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346、ダブルチーム
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「さあ、そろそろ先に進むぞ。80階層の隠れ家にたどり着くころにはお前たちもいい経験を積んでいるだろう」
ラエサルの言葉に一行は皆頷く。
エリスはリアナが目を離した隙に、エイジの手を抓って囁いた。
「エイジの馬鹿……」
「エリスが悪いんだろ? あんなに自慢げに話したりするから」
それを聞いて、エリスは真っ赤になる。
「じ、自慢なんてしてないわよ! エイジの馬鹿!!」
声を荒げるエリスに、リアナたちが振り返る。
頬を大きく膨らまして後衛に歩いていくエリスを見て、エイジはため息をついた。
リアナはエリスに尋ねる。
「どうしたの? エリス。さっきから変よ、エイジと喧嘩でもしたの?」
「べ、別に何でもないわ」
(何よエイジったら……素敵な思い出だったからつい言葉に出ただけじゃない)
ラフェトの魔の手から自分を救い出してくれた少年。
そして、彼と月光の下でそっと口づけした。
エリスにとっては、かけがえのない思い出だ。
怒っているエリスのことが気になるのだろう。
前衛からこちらを振り返るエイジを見て、エリスは声を出さずに口を動かした。
『気を付けて、エイジ』
それを見てエイジは、ぐっと握った剣を突き出した。
その姿に、思わず笑みが浮かんでしまうエリス。
少し喧嘩はしても、彼を思う気持ちは変わることが無い。
一方で、アンジェはまだ先程のショックから抜け切れていない様子で。
「さ、さっきのは応急処置よ……キーラがそう言ってたじゃない、そう応急処置なんだわ」
オリビアはその隣でふぅと溜め息をつく。
「ちょっと、そんな様子で大丈夫なの? アンジェ」
「だ! 大丈夫に決まってるでしょ!」
そんなアンジェに、キーラが悪戯っぽく微笑んだ。
「また応急処置してもらいたくなったら言いなさいよ。こんな時に、倒れられてもこまるから」
「た、助けなんていらないわ! 自分で何とかするんだから」
「そう。なら口だけじゃないってことを見せて頂戴」
ラエサルは、アンジェとエイジに言う。
「一度、エイジとアンジェのダブルチームでヒュドラと戦ってみろ。お前たち二人なら出来るはずだ」
その言葉に、二人は頷くと前に進み出る。
キーラはラエサルの隣に立つと。
「ふふ、私もあの坊やの戦いぶりは見てみたいわね。初めて出会った時に私の技が見えたなんて。どの程度開眼しているのか、見ておきたいわ」
大きな通路を進む一行。
アンジェが静かに立ち止まる。
「来るわ、さっき私が倒した奴よりも大きい……いいえ、キーラが倒したヒュドラよりも大きいわ」
死線を潜り抜けたからだろうか。
先程よりもはっきりと魔物の気配を感じる。
アンジェは自らの肩当と脛当てを再び外すと、それを宙に放り投げて『紅』で一刀両断した。
エイジは、前を見つめたままアンジェに尋ねる。
「おい、いいのか? アンジェ」
「ええ、構わないわ。もう私にはあれは必要ない、中途半端な気持ちで戦いたくないの」
ラエサルの言葉に一行は皆頷く。
エリスはリアナが目を離した隙に、エイジの手を抓って囁いた。
「エイジの馬鹿……」
「エリスが悪いんだろ? あんなに自慢げに話したりするから」
それを聞いて、エリスは真っ赤になる。
「じ、自慢なんてしてないわよ! エイジの馬鹿!!」
声を荒げるエリスに、リアナたちが振り返る。
頬を大きく膨らまして後衛に歩いていくエリスを見て、エイジはため息をついた。
リアナはエリスに尋ねる。
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「べ、別に何でもないわ」
(何よエイジったら……素敵な思い出だったからつい言葉に出ただけじゃない)
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そして、彼と月光の下でそっと口づけした。
エリスにとっては、かけがえのない思い出だ。
怒っているエリスのことが気になるのだろう。
前衛からこちらを振り返るエイジを見て、エリスは声を出さずに口を動かした。
『気を付けて、エイジ』
それを見てエイジは、ぐっと握った剣を突き出した。
その姿に、思わず笑みが浮かんでしまうエリス。
少し喧嘩はしても、彼を思う気持ちは変わることが無い。
一方で、アンジェはまだ先程のショックから抜け切れていない様子で。
「さ、さっきのは応急処置よ……キーラがそう言ってたじゃない、そう応急処置なんだわ」
オリビアはその隣でふぅと溜め息をつく。
「ちょっと、そんな様子で大丈夫なの? アンジェ」
「だ! 大丈夫に決まってるでしょ!」
そんなアンジェに、キーラが悪戯っぽく微笑んだ。
「また応急処置してもらいたくなったら言いなさいよ。こんな時に、倒れられてもこまるから」
「た、助けなんていらないわ! 自分で何とかするんだから」
「そう。なら口だけじゃないってことを見せて頂戴」
ラエサルは、アンジェとエイジに言う。
「一度、エイジとアンジェのダブルチームでヒュドラと戦ってみろ。お前たち二人なら出来るはずだ」
その言葉に、二人は頷くと前に進み出る。
キーラはラエサルの隣に立つと。
「ふふ、私もあの坊やの戦いぶりは見てみたいわね。初めて出会った時に私の技が見えたなんて。どの程度開眼しているのか、見ておきたいわ」
大きな通路を進む一行。
アンジェが静かに立ち止まる。
「来るわ、さっき私が倒した奴よりも大きい……いいえ、キーラが倒したヒュドラよりも大きいわ」
死線を潜り抜けたからだろうか。
先程よりもはっきりと魔物の気配を感じる。
アンジェは自らの肩当と脛当てを再び外すと、それを宙に放り投げて『紅』で一刀両断した。
エイジは、前を見つめたままアンジェに尋ねる。
「おい、いいのか? アンジェ」
「ええ、構わないわ。もう私にはあれは必要ない、中途半端な気持ちで戦いたくないの」
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