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355、過去の記憶

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「今日は皆、ここに泊まることになる。お前はここの管理者だ、了解を取っておきたくてな」

 ラエサルの言葉にララリシアは、少し頬を膨らます。
 そしてアンジェを睨んだ。

「……あの子も?」

「な、何よ!」

 アンジェも負けずにララリシアを睨み返す。
 ラエサルは答える。

「ああ、どうしてもお前が嫌だと言うのなら他を当たるしかない」

「そんな! せっかく来てくれたのに!!」

 ララリシアはラエサルの腕を掴んで、上目遣いに見つめる。
 そして、意を決したかのようにアンジェに言った。

「仕方ないわ、貴方もここに泊まることを許してあげる、感謝することね!」

「何よ! その言い方」

 エイジたちはまあまあとアンジェを宥めた。

「落ち着けってアンジェ。これから別の場所に移動するのは辛いだろ?」

「そうよ、一日中戦い通しでもうくたくただもの」

「ね、アンジェ。我慢しましょ?」

 仲間たちの言葉にアンジェは不満そうにだが同意した。

「私だって、もうクタクタよ。安心できる場所でゆっくりしたいもの」

 オリビアはアンジェの肩に手を置くと。

「決まりねアンジェ。悪いけど私もこれ以上は戦う気になれないわ」

 そう言って、近くにある長椅子に腰をかけるオリビア。
 その様子を見て、エイジたちもその長椅子に腰を掛ける。
 ララリシアはそれをラエサルの後ろからジッと見つめている。
 ラエサルはポンとララリシアの頭に手を置くと。

「あいつらのことが気になるんだろう? 俺を抜きに話をしてみたらどうだ」

「え? で、でも」

「ここに泊まることにしたのはお前の為でもある。同じ年頃の相手と話したことなんて、殆どないだろう?」

 ラエサルの言葉にララリシアはコクリと頷く。
 本当はエイジたちに興味があることは、その表情からはありありと分かった。
 ラエサルはエイジの傍にララリシアを連れていくと。

「エイジ、頼んだぞ」

「ラエサルさん、分かったよ。ララリシア、ここに座れよ」

 快く自分を迎え入れる少年の隣にララリシアは、少し警戒しながら座る。

「ラエサルが言うからよ。べ、別に貴方たちに興味があるわけじゃないわ」

「俺はララリシアに興味があるけどな」

 エリスとリアナも顔を見合わせると頷いた。

「私も!」

「ええ、興味があるわね。大体ここは一体どんなところなの?」

 オリビアも身を乗り出す。

「そうね。気になるわ、見たことも無い装置ばかりあるもの」

 アンジェは相変わらずツンとした顔で言う。

「どうせ、貴方も知らないんでしょ? 殆ど何も覚えていないって言ってたじゃない」

「ば、馬鹿にしないで! 少しは覚えてるんだから!!」

 ララリシアの言葉に、エイジはエリスと顔を見合わせると尋ねた。

「教えてくれよララリシア」

「ええ、覚えている事だけで構わないわ」

 ララリシアはエイジたちの言葉を聞いて、少し胸を張る。

「知りたい? いいわ、教えてあげる!」
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