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255、精霊の小手
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(これは……)
エイジは右手と左手の小手の甲の部分に、魔法陣が描かれているのを見つめていた。
右手には青い魔法陣、左手には赤い魔法陣が描かれていく。
『リイム、ミイム、さあ契約の言葉を』
『はい、お母様!』
『はいです!』
リイムはエイジの右手の魔法陣の傍に、ミイムは左の魔法陣の傍で祈るような姿勢で歌をうたっている。
その歌声は美しく、次第にエイジの右手と左手をそれぞれ青と赤の光に包んでいく。
それが彼女たちにとって契約の言葉なのだろう。
まるで呪文の詠唱のように、言葉を紡いでいく。
揺らめく光の中に佇む、妖精のような二人の姿。
その背中には美しい翼が生えている。
『我は汝と契約を交わす者なり、心を開き我を受け入れよ!』
『受け入れるです!』
エイジを見上げる二人の精霊の言葉にエイジは頷いた。
『ああ、リイム、ミイム! 二人とも、これからは俺たちの仲間だ!』
エイジの返事に、リイムとミイムは嬉しそうにそれぞれの魔法陣を小さな手で触れる。
すると強烈な光が魔法陣から放たれた。
『うお!! 何だ!』
「「「「眩しい!!」」」」
思わず叫ぶエイジと一行。
次第にその光はおさまっていく。
すると──
「これは……」
エイジは思わず自分の小手を見つめる。
小手の甲の部分には先程の魔法陣が刻まれ、その中央に見慣れない宝玉が融合したが如く埋め込まれている。
リイムが握る右手は青い宝玉、ミイムが握る左手は赤い宝玉。
ニッコリと笑う二人の精霊。
『私のエレメントクリスタルよ! ふふ、よろしくね、エイジ!』
『えへへ、ミイムのもです!』
ライアンが感心した様にエイジの小手を眺めた。
「うひょ~、こりゃあカッコいい小手になりやがったな! 羨ましいぜ!」
「ふにゃ! 確かに格好いいにゃ!!」
エリスとリアナも大きく頷くと。
「エイジ、素敵じゃない!」
「ほんと、綺麗! これがエリクさんが言っていたエレメントクリスタルね?」
エリクはエイジの小手を眺めながらリアナに答える。
「恐らくは。私が知っている精霊使いは、首からクリスタルを提げてましたがそれによく似ています。それにしても美しいですね。いわば精霊の小手と言ったところでしょうか」
そのセリフにオリビアが肩をすくめる。
「ふふ、精霊の小手だなんて。エリク先輩も真面目な顔して意外とロマンチストね」
「失礼ですねオリビア。これでも妻は、いつも私をロマンチストだと言ってくれるのですよ」
軽く咳払いをして、聞かなかったことにするオリビア。
エリクが一度ノロケだすと長いことを知っているからだ。
ファルティーシアはエイジに歩み寄ると。
『貴方の装備からはとても強い力を感じる。エレメントクリスタルと融合させられる程の装備など珍しいのですが。剣士というのならば、このほうがより力を発揮できるでしょう』
『ありがとうございます。これは俺が知っている中で、一番の鍛冶職人が作ってくれた装備ですから』
小手を見つめるエイジを眺めながらファルティーシアは微笑んだ。
『そのクリスタルは契約者である貴方にしか使えません。それに意識を集中すれば、この地を離れてもリイムやミイムを喚ぶことが出来ますよ』
ミイムがエイジの肩に乗って飛び跳ねると。
『いつでもミイムを喚んで欲しいです! 頑張るです!』
張り切るミイム。
リイムもエイジの顔の周りを飛び回る。
『きっと私たちがいて良かったって思うわ! 頑張るんだから! まずはお母様に頼まれたこと済ましてしまいましょ!』
エイジは右手と左手の小手の甲の部分に、魔法陣が描かれているのを見つめていた。
右手には青い魔法陣、左手には赤い魔法陣が描かれていく。
『リイム、ミイム、さあ契約の言葉を』
『はい、お母様!』
『はいです!』
リイムはエイジの右手の魔法陣の傍に、ミイムは左の魔法陣の傍で祈るような姿勢で歌をうたっている。
その歌声は美しく、次第にエイジの右手と左手をそれぞれ青と赤の光に包んでいく。
それが彼女たちにとって契約の言葉なのだろう。
まるで呪文の詠唱のように、言葉を紡いでいく。
揺らめく光の中に佇む、妖精のような二人の姿。
その背中には美しい翼が生えている。
『我は汝と契約を交わす者なり、心を開き我を受け入れよ!』
『受け入れるです!』
エイジを見上げる二人の精霊の言葉にエイジは頷いた。
『ああ、リイム、ミイム! 二人とも、これからは俺たちの仲間だ!』
エイジの返事に、リイムとミイムは嬉しそうにそれぞれの魔法陣を小さな手で触れる。
すると強烈な光が魔法陣から放たれた。
『うお!! 何だ!』
「「「「眩しい!!」」」」
思わず叫ぶエイジと一行。
次第にその光はおさまっていく。
すると──
「これは……」
エイジは思わず自分の小手を見つめる。
小手の甲の部分には先程の魔法陣が刻まれ、その中央に見慣れない宝玉が融合したが如く埋め込まれている。
リイムが握る右手は青い宝玉、ミイムが握る左手は赤い宝玉。
ニッコリと笑う二人の精霊。
『私のエレメントクリスタルよ! ふふ、よろしくね、エイジ!』
『えへへ、ミイムのもです!』
ライアンが感心した様にエイジの小手を眺めた。
「うひょ~、こりゃあカッコいい小手になりやがったな! 羨ましいぜ!」
「ふにゃ! 確かに格好いいにゃ!!」
エリスとリアナも大きく頷くと。
「エイジ、素敵じゃない!」
「ほんと、綺麗! これがエリクさんが言っていたエレメントクリスタルね?」
エリクはエイジの小手を眺めながらリアナに答える。
「恐らくは。私が知っている精霊使いは、首からクリスタルを提げてましたがそれによく似ています。それにしても美しいですね。いわば精霊の小手と言ったところでしょうか」
そのセリフにオリビアが肩をすくめる。
「ふふ、精霊の小手だなんて。エリク先輩も真面目な顔して意外とロマンチストね」
「失礼ですねオリビア。これでも妻は、いつも私をロマンチストだと言ってくれるのですよ」
軽く咳払いをして、聞かなかったことにするオリビア。
エリクが一度ノロケだすと長いことを知っているからだ。
ファルティーシアはエイジに歩み寄ると。
『貴方の装備からはとても強い力を感じる。エレメントクリスタルと融合させられる程の装備など珍しいのですが。剣士というのならば、このほうがより力を発揮できるでしょう』
『ありがとうございます。これは俺が知っている中で、一番の鍛冶職人が作ってくれた装備ですから』
小手を見つめるエイジを眺めながらファルティーシアは微笑んだ。
『そのクリスタルは契約者である貴方にしか使えません。それに意識を集中すれば、この地を離れてもリイムやミイムを喚ぶことが出来ますよ』
ミイムがエイジの肩に乗って飛び跳ねると。
『いつでもミイムを喚んで欲しいです! 頑張るです!』
張り切るミイム。
リイムもエイジの顔の周りを飛び回る。
『きっと私たちがいて良かったって思うわ! 頑張るんだから! まずはお母様に頼まれたこと済ましてしまいましょ!』
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