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58、特別選抜チーム
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「提案ってなんですか? エミリア先生」
思わずそう問い返す俺に彼女は答えた。
「ええ、ロイ君。貴方には私が顧問をしているこの生徒会、つまり特別選抜チームに入ってもらおうと思うの」
「え? お、俺が生徒会にですか!!?」
俺と同じようにキースも驚いたように声を上げる。
「ちょ! エミリア先生、本気ですか? 恒例だと、新入生からはその年の筆頭が生徒会のメンバーと戦う選考戦を戦って、初めてその実力が認められるものですよ」
いわゆる祭りっていうやつか。
そう言えばトーマスもそんな選考バトルがあるって言っていたな。
エミリアはそんなキースを見つめながら問い返す。
「ええ、でも今年は今のところ在校生から参加希望者はいない。そうなると、順当にいけば書記の貴方がまずロイ君と戦うことになるわ。キース、貴方またこの子と戦ってみる?」
「へ!!?」
キースが高い声を上げる。
そして、隣にいる俺を眺めた。
「お、俺がまたこいつと?」
「そっか、もし俺が新入生の筆頭になったらまずキース先輩と戦うことになるんですね」
それも悪くないな。
俺は黄金のリボルバーを再び右手に作り上げながらそう呟いた。
キースは中々の曲者だし、まだ色々奥の手を残しているかもしれない。
バトルを通じてまた何か学べることがあるだろう。
「キース先輩、その時はお手柔らかに。俺も色々試してみたいことがありまして。正式に認められた試合ならお互い何の気兼ねなく、ぶっ放せますもんね」
俺は互いの健闘をと思ってニッコリとキースに微笑んだ。
キースとはケルヴィンの被害者仲間だ。
どうせ戦うなら爽やかにいきたい。
差し出す俺の右手をキースは不気味そうに眺めている。
「なんの気兼ねもなくぶっ放せるって……お、おいロイ、てめえ薄気味悪い笑顔しやがって一体何考えてやがる! どうせ、てめえのことだ、もっとおかしな銃でも作って俺にぶっ放すつもりだろうが! 俺はてめえの実験台じゃねえぞ!!」
薄気味悪いって失礼な。
陰キャ生活が長くて、爽やかな笑顔ってのが上手く作れないだけだ。
キースは、エミリアに申し出る。
「先生、悪いんですけど俺はこいつと二度と戦うつもりはないですよ! こんな規格外の野郎と全校生徒の前で戦って赤っ恥をかくぐらいなら、家で寝てた方がましですからね!」
それを聞いてエミリアは深い溜め息を吐く。
「まったく貴方らしいわね、キース。でも、貴方が言うようにこの子の魔力や戦い方を見ても、今までの新入生と同じ尺度では計れないわ。この学園でやり合える生徒がいるとしたら、ティアとケルヴィンぐらいしか考えられない。なら彼を二人と同じ待遇で、迎えるべきだと思うわ」
それを聞いてケルヴィンが息をのむ。
「俺やティアと同じ扱というと、まさか、エミリア先生……」
「ええ、ケルヴィン。只の生徒会のメンバーとして迎えるのではないわ」
そして、エミリアは俺を見つめながら宣言した。
「四帝候補生、ロイ君、貴方をその一人として生徒会へ迎えます! そうなれば、新入生といっても特別な権限を持つことになる。氷帝もそうは簡単に手を出せないわ」
四帝候補生? 一体なんだそれは。
学園に来たばかりの俺にはさっぱり分からない。
「え、えっと話が見えないんですけど先生、そもそも四帝候補生ってなんですか?」
俺は首を傾げながら、エミリアにそう尋ねた。
─────
ご覧頂きましてありがとうございます!
バタバタした日常を送りながら、気が付けばもう6月。
いつも応援して下さる皆様には感謝です!
同時連載作品の『神速の成長チート』も沢山の方にお読みいただきましてありがとうございます。
あちらも早いものでもう66話目になりました。
丁度バトルシーンにさしかかりましたので、良かったらご覧くださいね。
それでは、今後ともロイたち共々よろしくお願いします!
思わずそう問い返す俺に彼女は答えた。
「ええ、ロイ君。貴方には私が顧問をしているこの生徒会、つまり特別選抜チームに入ってもらおうと思うの」
「え? お、俺が生徒会にですか!!?」
俺と同じようにキースも驚いたように声を上げる。
「ちょ! エミリア先生、本気ですか? 恒例だと、新入生からはその年の筆頭が生徒会のメンバーと戦う選考戦を戦って、初めてその実力が認められるものですよ」
いわゆる祭りっていうやつか。
そう言えばトーマスもそんな選考バトルがあるって言っていたな。
エミリアはそんなキースを見つめながら問い返す。
「ええ、でも今年は今のところ在校生から参加希望者はいない。そうなると、順当にいけば書記の貴方がまずロイ君と戦うことになるわ。キース、貴方またこの子と戦ってみる?」
「へ!!?」
キースが高い声を上げる。
そして、隣にいる俺を眺めた。
「お、俺がまたこいつと?」
「そっか、もし俺が新入生の筆頭になったらまずキース先輩と戦うことになるんですね」
それも悪くないな。
俺は黄金のリボルバーを再び右手に作り上げながらそう呟いた。
キースは中々の曲者だし、まだ色々奥の手を残しているかもしれない。
バトルを通じてまた何か学べることがあるだろう。
「キース先輩、その時はお手柔らかに。俺も色々試してみたいことがありまして。正式に認められた試合ならお互い何の気兼ねなく、ぶっ放せますもんね」
俺は互いの健闘をと思ってニッコリとキースに微笑んだ。
キースとはケルヴィンの被害者仲間だ。
どうせ戦うなら爽やかにいきたい。
差し出す俺の右手をキースは不気味そうに眺めている。
「なんの気兼ねもなくぶっ放せるって……お、おいロイ、てめえ薄気味悪い笑顔しやがって一体何考えてやがる! どうせ、てめえのことだ、もっとおかしな銃でも作って俺にぶっ放すつもりだろうが! 俺はてめえの実験台じゃねえぞ!!」
薄気味悪いって失礼な。
陰キャ生活が長くて、爽やかな笑顔ってのが上手く作れないだけだ。
キースは、エミリアに申し出る。
「先生、悪いんですけど俺はこいつと二度と戦うつもりはないですよ! こんな規格外の野郎と全校生徒の前で戦って赤っ恥をかくぐらいなら、家で寝てた方がましですからね!」
それを聞いてエミリアは深い溜め息を吐く。
「まったく貴方らしいわね、キース。でも、貴方が言うようにこの子の魔力や戦い方を見ても、今までの新入生と同じ尺度では計れないわ。この学園でやり合える生徒がいるとしたら、ティアとケルヴィンぐらいしか考えられない。なら彼を二人と同じ待遇で、迎えるべきだと思うわ」
それを聞いてケルヴィンが息をのむ。
「俺やティアと同じ扱というと、まさか、エミリア先生……」
「ええ、ケルヴィン。只の生徒会のメンバーとして迎えるのではないわ」
そして、エミリアは俺を見つめながら宣言した。
「四帝候補生、ロイ君、貴方をその一人として生徒会へ迎えます! そうなれば、新入生といっても特別な権限を持つことになる。氷帝もそうは簡単に手を出せないわ」
四帝候補生? 一体なんだそれは。
学園に来たばかりの俺にはさっぱり分からない。
「え、えっと話が見えないんですけど先生、そもそも四帝候補生ってなんですか?」
俺は首を傾げながら、エミリアにそう尋ねた。
─────
ご覧頂きましてありがとうございます!
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いつも応援して下さる皆様には感謝です!
同時連載作品の『神速の成長チート』も沢山の方にお読みいただきましてありがとうございます。
あちらも早いものでもう66話目になりました。
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