエリスに言った。
「行きましょう、エリス。私と貴方に流れている王家の血がこの扉を開いたのだから」
(王家の血。ララリシアがどうしてそれを知っているの?)
彼女には、まだエリスがレオンリートの娘だと言うことは話していない。
それに……
「ララリシア、私は確かにトラスフィナ王家の血を引いているわ。でも、それが古代の遺跡に何か関係してると言うの?」
エリスは思わず問い返す。
ララリシアは静かに首を横に振った。
「トラスフィナ王家? いいえ違うわ。この扉を開けたのは、精霊王を始祖とするローゼディア王家の血が持つ力よ」
エリスとララリシアは歌う。
《我が始祖たる、精霊王の名において命じる! 開け、真実の大門!!》
それを聞いて、エイジはラエサルから聞いた話を思い出す。
(真実の大門? 伝承にある迷宮の深層に隠された扉ってやつのことか?)
だが、そんなものが一体何処に?
とエイジは思う。
白く輝く研究施設の床、そして無数の文字の羅列が激しく流れていく巨大なモニター。
しかし、扉らしきものは何処にも見当たらない。
一方でキーラとオリビアは床の魔法陣が強烈な輝きを放ち始めるのを見て、制御室へ戻った。
「一体何が起きているの!?」
オリビアの問いにキーラは首を横に振った。
「分からないわね……こんなこと初めてだわ」
二人が制御室に駆け込んだ時、正面の巨大なモニターも床の魔法陣に共鳴するかのように白く輝くとその光は全てを飲み込んでいった。
(……一体ここは何処なの?)
エリスは呆然と立ち尽くしていた。
先程まで目の前にあった光景が一瞬にして消滅し、辺りには白く広大な空間が広がっている。
まるで無限に広がる白い空間の中に立っているような感覚。
そして──
(なんなのあれ……)
エリスの前に建っているのは巨大な門だ。
一体何処から現れたのか。
いや、そもそもここはどこなのか?
「エイジ! エイジ何処なの!?」
エリスはエイジの姿を探した、そして仲間たちの姿を。
「リアナ……アンジェ、オリビア」
ここまで一緒に戦ってきた仲間の姿は、どこにも見当たらない。
ラエサルやキーラの姿もそこにはなかった。
だが、たった一人だけ──
「ララリシア?」
青い髪の少女はエリスの前方を歩いている。
まるで巨大なその門に、惹きつけられるかのように歩くその姿。
エリスはその後ろ姿を追いかけた。
「待って! ララリシア!!」
(一体ここは何処なの? エイジたちは何処に行ってしまったの?)
その疑問に答えてくれるのは、彼女だけのような気がしたのだ。
アストラルトランスで流れ込んできた時のララリシアの感情。
それは、あの曲を作ってくれた人間を懐かしむ気持ちに満ちていた。
「あの曲は、ララリシアの為に作られた曲。ずっと遥か昔に……」
あの時、エリスは確かにそう感じた。
エリスはララリシアの後ろ姿を追うが、いつまでたってもその距離は縮まらない。
彼女歩みはそれほど早くは見えないにもかからわずだ。
どれぐらい時が経っただろうか。
気が付くとエリスは、あの巨大な門の目の前に立っていた。
どれほどの大きさがあるのだろう、まるで天を見上げるような高さ。
とてもあの研究施設の中にあるとは思えない程の大きさだ。
そこに描かれた無数の古代文字。
その扉にララリシアはそっと手を置いた。
「ララリシア……」
エリスは扉を開ける少女の名前を呼んだ。
凄まじい質量があるはずのその巨大な扉は、音もなく開いていく。
まるでその中にあるものが、彼女を呼んでいるかのように。
その時──
ララリシアは振り返るとエリスに言った。
「行きましょう、エリス。私と貴方に流れている王家の血がこの扉を開いたのだから」
(王家の血。ララリシアがどうしてそれを知っているの?)
彼女には、まだエリスがレオンリートの娘だと言うことは話していない。
それに……
「ララリシア、私は確かにトラスフィナ王家の血を引いているわ。でも、それが古代の遺跡に何か関係してると言うの?」
エリスは思わず問い返す。
ララリシアは静かに首を横に振った。
「トラスフィナ王家? いいえ違うわ。この扉を開けたのは、精霊王を始祖とするローゼディア王家の血が持つ力よ」
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