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336、視線の主
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「ええ、ラエサル。気配を感じる、誰かが私たちを見ているわ」
エリスやリアナは、それを聞いて首を傾げてた。
「誰かって、魔物じゃなくて人の気配ってこと?」
「どういうこと? こんな迷宮の深層に誰かいるのかしら」
辺りを見渡す二人。
エイジも周囲を警戒する。
(確かに、誰かに見られているような気配は感じる。でも……)
周囲に人は見当たらない。
もしも、こんな場所にいるとしたら少なくともSランク以上の相手だ。
ラエサルは何も言わずに静かに佇んでいる。
アンジェは彼に問いかけた。
「どういうこと? 天井から三か所や壁から二か所、強い気配を感じたけどもう消えてしまったわ。同じ気配なのに複数の場所から感じた……何だったのかしら? 今感じた視線は」
それを聞いて、オリビアはアンジェに尋ねた。
「アンジェ、それじゃあ五か所から同時に同じ相手の気配を感じたってこと? あり得ないわよそんなこと」
オリビアの指摘を聞いて、アンジェは思わず唇を噛む。
パーティの安全を確保するために、一番重要な役割をしなければならない自分。
その索敵の結果が間違っていたら仲間を危険にさらしてしまう。
(私が間違ってるの? でも、確かにそう感じたのに)
そんなアンジェの肩に、男の手がそっと置かれた。
アンジェはその手の主を見上げる。
「ラエサル……」
まるで答えを求めるような眼差しをするダークエルフの少女の頭を、ラエサルはそっと撫でた。
「お前は間違ってはいない、あの僅かな気配を的確に感じ取るとは。お前は優秀だ、アンジェ」
「でも、そんなのおかしいわラエサル! 全く別の場所から同時に、同じ相手視線と気配を感じるなんて」
アンジェのその言葉にエイジは思う。
(それに、手を出しても来ない。一体誰なんだ? ラエサルさんには知っているんだろうか……)
間違っていないとアンジェに言う以上、エイジにはそう思えた。
皆の視線がラエサルに集まる。
エリスとリアナが尋ねた。
「何か知っているの? ラエサルさん」
「アンジェに間違っていないって。それはどういう意味?」
二人の言葉に、アンジェとオリビアもラエサルに尋ねた。
「こんな場所に誰かがいるとしたら、只者じゃないわ」
「ええ、ラエサル。知っているなら私たちにも教えて!」
皆の言葉に、ラエサルは何も答えずに歩を進めた。
「いいからついてこい、口で説明するよりはそのほうが早い」
一行は彼の後に続いて、広い通路を進んでいった。
歩を進めるとアンジェは、再びあの視線を感じて振り返る。
その瞬間、アンジェの瞳には微かにある物の姿が映った。
(あれは……)
アンジェは思わず剣を構えた。
それをラエサルが右手で制する。
そして、そのまま振り向かずにアンジェに囁いた。
「どうやら、相手の正体が分かったようなだな? アンジェ」
エリスやリアナは、それを聞いて首を傾げてた。
「誰かって、魔物じゃなくて人の気配ってこと?」
「どういうこと? こんな迷宮の深層に誰かいるのかしら」
辺りを見渡す二人。
エイジも周囲を警戒する。
(確かに、誰かに見られているような気配は感じる。でも……)
周囲に人は見当たらない。
もしも、こんな場所にいるとしたら少なくともSランク以上の相手だ。
ラエサルは何も言わずに静かに佇んでいる。
アンジェは彼に問いかけた。
「どういうこと? 天井から三か所や壁から二か所、強い気配を感じたけどもう消えてしまったわ。同じ気配なのに複数の場所から感じた……何だったのかしら? 今感じた視線は」
それを聞いて、オリビアはアンジェに尋ねた。
「アンジェ、それじゃあ五か所から同時に同じ相手の気配を感じたってこと? あり得ないわよそんなこと」
オリビアの指摘を聞いて、アンジェは思わず唇を噛む。
パーティの安全を確保するために、一番重要な役割をしなければならない自分。
その索敵の結果が間違っていたら仲間を危険にさらしてしまう。
(私が間違ってるの? でも、確かにそう感じたのに)
そんなアンジェの肩に、男の手がそっと置かれた。
アンジェはその手の主を見上げる。
「ラエサル……」
まるで答えを求めるような眼差しをするダークエルフの少女の頭を、ラエサルはそっと撫でた。
「お前は間違ってはいない、あの僅かな気配を的確に感じ取るとは。お前は優秀だ、アンジェ」
「でも、そんなのおかしいわラエサル! 全く別の場所から同時に、同じ相手視線と気配を感じるなんて」
アンジェのその言葉にエイジは思う。
(それに、手を出しても来ない。一体誰なんだ? ラエサルさんには知っているんだろうか……)
間違っていないとアンジェに言う以上、エイジにはそう思えた。
皆の視線がラエサルに集まる。
エリスとリアナが尋ねた。
「何か知っているの? ラエサルさん」
「アンジェに間違っていないって。それはどういう意味?」
二人の言葉に、アンジェとオリビアもラエサルに尋ねた。
「こんな場所に誰かがいるとしたら、只者じゃないわ」
「ええ、ラエサル。知っているなら私たちにも教えて!」
皆の言葉に、ラエサルは何も答えずに歩を進めた。
「いいからついてこい、口で説明するよりはそのほうが早い」
一行は彼の後に続いて、広い通路を進んでいった。
歩を進めるとアンジェは、再びあの視線を感じて振り返る。
その瞬間、アンジェの瞳には微かにある物の姿が映った。
(あれは……)
アンジェは思わず剣を構えた。
それをラエサルが右手で制する。
そして、そのまま振り向かずにアンジェに囁いた。
「どうやら、相手の正体が分かったようなだな? アンジェ」
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