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セシルの復讐

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 セシルはクレアたちとの冒険の後、魔法学校に帰って来た。セシルは授業の後、担任教師にある提案をした。

 ブノワトとバベットとの魔法対決だ。教師はブノワトとバベットに聞くと、二人の女生徒はニヤニヤ笑いながらうなずいた。セシルに負けるなどつゆほども思っていないのだろう。

 セシルたちは学校の校庭にいた。どこから話しを聞きつけたのか、見物をする生徒も沢山いた。ブノワトはキンキンした嫌な声で言った。

「セシル、あんたが魔法の特訓したって私たちに勝てるわけないじゃない。だってアンタは落ちこぼれなんだから」
「そうそう。セシル、あんたが魔法使いに向いてないって今度こそわからせてあげる。そしてこの学校から出て行ってもらうわ」

 ブノワトの言葉にバベットも続く。ブノワトは呪文を唱え、得意の風攻撃魔法を発動した。バベットも呪文を唱え、水派生魔法の氷攻撃魔法を発動させた。

 二人の攻撃魔法がセシルに襲いかかる。セシルは呟くように自身の相棒を呼んだ。

「アピ」
「ピッ」

 セシルの肩にアピが現れた。ブノワトとバベットは大笑いした。

「キャハハ!なんて小さな鳥なの?!それで私たちに勝てるつもり?!」
「死んだって知らないよ?!」

 セシルは落ち着いてアピに指示した。

「アピ。火防御魔法」

 セシルの目の前に炎の壁が出現した。ブノワトとバベットの攻撃魔法は、セシルの防御魔法に無効化された。

 ブノワトとバベットの顔色が変わった。セシルはアピに指示して、防御魔法を解除すると、目の前の二人に火攻撃魔法を指示した。

「アピ。火攻撃魔法」
「ピッ」

 アピはスウッと息を吸うと、小さな身体からは想像できないような強力な火攻撃魔法を放った。ブノワトとバベットは慌てて防御魔法を張り、アピの火魔法を持ちこたえようとした。

 だがアピの火魔法は、ブノワトたちの防御魔法を破壊した。ギャアッとブノワトとバベットの悲鳴が聞こえる。

 セシルはさらにアピに攻撃魔法を指示した。たまりかねたブノワトは風飛行魔法を発動し、バベットと共に空中に逃げた。

 そのまま逃げるかと思いきや、セシルに負けたのがよほど悔しかったのだろう。セシルの頭上にとどまるとブノワトは叫んだ。

「あんた調子に乗ってんじゃないよ!痛い目見な!」

 ブノワトとバベットは自分達の得意魔法を組み合わせて氷の刃を作り、風攻撃魔法で氷の刃を高速度でセシルに当てようとした。セシルがまともに当たれば死んでしまう魔法だ。

 セシルはハァッとため息をついて言った。

「アピ。火防御魔法。魔法を無効化したと同時に火矢を放って」
「ピッ」

 アピはセシルを守るため、火防御ドームを張った。ブノワトとバベットの氷の刃は溶けて消えてしまった。

 防御ドームを解除すると、アピは火の矢を作り出し、上空でオロオロしているブノワトとバベットに放った。彼女たちは火の矢を受けて地上に落下した。

 
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