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284、炎の精霊
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地下四十八階層に戻るとエイジたちは、通路を遡り二股になっていた場所を反対の方向へを曲がった。
ミイムは張り切っているのだろう、エイジにずっと話しかけている。
『エイジ、ミイムどうしたらいいですか?』
力が入っているのか、両手を握りしめてほっぺを赤くしてエイジに尋ねる姿は愛らしい。
エイジは首を捻るとリイムに聞いた。
『なあ、リイム。エレメンタルフュージョンしたときにさ、どうやったんだ?』
『簡単よ、エイジの気を感じてそれと一つになろうって思ったの。一緒に戦おうって、ミイムはまだそんな難しいこと出来ないかもね』
リイムの言葉に、ミイムは頬を膨らます。
『出来るです! ミイムだってエイジの役に立つです!』
『どうかしら? 出来もしないのに無茶をして、エイジの邪魔になったら大変よ』
自信がなくなったのかミイムはシュンとしてしまう。
エイジはその頭を撫でながら言った。
『大丈夫さ。感じるんだ、さっきよりも強くミイムたちのことを感じられる。俺がミイムに合わせるさ』
それを聞いてリイムはエイジの体に触れる。
『そう言えば、エイジの気がちょっと変わったような感じがする。魂が肉体に縛られ過ぎてない、そんな感じ』
『ふみ~ミイムには分からないです』
どうやらリイムにしか分からない微妙な変化のようだ。
『メグたちの世界に行ったからかもしれないな。あそこでは精神だけになってたからさ』
『そうかもしれないわね。ミイム、エイジに任せなさいよ。きっと上手くやってくれるわ』
ミイムは肩の上でエイジを見上げる。
『本当ですか? エイジ』
『ああ、やってみるさ』
エイジの言葉にミイムは嬉しそうに笑う。
『ミイム安心したです!』
そう言って肩の上に座って寛ぎ始めるミイム。
エイジとリイムは現金なその姿を眺めながら、顔を見合わせると笑った。
その時、アンジェが皆に注意を促す声をかける。
「気を付けて、来るわよ!」
パーティの先頭に立っているのは先程と同じくエイジとエリクだ。
大剣を握るエイジの体に闘気が満ちていく。
『みゅう!?』
ミイムが声を上げる、エイジの闘気がミイムを包み込んでいく。
(不思議だ、行きの時よりも遥かに自分の気をはっきりと感じられる)
それでミイムを包み込むことが出来る程に。
『ミイム、一緒に戦おう!』
赤い炎の精霊は、エイジの闘気と溶け合うようにエイジの中で答えた。
『エイジ! ミイム、一緒に戦うです!!』
ミイムのエレメントクリスタルが、埋め込まれた左手の小手が輝きを増す。
その瞬間、ゆっくりとエイジの髪の色が赤く変わっていく。
エリクはそれを見て──
「その髪の色は! どうやら今度は違う力のようですね、エイジ」
「ええ、任せてください! 俺が行きます!」
大剣に獅子の紋章が浮かぶ、そしてそれは同時に真紅に輝いた。
エイジは、通路の先に魔物の気配を感じる。
「来るわよ、エイジ」
アンジェの声。
「ああ、分かってる。合わせて三頭、確かに気配を感じる」
研ぎ澄まされたエイジの耳に、獲物を狙う魔物の息遣いが聞こえてくる。
(不思議だ、感覚が鋭くなっている)
シャァアアアアアア!!
襲い掛かって来たのは三つ首の大蛇だ。
三頭合わせて、合計九つの鎌首が前衛であるエイジとエリクを襲う。
その刹那──
(これは……)
エリクは確かに見た、その九つの鎌首を全て切り落とし佇む男の姿を。
その切断面は焦げ付いて、完全に相手を絶命させている。
「凄え……見えたかよ今の」
ライアンは思わずオリビアに尋ねた。
少し悔しそうにオリビアは答えた。
「ギリギリね。前よりも強くなっている、一体どういう事?」
ミイムは張り切っているのだろう、エイジにずっと話しかけている。
『エイジ、ミイムどうしたらいいですか?』
力が入っているのか、両手を握りしめてほっぺを赤くしてエイジに尋ねる姿は愛らしい。
エイジは首を捻るとリイムに聞いた。
『なあ、リイム。エレメンタルフュージョンしたときにさ、どうやったんだ?』
『簡単よ、エイジの気を感じてそれと一つになろうって思ったの。一緒に戦おうって、ミイムはまだそんな難しいこと出来ないかもね』
リイムの言葉に、ミイムは頬を膨らます。
『出来るです! ミイムだってエイジの役に立つです!』
『どうかしら? 出来もしないのに無茶をして、エイジの邪魔になったら大変よ』
自信がなくなったのかミイムはシュンとしてしまう。
エイジはその頭を撫でながら言った。
『大丈夫さ。感じるんだ、さっきよりも強くミイムたちのことを感じられる。俺がミイムに合わせるさ』
それを聞いてリイムはエイジの体に触れる。
『そう言えば、エイジの気がちょっと変わったような感じがする。魂が肉体に縛られ過ぎてない、そんな感じ』
『ふみ~ミイムには分からないです』
どうやらリイムにしか分からない微妙な変化のようだ。
『メグたちの世界に行ったからかもしれないな。あそこでは精神だけになってたからさ』
『そうかもしれないわね。ミイム、エイジに任せなさいよ。きっと上手くやってくれるわ』
ミイムは肩の上でエイジを見上げる。
『本当ですか? エイジ』
『ああ、やってみるさ』
エイジの言葉にミイムは嬉しそうに笑う。
『ミイム安心したです!』
そう言って肩の上に座って寛ぎ始めるミイム。
エイジとリイムは現金なその姿を眺めながら、顔を見合わせると笑った。
その時、アンジェが皆に注意を促す声をかける。
「気を付けて、来るわよ!」
パーティの先頭に立っているのは先程と同じくエイジとエリクだ。
大剣を握るエイジの体に闘気が満ちていく。
『みゅう!?』
ミイムが声を上げる、エイジの闘気がミイムを包み込んでいく。
(不思議だ、行きの時よりも遥かに自分の気をはっきりと感じられる)
それでミイムを包み込むことが出来る程に。
『ミイム、一緒に戦おう!』
赤い炎の精霊は、エイジの闘気と溶け合うようにエイジの中で答えた。
『エイジ! ミイム、一緒に戦うです!!』
ミイムのエレメントクリスタルが、埋め込まれた左手の小手が輝きを増す。
その瞬間、ゆっくりとエイジの髪の色が赤く変わっていく。
エリクはそれを見て──
「その髪の色は! どうやら今度は違う力のようですね、エイジ」
「ええ、任せてください! 俺が行きます!」
大剣に獅子の紋章が浮かぶ、そしてそれは同時に真紅に輝いた。
エイジは、通路の先に魔物の気配を感じる。
「来るわよ、エイジ」
アンジェの声。
「ああ、分かってる。合わせて三頭、確かに気配を感じる」
研ぎ澄まされたエイジの耳に、獲物を狙う魔物の息遣いが聞こえてくる。
(不思議だ、感覚が鋭くなっている)
シャァアアアアアア!!
襲い掛かって来たのは三つ首の大蛇だ。
三頭合わせて、合計九つの鎌首が前衛であるエイジとエリクを襲う。
その刹那──
(これは……)
エリクは確かに見た、その九つの鎌首を全て切り落とし佇む男の姿を。
その切断面は焦げ付いて、完全に相手を絶命させている。
「凄え……見えたかよ今の」
ライアンは思わずオリビアに尋ねた。
少し悔しそうにオリビアは答えた。
「ギリギリね。前よりも強くなっている、一体どういう事?」
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