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1巻
1-3
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ブロンドの美しい騎士が王女の側に立って、俺を睨みつける。
「手当をしたミルダにはすまないが、私はこいつの顔を見るとムカムカする」
当然だろうな。満座の前であんなことをされてムカつかないなら、それは俺に惚れてるか限りなくビッチかのどちらかに違いない。
俺に拳で突かれた胸が痛むのか、その場所に手を当てる。
俺は頭を掻きながら言った。
「あ……悪い。まあ、あんた結構胸がデカイから大丈夫だったよな?」
その瞬間、俺の口の中にレイピアの先が突きつけられていた。
うむ……これ以上は喋らない方がいいな。俺はフォローが下手なことで有名なんだ。
「私は騎士だ! 女だからと侮辱される筋合いはない。今度私にそのような軽口を叩いたら、姫様の許可がなくても、その舌を串刺しにしてくれる!」
「待ってルビア! ちゃんとわたくしから説明させて! 勝手なことをしているのは、わたくし達なのよ!!!」
王女の言葉に、ブロンドの女騎士はハッとした顔になって剣を収めた。
「申し訳ございません、リーア様。私はただ、王女殿下を侮辱したこの男が許せなくて」
しょげ返ったブロンドの女騎士は、少し可愛かった。
王女はルビアの右手を取って微笑む。
「分かっています。貴方の忠誠心は、いつだってわたくしを救ってくれましたから」
王女は、王族に相応しい威厳のある表情で俺を見つめた。
「あらためてご挨拶いたしますわ。わたくしは、アルドリア聖王国の第一王女、リーア・リグナ・アルドリアと申します。勇者様、まず貴方のお名前をお教えくださいませ!」
王女から名乗っているのに、返答をしない訳にはいかないだろう。
「春宮……。いいや、俺はハルヒコ。そう呼んでくれ」
俺はとりあえずそう名乗った。
本名より短くて分かりやすいからな。最近じゃあ仕事が忙しくて、ネトゲもすっかりご無沙汰になってしまったので、このハンドルネームも懐かしく感じるが。
「ハル……ヒコさま。変わったお名前ですね」
目の前の少女が微笑む。
外見は、十二~十四歳ぐらいだが大人びた雰囲気がある。
「ふ~ん、ハルヒコね、いい名前じゃない」
赤毛の美女が、王女の肩に手を置いた。
「リーアどうするの? 私から話してもいいのよ」
ミルダの言葉に王女は、首を左右に振って俺の瞳を見つめる。
俺はロリコンじゃない……。
だが、これほどの美少女に正面から迫られては悪い気もしなかった。
王女は両手を胸の前で合わせて、祈るように呼吸を整えた。
「勇者様、どうかこの国をお救いください!! 今、この国は滅亡の危機にあるのです!!」
(ちょっと待て、誰かと間違えてないかこれ?)
そりゃそうだろう。さっきまで喫茶店で珈琲を飲んでいたサラリーマンに、国が救えるとは思えない。
「そもそもだな、俺はただのサラリーマンだぞ? 勇者とやらを喚びたかったのなら、完全に見当違いだと思うんだが」
美しいハーフエルフが、首を傾げる。
「サラリーマン? それが何なのかは私には分からないけれど、貴方は強いわ。ルビアとまともにやりあえる剣士なんて、そうはいないもの。まさか、素手で相手をするとは思わなかったけれど」
確かに言われてみればそのとおりだ。
ミルダはローブの中から青く光る水晶を取り出して手をかざす。
「精霊族は人の力を見ることが出来るわ。私は半分しか血が混ざってないから完全ではないけれど」
赤い髪の美女の手から光が放たれて俺の体を覆う。
そして、水晶の中に文字が浮かび上がった。
Lv2
職業:異世界から来た勇者
クラス:マスター・オブ・ゲーム
力:200
知恵:1500
素早さ:750
体力:350
器用さ:2200
称号:異世界で最初にセクハラをした男、巨乳好き
解放されし力:なし
ミルダは、それをルビアとリーアにも見せる。
王女は目を丸くして言った。
「すごい……。騎士でさえ全ての能力が100に達する者は稀なのに。こんな数字、ルビアと、ミルダお姉様ぐらいしか見たことないです! それに聞いたことないクラスも」
「ユニークと呼ばれる唯一無二の力を持ったクラスがあるとは聞いたけれど……。もしそうなら、私も実際に見るのは初めてね」
ミルダが呟いた。
よく分からんが、それなりの力が俺にはあるらしい。
そういえばルビアと戦った時も、まるでゲームの中のキャラクターを動かすように体をコントロールできた。それに、あの時俺の頭の中に響いた女の声……。
追想に浸っていると、リーア王女が俺の手を握り締めてきた。可愛らしい顔で俺をしっかりと見つめる。
「勇者様、どうかわたくしの話を聞いてください! どうか、お願いします!!」
幼い瞳は真剣そのものだ。とても冗談には見えない。
「……分かった。とりあえず聞かせてくれ。話はそれからだ」
そもそも帰るにしても、どうやってここにやって来たのかも分からないんだから帰りようがない。とりあえず現状を知ることが一番だ。王女の話を聞けば何か分かるかもしれない。
王女は俺の言葉に顔を輝かせる。
「ありがとうございます、勇者様!」
俺がリーアから聞かされたのは、今から数日前の出来事だった。
◇
その日リーアは、巨大なダンスホールにいた。
隣国の大国ドラグリア王国の宮殿に作られた迎賓館の大広間である。豪奢な彫刻が施された大理石の柱が並ぶ絢爛な光景に、アルドリアの王女リーアも圧倒された。慎ましく国民と共に生きてきたアルドリア王家ではとても考えられないほどの贅を凝らした建築物は、この国の力を証明していた。
リーアがドラグリアに来たのは今日が初めてだ。
先代のドラグリア国王アファードは賢王と呼ばれ、父のジームンド王とは古くからの盟友だったと聞いていた。そのため、ドラグリアとアルドリアは友好国として共栄してきたのだ。だがそれが大きく変わったのは七年前。国王アファードが病に倒れ、その後を弟のドルメールが継いでからである。
ドルメール・ベッルム・ドラグリア。
隣国と友好関係を結び、大陸の西を平和的に治めていたアファードとは違い、ドルメールは法外な貢物を隣国に求め、隣国がそれを断ると、軍をもってその国を攻め滅ぼしていった。ドラグリアに国境を接する小国は、既にその多くが滅ぼされるか、事実上帝国の属国と言ってよいほどに支配されていた。
そしてついに、皇帝を名乗ったドルメールは周辺国の王族を集めて宴を開いた。
それが、今夜の集まりである。
多くの国の使節団は、この宮殿の主の機嫌を損ねぬように小さくなっていた。赤い絨毯が敷き詰められたホールの左右には、美しい女だけで構成された楽団員が音楽を奏でている。
ホールの中央では、脂ぎった巨体を揺らしながら冠をかぶった男が細く美しい女の体を抱き寄せていた。
「なっ!! 何をなさるのです、ドルメール王! ……ぶ、無礼ではありませんか!」
まるで窓から差し込む月光のように清楚で美しい光を放つ銀色の髪が靡いた。
「ふん、小国のアルドリア王妃風情が、このドラグリアの王たるワシに逆らうというのか」
醜く肥え太った男の指先が、いやらしく王妃ヒルデの腰を撫でまわす。
アルドリア王妃の美しい顔は、羞恥に震えている。
「ほれ、お前の夫であるアルドリア王も何も言わぬではないか。かつてはあのエルフの女王をたぶらかした勇者も、すっかり今では臆病者に成り下がったわけだ」
夫への侮辱に、ヒルデの顔が怒りの色に染まる。
「まあよいわ。お前のように使い古された女に興味はない。もう下がってよいぞ」
皇帝ドルメールは、娼婦を扱うようにヒルデの尻を弄んでから、アルドリアの使節団の方へ突き飛ばした。
「うっ!!」
ガクリと膝を突くヒルデの傍に、王女リーアが駆け寄る。目の前で母親を散々侮辱されて、リーアの勝気な美貌が怒りでゆがんだ。
「どうしてあのような男がドラグリアの王に……。ドルメールが皇帝だなどと、一体どうなってしまうのです」
夜の舞踏会で無理矢理ダンスの相手に選ばれ、体中を撫で回されたヒルデは屈辱に体を震わせて泣いた。アルドリア王ジームンドも怒りに震えたが、それがドルメールの挑発であることを十分に理解しているために、ただ耐え忍んでいるしかなかった。
そして、リーアは醜く太い指が、次に自分を指差すのを見て体中を震わせた。濁りきった瞳が、淫猥にリーアの全身を舐めまわす。
「どうした、アルドリアの王女は踊りも満足に出来んのか?」
リーアは怒りの表情を浮かべつつも、前に進み出た。
ドラグリア城の巨大な舞踏会場の中でも、母ヒルデ譲りの銀色の髪は美しく映える。幼い妖精のようにしなやかなその姿を見て、ドラグリアの貴族達からも、ほぅっと、感嘆の声が漏れた。
「まだ小娘のくせに、気が強いのぉ」
ダンスを踊り始めると、耳元で皇帝ドルメールが囁いた。
リーアは、顔を背けたまま黙ってダンスを続けた。
芋虫のように醜いドルメールの指が、リーアの背中を何度も這いずり回る。リーアは吐き気を催しそうになったが、唇を噛み締めて堪えた。
その様子を見て、ドルメールは下卑た笑いを浮かべる。
「情けない父親の為か? それともアルドリアの民の為か? 母親ともども娼婦のように扱われて声も出せんとは、小国の王族とは惨めなものよのう」
リーアの唇から血が滲んでいる。悔しさのあまり、唇を強く噛みすぎたのだ。
護衛に当たっているルビアが剣を抜きかけるが、側にいたミルダがそれを静止した。
「やめなさい、ルビア。ここで剣を抜けば、ドルメールの思うつぼよ」
ミルダも怒りに肩を震わせている。
「こちらから手を出せば、ドラグリアに大義を与えることになる。今のドラグリアは、まともに戦って勝ち目がある相手ではないわ」
ドルメールの太い指がリーアの顎をクイと捻り上げた。そして自らの醜い唇にリーアの柔らかい唇を近づける。
「噂どおりの美しさじゃのう。わしが皇帝となったこのめでたい日に、アルドリアの妖精と呼ばれるお前を、わしの妾の一人にしてやろう」
リーアの瞳が恐怖に怯えた。
「その細い体をわしのものにするのが楽しみで、そなた達のような貢物もろくに出来ん連中を呼んでやったのだ。今夜からたっぷりと可愛がってやろう」
ドルメールによる突然の暴挙に、アルドリア王も激怒して立ち上がった。
ドルメールは醜い指先でリーアの頬を撫でて、その可憐な唇を奪おうとする。
「いやっ!!!」
リーアは真っ青な顔になって、思わずドルメールの体を突き飛ばしてしまう。小さな体の王女から思わぬ反撃を受け、皇帝ドルメールの巨体はその場でひっくり返った。
その無礼を見とがめた衛兵がリーアを素早く取り囲んだ。
「限界だ、ミルダ!!」
ルビアがそう叫んだ瞬間、赤い髪の魔道士も怒りの声を上げる。
「同感よ、ルビア!!!」
ルビアはまるで稲妻のように衛兵を打ち倒すと、リーアを抱えてミルダの元に走り寄る。
ミルダは既に転移魔法の詠唱を始めていた。
「時の女神ハルミートよ、我は汝の力を欲するものなり。我に力を与え、かの地へ我らを運びたまえ。ゲートリープ!!」
青い光がアルドリアの訪問団を包み、その姿は消え去る。
皇帝ドルメールは、それを見て残忍な顔で笑った。
「愚か者どもめが。このワシに逆らえばどうなるか教えてくれよう」
ほかの小国の王族達は、その笑みに背筋を凍らせる。ただの欲望にまみれた男に対してなら、これほど恐怖は感じない。この男は欲望をほしいままにするだけの邪悪な知恵を持った悪魔なのだ。
アルドリアは、賢王ジームンドが治める比較的豊かな国である。
そして美しい王妃と王女。
この男がほしがらないはずがない。
挑発をされたとはいえ、皇帝ドルメールの即位を祝しためでたい宴の席で衛兵に対して剣を抜き、その場から瞬間的に移動する魔法まで使ったのだ。これはもはや、アルドリアはドラグリアに宣戦布告をしたに等しい。国を守るために残された道は娘を差し出して属国となるか、滅ぼされるしかないだろう。
低く傲慢な声が、はっきりと宮殿に響いた。
「アルドリアに使節を送れ。そして伝えよ。滅びるか、娘を差し出すか、今すぐ選ぶようにな」
第三話 王女の涙
翌日、ドラグリアから正式な使節団がアルドリアの国境に到着した。
その手際の良さからすると、最初から使節団は国境付近で待機していたのだろう。だがそれは使節団とは名ばかりの、数万からなる軍隊だった。
アルドリアとドラグリアの間には、アルース山脈がある。ドラグリアはまず、その天然の国境にある関所を軍で制圧した。その関所を通り、数万にもなる使節団がアルドリア内に進攻する。
両国の唯一の通行口とも言えるアルース関所を押さえられたアルドリア側は、成す術なく使節団を城下に迎え入れるしかなかった。
ドラグリアの使節団を束ねるグフール伯爵は、玉座の前でドルメール国王からの書状を読み上げていく。
「第一に、先日の非礼を詫びる証として、アルドリア王国よりドラグリアに対して、今後は毎年今までの三倍の貢物を捧げること。
そして第二に、両国の平和を祈願して第一王女リーアを、今すぐ我がドルメール皇帝陛下の第十五王妃として差し出すこと」
玉座に座るアルドリア国王を、グフール伯爵は立ったまま尊大な態度で見下ろしながら言葉を続ける。
「よいか。我がドラグリアの寛大なるドルメール皇帝陛下は、先日の無礼を許そうと仰られているのだぞ。あくまでもこちらの申し出を断るなら、アルドリアには我が国への敵対の意思があると断じるしかないがな」
(やはり初めから……)
ミルダは唇を噛んだ。
グフール伯爵は、傲慢だがドラグリアでも屈指の剣の使い手であり、一軍の将としても有能だという。これは体のいい侵略行為だ。
その証拠にドラグリアの兵は使節団を装いながら、城下を蟻の出る隙間もなく包囲している。もし要求を呑まなければ、容赦なく攻撃を加えてくるだろう。
ミルダは唇を噛んで玉座の間を後にすると、城内の執務室の一つに向かった。そこには使節団の目に触れぬよう連れて来られたリーア王女と、護衛としてルビアが控えている。
ミルダは手短に王女とルビアに状況を説明した。
ブロンドの女騎士は、怒りに肩を震わせている。
「ふざけるな!! そのような申し出を陛下が受け入れるはずがない!! 二万程度の兵なら我らアルドリア騎士団を集めれば何とかなるはずだ!!!」
ルビアの言葉にミルダは首を横に振った。
「駄目よ。先に手を出したら、すぐに増援が来るわ。アルース関所を抜けた国境付近に、あと三万ほどの兵が待機しているのを確認しています。ルビア、陛下と王妃殿下、それに姫様を連れて逃げて頂戴。あとは私が何とかするわ……。王妃殿下のご実家であるバルム公国のリュヒュタール様なら、きっとお力を貸してくださるはず」
リーアがミルダの手を握った。
赤い髪の宮廷魔道士は自分達を逃がすために、死ぬ気なのだ。リーアはその瞳に浮かぶ覚悟を感じた。
「駄目!! そんなことしたらミルダお姉様が、お姉さまが死んでしまう!! そんなのいや!!!」
ミルダはリーアの手を優しく握り返す。
「馬鹿にしないで、リーア。これでも伊達に赤い髪の魔女なんて呼ばれてないわ。あとでバルムで会いましょ」
妹を見るミルダの目には、涙が浮かんでいる。
(嘘……。お姉様は、死ぬつもりなんだわ)
リーアは姉のことが大好きだった。母親は違っても、いつも妹の自分を心から愛してくれた。とても美しいその横顔。
「私の母は陛下に愛されて幸せだった……」
(お父様が若い頃、美しいエルフの女王と恋をした。そして生まれたのがお姉様)
美しい姉は、そっと妹を抱き締める。赤い髪が執務室の窓から吹き込む風に揺らいだ。長く美しい耳が、その髪の間から覗いている。
「人と精霊が交わることは禁忌とされているわ。だから母は、精霊王の怒りを買って命を失った」
ハーフエルフの魔道士は、リーアの頬に優しく手を当てた。
「私も一度は陛下を恨んだわ、母を捨てて殺した男だって。だけど人間の血を嫌う精霊界の掟に従ってそこから追い出された私を、あの人は娘として迎えると言ってくれた。そんなことをしたら、全てを失うかもしれないのに」
穢れを嫌う精霊達は、その穢れの象徴とも言える人間と交わった同胞を許さない。それがかつて、永遠なるエルフの女王ミルファールと呼ばれたミルダの母親でも同様だ。
彼女の肉体は焼かれ、娘のミルダも地に捨てられ、その強い魔力を恐れた人達からも忌むべき存在として石を投げつけられた。
まるで魔女のように。
ミルダは静かに窓の外を見つめた。
「その時決めたのよ。こんな時が来たら、あの人を守ろうって。お母様なら、きっとそうしたはずだから」
リーアは、優しい姉の胸に顔を埋めて泣いた。
「だめ! そんなのだめ。……私があの男に嫁ぎます。だから」
ミルダは、リーアの肩に手を置いて首を横に振った。
「そんなことはさせない! 絶対に!!」
忌々しげにミルダは吐き捨てた。
「あの男は最低のサディストよ。気に入った女を散々弄んで拷問をするの。体中に針を刺して死に掛けたところを回復魔法で回復させる。そうやって狂わされたエルフもいるくらいなのよ。人間の貴方じゃあ、とても耐えられないわ。精神を破壊されて、ただ生かされてる人形にされてしまう」
ミルダの恐ろしい言葉に、リーアの体はガクガクと震え、目からは涙が零れ落ちる。
「大丈夫……、わたし耐えます。どんなことをされても……。だから」
赤い髪のハーフエルフは、リーアの体をしっかりと抱き締めた。
「そんなことは姉さんが絶対にさせない。リーア、私が貴方を守ってあげる」
ミルダの手に力が篭る。大切なものを守るための強い決意が、ミルダの瞳に浮かんだ。
「手当をしたミルダにはすまないが、私はこいつの顔を見るとムカムカする」
当然だろうな。満座の前であんなことをされてムカつかないなら、それは俺に惚れてるか限りなくビッチかのどちらかに違いない。
俺に拳で突かれた胸が痛むのか、その場所に手を当てる。
俺は頭を掻きながら言った。
「あ……悪い。まあ、あんた結構胸がデカイから大丈夫だったよな?」
その瞬間、俺の口の中にレイピアの先が突きつけられていた。
うむ……これ以上は喋らない方がいいな。俺はフォローが下手なことで有名なんだ。
「私は騎士だ! 女だからと侮辱される筋合いはない。今度私にそのような軽口を叩いたら、姫様の許可がなくても、その舌を串刺しにしてくれる!」
「待ってルビア! ちゃんとわたくしから説明させて! 勝手なことをしているのは、わたくし達なのよ!!!」
王女の言葉に、ブロンドの女騎士はハッとした顔になって剣を収めた。
「申し訳ございません、リーア様。私はただ、王女殿下を侮辱したこの男が許せなくて」
しょげ返ったブロンドの女騎士は、少し可愛かった。
王女はルビアの右手を取って微笑む。
「分かっています。貴方の忠誠心は、いつだってわたくしを救ってくれましたから」
王女は、王族に相応しい威厳のある表情で俺を見つめた。
「あらためてご挨拶いたしますわ。わたくしは、アルドリア聖王国の第一王女、リーア・リグナ・アルドリアと申します。勇者様、まず貴方のお名前をお教えくださいませ!」
王女から名乗っているのに、返答をしない訳にはいかないだろう。
「春宮……。いいや、俺はハルヒコ。そう呼んでくれ」
俺はとりあえずそう名乗った。
本名より短くて分かりやすいからな。最近じゃあ仕事が忙しくて、ネトゲもすっかりご無沙汰になってしまったので、このハンドルネームも懐かしく感じるが。
「ハル……ヒコさま。変わったお名前ですね」
目の前の少女が微笑む。
外見は、十二~十四歳ぐらいだが大人びた雰囲気がある。
「ふ~ん、ハルヒコね、いい名前じゃない」
赤毛の美女が、王女の肩に手を置いた。
「リーアどうするの? 私から話してもいいのよ」
ミルダの言葉に王女は、首を左右に振って俺の瞳を見つめる。
俺はロリコンじゃない……。
だが、これほどの美少女に正面から迫られては悪い気もしなかった。
王女は両手を胸の前で合わせて、祈るように呼吸を整えた。
「勇者様、どうかこの国をお救いください!! 今、この国は滅亡の危機にあるのです!!」
(ちょっと待て、誰かと間違えてないかこれ?)
そりゃそうだろう。さっきまで喫茶店で珈琲を飲んでいたサラリーマンに、国が救えるとは思えない。
「そもそもだな、俺はただのサラリーマンだぞ? 勇者とやらを喚びたかったのなら、完全に見当違いだと思うんだが」
美しいハーフエルフが、首を傾げる。
「サラリーマン? それが何なのかは私には分からないけれど、貴方は強いわ。ルビアとまともにやりあえる剣士なんて、そうはいないもの。まさか、素手で相手をするとは思わなかったけれど」
確かに言われてみればそのとおりだ。
ミルダはローブの中から青く光る水晶を取り出して手をかざす。
「精霊族は人の力を見ることが出来るわ。私は半分しか血が混ざってないから完全ではないけれど」
赤い髪の美女の手から光が放たれて俺の体を覆う。
そして、水晶の中に文字が浮かび上がった。
Lv2
職業:異世界から来た勇者
クラス:マスター・オブ・ゲーム
力:200
知恵:1500
素早さ:750
体力:350
器用さ:2200
称号:異世界で最初にセクハラをした男、巨乳好き
解放されし力:なし
ミルダは、それをルビアとリーアにも見せる。
王女は目を丸くして言った。
「すごい……。騎士でさえ全ての能力が100に達する者は稀なのに。こんな数字、ルビアと、ミルダお姉様ぐらいしか見たことないです! それに聞いたことないクラスも」
「ユニークと呼ばれる唯一無二の力を持ったクラスがあるとは聞いたけれど……。もしそうなら、私も実際に見るのは初めてね」
ミルダが呟いた。
よく分からんが、それなりの力が俺にはあるらしい。
そういえばルビアと戦った時も、まるでゲームの中のキャラクターを動かすように体をコントロールできた。それに、あの時俺の頭の中に響いた女の声……。
追想に浸っていると、リーア王女が俺の手を握り締めてきた。可愛らしい顔で俺をしっかりと見つめる。
「勇者様、どうかわたくしの話を聞いてください! どうか、お願いします!!」
幼い瞳は真剣そのものだ。とても冗談には見えない。
「……分かった。とりあえず聞かせてくれ。話はそれからだ」
そもそも帰るにしても、どうやってここにやって来たのかも分からないんだから帰りようがない。とりあえず現状を知ることが一番だ。王女の話を聞けば何か分かるかもしれない。
王女は俺の言葉に顔を輝かせる。
「ありがとうございます、勇者様!」
俺がリーアから聞かされたのは、今から数日前の出来事だった。
◇
その日リーアは、巨大なダンスホールにいた。
隣国の大国ドラグリア王国の宮殿に作られた迎賓館の大広間である。豪奢な彫刻が施された大理石の柱が並ぶ絢爛な光景に、アルドリアの王女リーアも圧倒された。慎ましく国民と共に生きてきたアルドリア王家ではとても考えられないほどの贅を凝らした建築物は、この国の力を証明していた。
リーアがドラグリアに来たのは今日が初めてだ。
先代のドラグリア国王アファードは賢王と呼ばれ、父のジームンド王とは古くからの盟友だったと聞いていた。そのため、ドラグリアとアルドリアは友好国として共栄してきたのだ。だがそれが大きく変わったのは七年前。国王アファードが病に倒れ、その後を弟のドルメールが継いでからである。
ドルメール・ベッルム・ドラグリア。
隣国と友好関係を結び、大陸の西を平和的に治めていたアファードとは違い、ドルメールは法外な貢物を隣国に求め、隣国がそれを断ると、軍をもってその国を攻め滅ぼしていった。ドラグリアに国境を接する小国は、既にその多くが滅ぼされるか、事実上帝国の属国と言ってよいほどに支配されていた。
そしてついに、皇帝を名乗ったドルメールは周辺国の王族を集めて宴を開いた。
それが、今夜の集まりである。
多くの国の使節団は、この宮殿の主の機嫌を損ねぬように小さくなっていた。赤い絨毯が敷き詰められたホールの左右には、美しい女だけで構成された楽団員が音楽を奏でている。
ホールの中央では、脂ぎった巨体を揺らしながら冠をかぶった男が細く美しい女の体を抱き寄せていた。
「なっ!! 何をなさるのです、ドルメール王! ……ぶ、無礼ではありませんか!」
まるで窓から差し込む月光のように清楚で美しい光を放つ銀色の髪が靡いた。
「ふん、小国のアルドリア王妃風情が、このドラグリアの王たるワシに逆らうというのか」
醜く肥え太った男の指先が、いやらしく王妃ヒルデの腰を撫でまわす。
アルドリア王妃の美しい顔は、羞恥に震えている。
「ほれ、お前の夫であるアルドリア王も何も言わぬではないか。かつてはあのエルフの女王をたぶらかした勇者も、すっかり今では臆病者に成り下がったわけだ」
夫への侮辱に、ヒルデの顔が怒りの色に染まる。
「まあよいわ。お前のように使い古された女に興味はない。もう下がってよいぞ」
皇帝ドルメールは、娼婦を扱うようにヒルデの尻を弄んでから、アルドリアの使節団の方へ突き飛ばした。
「うっ!!」
ガクリと膝を突くヒルデの傍に、王女リーアが駆け寄る。目の前で母親を散々侮辱されて、リーアの勝気な美貌が怒りでゆがんだ。
「どうしてあのような男がドラグリアの王に……。ドルメールが皇帝だなどと、一体どうなってしまうのです」
夜の舞踏会で無理矢理ダンスの相手に選ばれ、体中を撫で回されたヒルデは屈辱に体を震わせて泣いた。アルドリア王ジームンドも怒りに震えたが、それがドルメールの挑発であることを十分に理解しているために、ただ耐え忍んでいるしかなかった。
そして、リーアは醜く太い指が、次に自分を指差すのを見て体中を震わせた。濁りきった瞳が、淫猥にリーアの全身を舐めまわす。
「どうした、アルドリアの王女は踊りも満足に出来んのか?」
リーアは怒りの表情を浮かべつつも、前に進み出た。
ドラグリア城の巨大な舞踏会場の中でも、母ヒルデ譲りの銀色の髪は美しく映える。幼い妖精のようにしなやかなその姿を見て、ドラグリアの貴族達からも、ほぅっと、感嘆の声が漏れた。
「まだ小娘のくせに、気が強いのぉ」
ダンスを踊り始めると、耳元で皇帝ドルメールが囁いた。
リーアは、顔を背けたまま黙ってダンスを続けた。
芋虫のように醜いドルメールの指が、リーアの背中を何度も這いずり回る。リーアは吐き気を催しそうになったが、唇を噛み締めて堪えた。
その様子を見て、ドルメールは下卑た笑いを浮かべる。
「情けない父親の為か? それともアルドリアの民の為か? 母親ともども娼婦のように扱われて声も出せんとは、小国の王族とは惨めなものよのう」
リーアの唇から血が滲んでいる。悔しさのあまり、唇を強く噛みすぎたのだ。
護衛に当たっているルビアが剣を抜きかけるが、側にいたミルダがそれを静止した。
「やめなさい、ルビア。ここで剣を抜けば、ドルメールの思うつぼよ」
ミルダも怒りに肩を震わせている。
「こちらから手を出せば、ドラグリアに大義を与えることになる。今のドラグリアは、まともに戦って勝ち目がある相手ではないわ」
ドルメールの太い指がリーアの顎をクイと捻り上げた。そして自らの醜い唇にリーアの柔らかい唇を近づける。
「噂どおりの美しさじゃのう。わしが皇帝となったこのめでたい日に、アルドリアの妖精と呼ばれるお前を、わしの妾の一人にしてやろう」
リーアの瞳が恐怖に怯えた。
「その細い体をわしのものにするのが楽しみで、そなた達のような貢物もろくに出来ん連中を呼んでやったのだ。今夜からたっぷりと可愛がってやろう」
ドルメールによる突然の暴挙に、アルドリア王も激怒して立ち上がった。
ドルメールは醜い指先でリーアの頬を撫でて、その可憐な唇を奪おうとする。
「いやっ!!!」
リーアは真っ青な顔になって、思わずドルメールの体を突き飛ばしてしまう。小さな体の王女から思わぬ反撃を受け、皇帝ドルメールの巨体はその場でひっくり返った。
その無礼を見とがめた衛兵がリーアを素早く取り囲んだ。
「限界だ、ミルダ!!」
ルビアがそう叫んだ瞬間、赤い髪の魔道士も怒りの声を上げる。
「同感よ、ルビア!!!」
ルビアはまるで稲妻のように衛兵を打ち倒すと、リーアを抱えてミルダの元に走り寄る。
ミルダは既に転移魔法の詠唱を始めていた。
「時の女神ハルミートよ、我は汝の力を欲するものなり。我に力を与え、かの地へ我らを運びたまえ。ゲートリープ!!」
青い光がアルドリアの訪問団を包み、その姿は消え去る。
皇帝ドルメールは、それを見て残忍な顔で笑った。
「愚か者どもめが。このワシに逆らえばどうなるか教えてくれよう」
ほかの小国の王族達は、その笑みに背筋を凍らせる。ただの欲望にまみれた男に対してなら、これほど恐怖は感じない。この男は欲望をほしいままにするだけの邪悪な知恵を持った悪魔なのだ。
アルドリアは、賢王ジームンドが治める比較的豊かな国である。
そして美しい王妃と王女。
この男がほしがらないはずがない。
挑発をされたとはいえ、皇帝ドルメールの即位を祝しためでたい宴の席で衛兵に対して剣を抜き、その場から瞬間的に移動する魔法まで使ったのだ。これはもはや、アルドリアはドラグリアに宣戦布告をしたに等しい。国を守るために残された道は娘を差し出して属国となるか、滅ぼされるしかないだろう。
低く傲慢な声が、はっきりと宮殿に響いた。
「アルドリアに使節を送れ。そして伝えよ。滅びるか、娘を差し出すか、今すぐ選ぶようにな」
第三話 王女の涙
翌日、ドラグリアから正式な使節団がアルドリアの国境に到着した。
その手際の良さからすると、最初から使節団は国境付近で待機していたのだろう。だがそれは使節団とは名ばかりの、数万からなる軍隊だった。
アルドリアとドラグリアの間には、アルース山脈がある。ドラグリアはまず、その天然の国境にある関所を軍で制圧した。その関所を通り、数万にもなる使節団がアルドリア内に進攻する。
両国の唯一の通行口とも言えるアルース関所を押さえられたアルドリア側は、成す術なく使節団を城下に迎え入れるしかなかった。
ドラグリアの使節団を束ねるグフール伯爵は、玉座の前でドルメール国王からの書状を読み上げていく。
「第一に、先日の非礼を詫びる証として、アルドリア王国よりドラグリアに対して、今後は毎年今までの三倍の貢物を捧げること。
そして第二に、両国の平和を祈願して第一王女リーアを、今すぐ我がドルメール皇帝陛下の第十五王妃として差し出すこと」
玉座に座るアルドリア国王を、グフール伯爵は立ったまま尊大な態度で見下ろしながら言葉を続ける。
「よいか。我がドラグリアの寛大なるドルメール皇帝陛下は、先日の無礼を許そうと仰られているのだぞ。あくまでもこちらの申し出を断るなら、アルドリアには我が国への敵対の意思があると断じるしかないがな」
(やはり初めから……)
ミルダは唇を噛んだ。
グフール伯爵は、傲慢だがドラグリアでも屈指の剣の使い手であり、一軍の将としても有能だという。これは体のいい侵略行為だ。
その証拠にドラグリアの兵は使節団を装いながら、城下を蟻の出る隙間もなく包囲している。もし要求を呑まなければ、容赦なく攻撃を加えてくるだろう。
ミルダは唇を噛んで玉座の間を後にすると、城内の執務室の一つに向かった。そこには使節団の目に触れぬよう連れて来られたリーア王女と、護衛としてルビアが控えている。
ミルダは手短に王女とルビアに状況を説明した。
ブロンドの女騎士は、怒りに肩を震わせている。
「ふざけるな!! そのような申し出を陛下が受け入れるはずがない!! 二万程度の兵なら我らアルドリア騎士団を集めれば何とかなるはずだ!!!」
ルビアの言葉にミルダは首を横に振った。
「駄目よ。先に手を出したら、すぐに増援が来るわ。アルース関所を抜けた国境付近に、あと三万ほどの兵が待機しているのを確認しています。ルビア、陛下と王妃殿下、それに姫様を連れて逃げて頂戴。あとは私が何とかするわ……。王妃殿下のご実家であるバルム公国のリュヒュタール様なら、きっとお力を貸してくださるはず」
リーアがミルダの手を握った。
赤い髪の宮廷魔道士は自分達を逃がすために、死ぬ気なのだ。リーアはその瞳に浮かぶ覚悟を感じた。
「駄目!! そんなことしたらミルダお姉様が、お姉さまが死んでしまう!! そんなのいや!!!」
ミルダはリーアの手を優しく握り返す。
「馬鹿にしないで、リーア。これでも伊達に赤い髪の魔女なんて呼ばれてないわ。あとでバルムで会いましょ」
妹を見るミルダの目には、涙が浮かんでいる。
(嘘……。お姉様は、死ぬつもりなんだわ)
リーアは姉のことが大好きだった。母親は違っても、いつも妹の自分を心から愛してくれた。とても美しいその横顔。
「私の母は陛下に愛されて幸せだった……」
(お父様が若い頃、美しいエルフの女王と恋をした。そして生まれたのがお姉様)
美しい姉は、そっと妹を抱き締める。赤い髪が執務室の窓から吹き込む風に揺らいだ。長く美しい耳が、その髪の間から覗いている。
「人と精霊が交わることは禁忌とされているわ。だから母は、精霊王の怒りを買って命を失った」
ハーフエルフの魔道士は、リーアの頬に優しく手を当てた。
「私も一度は陛下を恨んだわ、母を捨てて殺した男だって。だけど人間の血を嫌う精霊界の掟に従ってそこから追い出された私を、あの人は娘として迎えると言ってくれた。そんなことをしたら、全てを失うかもしれないのに」
穢れを嫌う精霊達は、その穢れの象徴とも言える人間と交わった同胞を許さない。それがかつて、永遠なるエルフの女王ミルファールと呼ばれたミルダの母親でも同様だ。
彼女の肉体は焼かれ、娘のミルダも地に捨てられ、その強い魔力を恐れた人達からも忌むべき存在として石を投げつけられた。
まるで魔女のように。
ミルダは静かに窓の外を見つめた。
「その時決めたのよ。こんな時が来たら、あの人を守ろうって。お母様なら、きっとそうしたはずだから」
リーアは、優しい姉の胸に顔を埋めて泣いた。
「だめ! そんなのだめ。……私があの男に嫁ぎます。だから」
ミルダは、リーアの肩に手を置いて首を横に振った。
「そんなことはさせない! 絶対に!!」
忌々しげにミルダは吐き捨てた。
「あの男は最低のサディストよ。気に入った女を散々弄んで拷問をするの。体中に針を刺して死に掛けたところを回復魔法で回復させる。そうやって狂わされたエルフもいるくらいなのよ。人間の貴方じゃあ、とても耐えられないわ。精神を破壊されて、ただ生かされてる人形にされてしまう」
ミルダの恐ろしい言葉に、リーアの体はガクガクと震え、目からは涙が零れ落ちる。
「大丈夫……、わたし耐えます。どんなことをされても……。だから」
赤い髪のハーフエルフは、リーアの体をしっかりと抱き締めた。
「そんなことは姉さんが絶対にさせない。リーア、私が貴方を守ってあげる」
ミルダの手に力が篭る。大切なものを守るための強い決意が、ミルダの瞳に浮かんだ。
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