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5巻
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◇ ◆ ◇ ◆ ◇
目の前で繰り広げられるレディンとジークたちの攻防。そんな中、傷ついていく主の姿を見て、フレアとシルフィ、そしてエルフィウスの使い魔である神獣オベルティアスは叫んだ。
「ジーク!!」
「アクアリーテ!」
「主よ!!」
これまでの戦いの中で深手を負ったオベルティアスだが、アクアリーテの力でなんとか戦えるほどに回復をしたようだ。
それは神獣と呼ばれる存在だからこその生命力と言えるだろう。
フレアは唇を噛む。
(なんて戦いなの。今、私が行ってもジークの力になれないかもしれない……だけど!!)
地下での戦いで凄まじい力を発現するほど成長したフレアでさえ、今の四英雄たちには遠く及ばない。
その中心にいるのはやはりジークだ。
人の子でありながら二つの紋章を身に宿すほどの魂の力。彼の魂に共鳴するかのようにアクアリーテやエルフィウスの力も限界を超えて高まっている。
二千年前のレディンならば確実に倒すことが出来ただろう。
だが、今彼らが死闘を繰り広げているのは、以前とは比べ物にならない相手だ。
次第に傷ついていくジークの姿を見て、フレアは胸が締め付けられる。
(ジークはいつだって私と一緒にいてくれた。楽しい時も、そして悲しい時も……)
独りぼっちだった自分の手を握ってくれた母のほむら。そしてほむらが命を落とした後、その手を握ってくれたのはジークだ。
「ジーク、貴方を死なせたりしない! この命に代えても!!」
傍にいるシルフィを見ると、彼女もフレアと同じ気持ちなのがその瞳を見れば分かる。
「フレア……」
「ええ、シルフィ!!」
傷ついていくジークのもとに思わず駆け付けようとする精霊たちの前に、ジュリアンが神龍の翼を広げ立ちふさがる。
「無粋な真似を。ここから先は通しませんよ。ふふ、それに貴方たちが行ったところで足手まといになるだけ。あのゾルデと邪龍バディリウスを倒した力は認めますが、今の彼らの足元にも及ばない。貴方たちの相手であれば私で十分です」
ゾルデと邪龍バディリウスとはジュリアンの手駒であり、フレアとシルフィにとっては故郷を滅ぼした仇だ。覚醒した二人の力でようやく葬ることが出来た敵である。
しかし、力の差など二人は百も承知だ。
フレアはジュリアンに向かって叫んだ。
「どきなさい! ジュリアン!!」
彼女が手にした炎を纏った薙刀が、ジュリアンに向かって振るわれる。
ジュリアンがそれを笑みを浮かべながらかわすと、同時に白い疾風が彼の首筋を襲う。
シルフィだ。邪龍バディリウスを倒したフェンリルクイーンの牙がジュリアンの首を刎ねたかと思えたその瞬間、彼が手にした金の錫杖がシルフィの牙をはじき返す。
大国アルファリシアの美しき教皇は、舞うように精霊たちの攻撃をいなしながら静かに口を開いた。
「見事ですね。ですが、それでは私は倒せませんよ」
そんなジュリアンの死角となる頭上から声が響く。
「我らを舐めるなよ、ジュリアン!! 貰ったぞ!」
そこにいるのはオベルティアスだ。
雷を体に纏い、それを一気にジュリアンに向かって落雷させる。
フレアとシルフィを囮に使い、死角をとる。
三人の鮮やかなコンビネーションに思わず上を見上げるジュリアン。彼を目掛け降り注ぐ雷に、オベルティアスは勝利を確信した表情を浮かべる。
(やったか? いやたとえ生きていても、これならばもはや動けまい)
だが、その表情はすぐに驚愕の色に染まっていく。
「馬鹿……な」
そこにあったのは、雷を帯びながら白い翼を広げるジュリアンの姿。彼は妖しい光を宿した目で精霊たちとオベルティアスを見つめる。
「ふふふ、貴方たちこそ賢者の石と神龍ルクディナの力を侮らないことです。彼女は、邪龍バディリウスなどとは違う。龍族の中でも特別な存在なのですから」
オベルティアスは、ジュリアンの額に輝く賢者の石と、背中に広がる神龍の翼を眺めながら呻く。
「信じられぬ。いくら四英雄の血を引く王家の人間とはいえ、只の人間がどうしてこれほどの力を」
そんな神獣の姿を眺めながらジュリアンは、再び笑みを浮かべた。
「それに、貴方たちは主の心配をしている暇などありませんよ。言ったはずです、ここから世界の終わりが始まると。そして、もうその種は蒔かれているのですから」
「種ですって?」
ジュリアンの言葉にシルフィが訝しげに身構えた。
(一体、何のことなの?)
シルフィの問いにジュリアンは優雅な仕草で答える。
「周りを見てご覧なさい。あの六枚の翼が生み出すのは、刃による死だけではありません。そこから生み出される生が、この世界の終わりを告げる種子となるのです」
精霊たちは思わず周囲を見渡す。
そしてフレアは、自分たちがいる地下庭園の中に起きている異変に気が付いた。
「これは……シルフィ!」
激しい死闘を繰り広げているレディンとジークたち。
彼らを中心に、白と黒の羽根が周囲に舞い散っているのが分かる。
それは、レディンの背の六枚の翼が生み出したものだ。
刃として振るわれるそれが、ジークたちの剣と激突することによって光と闇の羽根を撒き散らし、ともすると幻想的とさえ言える光景を周囲に生み出している。
シルフィも辺りを見渡し呟いた。
「ええ、フレア」
(まさか、これがジュリアンが言っている種だとでもいうの? 分からないわ、一体どういう意味なの……でも、この羽根からは何かを感じる。嫌な予感がするわ)
胸騒ぎを感じる精霊たちの周囲に舞い散る羽根は、番を見つけるかのように光と闇のそれが一枚ずつ結びつき、絡み合って地上へと落ちていく。
そして地へ落ちた羽根は、羽毛を植物の根のごとく伸ばしていく。
伸びた羽毛は、地下から溢れ出る赤い光を養分にして大きく成長していく。
異様な光景にミネルバとレイアは、主である国王ゼキレオスと王女オリビアを守るように警戒を強め剣を握る。
「一体何なのだこれは!」
「ミネルバ様! あれを見てください!!」
地に落ちて根を張り、成長していくそれは次第に長細い球体を形作っていく。
彼女たちの周りも無数の羽根が作り上げた不気味な球体で埋め尽くされていく。
ミネルバは息を呑んだ。
「これはまるで……」
「ええ……ミネルバ様。これは繭です」
レイアのその言葉にミネルバは頷いた。
「ああ、だが大きすぎる」
それは一部の昆虫が作り出す繭に似ている。
しかし、そのサイズは通常の繭とは比較にならないものだ。
優に人間一人は中に入るであろうそれは、いたるところで根を張り、羽毛が繭を包む糸となってそれをくるんでいる。
そして、鼓動しているかのように赤い光をその中で放っていた。
周囲を取り囲む異様な光景に、ミネルバは背筋を凍らせながらその光を眺めた。
(あの光は何だ? まるで中に何かがいるような息遣いを感じる)
だが、そうだとしたら一体何が。
言いようのないおぞましさを感じて、レイアは身を震わせた。
もし、あそこから這い出てくるものがいるとすれば、それは決して自分たちとは相容れない存在だ。
レイアにはそう思えた。
フレアとシルフィは目の前に立ちはだかるジュリアンに向かって叫ぶ。
「あれは一体何なの!!」
「答えなさい! ジュリアン!!」
精霊たちの言葉にジュリアンは嫣然と笑うと答えた。
「ご覧の通り繭ですよ。ですが、そこから生まれる者は貴方たちの知らぬ異形の者たちです。この世界の破壊を司る魔神の使徒とでも名付けましょうか」
「異形の者……」
「魔神の使徒ですって!?」
衝撃を受ける精霊たちの前でジュリアンは続けた。
「あの繭から孵った者たちは魔神の使徒となり、この世界を完全に滅ぼします。ふふ、まずは手始めにこのアルファリシアが。この地に住む生きとし生けるものが、新たな世界が生まれるための贄となるのです」
それを聞いて激怒の声を上げたのはオリビアだ。
「贄ですって? ふざけないで! 一体どれほどの人々がこの地に暮らしていると思っているの!!」
アクアリーテに救われたものの、一度はジュリアンの手で胸を貫かれまだ完全には生気が戻っていない父王をその腕に抱いて、涙を流しながら怒りに震えている。
「貴方は悪魔だわ、ジュリアン! 私は貴方のことを絶対に許さない!!!」
魔神と英雄たちの世界の命運を懸けた戦い。そして不気味に息づく巨大な繭に囲まれたこの状況。普通の王女であれば気を失ってもおかしくないだろう。
だが、美しい顔を毅然と弟に向けて声を上げるのは、彼女の王族としての矜持の高さを表している。
この国に生きる者たちの命を守ろうとする王女としての責務と意志が、その横顔には込められていた。
そして、命を懸けて魔神と戦っているジークを見つめる。
(レオン。どうかこの地に、いいえ世界に救いを!! 祈ることしか出来ない私を許して……)
出会った時に彼は、オリビアを無礼なレオナール将軍から守るようにしてその腕に抱いた。
その時覚えた不思議な感情を思い出す。
そして、彼と一緒にいると、自分が王女でいることさえも忘れられたことを。
「レオン……」
オリビアはこの時、はっきりと自分が彼を愛していることに気が付いた。
(ああ、神よ! 私の命を捧げてもいい。どうか、彼らに力を!)
必死に祈る娘の姿を見て、まだ青ざめた顔をしている父王はゆっくりと身を起こした。
「お父様!」
「止めるでないリヴィ。そなたがレオンの無事を祈らずにはおられぬように、ワシにも王としてやらねばならぬことがある」
そう言うと、ゼキレオス王はオリビアの腕を振りほどいて立ち上がる。
そして、腰から提げた剣を抜いた。
それはレオンとの腕試しの際に折れてしまった大剣ほど立派なものではないが、騎士王と呼ばれたゼキレオスが使うに相応しい見事な剣である。
横顔はまだ蒼白ではあるが、王として、そして武人としての威厳が深く刻み込まれている。
そんな国王を見て、傍に控えていたミネルバも立ち上がった。
「陛下!」
ミネルバの言葉にゼキレオスは頷く。
「ミネルバよ、分かっておるな。レオンたちが、精霊たちが命を懸けて戦っておる。ならば、我らとてこの命を投げうってでも悪魔どもが地上に這い出るのを防がねばならぬ!」
「はい、陛下!!」
僅かな躊躇いもないミネルバのその返事と、彼女の後ろに立って同じように一礼するレイアの姿を見て、ゼキレオスは笑みを浮かべた。
その表情は国王としてのものではない。
一人の人間として、二人にしっかりと向き合って語り掛ける。
「ミネルバよ、そしてわが友ロゼルタークの娘レイアよ。オリビアと共に、そなたたちを娘のように思ってきた」
王の言葉にミネルバもレイアも涙を浮かべる。
ゼキレオスは決意を込めた目で二人を見つめる。
「すまぬな。この国の民のため、そなたたちの命をワシにくれ」
ミネルバとレイアは敬礼をすると、微笑んだ。
「騎士となったその日から、もとより承知の上です」
「お供します、陛下!」
そして、ゼキレオスはミネルバの傍に立つロザミアに言った。
「ロザミア殿、そなたは優れた翼人の聖騎士だったと聞く。この地に生きる者たちのため、そなたの力を貸してはくれぬか?」
国王の言葉に、ロザミアは死闘を繰り広げているジークを見つめると頷いた。
「ゼキレオス陛下、私は最初からそのつもりだ。主殿は魔族の眷属と化し全てを諦めていた私に、もう一度笑顔をくれた。この命はその時からもう、主殿のために使うと決めている」
迷いのない瞳で、ロザミアは腰から提げた剣を抜いた。
「ティアナや子供たち、フレアやシルフィ、そしてこの国で出会った仲間たち。みんな私のかけがえのない友だ。そのためなら、私の全てを懸けて戦うと誓う!!」
ロザミアの体に今までにないほどの闘気が宿っていく。
それを見てゼキレオスは頷いた。
(良い剣士だ。優れた戦士が多い翼人族の中でもこれほどの剣士はそうはおるまい。我ら四人でどこまで出来るかは分からぬが……)
彼は剣を強く握り締める。
「やらねばならぬ、この命を燃やし尽くしたとしても!」
ゼキレオスはオリビアを見つめる。
「リヴィ、ワシの傍を離れるでないぞ!」
「はい、お父様!」
そして、意を決した三人の女剣士と目を合わせて言った。
「行くぞ!!」
それに答えるミネルバたち。
「はい! 陛下!!」
「この国の民のために!」
「仲間たちのために!!」
その掛け声と共に彼らはオリビアを囲むように守りながら、互いに背を預け四方へと体を向けた。
それぞれの目の前にある繭を破壊するためだ。
レイアは自分の目の前にある繭を、横薙ぎに一刀両断しようとした。
「はぁああああ!!」
その太刀筋の鋭さは父親である剣聖ロゼルターク譲りのもので、剣技の見事さは銀竜騎士団の中でも将軍ミネルバに匹敵するほどだ。
だが……
キィイイン!!
まるで凄まじい硬度を持つ金属にぶつかったような音を放って、レイアの剣は繭の表面ではじき返される。
「くっ! 馬鹿な!!」
思わず剣を握る手を見つめる。
(なんという硬さだ。私の剣がはじかれるとは)
レイアが衝撃を受けるのも当然だろう。
彼女の剣は、その冷気で敵の剣すら凍り付かせ砕くことが出来るほどのものだ。
レイアの顔に濃い焦りの色が浮かぶ。
繭は不気味に赤い光を明滅させ、中の邪悪な気配が次第に強くなっていく。それは羽根が生み出した魔神の使徒が育っている証だろう。
(この中で育っているものを決して地上に出してはいけない。そんなことになれば、我が国は、アルファリシアは終わりだ)
男装の麗人のように端整で美しいその横顔が焦燥に歪み、彼女は唇を噛む。
「くっ! 私はなんと情けないのだ」
レイアは声を上げ、悔しさに身を震わせる。
(私の力では、レオンたちを手助けすることすら出来ないのか……)
その時、レイアに背を向けて立っているミネルバが言った。
「レイア、諦めるんじゃないよ。自分の力を信じるんだ。今は私たちがやるしかない、限界を超えてこの体が悲鳴を上げたってね!」
凛としたミネルバの背中を見て、レイアはもう一度剣を握り直す。
「はい、ミネルバ様!」
レイアは笑みを浮かべる。
(ミネルバ様らしい。幼い頃から父の剣技を忠実に再現することしか出来なかった私の心に、いつだって炎を灯してくれる)
自分と相反して豪快で自由なミネルバの剣に、出会った当初は反発も感じていたが、次第にそんな彼女に惹かれていった。
そしていつしか姉妹のように力を合わせてきたことを思い出す。
ミネルバはレイアの方を振り返ると言った。
「レオンたちと行った森は楽しかったね。レイア、またあんたと一緒に行きたいよ。オリビア様や、みんなと一緒にさ」
「ええ、ミネルバ様」
二人は、レオンたちと一緒に食材を探しに行った森のことを思い出した。
騎士として生きてきた人生に後悔はない。
だが、二人にとってあれが安らぎの時間だったのは間違いのない事実だ。
レイアは、一緒に行った子供たちの、皆の笑顔を思い出す。
そして、この世界を守りたいと心から思った。
レイアは剣を握る手に力を込めると天を仰いだ。
「父上、私に力を! この身に代えても守りたいものがあるのです!!」
凄まじい闘気がレイアの体を包んでいくと、それは青い炎のように揺らめいた。
「はぁあああああ!!!」
気合と共に限界を超えた力が、レイアの剣を強烈に輝かせていく。
力を更に凝縮させるために居合の姿勢で剣を構えると、青い光は臨界点を超えるような光を放つ。
その瞬間、レイアの剣は恐るべき速さで振られていた。
「練気氷刃奥義!! 氷牙一閃!!!」
冷気を剣に宿して敵を斬り、凍り付かせるレイアの練気氷刃。その奥義である氷牙一閃は父の剣聖ロゼルタークの技だ。
まだ極めることが出来ていなかったはずの技を彼女は今、見事に使いこなし、周囲にはきらめく氷の結晶が輝いている。
その技の冴えは父親の剣聖すら凌駕する。
もし、この姿を見ることが出来たとしたら、父であるロゼルタークは、自分を超えた娘を誰よりも誇らしく思うことだろう。
レイアの技は、鮮やかに目の前の繭を切り裂くと同時に凍り付かせ、氷の結晶と化したそれは粉々に打ち砕かれた。
ミネルバはその姿を見届けると、今度は自らが剣を構える。
「やるもんだね、レイア。どうやら私も負けてはいられないようだ」
同時にミネルバの体には強烈な闘気が宿っていく。
ミネルバは未だ魔神と死闘を続けているジークを見上げた。
そして、初めて彼と出会った時のことを思い出す。
(初めは生意気で可愛い坊やだと思ったのにね……)
冒険者ギルドで出会ったレオンはミネルバにとって確かにそう思えた。
だが、共闘した作戦で闇の術師と戦った時に助けられたのはミネルバの方だった。
「ふふ、慣れないドレスなんか着て、らしくないったらなかったね」
誰もが見とれてしまうほどの魅力を持つ女将軍が、ドレスを着て訪れた小さな教会での夕食。レオンを貴族に推薦するという申し出と公爵家の晩餐への招待を断られた時の驚きを思い出す。
誰もが飛びつきたくなる条件だ。
それを断ったレオンとあの教会で食べた夕食の味を、ミネルバは忘れることが出来ない。
招待を無下にされたにもかかわらず、こんな男もいるのだと何故か嬉しくなったことを覚えている。
そして、その強さと美貌ゆえに沢山の貴族の子息たちから恋文を送られ、ため息をつくミネルバに、相変わらずの鈍感さで答えたレオンの姿を思い出して笑った。
(本当に生意気な坊やさ。でもなんでだろうね、あんたが現れてからこの世界が前よりもずっと輝いて大切に思えるのさ)
ミネルバは剣を握る手に力を込める。
炎のように湧き上がるミネルバの闘気は限界を超えて高まっていき、その美貌を更に際立させていく。
まるでこの地に舞い降りた戦女神のように。
彼女の背に、自らが率いる騎士団のシンボルともいえる竜の形に湧き上がったオーラが燃え上がると、剣に宿る。
目の前で繰り広げられるレディンとジークたちの攻防。そんな中、傷ついていく主の姿を見て、フレアとシルフィ、そしてエルフィウスの使い魔である神獣オベルティアスは叫んだ。
「ジーク!!」
「アクアリーテ!」
「主よ!!」
これまでの戦いの中で深手を負ったオベルティアスだが、アクアリーテの力でなんとか戦えるほどに回復をしたようだ。
それは神獣と呼ばれる存在だからこその生命力と言えるだろう。
フレアは唇を噛む。
(なんて戦いなの。今、私が行ってもジークの力になれないかもしれない……だけど!!)
地下での戦いで凄まじい力を発現するほど成長したフレアでさえ、今の四英雄たちには遠く及ばない。
その中心にいるのはやはりジークだ。
人の子でありながら二つの紋章を身に宿すほどの魂の力。彼の魂に共鳴するかのようにアクアリーテやエルフィウスの力も限界を超えて高まっている。
二千年前のレディンならば確実に倒すことが出来ただろう。
だが、今彼らが死闘を繰り広げているのは、以前とは比べ物にならない相手だ。
次第に傷ついていくジークの姿を見て、フレアは胸が締め付けられる。
(ジークはいつだって私と一緒にいてくれた。楽しい時も、そして悲しい時も……)
独りぼっちだった自分の手を握ってくれた母のほむら。そしてほむらが命を落とした後、その手を握ってくれたのはジークだ。
「ジーク、貴方を死なせたりしない! この命に代えても!!」
傍にいるシルフィを見ると、彼女もフレアと同じ気持ちなのがその瞳を見れば分かる。
「フレア……」
「ええ、シルフィ!!」
傷ついていくジークのもとに思わず駆け付けようとする精霊たちの前に、ジュリアンが神龍の翼を広げ立ちふさがる。
「無粋な真似を。ここから先は通しませんよ。ふふ、それに貴方たちが行ったところで足手まといになるだけ。あのゾルデと邪龍バディリウスを倒した力は認めますが、今の彼らの足元にも及ばない。貴方たちの相手であれば私で十分です」
ゾルデと邪龍バディリウスとはジュリアンの手駒であり、フレアとシルフィにとっては故郷を滅ぼした仇だ。覚醒した二人の力でようやく葬ることが出来た敵である。
しかし、力の差など二人は百も承知だ。
フレアはジュリアンに向かって叫んだ。
「どきなさい! ジュリアン!!」
彼女が手にした炎を纏った薙刀が、ジュリアンに向かって振るわれる。
ジュリアンがそれを笑みを浮かべながらかわすと、同時に白い疾風が彼の首筋を襲う。
シルフィだ。邪龍バディリウスを倒したフェンリルクイーンの牙がジュリアンの首を刎ねたかと思えたその瞬間、彼が手にした金の錫杖がシルフィの牙をはじき返す。
大国アルファリシアの美しき教皇は、舞うように精霊たちの攻撃をいなしながら静かに口を開いた。
「見事ですね。ですが、それでは私は倒せませんよ」
そんなジュリアンの死角となる頭上から声が響く。
「我らを舐めるなよ、ジュリアン!! 貰ったぞ!」
そこにいるのはオベルティアスだ。
雷を体に纏い、それを一気にジュリアンに向かって落雷させる。
フレアとシルフィを囮に使い、死角をとる。
三人の鮮やかなコンビネーションに思わず上を見上げるジュリアン。彼を目掛け降り注ぐ雷に、オベルティアスは勝利を確信した表情を浮かべる。
(やったか? いやたとえ生きていても、これならばもはや動けまい)
だが、その表情はすぐに驚愕の色に染まっていく。
「馬鹿……な」
そこにあったのは、雷を帯びながら白い翼を広げるジュリアンの姿。彼は妖しい光を宿した目で精霊たちとオベルティアスを見つめる。
「ふふふ、貴方たちこそ賢者の石と神龍ルクディナの力を侮らないことです。彼女は、邪龍バディリウスなどとは違う。龍族の中でも特別な存在なのですから」
オベルティアスは、ジュリアンの額に輝く賢者の石と、背中に広がる神龍の翼を眺めながら呻く。
「信じられぬ。いくら四英雄の血を引く王家の人間とはいえ、只の人間がどうしてこれほどの力を」
そんな神獣の姿を眺めながらジュリアンは、再び笑みを浮かべた。
「それに、貴方たちは主の心配をしている暇などありませんよ。言ったはずです、ここから世界の終わりが始まると。そして、もうその種は蒔かれているのですから」
「種ですって?」
ジュリアンの言葉にシルフィが訝しげに身構えた。
(一体、何のことなの?)
シルフィの問いにジュリアンは優雅な仕草で答える。
「周りを見てご覧なさい。あの六枚の翼が生み出すのは、刃による死だけではありません。そこから生み出される生が、この世界の終わりを告げる種子となるのです」
精霊たちは思わず周囲を見渡す。
そしてフレアは、自分たちがいる地下庭園の中に起きている異変に気が付いた。
「これは……シルフィ!」
激しい死闘を繰り広げているレディンとジークたち。
彼らを中心に、白と黒の羽根が周囲に舞い散っているのが分かる。
それは、レディンの背の六枚の翼が生み出したものだ。
刃として振るわれるそれが、ジークたちの剣と激突することによって光と闇の羽根を撒き散らし、ともすると幻想的とさえ言える光景を周囲に生み出している。
シルフィも辺りを見渡し呟いた。
「ええ、フレア」
(まさか、これがジュリアンが言っている種だとでもいうの? 分からないわ、一体どういう意味なの……でも、この羽根からは何かを感じる。嫌な予感がするわ)
胸騒ぎを感じる精霊たちの周囲に舞い散る羽根は、番を見つけるかのように光と闇のそれが一枚ずつ結びつき、絡み合って地上へと落ちていく。
そして地へ落ちた羽根は、羽毛を植物の根のごとく伸ばしていく。
伸びた羽毛は、地下から溢れ出る赤い光を養分にして大きく成長していく。
異様な光景にミネルバとレイアは、主である国王ゼキレオスと王女オリビアを守るように警戒を強め剣を握る。
「一体何なのだこれは!」
「ミネルバ様! あれを見てください!!」
地に落ちて根を張り、成長していくそれは次第に長細い球体を形作っていく。
彼女たちの周りも無数の羽根が作り上げた不気味な球体で埋め尽くされていく。
ミネルバは息を呑んだ。
「これはまるで……」
「ええ……ミネルバ様。これは繭です」
レイアのその言葉にミネルバは頷いた。
「ああ、だが大きすぎる」
それは一部の昆虫が作り出す繭に似ている。
しかし、そのサイズは通常の繭とは比較にならないものだ。
優に人間一人は中に入るであろうそれは、いたるところで根を張り、羽毛が繭を包む糸となってそれをくるんでいる。
そして、鼓動しているかのように赤い光をその中で放っていた。
周囲を取り囲む異様な光景に、ミネルバは背筋を凍らせながらその光を眺めた。
(あの光は何だ? まるで中に何かがいるような息遣いを感じる)
だが、そうだとしたら一体何が。
言いようのないおぞましさを感じて、レイアは身を震わせた。
もし、あそこから這い出てくるものがいるとすれば、それは決して自分たちとは相容れない存在だ。
レイアにはそう思えた。
フレアとシルフィは目の前に立ちはだかるジュリアンに向かって叫ぶ。
「あれは一体何なの!!」
「答えなさい! ジュリアン!!」
精霊たちの言葉にジュリアンは嫣然と笑うと答えた。
「ご覧の通り繭ですよ。ですが、そこから生まれる者は貴方たちの知らぬ異形の者たちです。この世界の破壊を司る魔神の使徒とでも名付けましょうか」
「異形の者……」
「魔神の使徒ですって!?」
衝撃を受ける精霊たちの前でジュリアンは続けた。
「あの繭から孵った者たちは魔神の使徒となり、この世界を完全に滅ぼします。ふふ、まずは手始めにこのアルファリシアが。この地に住む生きとし生けるものが、新たな世界が生まれるための贄となるのです」
それを聞いて激怒の声を上げたのはオリビアだ。
「贄ですって? ふざけないで! 一体どれほどの人々がこの地に暮らしていると思っているの!!」
アクアリーテに救われたものの、一度はジュリアンの手で胸を貫かれまだ完全には生気が戻っていない父王をその腕に抱いて、涙を流しながら怒りに震えている。
「貴方は悪魔だわ、ジュリアン! 私は貴方のことを絶対に許さない!!!」
魔神と英雄たちの世界の命運を懸けた戦い。そして不気味に息づく巨大な繭に囲まれたこの状況。普通の王女であれば気を失ってもおかしくないだろう。
だが、美しい顔を毅然と弟に向けて声を上げるのは、彼女の王族としての矜持の高さを表している。
この国に生きる者たちの命を守ろうとする王女としての責務と意志が、その横顔には込められていた。
そして、命を懸けて魔神と戦っているジークを見つめる。
(レオン。どうかこの地に、いいえ世界に救いを!! 祈ることしか出来ない私を許して……)
出会った時に彼は、オリビアを無礼なレオナール将軍から守るようにしてその腕に抱いた。
その時覚えた不思議な感情を思い出す。
そして、彼と一緒にいると、自分が王女でいることさえも忘れられたことを。
「レオン……」
オリビアはこの時、はっきりと自分が彼を愛していることに気が付いた。
(ああ、神よ! 私の命を捧げてもいい。どうか、彼らに力を!)
必死に祈る娘の姿を見て、まだ青ざめた顔をしている父王はゆっくりと身を起こした。
「お父様!」
「止めるでないリヴィ。そなたがレオンの無事を祈らずにはおられぬように、ワシにも王としてやらねばならぬことがある」
そう言うと、ゼキレオス王はオリビアの腕を振りほどいて立ち上がる。
そして、腰から提げた剣を抜いた。
それはレオンとの腕試しの際に折れてしまった大剣ほど立派なものではないが、騎士王と呼ばれたゼキレオスが使うに相応しい見事な剣である。
横顔はまだ蒼白ではあるが、王として、そして武人としての威厳が深く刻み込まれている。
そんな国王を見て、傍に控えていたミネルバも立ち上がった。
「陛下!」
ミネルバの言葉にゼキレオスは頷く。
「ミネルバよ、分かっておるな。レオンたちが、精霊たちが命を懸けて戦っておる。ならば、我らとてこの命を投げうってでも悪魔どもが地上に這い出るのを防がねばならぬ!」
「はい、陛下!!」
僅かな躊躇いもないミネルバのその返事と、彼女の後ろに立って同じように一礼するレイアの姿を見て、ゼキレオスは笑みを浮かべた。
その表情は国王としてのものではない。
一人の人間として、二人にしっかりと向き合って語り掛ける。
「ミネルバよ、そしてわが友ロゼルタークの娘レイアよ。オリビアと共に、そなたたちを娘のように思ってきた」
王の言葉にミネルバもレイアも涙を浮かべる。
ゼキレオスは決意を込めた目で二人を見つめる。
「すまぬな。この国の民のため、そなたたちの命をワシにくれ」
ミネルバとレイアは敬礼をすると、微笑んだ。
「騎士となったその日から、もとより承知の上です」
「お供します、陛下!」
そして、ゼキレオスはミネルバの傍に立つロザミアに言った。
「ロザミア殿、そなたは優れた翼人の聖騎士だったと聞く。この地に生きる者たちのため、そなたの力を貸してはくれぬか?」
国王の言葉に、ロザミアは死闘を繰り広げているジークを見つめると頷いた。
「ゼキレオス陛下、私は最初からそのつもりだ。主殿は魔族の眷属と化し全てを諦めていた私に、もう一度笑顔をくれた。この命はその時からもう、主殿のために使うと決めている」
迷いのない瞳で、ロザミアは腰から提げた剣を抜いた。
「ティアナや子供たち、フレアやシルフィ、そしてこの国で出会った仲間たち。みんな私のかけがえのない友だ。そのためなら、私の全てを懸けて戦うと誓う!!」
ロザミアの体に今までにないほどの闘気が宿っていく。
それを見てゼキレオスは頷いた。
(良い剣士だ。優れた戦士が多い翼人族の中でもこれほどの剣士はそうはおるまい。我ら四人でどこまで出来るかは分からぬが……)
彼は剣を強く握り締める。
「やらねばならぬ、この命を燃やし尽くしたとしても!」
ゼキレオスはオリビアを見つめる。
「リヴィ、ワシの傍を離れるでないぞ!」
「はい、お父様!」
そして、意を決した三人の女剣士と目を合わせて言った。
「行くぞ!!」
それに答えるミネルバたち。
「はい! 陛下!!」
「この国の民のために!」
「仲間たちのために!!」
その掛け声と共に彼らはオリビアを囲むように守りながら、互いに背を預け四方へと体を向けた。
それぞれの目の前にある繭を破壊するためだ。
レイアは自分の目の前にある繭を、横薙ぎに一刀両断しようとした。
「はぁああああ!!」
その太刀筋の鋭さは父親である剣聖ロゼルターク譲りのもので、剣技の見事さは銀竜騎士団の中でも将軍ミネルバに匹敵するほどだ。
だが……
キィイイン!!
まるで凄まじい硬度を持つ金属にぶつかったような音を放って、レイアの剣は繭の表面ではじき返される。
「くっ! 馬鹿な!!」
思わず剣を握る手を見つめる。
(なんという硬さだ。私の剣がはじかれるとは)
レイアが衝撃を受けるのも当然だろう。
彼女の剣は、その冷気で敵の剣すら凍り付かせ砕くことが出来るほどのものだ。
レイアの顔に濃い焦りの色が浮かぶ。
繭は不気味に赤い光を明滅させ、中の邪悪な気配が次第に強くなっていく。それは羽根が生み出した魔神の使徒が育っている証だろう。
(この中で育っているものを決して地上に出してはいけない。そんなことになれば、我が国は、アルファリシアは終わりだ)
男装の麗人のように端整で美しいその横顔が焦燥に歪み、彼女は唇を噛む。
「くっ! 私はなんと情けないのだ」
レイアは声を上げ、悔しさに身を震わせる。
(私の力では、レオンたちを手助けすることすら出来ないのか……)
その時、レイアに背を向けて立っているミネルバが言った。
「レイア、諦めるんじゃないよ。自分の力を信じるんだ。今は私たちがやるしかない、限界を超えてこの体が悲鳴を上げたってね!」
凛としたミネルバの背中を見て、レイアはもう一度剣を握り直す。
「はい、ミネルバ様!」
レイアは笑みを浮かべる。
(ミネルバ様らしい。幼い頃から父の剣技を忠実に再現することしか出来なかった私の心に、いつだって炎を灯してくれる)
自分と相反して豪快で自由なミネルバの剣に、出会った当初は反発も感じていたが、次第にそんな彼女に惹かれていった。
そしていつしか姉妹のように力を合わせてきたことを思い出す。
ミネルバはレイアの方を振り返ると言った。
「レオンたちと行った森は楽しかったね。レイア、またあんたと一緒に行きたいよ。オリビア様や、みんなと一緒にさ」
「ええ、ミネルバ様」
二人は、レオンたちと一緒に食材を探しに行った森のことを思い出した。
騎士として生きてきた人生に後悔はない。
だが、二人にとってあれが安らぎの時間だったのは間違いのない事実だ。
レイアは、一緒に行った子供たちの、皆の笑顔を思い出す。
そして、この世界を守りたいと心から思った。
レイアは剣を握る手に力を込めると天を仰いだ。
「父上、私に力を! この身に代えても守りたいものがあるのです!!」
凄まじい闘気がレイアの体を包んでいくと、それは青い炎のように揺らめいた。
「はぁあああああ!!!」
気合と共に限界を超えた力が、レイアの剣を強烈に輝かせていく。
力を更に凝縮させるために居合の姿勢で剣を構えると、青い光は臨界点を超えるような光を放つ。
その瞬間、レイアの剣は恐るべき速さで振られていた。
「練気氷刃奥義!! 氷牙一閃!!!」
冷気を剣に宿して敵を斬り、凍り付かせるレイアの練気氷刃。その奥義である氷牙一閃は父の剣聖ロゼルタークの技だ。
まだ極めることが出来ていなかったはずの技を彼女は今、見事に使いこなし、周囲にはきらめく氷の結晶が輝いている。
その技の冴えは父親の剣聖すら凌駕する。
もし、この姿を見ることが出来たとしたら、父であるロゼルタークは、自分を超えた娘を誰よりも誇らしく思うことだろう。
レイアの技は、鮮やかに目の前の繭を切り裂くと同時に凍り付かせ、氷の結晶と化したそれは粉々に打ち砕かれた。
ミネルバはその姿を見届けると、今度は自らが剣を構える。
「やるもんだね、レイア。どうやら私も負けてはいられないようだ」
同時にミネルバの体には強烈な闘気が宿っていく。
ミネルバは未だ魔神と死闘を続けているジークを見上げた。
そして、初めて彼と出会った時のことを思い出す。
(初めは生意気で可愛い坊やだと思ったのにね……)
冒険者ギルドで出会ったレオンはミネルバにとって確かにそう思えた。
だが、共闘した作戦で闇の術師と戦った時に助けられたのはミネルバの方だった。
「ふふ、慣れないドレスなんか着て、らしくないったらなかったね」
誰もが見とれてしまうほどの魅力を持つ女将軍が、ドレスを着て訪れた小さな教会での夕食。レオンを貴族に推薦するという申し出と公爵家の晩餐への招待を断られた時の驚きを思い出す。
誰もが飛びつきたくなる条件だ。
それを断ったレオンとあの教会で食べた夕食の味を、ミネルバは忘れることが出来ない。
招待を無下にされたにもかかわらず、こんな男もいるのだと何故か嬉しくなったことを覚えている。
そして、その強さと美貌ゆえに沢山の貴族の子息たちから恋文を送られ、ため息をつくミネルバに、相変わらずの鈍感さで答えたレオンの姿を思い出して笑った。
(本当に生意気な坊やさ。でもなんでだろうね、あんたが現れてからこの世界が前よりもずっと輝いて大切に思えるのさ)
ミネルバは剣を握る手に力を込める。
炎のように湧き上がるミネルバの闘気は限界を超えて高まっていき、その美貌を更に際立させていく。
まるでこの地に舞い降りた戦女神のように。
彼女の背に、自らが率いる騎士団のシンボルともいえる竜の形に湧き上がったオーラが燃え上がると、剣に宿る。
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