成長チートになったので、生産職も極めます！

連載

３４１、アンジェの反撃

「え？」

　いきなり４人の美少女たちに睨まれるエイジ。
　その後、ラエサルとキーラの話が終わるまでエイジは何故かエリス達に説教をされ続けたのであった。


「どうした？　エイジ」

　キーラとの話が終わったのだろう、一行に歩み寄ってきたラエサルはエイジのげんなりとした顔を見てそう尋ねた。
　エイジは恨めしそうにラエサルに答えた。

「ラエサルさんのせいですよ」

「俺の？」

「俺も良く分かりませんけど、ラエサルさんとキーラさんが仲良さそうに話していたせいで、エリスたちに怒られたんです」

　ラエサルは、エイジと女性陣を眺めて首を傾げる。

「ふむ、確かに良く分からん話しだな」

　一方でキーラは、エイジとラエサルをジト目で見るエリスたちを眺めながら妖艶に笑う。

「あら、私は分る気がするわ。つまり、鈍感な男の周りにいる女は苦労が多いってことよ」

「どういう意味だ？」

　ラエサルに返事に、キーラはお手上げといった様子で肩をすくめた。

「全く、これだから。私もジーナも苦労するわけね」

　ラエサルに対して親し気に話すキーラ。
　アンジェは相変わらずそれが気に入らない様子で二人の間に割って入ると、ラエサルの腕をギュッと握りしめる。

「そもそも貴方、一体ラエサルの何なの？」

「あら、昔からの仲間だって言ったじゃない。貴方こそ誰なのかしら？　悪いけど貴方みたいなお子様は、ラエサルの好みじゃない気がするけど」

　それを聞いてアンジェが思わず叫ぶ。

「な、何ですって！」

「何よ、本当のことじゃない？」

『紅』を構えるアンジェに対して、キーラの指先に黄金の蜘蛛たちが現れる。

「やめておきなさい。ラエサルの前で恥をかくだけよ、ダークエルフのお嬢ちゃん」

「くっ！　馬鹿にして！！」

　憤るアンジェの頭の上にポンとラエサルが手を置いた。
　そしてキーラに答える。

「キーラ、やめろ。アンジェは俺の娘だ」

「ラエサル！」

　優しい気持ちが伝わってくるその言葉に、アンジェは嬉しそうにラエサルの顔を見上げる。
　一方で、キーラはラエサルの言葉に硬直していた。

「む！　娘！？」

　すっかり固まっているキーラを眺めながら、エリスとリアナは顔を見合わせる。

「固まってるわよ」

「ショックだったんじゃない？」

　オリビアも頷く。

「当たり前よ。私だって、エイジにもし子供がいるなんて急に言われたら固まるもの」

　リアナがオリビアに尋ねた。

「どうしてエイジに子供がいたら、オリビアがショックを受けるの？」

「え！？　そ、それはほら……仲間だし」

　オリビアの答えに、エリスは首を傾げながらもキーラを眺めた。

「でもあの人の様子だと、仲間だからっていうレベルじゃない気がするけど？」

　黄金の髪をしたハーフエルフの美女は、信じられないといった様子でアンジェを見つめる。

「う……嘘でしょ？　貴方にこんな大きな子が居るわけないじゃない」

　ロイやフィアーナにさえ黙っていたぐらいだ、アンジェとのことは仲間にも秘密にしていたに違いない。
　Ｓランク最強の男ともなれば、いざというときのために活動する拠点は複数ある。
　アンジェとの生活に使っていたのは、その中の一つに過ぎないのであろう。

　少し意地悪な笑みを浮かべて、アンジェはべぇっとキーラに舌を出す。
　そして、ラエサルの右腕に自分の腕をしっかりと絡めて甘えたように声を上げる。

「パパ、この人がアンジェにさっきから意地悪するの」

　ちょっと涙ぐんだふりをするアンジェ。
　エリスとリアナは、呆れたようにそれを眺めていた。

「パパって……アンジェったら」

「悪ふざけが過ぎるわよ」

　くすんとしゃくりあげて見せるあざといその態度に、さらに動揺するキーラ。
　ラエサルはふぅと長いため息をつくと、アンジェの頭を軽くポンと叩いた。

「いい加減にしろ、アンジェ。まさかこんなに時期が早まるとは思わなかったが、キーラにはいずれお前の師匠になってもらうつもりでいたんだからな。今からこんな調子でどうする」