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花屋のメロディ
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セシルは初めて会った人にそんな事はさせられないと断ったが、少女はまったくセシルの話しを聞かずに言った。
「大丈夫!あたしは花屋だから重い物だって持てるよ!」
セシルは少女の押しに負けて、彼女の背中に乗った。少女は小柄なのに力持ちだった。少女は道すがら自分の事を話してくれた。
彼女の名前はメロディといった。メロディと友達のクレア、それにドラゴンのウェントゥスの三人で、花屋をやっているのだという。聞けばセシルと同い年なのだそうだ。
セシルは自分が恥ずかしくなった。かたや自分は親の金で学校に通わせてもらっているのに落ちこぼれ。かたやメロディはもう自活して、働いて稼いでいるのだ。
セシルが落ち込んでいると、メロディが声をかけた。
「着いたよ!ここがあたしたちのお店!」
セシルは顔をあげて、息を飲んだ。小さな可愛らしい店先には、色とりどりの美しい花々の鉢植えが、所狭しと並べられていたのだ。
綺麗。セシルは思わずつぶやいた。メロディは嬉しそうに、えへへと笑った。メロディは大声で、クレアちゃん、ウェン、ただいま。と叫んだ。
店からは金髪に青い瞳の美しい少女が出て来た。となりには小さなドラゴンがパタパタ飛んでいる。クレアと呼ばれた少女はメロディに言った。
「お帰りなさい、メロディ。背中のお嬢さんは誰なの?」
「ただいま!クレアちゃん。えっとねぇ、あっまだ名前聞いてなかった!貴女の名前は?」
メロディは背負っているセシルに振り向いて笑った。セシルは顔を真っ赤にしながら小さな声で答えた。
「あ、あの。私はセシルです」
「セシルちゃん!いい名前だね」
メロディはニコニコ笑顔で笑った。クレアは苦笑しながらセシルの傷だらけの足を見て、状況を察したようだ。セシルはメロディにおぶさったまま、店の中に案内された。
クレアの指示でメロディはセシルをテーブルの上に座らせた。食事をする所に座るわけにはいかないと、慌てて降りようとするセシルをクレアが手で制して言った。
「ケガの治療をしますから、そのままでいてください」
セシルは仕方なくテーブルに座り続けた。クレアはセシルの足元にしゃがみこむと、ボロボロで血だらけのくつ下を脱がして、しみますよ。と断ってから、水魔法を発動させた。
クレアの作った水のかたまりはセシルの血と泥だらけの足を優しく洗ってくれた。セシルはクレアの水魔法を、せんぼうのまなざしで見つめていた。
クレアがセシルの足を洗い終わると、小さなドラゴンのウェントゥスがパタパタやってきた。クレアは、ウェントゥスにお願いと言った。ウェントゥスはセシルの足に鼻をチョンとつけた。すると、セシルの足が輝き出した。治癒魔法だ。セシルの傷だらけの足はたちどころに治ってしまった。
「あ、ありがとう」
セシルは驚きのあまり、うわずった声で礼を言った。クレアは美しい笑顔で笑った。
「大丈夫!あたしは花屋だから重い物だって持てるよ!」
セシルは少女の押しに負けて、彼女の背中に乗った。少女は小柄なのに力持ちだった。少女は道すがら自分の事を話してくれた。
彼女の名前はメロディといった。メロディと友達のクレア、それにドラゴンのウェントゥスの三人で、花屋をやっているのだという。聞けばセシルと同い年なのだそうだ。
セシルは自分が恥ずかしくなった。かたや自分は親の金で学校に通わせてもらっているのに落ちこぼれ。かたやメロディはもう自活して、働いて稼いでいるのだ。
セシルが落ち込んでいると、メロディが声をかけた。
「着いたよ!ここがあたしたちのお店!」
セシルは顔をあげて、息を飲んだ。小さな可愛らしい店先には、色とりどりの美しい花々の鉢植えが、所狭しと並べられていたのだ。
綺麗。セシルは思わずつぶやいた。メロディは嬉しそうに、えへへと笑った。メロディは大声で、クレアちゃん、ウェン、ただいま。と叫んだ。
店からは金髪に青い瞳の美しい少女が出て来た。となりには小さなドラゴンがパタパタ飛んでいる。クレアと呼ばれた少女はメロディに言った。
「お帰りなさい、メロディ。背中のお嬢さんは誰なの?」
「ただいま!クレアちゃん。えっとねぇ、あっまだ名前聞いてなかった!貴女の名前は?」
メロディは背負っているセシルに振り向いて笑った。セシルは顔を真っ赤にしながら小さな声で答えた。
「あ、あの。私はセシルです」
「セシルちゃん!いい名前だね」
メロディはニコニコ笑顔で笑った。クレアは苦笑しながらセシルの傷だらけの足を見て、状況を察したようだ。セシルはメロディにおぶさったまま、店の中に案内された。
クレアの指示でメロディはセシルをテーブルの上に座らせた。食事をする所に座るわけにはいかないと、慌てて降りようとするセシルをクレアが手で制して言った。
「ケガの治療をしますから、そのままでいてください」
セシルは仕方なくテーブルに座り続けた。クレアはセシルの足元にしゃがみこむと、ボロボロで血だらけのくつ下を脱がして、しみますよ。と断ってから、水魔法を発動させた。
クレアの作った水のかたまりはセシルの血と泥だらけの足を優しく洗ってくれた。セシルはクレアの水魔法を、せんぼうのまなざしで見つめていた。
クレアがセシルの足を洗い終わると、小さなドラゴンのウェントゥスがパタパタやってきた。クレアは、ウェントゥスにお願いと言った。ウェントゥスはセシルの足に鼻をチョンとつけた。すると、セシルの足が輝き出した。治癒魔法だ。セシルの傷だらけの足はたちどころに治ってしまった。
「あ、ありがとう」
セシルは驚きのあまり、うわずった声で礼を言った。クレアは美しい笑顔で笑った。
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