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353、二人の娘
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「べぇ~だ! ラエサルはずっと一人で眠ってた私を起こしてくれたんだから、今は私の新しいマスターよ!」
ララリシアはアンジェに向かってそう言うと、まるで見せつけるかのようにラエサルの腕にギュッと掴まる。
そして、上目遣いでラエサルを見上げた。
「ね? ラエサル、そうよね」
その態度は娘のようである。
アンジェはその様子を見てカッとなったようにもう片方のラエサルの腕に抱きつくと、ララリシアに言った。
「貴方、馴れ馴れしいのよ! ラエサルは私のお父さんなんだから! マスターだか何だか知らなけど離れなさいよ!」
「は? 馬鹿じゃないの? ラエサルは人間で貴方はエルフじゃない、娘のはずがないわ!」
ラエサルの左右の腕を握りしめて、その体越しに睨み合う二人の少女。
目と目からは火花が飛び散るような雰囲気である。
天井からララリシアの傍にもう一つ銀色の雫が落ちてくると、それが幾本もの剣の形に変わる。
それは一斉に空中浮かび、アンジェを狙っうようにして包囲した。
ララリシアが操っているのだろう。
アンジェがギリッと奥歯を噛み締める。
「何よ! やるっていうの!!」
現れた剣に対抗するように幻影を生み出すアンジェ。
その双方の頭をラエサルがこつんと優しく叩いた。
「いい加減にしろお前たち。小さな子供じゃあるまいし」
二人は、恨めしそうにラエサルを見つめた。
「だってラエサル! このダークエルフが!」
「何よ! 貴方が先に攻撃しようとしたんでしょ!?」
ラエサルは肩をすくめると、二人をジッと見つめる。
「アンジェ、お前は俺の娘なんだろう? 俺の言うことがきけないのか」
「そ……それは」
アンジェは、ラエサルがいつも自分のことを大事に思ってくれているのを知っている。
何かするときは、いつもアンジェを思ってのことだ。
一方で、ラエサルはララリシアも見つめた。
「ララリシア、お前もお前だ。こいつらはお前に危害など加えたりはしない、俺の言うことが信じられないのか?」
「そ、そうじゃないけど」
叱られてララリシアはシュンとしている。
それだけ、彼女にとってラエサルの存在が大きのだろう、とエイジには思えた。
ラエサルは二人の少女の右手を掴む。
「ほら、仲良くしろ。アンジェ、ララリシア」
そう言われて渋々と握手をする二人。
互いに睨み合って小さく呟いた。
「勘違いしないで、別に仲良くしたいわけじゃないわ。ラエサルがそう言うからよ」
「当たり前でしょ、私だってラエサルがああ言ってるから仕方なくしてるだけ」
そう言って握手を終えると、ツンとソッポを向く二人。
ラエサルはそれを見てふぅと溜め息をついた。
エリスとリアナは最初はララリシアに対して警戒心を抱いていたが、アンジェとのやり取りを見て少し慣れてきたのだろう顔を見合わせてクスクスと笑う。
「ふふ、ラエサルさんも大変ね」
「ええ、まるで娘が二人いるみたい」
オリビアは、少し同情を込めたような眼差しでラエサルを見つめた。
「アンジェだけでも大変なのに、あの子も相当大変そうだものね」
アンジェの耳がピクリと動く。
そして、今や友人と呼べる中となった美しい女騎士を一瞥した。
「……アンジェだけでも大変、ってどういう意味?」
「え? そんなこと言ったかしら」
関わっては面倒だと誤魔化すオリビア。
エイジは笑う。
「はは、何だかアンジェとララリシアって似てるよな」
「似てないわよ!」
「馬鹿じゃないの!」
そう言って、一斉にエイジを睨む二人。
それを見てエイジは思った。
(そういうところが似てるんだよな)
「それよりさ、ララリシア。さっきずっと一人で眠っていたって言ってたけど、それってどういうことなんだ?」
エイジにそう尋ねられて、ララリシアはラエサルを見つめた。
話してもいいのかを問いかけるかのように。
「ララリシア。話してやれ、エイジは信頼できる男だ」
ララリシアはアンジェに向かってそう言うと、まるで見せつけるかのようにラエサルの腕にギュッと掴まる。
そして、上目遣いでラエサルを見上げた。
「ね? ラエサル、そうよね」
その態度は娘のようである。
アンジェはその様子を見てカッとなったようにもう片方のラエサルの腕に抱きつくと、ララリシアに言った。
「貴方、馴れ馴れしいのよ! ラエサルは私のお父さんなんだから! マスターだか何だか知らなけど離れなさいよ!」
「は? 馬鹿じゃないの? ラエサルは人間で貴方はエルフじゃない、娘のはずがないわ!」
ラエサルの左右の腕を握りしめて、その体越しに睨み合う二人の少女。
目と目からは火花が飛び散るような雰囲気である。
天井からララリシアの傍にもう一つ銀色の雫が落ちてくると、それが幾本もの剣の形に変わる。
それは一斉に空中浮かび、アンジェを狙っうようにして包囲した。
ララリシアが操っているのだろう。
アンジェがギリッと奥歯を噛み締める。
「何よ! やるっていうの!!」
現れた剣に対抗するように幻影を生み出すアンジェ。
その双方の頭をラエサルがこつんと優しく叩いた。
「いい加減にしろお前たち。小さな子供じゃあるまいし」
二人は、恨めしそうにラエサルを見つめた。
「だってラエサル! このダークエルフが!」
「何よ! 貴方が先に攻撃しようとしたんでしょ!?」
ラエサルは肩をすくめると、二人をジッと見つめる。
「アンジェ、お前は俺の娘なんだろう? 俺の言うことがきけないのか」
「そ……それは」
アンジェは、ラエサルがいつも自分のことを大事に思ってくれているのを知っている。
何かするときは、いつもアンジェを思ってのことだ。
一方で、ラエサルはララリシアも見つめた。
「ララリシア、お前もお前だ。こいつらはお前に危害など加えたりはしない、俺の言うことが信じられないのか?」
「そ、そうじゃないけど」
叱られてララリシアはシュンとしている。
それだけ、彼女にとってラエサルの存在が大きのだろう、とエイジには思えた。
ラエサルは二人の少女の右手を掴む。
「ほら、仲良くしろ。アンジェ、ララリシア」
そう言われて渋々と握手をする二人。
互いに睨み合って小さく呟いた。
「勘違いしないで、別に仲良くしたいわけじゃないわ。ラエサルがそう言うからよ」
「当たり前でしょ、私だってラエサルがああ言ってるから仕方なくしてるだけ」
そう言って握手を終えると、ツンとソッポを向く二人。
ラエサルはそれを見てふぅと溜め息をついた。
エリスとリアナは最初はララリシアに対して警戒心を抱いていたが、アンジェとのやり取りを見て少し慣れてきたのだろう顔を見合わせてクスクスと笑う。
「ふふ、ラエサルさんも大変ね」
「ええ、まるで娘が二人いるみたい」
オリビアは、少し同情を込めたような眼差しでラエサルを見つめた。
「アンジェだけでも大変なのに、あの子も相当大変そうだものね」
アンジェの耳がピクリと動く。
そして、今や友人と呼べる中となった美しい女騎士を一瞥した。
「……アンジェだけでも大変、ってどういう意味?」
「え? そんなこと言ったかしら」
関わっては面倒だと誤魔化すオリビア。
エイジは笑う。
「はは、何だかアンジェとララリシアって似てるよな」
「似てないわよ!」
「馬鹿じゃないの!」
そう言って、一斉にエイジを睨む二人。
それを見てエイジは思った。
(そういうところが似てるんだよな)
「それよりさ、ララリシア。さっきずっと一人で眠っていたって言ってたけど、それってどういうことなんだ?」
エイジにそう尋ねられて、ララリシアはラエサルを見つめた。
話してもいいのかを問いかけるかのように。
「ララリシア。話してやれ、エイジは信頼できる男だ」
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