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クレアの意見
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メロディたちは大きくなったドラゴンのウェントゥスに乗り、魔法学校の生徒セシルを女子寮に送って行った。
帰りに真っ暗な城下町でセシルのくつを探したが、やはり見つからなかった。メロディはため息をついて後ろに乗っているクレアに言った。
「だめだね、クレアちゃん。セシルちゃんのくつ明日探してみようよ」
「ええ、そうね。ウェン、これから行ってほしい所があるの」
「ピィ?」
クレアはウェントゥスに言って、行き先を変えた。
翌朝、何とかセシルの革ぐつを城下町の家の屋根の上で見つけた。メロディたちは花屋の休けい時間に、セラフィス魔法学校におもむいた。メロディは、セシルにくつを届けるだけだと思っていたが、クレアは学校の事務所に行くと、なんと魔法学校の校長に会いたいと言ったのだ。
しぶる事務員を説き伏せて、メロディたちはセラフィス魔法学校の校長室に向かった。
セラフィス魔法学校の校長は、七十歳くらいの女性だった。高いわし鼻の高圧的な女性で、メロディはあまり好感を持てなかった。校長はいんぎんにクレアに言った。
「わが校の生徒のくつを拾ってくださったとか。わざわざご足労いただき感謝します」
「セラフィス魔法学校は、国が誇る国営の魔法学校です。タンドール国民として当然の事です」
校長はさもありなんというようにうなずいた。クレアは一呼吸おいてから、ですがと言って切り出した。
「このくつの持ち主であるセシル・オベールという女子生徒はクラスメイトからひどい嫌がらせを受けているそうですが、学校長としてはどのようなご見解でしょうか?」
「ああ、それはセシルのためなのです。彼女は自らの意志で魔力を強めなければいけません」
「という事は、セシルへの嫌がらせを黙認するというお考えで間違いありませんか?」
そこで校長は顔を歪めてクレアをにらんで答えた。
「貴女は我が校の方針にケチをつけるおつもりですか?」
「私たちは昨日、足を血だらけにして城下町を歩いているセシルを保護しました。聞けばセシルはずっと以前からクラスメイトからの嫌がらせを受け続けていたといいます。魔法使いになる資質の持ち主は大切にされるべきです。それを生け贄の仔羊のように、他の生徒の承認欲求を満たすために、イジメを放置したのであれば、貴女は教育者として失格です」
「大人しく聞いていれば、何と無礼な娘でしょう。すぐに出て行きなさい!」
校長は顔を真っ赤にしてクレアに怒鳴った。メロディがクレアの顔をうかがうと、彼女は口のはしで少し笑っていた。クレアは胸元から書状を取り出して校長に差し出して言った。
「私自身は小娘にすぎません。ですが、タンドール国王妃にこの事をお話したら、とてもご心痛な面持ちでした。私たちにセシルの力になるようお言いつけになりました」
書状を見た校長は、顔を真っ青にさせて叫んだ。
「これが王妃の書状ですって?!ニセ物に決まっています」
「ニセ物とは無礼ですね。私たちはしがない町の花屋ですが、もう一つの責務があります」
そこでクレアは言葉を切って、メロディに向き直ってうなずいた。メロディもうなずいてふところから騎士の称号を取り出して校長の目の前に差し出した。クレアは厳しい声で言った。
「私たちはタンドール国王直属の騎士です。この後この学校には魔法相の監査が入ります。それまでこころしていてください」
校長は顔を真っ青にして黙ってしまった。メロディはいい気味だと思いながら、クレアにうながされて校長室を後にした。
帰りに真っ暗な城下町でセシルのくつを探したが、やはり見つからなかった。メロディはため息をついて後ろに乗っているクレアに言った。
「だめだね、クレアちゃん。セシルちゃんのくつ明日探してみようよ」
「ええ、そうね。ウェン、これから行ってほしい所があるの」
「ピィ?」
クレアはウェントゥスに言って、行き先を変えた。
翌朝、何とかセシルの革ぐつを城下町の家の屋根の上で見つけた。メロディたちは花屋の休けい時間に、セラフィス魔法学校におもむいた。メロディは、セシルにくつを届けるだけだと思っていたが、クレアは学校の事務所に行くと、なんと魔法学校の校長に会いたいと言ったのだ。
しぶる事務員を説き伏せて、メロディたちはセラフィス魔法学校の校長室に向かった。
セラフィス魔法学校の校長は、七十歳くらいの女性だった。高いわし鼻の高圧的な女性で、メロディはあまり好感を持てなかった。校長はいんぎんにクレアに言った。
「わが校の生徒のくつを拾ってくださったとか。わざわざご足労いただき感謝します」
「セラフィス魔法学校は、国が誇る国営の魔法学校です。タンドール国民として当然の事です」
校長はさもありなんというようにうなずいた。クレアは一呼吸おいてから、ですがと言って切り出した。
「このくつの持ち主であるセシル・オベールという女子生徒はクラスメイトからひどい嫌がらせを受けているそうですが、学校長としてはどのようなご見解でしょうか?」
「ああ、それはセシルのためなのです。彼女は自らの意志で魔力を強めなければいけません」
「という事は、セシルへの嫌がらせを黙認するというお考えで間違いありませんか?」
そこで校長は顔を歪めてクレアをにらんで答えた。
「貴女は我が校の方針にケチをつけるおつもりですか?」
「私たちは昨日、足を血だらけにして城下町を歩いているセシルを保護しました。聞けばセシルはずっと以前からクラスメイトからの嫌がらせを受け続けていたといいます。魔法使いになる資質の持ち主は大切にされるべきです。それを生け贄の仔羊のように、他の生徒の承認欲求を満たすために、イジメを放置したのであれば、貴女は教育者として失格です」
「大人しく聞いていれば、何と無礼な娘でしょう。すぐに出て行きなさい!」
校長は顔を真っ赤にしてクレアに怒鳴った。メロディがクレアの顔をうかがうと、彼女は口のはしで少し笑っていた。クレアは胸元から書状を取り出して校長に差し出して言った。
「私自身は小娘にすぎません。ですが、タンドール国王妃にこの事をお話したら、とてもご心痛な面持ちでした。私たちにセシルの力になるようお言いつけになりました」
書状を見た校長は、顔を真っ青にさせて叫んだ。
「これが王妃の書状ですって?!ニセ物に決まっています」
「ニセ物とは無礼ですね。私たちはしがない町の花屋ですが、もう一つの責務があります」
そこでクレアは言葉を切って、メロディに向き直ってうなずいた。メロディもうなずいてふところから騎士の称号を取り出して校長の目の前に差し出した。クレアは厳しい声で言った。
「私たちはタンドール国王直属の騎士です。この後この学校には魔法相の監査が入ります。それまでこころしていてください」
校長は顔を真っ青にして黙ってしまった。メロディはいい気味だと思いながら、クレアにうながされて校長室を後にした。
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