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3巻
3-2
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何も覚えておらず、呆然と立ち尽くしていたミレティスの前には、王妃エルティシアが気を失ったまま横たわっていた。
美しい白い翼に、おびただしい数のエルフの死体、それと数十頭のワイバーンの死骸。
全てはワイバーンの仕業とされていたはずだった。
再び激しく嘔吐する。
「おえええ!! うぁあああ!!」
自らの背中に生えていた何かが、同胞達の肉体をずたずたにしていく生々しい感覚。
あるはずのない黒い翼、その悍ましい記憶が蘇り、美しいエルフの神官は惨めな四つん這いの体勢になって吐き続ける。
その朦朧とした意識の中で、ミレティスはある結論に至った。
――この男はテネブラエ様ではない!
ミレティスがそう確信した瞬間――。
激しい怒りの炎がミレティスの瞳に灯り、強烈な稲光がその手から放たれた。
それがテネブラエの体を焼き尽くしたかに見えた。ところが――。
「お前は、何者だ!? ……テネブラエ様をどうした!」
「お前の愛する男か? そんな男は、とうにこの私の器としての役割しか果たしておらん。千年前からな」
かつて、この地に集った五人のハイエルフ。千年前、この扉を開き神と呼ばれるほどの力を得た上級精霊。彼らに匹敵する力を持つ、エルフの神官長ミレティスの目が鋭く光った。
恐ろしいほどの魔力が、妖艶な女エルフの体から溢れている。
「ほう、精霊王にこの地を任されるだけはある。神になる野望を抱くのに相応しい女だ」
男はミレティスの魔法攻撃も全く物ともせず、静かに笑った。
「馬鹿な! そんな、このわたくしの雷光を! おのれ!!」
「くく、つれない女だ。あれほど愛し合い、この腕の中で泣きながら何度も私に忠誠を誓ったではないか」
その言葉に、ミレティスの全身から殺気が迸った。人の領域を遥かに超えた凄絶な美貌と魔力である。
「我命ず、全てを焼き尽くす稲妻よ、集いて我に仇なすものを滅せよ! エル・ヴォルテリア!!」
無数に生じた稲光が一斉に男の体に襲いかかる。神の手による断罪とも言うべき光景だった。強烈な破壊音が辺りに鳴り響く。
「滅しなさい!」
だが次の瞬間、神々しいエルフの美貌が歪んだ。
ミレティスの手から放たれた雷光が、逆流するように黒く染まっていく。
「そ、そんな! 何!? これは!!」
ミレティスは呻いた。その体からドス黒い炎が滲み出している。
男は平然とミレティスを眺めていた。
美しいエルフの神官長が激しく身を捩る。
「一体これは! くっ! うぁあああ!!」
それは極めて残酷で煽情的な光景だった。
自らの魔力を黒く侵食されたミレティスは、全身を仰け反らして痙攣する。テネブラエが放つ黒い炎が、ミレティスにまとわりつき、目、鼻、口……と、その体の至る所から侵入し、彼女の内部を蹂躙しているのだった。
「うぐっ! はぅううう!!」
整った鼻梁が激しく震え、男達を魅了するその瞳が大きく見開かれる。腰から伸びる艶めかしい白い脚が、ローブから乱れ出て露わになった。
煌くようなブロンドの髪が漆黒に染まると、ミレティスはその場に倒れてビクンと体を震わせた。
テネブラエは邪悪な笑みを浮かべながら、女の傍に歩み寄る。
女の豊満な胸に、テネブラエと同じ染みが広がっていく。精神を侵食するかのごとく、それが黒い竜の咢を形作った。
ミレティスは美しい唇を震わせて、何度も嘔吐する。
「どうだ、精神の奥まで深く入り込まれる気分は? 千年前、一度は経験したはずだ。すぐに思い出させてやろう」
「やめろ……。それ以上は……。あああっ!」
テネブラエは、ミレティスの顔を自分の方へ向けさせて低く笑った。
「どうしたエルフよ。知りたいのではなかったのか? この『門』と呼ばれる遺跡、そしてヴェリタスの秘密を」
「く……うう」
エルフの神官長の手に再び雷光が宿った。だが、それはすぐに黒い炎に呑み込まれてしまう。
ミレティスの瞳に絶望の色が浮かんだ。
「お前達は知らぬ。その魔法という力を、そもそも誰が与えたのかもな。エルフ、獣人、そして人間でさえ、ある一つの目的の為に作られた存在に過ぎぬのだ」
テネブラエのその言葉に、ミレティスは目を瞠る。
「作られた? 何を言っている……」
「すぐに分かる。お前が主である精霊王を裏切ってまで、その座を望んだ神という存在、それが一体、何であるのかもな」
テネブラエの形をしたその男の口から呪文の詠唱が紡がれていく。
ミレティスすら知らぬ、難解で複雑怪奇な術式が完成し、周囲一帯の空気をびりびりと鳴動させた。それに呼応して、『門』と呼ばれる巨大な遺跡の扉が淡い光を放っていく。
やがて、その表面には美しい壁画が描き出されていった。
「こ、これは!」
ミレティスの唇が震えている。
やがて、その中に隠されたものの正体がつまびらかにされるに従い、それを目にしたエルフの神官長の唇が驚きに戦慄いた。
「まさか、あれは……。一体、お前は何者なの!」
男は低く笑った。
「我が名はアディス・フォーエン。エルフよ、いずれ時は満ちる。ただし、千年前とは違う形でな。その時、お前達は全ての真実を知ることになるだろう」
◇
帝都を一望する小高い丘の上に、ルドアはいた。
白狼族特有の白くて大きな耳が、帝都から進撃する大軍勢の情報をつぶさに聞き取っている。その数はおよそ三万。皇帝ドルメール直属の軍団で、帝国最強と聞こえが高い黒帝師団である。
ハルヒコ達がガデルを制圧した夜、獣人族の赤き獅子王バルダス・デュカオーンの命で斥候に出た小隊の一つは帝都付近に潜んでいた。
通常の行軍ならガデルからパレスティアまでは急いで二日、長ければ三日はかかる。だが白狼族の精鋭部隊は昨晩から今日の昼過ぎまで駆け続け、この地に達していた。移動能力の高さは、斥候としての優秀さを示している。ルドアはその小隊の隊長であった。
ほかの小隊は、ガデルを出て帝都の北に向かった帝国の天才軍師アルマン・エッテハイマン公爵を追っているはずだ。
「ルドア様、今何か地鳴りのようなものが……。ドルメールの軍勢によるものではありません」
ルドアは部下の言葉に頷いた。
「確かに俺にも聞こえた。帝都パレスティアの地下から響いてきたみたいだったが」
「いかがいたしましょうか」
ルドアは答える。
「まずは、バルダス様の傍におられるエハル様に、ドルメールが率いる黒帝師団の動きを伝えねばならん」
そう言うとルドアは天を見上げ、高く遠吠えをした。
それは白狼族以外には聞き取れぬ音域で大気を振るわせていく。
するとその声に反応して、数キロメートル先でも同じ遠吠えが始まった。
白狼族特有の情報伝達法である。
ヴェリタスの近隣に潜むバルダス達のところまで情報を届けようというのだ。白狼族の斥候は、そこへ至るまでの様々な経路に点在し、情報の共有を行っているのである。
ルドアは数名の部下を静かに見つめた。
「我ら獣人族は、新生ドラグリア王国のアイリーネ女王陛下をはじめ、アルドリアの勇者殿に命を賭してでも恩を返さねばならん。俺はこれから帝都パレスティアに潜入する。黒帝師団がおらぬとはいえ、数千の帝国兵は残っているだろう。生きて帰れる保証はない」
共に来るか?
そう問いかけるルドアの眼差しを見て、屈強な白狼族の兵士達は朗らかに笑った。
「ルドア様、今さらどうしてこの命を惜しみましょうか」
「たとえ我らが死したとしても、必ずやあのお方達が我らの悲願を成し遂げてくださいます」
「その礎になれるのであれば、恐れるものなどございません」
ルドアの精悍な顔に笑みが浮かぶ。
「馬鹿な連中だ、お前達は。……よし、では行くぞ!」
ルドアはヴェリタスで待つエハルにそのことを伝えるために、再び高く遠吠えした。
時をおかずして、白狼族の戦士達が疾風のように大地を駆け抜けていく。
その先の地平には、帝国の都パレスティアを守護する城壁が張り巡らされていた。
◇
巨大な白い塔が、天まで届くように聳え立っている。
真実の塔と呼ばれる大図書館ヴェリタスである。
同盟軍の斥候の代表を務める、新生ジェフルア王国の国王の鬣が赤く風に靡いている。それが多くの獣人族の戦士を勇気づけた。
赤き獅子王バルダス・デュカオーン。獣人族最強の戦士だ。
横に付き従うのは、白狼族の長老の娘エハル。その機知故に、新生ジェフルア王国の参謀に指名された才女である。その横顔がピクンと動いた。大きな白い耳が、遠くから響いてくる何かを聞き取ったのだ。
「どうした? エハル」
主であるバルダスの言葉に、エハルは答えた。
「バルダス様、どうやらドルメールが帝都から動き始めたようです。ルドアから報告が参りました」
バルダスが頷く。
「白狼族の遠吠えか」
「はい、我が一族にしか聞くことの出来ぬ声。密偵には最適でございます」
赤き獅子王は改めて目の前の白狼族の女を見る。美しいだけではなく才覚に溢れた女だ。
昨晩ガデルを占拠した後、ハルヒコから密偵を出すよう求められた時には、すでに自らの一族をまとめ上げていた。なんとも用意周到である。
バルダスの視線に気がついて、エハルは微笑んだ。
だが、すぐに真剣な眼差しになる。
「それにしても動きが早すぎます。アルマン・エッテハイマン公爵がドルメールを裏切り、帝都の北の二つの街道を封鎖したとしても、帝都への物資が完全に止まるまでには時間がかかります。何故、これほどまで早く帝都を出たのか」
バルダスは静かに言った。
「アルマンが挑発をしたのだろう。奴は帝国一の軍略家だ。ドルメールを手玉に取ることなど容易かろう」
エハルは頷くと、もう一度白い耳をそばだてる。
「ルドア……。バルダス様、ルドアから再度の報告です。ドルメールの黒帝師団とは別に、気になることがあると。帝都の地下より不審な地響きのような音が聞こえたため、今から潜入するとのことです」
「帝都の地下だと? どういうことだ」
エハルは首を横に振った。
「分かりません。ですが嫌な予感がします。全てがアルマン公爵の思惑通りだとしたら、このヴェリタスの中に一体何があるのか……。いずれにしても、まだ暫くは時がございましょう。バルダス様、ここは私が指揮を致します。塔の中にいる勇者様に早くこのことをお伝えください」
「うむ、分かった。そうするとしよう」
バルダスはそう言うと、赤い風のように白く巨大な塔に向かって駆けていく。
エハルは腕に巻かれた白い飾り紐に、そっと手を置いた。娘が同盟軍の皆の無事を願って作ったものだ。見ると、結び目がほどけている。
「リン、ミュウ待っていてね。ドルメールを倒して七年前の奴らの罪を裁く。この戦いが終われば、きっと獣人族にも平和が訪れるわ」
エハルは微笑みながら飾り紐を結び直した。だが、エハルの手はその途中で止まってしまう。
「そんな。もしや、何か悪いことでも……」
リンが編んだそれが、不吉にも途中で千切れてしまったのだ。
風に乗り、空高く舞い上がっていく娘の希望が込められた結晶を、エハルは不安な目で眺めていた。
第二話 守護者
ドラグリア帝国の邪悪な皇帝ドルメール。
その魔手の前に、滅亡寸前の絶体絶命な状況だったアルドリア王国。
だが俺――ハルヒコとアルドリアの女騎士達の活躍により、アルースの奇跡と呼ばれる戦で五万もの大軍勢を打ち破った。
その後、勝利の余韻に浸る間もなく、賢王として世に知られたドラグリアの前王、アファードの娘アイリーネを旗印に新生ドラグリア王国を建国し、帝国の分断に成功する。
さらに俺達は、アルドリアと新生ドラグリア王国を中心とする同盟軍を結成し、ドルメールを追い詰めるべく帝都を目指した。
これまで入手した情報から考えると、おそらく、ドルメールを陰で操る存在は上級精霊のテネブラエだろう。奴の狙いは、千年前に行われた神と呼ばれる存在になるための儀式の再現に違いない。
全てがその男の目論見通りだとすれば、俺が精霊王との賭けに勝つためには、ドルメールの息の根を止めた後、奴も倒すしかない。
その俺達は今、帝国の天才軍師アルマン・エッテハイマン公爵の誘いに乗って数万年前に滅んだと伝えられる竜族の遺跡、真実の塔ヴェリタスにいた。
――奴は言った。
俺がこの世界に呼び出されたのは決して偶然ではない、と。
天空を貫くように聳え立つ巨大な白い塔。その中に作られた聖殿。
額に竜族の紋章が刻まれた女、リューシア・エレハリス。
それが輝く時、俺達はヴェリタスを守る守護者が彼女だと知ったのだった。
しかも俺は、恐るべき力を持つその女が守るこの場所で、予想もしなかった、あまりにも意外な人物との再会を果たしていた。
(この野郎……。どうしてこいつがここにいやがる)
俺は胸の内で吐き捨てながら、目の前の男の背中を見つめた。
リュオン・マナエル、いや春宮龍音。
こいつは間違いなく俺の親父だ。幼い頃、おふくろと俺の前から姿を消した男。
竜族の遺跡である、真実の塔ヴェリタス。その守護者リューシア・エレハリスの剣が俺を切り裂こうとした時、突如としてこいつは現れた。俺達の最大の窮地を救うという形で。
ひらめくマントの奥に見える精悍な顔がニヤリと不敵に笑い、守護者の剣を撥ね返した。
真紅のマントに赤い装束。手には俺の剣エルンディアスによく似た日本刀のような武器を握っている。リューシアは、リュオンに弾かれた剣の反動を利用して体を回転させると、恐るべき速さで男の赤いマントを切り裂いた。
リュオンはそれを見て舌打ちした。その剣先は、リューシアの全ての攻撃を受け流している。
「ちっ、高かったんだぜ、このマント。俊彦、いや……、この世界ではハルヒコか。後できっちり、お前に弁償してもらうぞ!」
家族を棄て去り、失踪した男が十数年ぶりに再会した息子に発したとは思えない軽い言葉だ。
俺は苛立ちを隠そうともせず、目の前の男の背中を睨みつける。それから地面に転がったアンファル王国の秘宝剣エルンディアスを拾い上げた。
ヴェリタスの聖堂の中で、リューシアが再び美しい声で歌い始めた。額に刻まれた竜族の紋章の輝きが増している。それに呼応するかのように聖堂内の内壁に白い光が広がっていく。
守護者はゆっくりと口を開いた。
「……リュオン・マナエル、久しぶりだな。このような場に姿を現すとは、さすがのお前も息子の命は惜しいらしい」
リューシアの言葉に、リュオンと呼ばれた男は苦笑を浮かべる。リューシアと対峙するリュオンの瞳は、俺同様に緋色に輝いていた。
「さて、どうかな。俺の息子なら、あれで終わりのはずがない。そうだろ、俊彦」
「その名前で呼ぶな……。あんたに息子呼ばわりされる覚えはない。後でゆっくりと事情を話してもらうぞ」
何故、こいつがここにいるのかは分からない。
だが、確かにアルマン公爵は俺の力のことを『そなたの父親に聞け』と言っていた。
そして、俺がこの世界に召喚されたことも決して偶然ではないと。
「いいだろう。ただし、お前が生きていたらな、ハルヒコ!」
リュオンは激しくリューシアと剣を交わしている。俺はそれを見て、驚きよりも憤りの感情が溢れてくるのを抑えられなかった。
(こいつの前でだけは、だらしない姿を見せるのはごめんだ)
――この男の前でだけは!
「ミルファール!!」
俺の中で、上級精霊のミルファールが答える。
(ハルヒコさん、凄い力です! 何なんですかこの力は!)
瞳が輝きを増す。
俺の中に眠る力をミルファールが引き出してくれているのだろうか。全身が緋色を超え、真紅の光に包まれていく。エルンディアスが、生きているかのように俺の手に吸い付いてくる。さらには、それに反応して、俺の右手の皮膚が赤く染まっていった。
「ハルヒコ! 一体それは何だ!?」
アルドリア王国の聖騎士団を束ねるルビアの声が聖堂に響き渡った。
リューシアは俺の体の変化を見てとって、悠然たる笑みを浮かべる。
「ほう、その力は。面白い! 来い小僧!!」
俺は両足に力を入れると、一瞬でリューシアとの距離を詰めていった。凄まじい速さだ。さしものリューシアも目が鋭くなる。
今までの動きとは格段に違う。リューシアが放つ無数の剣の軌道が見えた。俺はそれをすり抜けるように前へ進む。
ギィイイン!!
俺の体を縦に両断しようとしたリューシアの剣戟を、エルンディアスが弾き返す。
守護者の力に対抗するだけの力が両腕に漲っていた。リューシアはわずかに体勢を崩したものの、そのまま旋回し、俺に向かって剣を真横に一閃する。
俺はエルンディアスでそれを受け止めた。凄まじい衝撃に空気が振動する。俺はその反動を利用して体を捻りながら、リューシアを切り裂こうと肉薄した。
俺の剣先がリューシアの頬に届き、浅い朱の一線を走らせた。真紅の血吹雪が辺りに舞う。その雫が聖堂の白い床に赤い飛沫を描いた。
リューシアが素早く距離を取る。それから頬を指でなぞって、静かに俺を見た。
「精霊王と、あの男以来か。このわらわの体に傷をつけるとはな。千年ぶりにわらわに血を流させた罪は、万死に値するぞ」
凄まじい力が、リューシアの体に集まっていく。
(これは……)
唇からは再び、美しい歌声が紡がれる。聖堂全体がその歌声に共鳴していった。
それを見たリュオン――俺の親父は、あろうことかこの状況において、自らの刀を鞘に収めてしまった。
「俊彦、ここから先はお前達だけでやらねばならん。俺が手助け出来るのはここまでだ」
「どういうことだ!」
その時、俺の傍で少女の声がした。
それはパタパタと親父の傍に飛んでいく。
「リュオン、正気なの? 守護者の力はこんなものじゃないわ。いくら貴方の息子でも、一人じゃ勝てないわよ!」
その声の主を見て、アルドリア宮廷魔道騎士団長でハーフエルフのミルダが叫んだ。
「嘘……。もしかして竜?」
アウロス将軍も思わず声を上げる。
「馬鹿な!」
親父の傍で小さく羽ばたいているのは、紛れもなく太古に絶滅したはずの生き物だった。大きな瞳で俺達の方を眺めている。
美しい白い翼に、おびただしい数のエルフの死体、それと数十頭のワイバーンの死骸。
全てはワイバーンの仕業とされていたはずだった。
再び激しく嘔吐する。
「おえええ!! うぁあああ!!」
自らの背中に生えていた何かが、同胞達の肉体をずたずたにしていく生々しい感覚。
あるはずのない黒い翼、その悍ましい記憶が蘇り、美しいエルフの神官は惨めな四つん這いの体勢になって吐き続ける。
その朦朧とした意識の中で、ミレティスはある結論に至った。
――この男はテネブラエ様ではない!
ミレティスがそう確信した瞬間――。
激しい怒りの炎がミレティスの瞳に灯り、強烈な稲光がその手から放たれた。
それがテネブラエの体を焼き尽くしたかに見えた。ところが――。
「お前は、何者だ!? ……テネブラエ様をどうした!」
「お前の愛する男か? そんな男は、とうにこの私の器としての役割しか果たしておらん。千年前からな」
かつて、この地に集った五人のハイエルフ。千年前、この扉を開き神と呼ばれるほどの力を得た上級精霊。彼らに匹敵する力を持つ、エルフの神官長ミレティスの目が鋭く光った。
恐ろしいほどの魔力が、妖艶な女エルフの体から溢れている。
「ほう、精霊王にこの地を任されるだけはある。神になる野望を抱くのに相応しい女だ」
男はミレティスの魔法攻撃も全く物ともせず、静かに笑った。
「馬鹿な! そんな、このわたくしの雷光を! おのれ!!」
「くく、つれない女だ。あれほど愛し合い、この腕の中で泣きながら何度も私に忠誠を誓ったではないか」
その言葉に、ミレティスの全身から殺気が迸った。人の領域を遥かに超えた凄絶な美貌と魔力である。
「我命ず、全てを焼き尽くす稲妻よ、集いて我に仇なすものを滅せよ! エル・ヴォルテリア!!」
無数に生じた稲光が一斉に男の体に襲いかかる。神の手による断罪とも言うべき光景だった。強烈な破壊音が辺りに鳴り響く。
「滅しなさい!」
だが次の瞬間、神々しいエルフの美貌が歪んだ。
ミレティスの手から放たれた雷光が、逆流するように黒く染まっていく。
「そ、そんな! 何!? これは!!」
ミレティスは呻いた。その体からドス黒い炎が滲み出している。
男は平然とミレティスを眺めていた。
美しいエルフの神官長が激しく身を捩る。
「一体これは! くっ! うぁあああ!!」
それは極めて残酷で煽情的な光景だった。
自らの魔力を黒く侵食されたミレティスは、全身を仰け反らして痙攣する。テネブラエが放つ黒い炎が、ミレティスにまとわりつき、目、鼻、口……と、その体の至る所から侵入し、彼女の内部を蹂躙しているのだった。
「うぐっ! はぅううう!!」
整った鼻梁が激しく震え、男達を魅了するその瞳が大きく見開かれる。腰から伸びる艶めかしい白い脚が、ローブから乱れ出て露わになった。
煌くようなブロンドの髪が漆黒に染まると、ミレティスはその場に倒れてビクンと体を震わせた。
テネブラエは邪悪な笑みを浮かべながら、女の傍に歩み寄る。
女の豊満な胸に、テネブラエと同じ染みが広がっていく。精神を侵食するかのごとく、それが黒い竜の咢を形作った。
ミレティスは美しい唇を震わせて、何度も嘔吐する。
「どうだ、精神の奥まで深く入り込まれる気分は? 千年前、一度は経験したはずだ。すぐに思い出させてやろう」
「やめろ……。それ以上は……。あああっ!」
テネブラエは、ミレティスの顔を自分の方へ向けさせて低く笑った。
「どうしたエルフよ。知りたいのではなかったのか? この『門』と呼ばれる遺跡、そしてヴェリタスの秘密を」
「く……うう」
エルフの神官長の手に再び雷光が宿った。だが、それはすぐに黒い炎に呑み込まれてしまう。
ミレティスの瞳に絶望の色が浮かんだ。
「お前達は知らぬ。その魔法という力を、そもそも誰が与えたのかもな。エルフ、獣人、そして人間でさえ、ある一つの目的の為に作られた存在に過ぎぬのだ」
テネブラエのその言葉に、ミレティスは目を瞠る。
「作られた? 何を言っている……」
「すぐに分かる。お前が主である精霊王を裏切ってまで、その座を望んだ神という存在、それが一体、何であるのかもな」
テネブラエの形をしたその男の口から呪文の詠唱が紡がれていく。
ミレティスすら知らぬ、難解で複雑怪奇な術式が完成し、周囲一帯の空気をびりびりと鳴動させた。それに呼応して、『門』と呼ばれる巨大な遺跡の扉が淡い光を放っていく。
やがて、その表面には美しい壁画が描き出されていった。
「こ、これは!」
ミレティスの唇が震えている。
やがて、その中に隠されたものの正体がつまびらかにされるに従い、それを目にしたエルフの神官長の唇が驚きに戦慄いた。
「まさか、あれは……。一体、お前は何者なの!」
男は低く笑った。
「我が名はアディス・フォーエン。エルフよ、いずれ時は満ちる。ただし、千年前とは違う形でな。その時、お前達は全ての真実を知ることになるだろう」
◇
帝都を一望する小高い丘の上に、ルドアはいた。
白狼族特有の白くて大きな耳が、帝都から進撃する大軍勢の情報をつぶさに聞き取っている。その数はおよそ三万。皇帝ドルメール直属の軍団で、帝国最強と聞こえが高い黒帝師団である。
ハルヒコ達がガデルを制圧した夜、獣人族の赤き獅子王バルダス・デュカオーンの命で斥候に出た小隊の一つは帝都付近に潜んでいた。
通常の行軍ならガデルからパレスティアまでは急いで二日、長ければ三日はかかる。だが白狼族の精鋭部隊は昨晩から今日の昼過ぎまで駆け続け、この地に達していた。移動能力の高さは、斥候としての優秀さを示している。ルドアはその小隊の隊長であった。
ほかの小隊は、ガデルを出て帝都の北に向かった帝国の天才軍師アルマン・エッテハイマン公爵を追っているはずだ。
「ルドア様、今何か地鳴りのようなものが……。ドルメールの軍勢によるものではありません」
ルドアは部下の言葉に頷いた。
「確かに俺にも聞こえた。帝都パレスティアの地下から響いてきたみたいだったが」
「いかがいたしましょうか」
ルドアは答える。
「まずは、バルダス様の傍におられるエハル様に、ドルメールが率いる黒帝師団の動きを伝えねばならん」
そう言うとルドアは天を見上げ、高く遠吠えをした。
それは白狼族以外には聞き取れぬ音域で大気を振るわせていく。
するとその声に反応して、数キロメートル先でも同じ遠吠えが始まった。
白狼族特有の情報伝達法である。
ヴェリタスの近隣に潜むバルダス達のところまで情報を届けようというのだ。白狼族の斥候は、そこへ至るまでの様々な経路に点在し、情報の共有を行っているのである。
ルドアは数名の部下を静かに見つめた。
「我ら獣人族は、新生ドラグリア王国のアイリーネ女王陛下をはじめ、アルドリアの勇者殿に命を賭してでも恩を返さねばならん。俺はこれから帝都パレスティアに潜入する。黒帝師団がおらぬとはいえ、数千の帝国兵は残っているだろう。生きて帰れる保証はない」
共に来るか?
そう問いかけるルドアの眼差しを見て、屈強な白狼族の兵士達は朗らかに笑った。
「ルドア様、今さらどうしてこの命を惜しみましょうか」
「たとえ我らが死したとしても、必ずやあのお方達が我らの悲願を成し遂げてくださいます」
「その礎になれるのであれば、恐れるものなどございません」
ルドアの精悍な顔に笑みが浮かぶ。
「馬鹿な連中だ、お前達は。……よし、では行くぞ!」
ルドアはヴェリタスで待つエハルにそのことを伝えるために、再び高く遠吠えした。
時をおかずして、白狼族の戦士達が疾風のように大地を駆け抜けていく。
その先の地平には、帝国の都パレスティアを守護する城壁が張り巡らされていた。
◇
巨大な白い塔が、天まで届くように聳え立っている。
真実の塔と呼ばれる大図書館ヴェリタスである。
同盟軍の斥候の代表を務める、新生ジェフルア王国の国王の鬣が赤く風に靡いている。それが多くの獣人族の戦士を勇気づけた。
赤き獅子王バルダス・デュカオーン。獣人族最強の戦士だ。
横に付き従うのは、白狼族の長老の娘エハル。その機知故に、新生ジェフルア王国の参謀に指名された才女である。その横顔がピクンと動いた。大きな白い耳が、遠くから響いてくる何かを聞き取ったのだ。
「どうした? エハル」
主であるバルダスの言葉に、エハルは答えた。
「バルダス様、どうやらドルメールが帝都から動き始めたようです。ルドアから報告が参りました」
バルダスが頷く。
「白狼族の遠吠えか」
「はい、我が一族にしか聞くことの出来ぬ声。密偵には最適でございます」
赤き獅子王は改めて目の前の白狼族の女を見る。美しいだけではなく才覚に溢れた女だ。
昨晩ガデルを占拠した後、ハルヒコから密偵を出すよう求められた時には、すでに自らの一族をまとめ上げていた。なんとも用意周到である。
バルダスの視線に気がついて、エハルは微笑んだ。
だが、すぐに真剣な眼差しになる。
「それにしても動きが早すぎます。アルマン・エッテハイマン公爵がドルメールを裏切り、帝都の北の二つの街道を封鎖したとしても、帝都への物資が完全に止まるまでには時間がかかります。何故、これほどまで早く帝都を出たのか」
バルダスは静かに言った。
「アルマンが挑発をしたのだろう。奴は帝国一の軍略家だ。ドルメールを手玉に取ることなど容易かろう」
エハルは頷くと、もう一度白い耳をそばだてる。
「ルドア……。バルダス様、ルドアから再度の報告です。ドルメールの黒帝師団とは別に、気になることがあると。帝都の地下より不審な地響きのような音が聞こえたため、今から潜入するとのことです」
「帝都の地下だと? どういうことだ」
エハルは首を横に振った。
「分かりません。ですが嫌な予感がします。全てがアルマン公爵の思惑通りだとしたら、このヴェリタスの中に一体何があるのか……。いずれにしても、まだ暫くは時がございましょう。バルダス様、ここは私が指揮を致します。塔の中にいる勇者様に早くこのことをお伝えください」
「うむ、分かった。そうするとしよう」
バルダスはそう言うと、赤い風のように白く巨大な塔に向かって駆けていく。
エハルは腕に巻かれた白い飾り紐に、そっと手を置いた。娘が同盟軍の皆の無事を願って作ったものだ。見ると、結び目がほどけている。
「リン、ミュウ待っていてね。ドルメールを倒して七年前の奴らの罪を裁く。この戦いが終われば、きっと獣人族にも平和が訪れるわ」
エハルは微笑みながら飾り紐を結び直した。だが、エハルの手はその途中で止まってしまう。
「そんな。もしや、何か悪いことでも……」
リンが編んだそれが、不吉にも途中で千切れてしまったのだ。
風に乗り、空高く舞い上がっていく娘の希望が込められた結晶を、エハルは不安な目で眺めていた。
第二話 守護者
ドラグリア帝国の邪悪な皇帝ドルメール。
その魔手の前に、滅亡寸前の絶体絶命な状況だったアルドリア王国。
だが俺――ハルヒコとアルドリアの女騎士達の活躍により、アルースの奇跡と呼ばれる戦で五万もの大軍勢を打ち破った。
その後、勝利の余韻に浸る間もなく、賢王として世に知られたドラグリアの前王、アファードの娘アイリーネを旗印に新生ドラグリア王国を建国し、帝国の分断に成功する。
さらに俺達は、アルドリアと新生ドラグリア王国を中心とする同盟軍を結成し、ドルメールを追い詰めるべく帝都を目指した。
これまで入手した情報から考えると、おそらく、ドルメールを陰で操る存在は上級精霊のテネブラエだろう。奴の狙いは、千年前に行われた神と呼ばれる存在になるための儀式の再現に違いない。
全てがその男の目論見通りだとすれば、俺が精霊王との賭けに勝つためには、ドルメールの息の根を止めた後、奴も倒すしかない。
その俺達は今、帝国の天才軍師アルマン・エッテハイマン公爵の誘いに乗って数万年前に滅んだと伝えられる竜族の遺跡、真実の塔ヴェリタスにいた。
――奴は言った。
俺がこの世界に呼び出されたのは決して偶然ではない、と。
天空を貫くように聳え立つ巨大な白い塔。その中に作られた聖殿。
額に竜族の紋章が刻まれた女、リューシア・エレハリス。
それが輝く時、俺達はヴェリタスを守る守護者が彼女だと知ったのだった。
しかも俺は、恐るべき力を持つその女が守るこの場所で、予想もしなかった、あまりにも意外な人物との再会を果たしていた。
(この野郎……。どうしてこいつがここにいやがる)
俺は胸の内で吐き捨てながら、目の前の男の背中を見つめた。
リュオン・マナエル、いや春宮龍音。
こいつは間違いなく俺の親父だ。幼い頃、おふくろと俺の前から姿を消した男。
竜族の遺跡である、真実の塔ヴェリタス。その守護者リューシア・エレハリスの剣が俺を切り裂こうとした時、突如としてこいつは現れた。俺達の最大の窮地を救うという形で。
ひらめくマントの奥に見える精悍な顔がニヤリと不敵に笑い、守護者の剣を撥ね返した。
真紅のマントに赤い装束。手には俺の剣エルンディアスによく似た日本刀のような武器を握っている。リューシアは、リュオンに弾かれた剣の反動を利用して体を回転させると、恐るべき速さで男の赤いマントを切り裂いた。
リュオンはそれを見て舌打ちした。その剣先は、リューシアの全ての攻撃を受け流している。
「ちっ、高かったんだぜ、このマント。俊彦、いや……、この世界ではハルヒコか。後できっちり、お前に弁償してもらうぞ!」
家族を棄て去り、失踪した男が十数年ぶりに再会した息子に発したとは思えない軽い言葉だ。
俺は苛立ちを隠そうともせず、目の前の男の背中を睨みつける。それから地面に転がったアンファル王国の秘宝剣エルンディアスを拾い上げた。
ヴェリタスの聖堂の中で、リューシアが再び美しい声で歌い始めた。額に刻まれた竜族の紋章の輝きが増している。それに呼応するかのように聖堂内の内壁に白い光が広がっていく。
守護者はゆっくりと口を開いた。
「……リュオン・マナエル、久しぶりだな。このような場に姿を現すとは、さすがのお前も息子の命は惜しいらしい」
リューシアの言葉に、リュオンと呼ばれた男は苦笑を浮かべる。リューシアと対峙するリュオンの瞳は、俺同様に緋色に輝いていた。
「さて、どうかな。俺の息子なら、あれで終わりのはずがない。そうだろ、俊彦」
「その名前で呼ぶな……。あんたに息子呼ばわりされる覚えはない。後でゆっくりと事情を話してもらうぞ」
何故、こいつがここにいるのかは分からない。
だが、確かにアルマン公爵は俺の力のことを『そなたの父親に聞け』と言っていた。
そして、俺がこの世界に召喚されたことも決して偶然ではないと。
「いいだろう。ただし、お前が生きていたらな、ハルヒコ!」
リュオンは激しくリューシアと剣を交わしている。俺はそれを見て、驚きよりも憤りの感情が溢れてくるのを抑えられなかった。
(こいつの前でだけは、だらしない姿を見せるのはごめんだ)
――この男の前でだけは!
「ミルファール!!」
俺の中で、上級精霊のミルファールが答える。
(ハルヒコさん、凄い力です! 何なんですかこの力は!)
瞳が輝きを増す。
俺の中に眠る力をミルファールが引き出してくれているのだろうか。全身が緋色を超え、真紅の光に包まれていく。エルンディアスが、生きているかのように俺の手に吸い付いてくる。さらには、それに反応して、俺の右手の皮膚が赤く染まっていった。
「ハルヒコ! 一体それは何だ!?」
アルドリア王国の聖騎士団を束ねるルビアの声が聖堂に響き渡った。
リューシアは俺の体の変化を見てとって、悠然たる笑みを浮かべる。
「ほう、その力は。面白い! 来い小僧!!」
俺は両足に力を入れると、一瞬でリューシアとの距離を詰めていった。凄まじい速さだ。さしものリューシアも目が鋭くなる。
今までの動きとは格段に違う。リューシアが放つ無数の剣の軌道が見えた。俺はそれをすり抜けるように前へ進む。
ギィイイン!!
俺の体を縦に両断しようとしたリューシアの剣戟を、エルンディアスが弾き返す。
守護者の力に対抗するだけの力が両腕に漲っていた。リューシアはわずかに体勢を崩したものの、そのまま旋回し、俺に向かって剣を真横に一閃する。
俺はエルンディアスでそれを受け止めた。凄まじい衝撃に空気が振動する。俺はその反動を利用して体を捻りながら、リューシアを切り裂こうと肉薄した。
俺の剣先がリューシアの頬に届き、浅い朱の一線を走らせた。真紅の血吹雪が辺りに舞う。その雫が聖堂の白い床に赤い飛沫を描いた。
リューシアが素早く距離を取る。それから頬を指でなぞって、静かに俺を見た。
「精霊王と、あの男以来か。このわらわの体に傷をつけるとはな。千年ぶりにわらわに血を流させた罪は、万死に値するぞ」
凄まじい力が、リューシアの体に集まっていく。
(これは……)
唇からは再び、美しい歌声が紡がれる。聖堂全体がその歌声に共鳴していった。
それを見たリュオン――俺の親父は、あろうことかこの状況において、自らの刀を鞘に収めてしまった。
「俊彦、ここから先はお前達だけでやらねばならん。俺が手助け出来るのはここまでだ」
「どういうことだ!」
その時、俺の傍で少女の声がした。
それはパタパタと親父の傍に飛んでいく。
「リュオン、正気なの? 守護者の力はこんなものじゃないわ。いくら貴方の息子でも、一人じゃ勝てないわよ!」
その声の主を見て、アルドリア宮廷魔道騎士団長でハーフエルフのミルダが叫んだ。
「嘘……。もしかして竜?」
アウロス将軍も思わず声を上げる。
「馬鹿な!」
親父の傍で小さく羽ばたいているのは、紛れもなく太古に絶滅したはずの生き物だった。大きな瞳で俺達の方を眺めている。
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