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メロディの告白

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 セシルはようやく落ち着きを取り戻したものの、激しく落ち込んでしまった。火魔法を操れるようになろうと誓ったのに、結果は火事を起こしそうになって、メロディたちに大きな迷惑をかけてしまった。

 セシルはひとり言のように呟いた。

「私は本当にダメな人間なんだわ。魔法使いをあきらめた方がいいのかもしれない」
「セシルちゃん。失敗は誰にでもある事だよ?一緒にがんばろうよ?」

 メロディはうなだれるセシルの手を取って優しく言った。セシルは不思議で仕方なかった。メロディとはつい最近出会ったばかりなのに、何故セシルにここまで親切にしてくれるのだろうか。セシルはメロディに聞いた。

「メロディ、何で私にそんなに優しいの?」
「?。何でって、友達だもの。当たり前でしょ?」
「友達?メロディは私の事を友達だと思ってくれるの?私なんて、お前の話しはつまらない。だとか、お前を見ていると腹が立つ、側によるなって言われるのに」
「セシルちゃん。誰がそんな事を言ったの?」
「・・・。クラスメイト」

 メロディは一瞬悲しそうな顔をしてから、微笑んでセシルに言った。

「セシルちゃん。セシルちゃんの事を悪く言う人たちの言葉なんか信じないで。セシルちゃんの事が大好きなあたしたちの言葉に耳を傾けて?」
「あたしたち?」
「うん!あたしだけじゃないよ。クレアちゃんもウェンも、セシルちゃんが優しくてがんばり屋の女の子だって知ってるよ」

 メロディたちはセシルの事を友達だと思ってくれていたのだ。セシルは嬉しさのあまり、やっと止まった涙が再びあふれてきてしまった。

 今度はメロディはセシルに泣き止むようにとは言わなかった。メロディは静かに泣くセシルを優しく抱きしめてくれた。

 メロディからは甘い花の香りがした。メロディはセシルの耳元で、柔らかな声で言った。

「ねぇ、セシルちゃん。あたしもね、小さい頃いじめられてたんだよ?あたし、頭があまり良くなくて、学校の勉強全然わからなかったの。だから学校の男の子たちに、お前はバカだから学校来るなって、いつも泣かされてた。そんな時ね、ある人が言ってくれたの」

 セシルはメロディの肩にすりつけていた顔をあげてメロディを見た。メロディは微笑んで言葉を続けた。

「その人はね、あたしに言ってくれたの。メロディはバカなんかじゃない。メロディが物事を覚えられないのは、それがメロディにとって重要ではないって事、メロディが忘れっぽいのは他の大切な事を覚えるためだよって。言ってくれたの。その人はね、泣いているあたしにずっと寄り添ってくれていた。あたしがどうすれば笑顔になれるか必死に考えてくれた。だから、あたしは今も笑顔でいられる」

 メロディはそこで言葉を切ると、セシルの目をジッと見てから言った。

「だからね、セシルちゃん。あたしたちに、セシルちゃんに寄り添わせて?セシルちゃんに心からの笑顔になってほしいの」
「・・・。メロディ、ありがとう」

 セシルはメロディにしがみついた。メロディはセシルの背中を優しく撫でてくれた。

 セシルは心の中で、メロディの言うあの人が誰がわかったような気がした。


 

 
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