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302、エリクの提案
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「俺が聖堂から公爵家に連れていかれた時、あの女が一つ気になる話をしていた」
ラエサルの言葉にエイジは尋ねる。
「気になること?」
「ああ、そうだ。あの女が俺に命じたことは三つ。一つはエイジ、お前を殺す事。そして二つ目は、王女であるエリスを公爵のもとに連れていくことだ」
ラエサルの言葉にエイジは頷いた。
実際、その為にラエサルはここまで来たのだろう。
アンジェがラエサルに尋ねた。
「ラエサル、残りの一つは?」
「ああ、それが俺にも理由がよく分からないのだが……リカルドの抹殺だ」
エイジは驚いたようにラエサルに尋ねた。
「リカルドって、あのリカルドさんのこと?」
「ああ、間違いない。詳しいことはあの女は話さなかったが、リカルドを殺すにあたってあの女は一つだけ条件をつけた。『鍵』という遺物をリカルドが起動したら直ぐに奴を殺せと。それまでは手を出すことを許さぬともな」
オリビアが目大きく見開いた。
「鍵ですって! その女は本当にそう言ったの!?」
「そうだ、俺もその時はどういうことなのか分からなかったが……」
アンジェがラエサルに尋ねる。
「どういうこと、じゃあ鍵っていう遺物はバルドルース公爵が持っているってことなの!?」
「そういう事になる。だが、エイジから聞いた話が真実であれば奴等が欲しがっているモノは分かる。そうだろう? エイジ」
エイジは思わず呟いた。
「白王の力……」
「ああ、そうだ。そう考えれば全てが納得できる」
エリスはゾッとした。
あの時、メグやエイジと一緒に見たもの。
まるでその再現だ。
鍵と封印を一つにし、その大剣を手にしていた男の邪悪な顔を思い出す。
あの力を手にしようと画策しているのが、ラフェトの父親だとしたら。
(そんなことになったら、この国は、いいえこの世界はどうなってしまうの?)
不安に襲われて、思わずエイジの腕をしっかりと握るエリス。
「エイジ……」
「ああ、エリス。そんなこと絶対にさせちゃいけない!」
エイジの言葉に、エリスも勇気づけられたように大きく頷いた。
一方で、オリビアは唇を噛み締めた。
「許せない! お兄様や仲間たちを殺したのはバルドルースなのね!!」
ラエサルは頷く。
「恐らくな。アンリーゼが何者かに命じてやらせてのだろう」
(デュランだな)
ラエサルはそう思った。
オリビアの兄やその仲間たちの実力を考えると、それ程の事が易々と出来る剣士はこの国にもそうはいない。
それもアンリーゼの配下の人間だとしたら、デュラン以外にあり得ない。
デュランと親衛隊の一部の人間が盗賊を雇い、共に騎士たちを襲った後その連中にやらせたように見せかけた。
もちろん、最後には事実を知る者を皆殺しにして。
怒りのあまり、ブルブルと体を震わせるオリビア。
美しい女騎士は叫んだ。
「許さない! 絶対に許さないわ!!」
オリビアの怒りはもっともだろう。
公爵やアンリーゼに、兄を殺されたも同然なのだから。
エイジはそんなオリビアを見つめながらも、ラエサルに尋ねた。
「アンリーゼは、リカルドさんが鍵を起動してからって言ったんですよね? 一体どういうことなんだろう」
「俺にも分からん。以前からおかしな奴だとは思っていたが、リカルド……あの男はいったい何者だ」
エイジは思った。
(どうする、一度ルイーナに戻るか? でも、相手がエリスを狙っている以上、それは危険だ)
エリクはそんなエイジの様子を見て、静かに口を開いた。
「私に考えがあります。エイジ、聞いて下さい」
─────
【皆様へのお礼とご報告】
いつもお読み頂きましてありがとうございます。
雪華慧太です。
この度、徳間書店様から発売中の『転生チートは魔王級!!』の重版が決まりました。
これもいつも応援して下さいます皆様のお蔭です!
そしてアルファポリス様で掲載していた頃から応援して下さっている皆様、本当にありがとうございます。
小説家になろう様では引き続き連載を続けていますので、今後ともエルリットたちをよろしくお願いしますね。
また、先日ご案内させて頂きました通り6月21日には『成長チートになったので、生産職も極めます!』の第三巻が出荷日を迎えます。
早い所では出荷日の翌日には書店に並ぶと思いますが、地域によっては数日お時間がかかることもあるそうです。
WEB版とは大きく違う内容になっていますが、書籍版ならではのストーリーを楽しんで頂ければ幸いです。
とても素敵な表紙イラストも描いて頂きましたので、お見かけになられましたらぜひお手に取ってご覧下さいませ!
ラエサルの言葉にエイジは尋ねる。
「気になること?」
「ああ、そうだ。あの女が俺に命じたことは三つ。一つはエイジ、お前を殺す事。そして二つ目は、王女であるエリスを公爵のもとに連れていくことだ」
ラエサルの言葉にエイジは頷いた。
実際、その為にラエサルはここまで来たのだろう。
アンジェがラエサルに尋ねた。
「ラエサル、残りの一つは?」
「ああ、それが俺にも理由がよく分からないのだが……リカルドの抹殺だ」
エイジは驚いたようにラエサルに尋ねた。
「リカルドって、あのリカルドさんのこと?」
「ああ、間違いない。詳しいことはあの女は話さなかったが、リカルドを殺すにあたってあの女は一つだけ条件をつけた。『鍵』という遺物をリカルドが起動したら直ぐに奴を殺せと。それまでは手を出すことを許さぬともな」
オリビアが目大きく見開いた。
「鍵ですって! その女は本当にそう言ったの!?」
「そうだ、俺もその時はどういうことなのか分からなかったが……」
アンジェがラエサルに尋ねる。
「どういうこと、じゃあ鍵っていう遺物はバルドルース公爵が持っているってことなの!?」
「そういう事になる。だが、エイジから聞いた話が真実であれば奴等が欲しがっているモノは分かる。そうだろう? エイジ」
エイジは思わず呟いた。
「白王の力……」
「ああ、そうだ。そう考えれば全てが納得できる」
エリスはゾッとした。
あの時、メグやエイジと一緒に見たもの。
まるでその再現だ。
鍵と封印を一つにし、その大剣を手にしていた男の邪悪な顔を思い出す。
あの力を手にしようと画策しているのが、ラフェトの父親だとしたら。
(そんなことになったら、この国は、いいえこの世界はどうなってしまうの?)
不安に襲われて、思わずエイジの腕をしっかりと握るエリス。
「エイジ……」
「ああ、エリス。そんなこと絶対にさせちゃいけない!」
エイジの言葉に、エリスも勇気づけられたように大きく頷いた。
一方で、オリビアは唇を噛み締めた。
「許せない! お兄様や仲間たちを殺したのはバルドルースなのね!!」
ラエサルは頷く。
「恐らくな。アンリーゼが何者かに命じてやらせてのだろう」
(デュランだな)
ラエサルはそう思った。
オリビアの兄やその仲間たちの実力を考えると、それ程の事が易々と出来る剣士はこの国にもそうはいない。
それもアンリーゼの配下の人間だとしたら、デュラン以外にあり得ない。
デュランと親衛隊の一部の人間が盗賊を雇い、共に騎士たちを襲った後その連中にやらせたように見せかけた。
もちろん、最後には事実を知る者を皆殺しにして。
怒りのあまり、ブルブルと体を震わせるオリビア。
美しい女騎士は叫んだ。
「許さない! 絶対に許さないわ!!」
オリビアの怒りはもっともだろう。
公爵やアンリーゼに、兄を殺されたも同然なのだから。
エイジはそんなオリビアを見つめながらも、ラエサルに尋ねた。
「アンリーゼは、リカルドさんが鍵を起動してからって言ったんですよね? 一体どういうことなんだろう」
「俺にも分からん。以前からおかしな奴だとは思っていたが、リカルド……あの男はいったい何者だ」
エイジは思った。
(どうする、一度ルイーナに戻るか? でも、相手がエリスを狙っている以上、それは危険だ)
エリクはそんなエイジの様子を見て、静かに口を開いた。
「私に考えがあります。エイジ、聞いて下さい」
─────
【皆様へのお礼とご報告】
いつもお読み頂きましてありがとうございます。
雪華慧太です。
この度、徳間書店様から発売中の『転生チートは魔王級!!』の重版が決まりました。
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そしてアルファポリス様で掲載していた頃から応援して下さっている皆様、本当にありがとうございます。
小説家になろう様では引き続き連載を続けていますので、今後ともエルリットたちをよろしくお願いしますね。
また、先日ご案内させて頂きました通り6月21日には『成長チートになったので、生産職も極めます!』の第三巻が出荷日を迎えます。
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