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324、精霊銀の額当て
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「みんな落ち着くにゃ! きっと何かの儀式じゃないのかにゃ? 見てみるにゃ、エイジの額に何か浮かび上がって来るにゃ」
獣人族の少女の言葉に、憤っていたエリスたちも我に返るとエイジの額を見つめていた。
少年の額に浮かび上がる不思議な形の紋章は、白く輝く。
「熱っ!」
思わず声を上げるエイジに、ファルティーシアは言った。
『大丈夫ですよ、エイジ。私と契約をした証が額に記されただけです。すぐに消えますわ』
ファルティーシアの言葉通りその白い輝きは次第におさまり、紋章はエイジの肌の中に染み込むように消えていく。
代わりに、光の中から白く美しい小さな宝玉がはめ込まれた銀色の額当てが姿を現していた。
エイジは思わずそれに触れる。
『これは……』
リイムとミイムがそれを見て言う。
『中々似合うじゃない、エイジ!』
『エイジ格好いいです!』
二人を見て微笑むファルティーシア。
『それは精霊銀でつくられた装飾品です、強い魔法防御力がありますわ。その宝玉は私のエレメントクリスタルです』
額当ての中央についた宝玉。
エイジはそれに指先で触れた。
『これが、ファルティーシアさんのエレメントクリスタル』
エイジの言葉にファルティーシアは頷くと。
『ふふ、高位精霊になってからは人間と契りを交わすなど初めてです。何だかワクワクしますわね』
まるでリアナのようなことを言いながら、無邪気にエイジの首に腕を回すファルティーシア。
『ちょ! ファルティーシアさん』
エイジは思わず顔を赤くする。
その様子はまるで姉が弟をからかっているような雰囲気ではあるのだが、エリスたちの目は厳しい。
エリスとリアナは、すぐにファルティーシアをエイジから引き離す。
エイジは慌ててエリスたちに事情説明した。
高位精霊であるファルティーシアとの契約のこと、そして精霊銀で出来た額当てのことも。
「……ていうわけなんだ。ファルティーシアさんとの契約の儀式なんだよ。ほらこの額当てが証拠さ、エレメントクリスタルだってあるだろ?」
だが、エリスとリアナはまだ頬を膨らませている。
「儀式なら、どうしてエイジは赤くなってるの?」
「ほんと、年上の女の人に少し優しくされるとすぐデレデレするんだから!」
二人の言葉にエイジは心外だと言わんばかりに反論する。
「デレデレなんてしてないって!」
「「嘘! ちゃんと見てたんだから」」
エリスとリアナの言葉にオリビアも頷く。
「確かに、デレっとしていたわね。エイジって、素敵な時はとても素敵なのに」
アンジェはそれを聞き逃さない。
「ふ~ん……オリビアって、エイジのこと素敵って思ってるんだ」
「え!? ち、違うわよ、私がそう思ってるわけじゃないわ! ほら、エイジは強いし優しいし……さっきだって私のことも守ってくれたし、一般的にいって素敵な男性なんじゃないかって」
「へえ、一般的にねぇ」
ジト目で見つめるアンジェに、オリビアは軽く咳ばらいをした。
伯父に連れられて、舞踏会に出かけた時のことを思い出す。
ドレスを着たオリビアの姿のあまりの美しさに、沢山の男性から声をかけられた。
どの男性も、名家の貴公子ばかりだ。
それでもオリビアにとっては、その誰よりも目の前の少年の方が魅力的に思えた。
(私は騎士だもの、剣士としてエイジが尊敬できるからきっとそう思うのよ)
リカルドが振るったあの霊気の刃。
あの一撃から自分を救ってくれた時の背中を思い出して、オリビアは少し頬を染める。
無邪気にエイジの腕をとっているエリスとリアナが、少し羨ましく思えた。
そんな自分の心を誤魔化すかのように、皆に声をかける。
「さあ、そろそろ行きましょう! グズグズしている時間が勿体ないわ」
エイジはそれを聞いて大きく頷いた。
「ああ、オリビア。みんな、行こう! 更なる迷宮の深層、そして精霊たちの霊廟へ」
獣人族の少女の言葉に、憤っていたエリスたちも我に返るとエイジの額を見つめていた。
少年の額に浮かび上がる不思議な形の紋章は、白く輝く。
「熱っ!」
思わず声を上げるエイジに、ファルティーシアは言った。
『大丈夫ですよ、エイジ。私と契約をした証が額に記されただけです。すぐに消えますわ』
ファルティーシアの言葉通りその白い輝きは次第におさまり、紋章はエイジの肌の中に染み込むように消えていく。
代わりに、光の中から白く美しい小さな宝玉がはめ込まれた銀色の額当てが姿を現していた。
エイジは思わずそれに触れる。
『これは……』
リイムとミイムがそれを見て言う。
『中々似合うじゃない、エイジ!』
『エイジ格好いいです!』
二人を見て微笑むファルティーシア。
『それは精霊銀でつくられた装飾品です、強い魔法防御力がありますわ。その宝玉は私のエレメントクリスタルです』
額当ての中央についた宝玉。
エイジはそれに指先で触れた。
『これが、ファルティーシアさんのエレメントクリスタル』
エイジの言葉にファルティーシアは頷くと。
『ふふ、高位精霊になってからは人間と契りを交わすなど初めてです。何だかワクワクしますわね』
まるでリアナのようなことを言いながら、無邪気にエイジの首に腕を回すファルティーシア。
『ちょ! ファルティーシアさん』
エイジは思わず顔を赤くする。
その様子はまるで姉が弟をからかっているような雰囲気ではあるのだが、エリスたちの目は厳しい。
エリスとリアナは、すぐにファルティーシアをエイジから引き離す。
エイジは慌ててエリスたちに事情説明した。
高位精霊であるファルティーシアとの契約のこと、そして精霊銀で出来た額当てのことも。
「……ていうわけなんだ。ファルティーシアさんとの契約の儀式なんだよ。ほらこの額当てが証拠さ、エレメントクリスタルだってあるだろ?」
だが、エリスとリアナはまだ頬を膨らませている。
「儀式なら、どうしてエイジは赤くなってるの?」
「ほんと、年上の女の人に少し優しくされるとすぐデレデレするんだから!」
二人の言葉にエイジは心外だと言わんばかりに反論する。
「デレデレなんてしてないって!」
「「嘘! ちゃんと見てたんだから」」
エリスとリアナの言葉にオリビアも頷く。
「確かに、デレっとしていたわね。エイジって、素敵な時はとても素敵なのに」
アンジェはそれを聞き逃さない。
「ふ~ん……オリビアって、エイジのこと素敵って思ってるんだ」
「え!? ち、違うわよ、私がそう思ってるわけじゃないわ! ほら、エイジは強いし優しいし……さっきだって私のことも守ってくれたし、一般的にいって素敵な男性なんじゃないかって」
「へえ、一般的にねぇ」
ジト目で見つめるアンジェに、オリビアは軽く咳ばらいをした。
伯父に連れられて、舞踏会に出かけた時のことを思い出す。
ドレスを着たオリビアの姿のあまりの美しさに、沢山の男性から声をかけられた。
どの男性も、名家の貴公子ばかりだ。
それでもオリビアにとっては、その誰よりも目の前の少年の方が魅力的に思えた。
(私は騎士だもの、剣士としてエイジが尊敬できるからきっとそう思うのよ)
リカルドが振るったあの霊気の刃。
あの一撃から自分を救ってくれた時の背中を思い出して、オリビアは少し頬を染める。
無邪気にエイジの腕をとっているエリスとリアナが、少し羨ましく思えた。
そんな自分の心を誤魔化すかのように、皆に声をかける。
「さあ、そろそろ行きましょう! グズグズしている時間が勿体ないわ」
エイジはそれを聞いて大きく頷いた。
「ああ、オリビア。みんな、行こう! 更なる迷宮の深層、そして精霊たちの霊廟へ」
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