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2巻
2-1
しおりを挟む1 剣聖の娘
俺の名前はレオン。
辺境の小国バルファレストの第六王子として生まれた。
死んだ俺の母親が平民の出であることが気に入らなかったのだろう、腹違いの兄たちはことあるごとに俺に嫌がらせをしてきた。
そして国王である父が亡くなると、連中は俺を追放するだけでは飽き足らず殺そうとした。
その時、傲慢で残忍な兄たちの笑い声が響く中、俺の右手に真紅の紋章が輝き始めた。
連中は知る由もなかったが俺は転生者だ。二千年前、俺は最強と謳われた四英雄の一人、獅子王ジークと呼ばれていた。
俺は精霊フレアやシルフィと共に連中をぶちのめすと、屈辱に満ちた奴らの声を背に旅に出た。
父が亡くなった今、あんな連中とこれ以上関わるのは御免だからな。
国を出た俺は、もしかするとかつての仲間たちが自分と同じように転生しているのではないかと思い、大国アルファリシアに向かった。情報を得るために王都の冒険者ギルドに立ち寄り、そこで出会ったのがハーフエルフのシスターであるティアナだ。
そしてティアナを狙う邪悪なヴァンパイアのもとから、翼人の元聖騎士ロザミアを解放した。二人は今では俺の大切な仲間だ。
そんな中、冒険者ギルドで受けた風変わりな依頼で、アルファリシアの女将軍ミネルバと共闘することとなり、人と魔物を融合させる闇の禁呪、人魔錬成を使う謎の術師と死闘を繰り広げた。
術師こそ逃したが、戦いに勝利したことで王国の騎士団から報奨金が出るらしい。そんなわけで俺たちは、冒険者ギルドの長であるジェフリーと共に、ミネルバが団長を務める銀竜騎士団の本部がある王宮へと向かっていた。
俺がこれまでのことを思い出していると、隣を歩くティアナが俺の顔を覗き込んできた。その清楚な横顔にブロンドの髪がかかっている。
「どうしたんですか? レオンさん」
「何でもないさ。この国に来て、ティアナたちと出会った時のことを少し思い出してな。あの時はこうやって冒険者パーティを組むなんて思わなかったからな」
そう言うと、ティアナは嬉しそうに笑う。
「本当に今こうしてるのが嘘みたい。それにレオンさんが助けてくれなかったら、私や子供たちはどうなってたか。きっとあのまま奴隷商人に連れていかれていました。レオンさん、本当にありがとうございます!」
ティアナの言葉に俺は肩をすくめた。
「助かってるのはお互い様だ。ティアナのお蔭で寝床はあるし、なんと言っても美味い飯をたらふく食えるからな」
今、俺はティアナが住む、孤児院を兼ねた小さな教会に世話になっている。
ティアナの料理は天下一品だし、孤児院のチビ助たちとの賑やかな生活も楽しいものだ。
今日、子供たちの護衛も兼ねて留守番を買って出てくれた炎の精霊フレアも、すっかり母親気分で張り切っていた。
それに飯だけじゃない。ティアナは優秀なヒーラーだし、ロザミアの剣の腕は一流だ。
昨日の依頼でも、二人のバックアップのお蔭で安心して戦いに専念出来た。
二千年前ならともかく、前世で受けたとある呪いのせいで、今の俺にはあの闇の術師を打ち負かしたほどの技を連発するのはまだ難しいからな。
「レオンさんやロザミアさんがいっぱい食べてくれるから、私もご飯を作るのが楽しくて」
「おいおい、ロザミアと一緒にするなよな。流石の俺もあんなに食いしん坊じゃないぞ?」
何しろロザミアの食べっぷりときたら凄いからな。
しっかり稼がないと食費で全部持っていかれそうな勢いである。
元ヴァンパイアとは思えない食欲だ。
「ふふ、レオンさんたら。あら? そういえばロザミアさんは……」
「ん? そういや姿が見当たらないな。さっきまで俺の隣にいたはずなんだが」
辺りを見渡すと、王宮に続く大通りの脇にある一軒の店の前から、ニコニコ顔でこちらに駆けてくるロザミアの姿を見つけた。
「主殿! 見てくれ、これを貰ったのだ!」
ロザミアの手には大事そうに何かが握られていた。
持ちやすい形に焼き上げた焼き菓子の上に、白いクリーム状のものが載っている。
まるで天使のような白い翼を羽ばたかせながらロザミアが言う。
「アイスクリームと言うそうだ。なんでも牛の乳を使って氷魔法で作った菓子で、あの店で子供たちに配っていた!」
満面の笑みのロザミアに思わず俺は突っ込んだ。
「いや、ロザミア。お前は子供じゃないだろ?」
まあロザミアだって十六歳ぐらいだから、転生前の俺から見ればまだ子供だが、店の前でアイスクリームとやらを受け取っているのは、孤児院にいるチビ助たちと同じぐらいの年齢の子供たちである。
相変わらずロザミアを監視しているのか、その肩に乗っている風の精霊シルフィが呆れたように言う。
「私は見てたわよ。まったく、あんな小さな子たちの中に入って、ウルウルした目で売り子をジッと見てるんだから。向こうも根負けして一つくれたんじゃない」
はは、ロザミアらしいな。可愛いもんだ。
「ふふ~ん、羨ましいのだな? シルフィ」
「は? 馬鹿じゃないの、ロザミア。お子様じゃあるまいし!」
二人はそう言ってお互いにソッポを向く。
「「ふん!」」
ったく、この二人は相変わらずだ。
俺たちに同行しているジェフリーが店を眺めながら言った。
「あれはジェファーレント商会の菓子店だ。あの店は、新しい菓子が出来ると宣伝を兼ねて、子供たちに無料で配っていることがあるからな。王宮に近いこの辺りは貴族や商人の子供たちも多い。いい宣伝にもなるのだろう」
「ジェファーレント商会?」
俺の問いにジェフリーは頷くと、耳打ちしてくる。
「はい、ジーク様。この国の商人たちに強い影響力を持つジェファーレント伯爵家が運営する大商会ですよ。ほら、昨日ジーク様がお助けになった奥方と令嬢の……」
俺が昨日助けた令嬢? ああ、例の喋るオーガどもに襲われていた白い馬車に乗っていた娘か。
そういえば、かなり大規模な商隊を組んで、護衛に守られていたのを覚えている。
相応の身分と財力がなければああはいかないだろう。
「へえ、あの二人は伯爵家の夫人と娘だったんだな? ……それはいいとして、ジークじゃなくてレオンで頼むって言ったはずだぞ、ジェフリー」
俺は声を潜めて答えた。俺の正体を知っているジェフリーやミネルバには、秘密にしてもらっている。そもそも言ったところで誰も信じるはずがない。話が複雑になるだけだ。
「はは、すみません。何しろ伝説の英雄であるジーク様を、レオンなどと呼び捨てにするのは気が引けまして」
四英雄のファンであるジェフリーにとってはそうなんだろう。
ギルドの受付のニーナさんたちの話では、ジェフリーは俺たちの逸話が書かれた本のコレクターらしいからな。
「気にするなって。その方がこっちも助かる」
俺がそう言うと、ジェフリーは苦笑しながら頷いた。
SSSランクの冒険者でギルド長のジェフリーが、Bランクの冒険者に過ぎない俺を「様」付けで呼ぶのはどう考えてもおかしな話だ。
「どうしたんですか? 二人ともなんだかこそこそしちゃって」
ティアナが不思議そうにこちらを見ているので、俺はすかさずジェフリーの脇腹を小突いた。
「なんでもないさ。そうですよね、ギルド長?」
「は、はは! もちろんだともレオン君!」
何がレオン君だ、声が裏返ってるぞ。先が思いやられるな、これは。
俺がそう思った、その時──
「レオン様? やっぱりレオン様なのですね⁉」
大通りを店の方にやってくる馬車の窓から声が聞こえてきたかと思うと、俺たちのすぐ傍に白い馬車がとまる。
そして、見覚えがある女性の護衛剣士と共に、一人の少女が馬車から降りてこちらに駆けてきた。
「レオン様! それにティアナ様やロザミア様も!」
噂をすれば影だ。先程ジェフリーと話していた令嬢――エレナが息を切らして俺の前まで来ると、彼女の護衛剣士であるサラと共に頭を下げる。
「昨日は本当にありがとうございました! お蔭で私も母も命拾いしました。レオン様たちは命の恩人です」
エレナの言葉にサラが続ける。
「お嬢様がどうしてもレオン様にお会いして、直接お礼がしたいと仰られまして。先程冒険者ギルドを訪ねたのですが、そこで皆様が王宮へと向かったと伺い、追ってきたのです」
馬車の中から、別の護衛を従えてエレナの母親もこちらに歩いてくる。
伯爵夫人だけあって品の良い雰囲気が漂っている。
「エレナったら、そんなに慌てて。レオン様に笑われますよ」
伯爵夫人は娘にそう言うと、こちらに向かって深々と頭を下げた。
「申し遅れました、レオン様。私はジェファーレント伯爵の妻、フローラと申します。昨日は本当にありがとうございました! レオン様がいらっしゃらなければ、私たちは今頃どうなっていたか……」
人魔錬成によってオーガと化した盗賊連中に取り囲まれていた時のことを思い出したのだろう。青ざめながらこちらを見つめている。
そしてロザミアやティアナにも頭を下げた。
「お二人にも感謝いたします。どうかお礼をさせてくださいませ」
俺は、手にしたアイスクリームをもうほとんど食べ終わっているロザミアを眺めながら答えた。
「はは、礼ならギルドからたっぷり貰ったさ。それにアイスクリームもな。あの店はジェファーレント伯爵家のものなんだろう? 美味ければ商品が評判になるし、上手いやり方だな」
すると、ロザミアが最後の一口をぱくりと食べて満足そうに微笑む。
「うむ! 冷たくて美味しかった。私が保証する!」
「ったく、口の端にクリームが付いてるぞ」
戦う時は凛々しい元聖騎士なのだが、こと食べ物に関してはこれだからな。俺が呆れながら指摘すると、シルフィも腕を組んで頷いた。
「ほんと胸だけは大きいくせに、お子様なんだから」
だが、残念ながらその小さな口にもしっかりと白いものが付いていた。
「……シルフィ、お前も付いてるぞ」
「え⁉」
シルフィは慌ててロザミアと一緒に口元を拭う。
「か、勘違いしないでよね! 今拭こうと思ってたんだから」
ツンと澄まして大人ぶるシルフィ。どうやらロザミアが食べているアイスクリームが気になって、横から一口かぷりとかぶりついたようだ。
まったく仲が悪いようでいいコンビだな。
そんな二人を横目に軽く溜め息をついた後、俺はエレナたちに言った。
「あんたたちを助けたのは仕事だ。これから騎士団に行って、報奨金も貰えるらしい。だから気にすることはないさ」
「で、ですがレオン様」
そう声を上げるエレナの肩にフローラは手を置くと、暫く俺を見つめて首を横に振る。
「エレナ、レオン様がそれで良いと仰っているのです。皆様はこれから王宮に向かわれるとのこと。これ以上引き止めてはご迷惑をおかけするだけよ」
「でもお母様!」
まだ納得していない様子の娘をなだめながら、伯爵夫人は俺に一枚のカードを差し出した。プラチナ色に輝いている小さなカードだ。
「私のサインを入れた特別なカードです。これはいつでもジェファーレント商会がレオン様のお力になるという証。せめてこれだけでもお受け取りくださいませ」
夫人の瞳は真っすぐにこちらを見つめている。
貴族や商人ではない俺が、大商会と深く関わる機会があるとも思えないが、これを断るのは、わざわざ会いに来てくれた彼女たちに対して失礼にあたるだろう。
「分かった。気持ちだけいただいとくよ」
俺は夫人からプラチナのカードを受け取ると、それを懐にしまった。
「さてと、それじゃあ俺たちはもう行くぜ。相手は騎士団だ、あまり待たせると面倒なことになりかねないからな」
「はい、レオン様」
そう言って微笑む伯爵夫人と、傍で何か言いたげなエレナの姿。
「レオン様! またきっとお会い出来ますよね」
伯爵令嬢の声に、俺は振り返らずに手を振ると王宮へ向かった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
レオンたちが立ち去った後、エレナはしょげ返った様子で呟いた。
「レオン様。命を救っていただいたお礼がしたかったのに。もうお会い出来ないのかしら……」
そんな娘を見つめながらフローラは笑みを浮かべた。
「安心なさいエレナ。きっとまたすぐにあのお方のお役に立てる時が来るわ」
「お母様?」
そう問いかけるエレナにフローラは答える。
「私たちをあの地獄から救ってくださった強さと雄々しさ。それに私たちがジェファーレント商会を率いる者だと知っても、レオン様の瞳には一片の媚もへつらいも生まれなかった。私は今までにあれほどの殿方に会ったことがありません。あのようなお方は周りが放ってはおかないでしょう。いずれ名を成すお方です。きっと遠くないうちに、我が商会が力をお貸し出来る時がやってくるわ」
それを聞いてエレナは顔を明るくする。
「はい! お母様。私、その時はレオン様に全てをお捧げいたします!」
「エレナったら気負いすぎですよ。それではまるでレオン様の妻になりたいとでも言っているように聞こえます」
母にそう言われて、エレナは思わず顔を赤らめた。
伯爵令嬢のその言葉に、通りを歩く者たちも振り返る。
「あ、そ、そういう意味じゃなくて私……お母様の意地悪!」
「お嬢様、お待ちください!」
可憐な顔を真っ赤にして馬車へと駆けていくエレナを、護衛騎士のサラが追う。
そんな二人をフローラは楽し気に見つめた。
伯爵領を治める夫の代わりに、都で商会を率いるジェファーレント伯爵夫人は、才色兼備な女性として名が通っている。そんな目の肥えた彼女にも、レオンはとても好ましく映った。
(それにしても、あれほどの少年が只の冒険者だなんてとても信じられない。一体何者なのでしょう? 王宮に向かわれるとのことでしたが、ここは大国アルファリシア。一筋縄ではいかない方々も多い。あの強すぎる力が、かえってあだにならなければ良いのだけれど)
伯爵夫人は、娘の前では口に出さなかった憂慮を抱きながら、レオンたちの背中を見送っていた。
レオンたちが、報奨金を受け取りに王宮に向かっているちょうどその頃。
王宮の広大な敷地の西に作られた銀竜騎士団の本部、その練兵所には二人の女性が佇んでいた。
騎士たちは訓練をしながらも、二人の姿に見惚れて身が入らない様子である。
一人は公爵家の令嬢で銀竜騎士団のトップでもあるミネルバ将軍だ。
普段は騎士姿の彼女だが、今日は艶やかなドレスに身を包んでいる。凛々しくも美しいその姿は、まるで天上から舞い降りた戦女神のようだ。騎士たちが目を奪われるのもやむを得ないだろう。
彼女の隣にいる人物はクスクスと笑う。
「ミネルバ、貴方がそんな格好をしているから兵士たちも訓練に身が入らないようよ? それに、昨日お父様に、一代貴族の身分をその彼にお与えになるよう願い出たそうだけど、貴方が男にそんなに肩入れするのは初めてじゃない? うふふ、余程気に入ったのね」
その言葉に、ミネルバが珍しく動揺したように声を上げる。
「王女殿下、わ、私は男として彼に興味があるわけではありません! あくまでもこの国に有用な人材だと……」
「ふふ、そういうことにしておくわ。でも貴方がそこまで言うなんて、私もその少年に興味が出てきたわね」
騎士たちの視線はミネルバだけではなく、彼女にも集まっていた。
頭の上に美しく輝く銀のティアラを載せた女性の年齢は、ミネルバと同じ二十代前半だろう。
オリビア・フィーリア・アルファリシア、大国アルファリシアの第一王女である。
凛々しい美しさを持つミネルバと、大国の王女に相応しい高貴な美を湛えるオリビア。そんな二人に注目が集まるのは当然だ。
現国王のゼファルディア七世、彼には三人の子がいる。
第一王子である王太子クラウスと第二王子のジュリアン、そして第一王女のオリビアだ。
オリビアは王太子クラウスの妹であり、第二王子ジュリアンの姉である。
ジュリアンが、王位継承権を放棄して国教会の教皇の座についたため、オリビアは王位継承権第二位にあたる重要人物だ。
非常に聡明で、父親のゼファルディア七世のもと、様々な国事や事業にも関わっている才女である。
ミネルバの銀竜騎士団は、王女オリビアの護衛を国王から任されている。銀竜騎士団にミネルバをはじめ、腕利きの女性騎士が何人も在籍するのは、それも理由の一つだ。
その時、ミネルバとオリビアの傍に控える一人の女騎士が口を開いた。
「ミネルバ様、私はやはり納得がゆきませぬ。その冒険者が未熟であったために、ミネルバ様は怪我をされたともっぱらの噂。そんな男に、銀竜騎士団から報奨金を与えるなどと」
ミネルバはそれを聞いて、美しい顔をしかめた。
「馬鹿なことを。一体誰がそんな下らぬ噂を流したのだ? レイア」
レイアと呼ばれた女騎士は、唇を噛み締める。
「ですが、実際にミネルバ様はその魔物に手傷を負わされた。このレイアが傍にいれば、決してそんなことには!」
そう憤る彼女の言葉に、オリビアが口を開く。
「ふふ、レイアったらすっかりおかんむりね。ミネルバ、貴方もいけないのよ。久しぶりに羽を伸ばしに城下に出かけたのでしょうけど、魔物に怪我を負わされたと知って、レイアったら真っ青になっていたもの」
レイアは騎士に相応しい仕草でその場に膝をつくと、恭しく二人に頭を下げながら言った。
「大罪である禁呪、人魔錬成を行っている者がいるとしたら確かに由々しき事態。ですが、本来なら私が出向けば良い話でした。ミネルバ様がわざわざ足をお運びになることではありません。しかも負傷までされて! 報奨金などとんでもない、私がその男を厳しく処罰いたします」
彼女のその姿を見て、オリビアは肩をすくめる。
「どうするの? ミネルバ。レイアが怒るのも当然だわ」
「私は剣聖と呼ばれた父上より、ミネルバ様をお守りするために厳しく鍛えられてきました。銀竜騎士団に入ったのもそのため。どのような男かは知りませんが、爵位を与えることなどとても賛成は出来ません」
レイアは、ミネルバやジェフリーの師、剣聖ロゼルタークの娘であり、銀竜騎士団の副長を務めている。
ロゼルターク自身は伯爵であったが、身分を問わず優れた子供たちに剣を教えていた人物だ。
ミネルバはそこでジェフリーと出会い、レイアにも出会った。
天性の素質ではミネルバ。父譲りの技の見事さではレイア。共に天才の名に相応しい女剣士である。
ミネルバは凛々しくも艶やかな美貌、青い髪を靡かせるレイアは氷のような美貌。それはまさにお互いの性格を表したものかもしれない。
ミネルバは溜め息をつくと、レイアに言った。
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